著者
重久 保 中上 辰芳 太治 司郎 阪口 玄二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.251-257, 1985-04

牛肉塊の表面と内部にサルモネラ, 大腸菌, ブドウ球菌を接種し, 肉塊中心部が52°, 54°, 57℃になるまで110゜, 120゜, 130℃に設定した対流型オーブンで加熱して, ローストビーフを調整した. 120℃以上のオーブン温度で中心温度が57℃になるまで加熱した場合は, サルモネラ, 大腸菌, ブドウ球菌のいづれも検出されず, 品質特性も良好であった. このような成績から, 表面加熱を特徴とするローストビーフ調製方法の有用性が示唆された.
著者
籠田 勝基 岩瀬 俊男 小島 敏之 新山 雅美 波岡 茂郎
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.131-138, 1979-04-25

非タンパク態窒素化合物の豚発育に及ぼす効果を知るために, クエン酸2アンモニウム(DAC)を用いて豚の飼養試験を実施した. 給与飼料は厳しい低タンパクの条件のもとで, 必須アミノ酸はNRC標準の要求量を満たすように添加し, 非必須アミノ酸が窒素の制限因子となるように設計された. すなわち, 1) 粗タンパク(Cp)含量6.4%, 非必須アミノ酸制限(基礎飼料区). 2) 基礎飼料+DAC 3.6%添加(DAC区). 3) DAC区とCPを等しくしたDAC無添加区(Positive Control, PC区)である. 消化エネルギーは各区とも3.3kcal/gとした. 平均体重22.5kgのsecondary SPF豚12頭を4群に分け, それぞれ単飼ケージに収容し, 1日2回の制限給餌で28日間飼養した. 日増体重および飼料要求率の測定とともに窒素代謝試験とHt, TP, BUNおよび血中アンモニアを測定した. DAC区の平均日増体重は508gで基礎飼料区の426gおよびPC区の455gより有意に高い値を示した(P<0.05とp<0.10). 飼料要求率は基礎飼料区3.14, DAC区2.86およびPC区2.94で基礎飼料区が他の区より高い傾向を示した. Ht, TPおよび血中アンモニアは何れの区でも正常範囲内にあり, 臨床所見からもアンモニア中毒は認められなかった. 以上の成績から, 非必須アミノ酸を制限因子とした飼養条件下ではDACが豚の発育に利用されることが明らかとなった.
著者
梁川 良 平棟 孝志 清水 健 藤田 潯吉 石井 進
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.17-26, 1960-02-25

体(;コニ12~15gのdd系マウスに,それぞれ100ケのLePlOsPiraicterohaemorThagiae(TR-1株),およびLePtosPiraau/umnalis(佐伯株)を皮下接1111Fし,定められた時期にそれぞれ2匹づつ順次殺処分し,体内のレブトスピラを定量した.その結果を要約すれば次の通りである.1。 レプトスピラを接種されたマウスは,殆んど無症状に経過した.しかし,体内で,レブトスピラの組織だった増殖が認められた.2.佐伯株を用いておこなった実験によれば,感染初期に,マウス体内でレブトスピラの増殖が最初に認められる部位は血液であった.その他の部位,すなわちエキカおよびソケイリンパ節,接種部洗}條液,および肝においては,血液よりもおくれで,しかも血液よりも少数のレプトスピラが認められたにすぎなかった.3.マウスの血液中で,TR-1株は感染後4~91]{1-1,またイ/1-ミ・(白株は3~10日目にかけて,6,7日目を頂点とする相称性の発育曲線を示した.頂点のレフ斗スピラ数は,血液1cc当105(TR-1株)お3よび104(佐伯株)であった.対数的増殖期におけるMcangcncrat10ntimeは,TR-1株が7.2~11時間,佐拍株が6~8時間であった.感染後11日[11以降は両株とも血液から全く検出されなかった.4,感染後8~10日目頃,すなわち抗体がマウスの血液中に出現しはじめた時期に,抗体陽性のマウスの血液から,イ/{ミ・[}(-1株はしばしば検出されたのに反し,TR-1株は殆んど検出されなかった.Scrotypc間のおなにような差が,別のびと組のレプトスピラ,三河島株(LePtosPiraiclerohaemorr/lagiae)および岡IITI株(Leptospiraautumna/is)の間にも認められた。5.マウスの肝におけるTR-1株とイ左仙株の増殖は,それぞれの株の血液における増殖と,時期的にも量的にも略々似ていた.肝ではしかし,血淑におけるよりも1日おくれてレブトスピラが検出されはじめた.6.腎における両株の発育は,同じく血液におけるよりも1日おくれて認められたが,しかしその増殖曲練は,血液や肝における場合と全く異っていた.すなわち感染後7日目または8日目順に最初の頂点(TR-1株では106,佐伯株では105)が,ついで9~11口目,すなわち抗体出現の頃に下阿が認められ,さらにそれ以後に増殖曲線は再び上,11-]′.し,すくなくとも91日目までそれほど下降を示すことなく続く独得の形を呈した.最初の対数的増夕jl′(期におけるMcangcncrationtimcはTR-1株が凡そ6.8時間,佐拍株が6~9.6時間であった.7.尿中へのレブトスピラ排泄は,感染後21日目から頻繁に言忍められるようになった.8.マウスの牌,肺,副腎,お ,あった.11. この実験に用いた2つの型のレプトスピラによるマウスの実験的レプトスピラ病は,その細菌学的な姿が,相互に似ていることが認められた.
著者
Sakpuaram Thavajchai 福安 嗣昭 芦田 淨美
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.51, no.6, pp.1279-1281, 1989-12-15
被引用文献数
4

1987年6月〜7月において, 屠場搬入の肺炎病巣保有豚120頭のうち25頭から A. pleuropneumoniae(104株)を分離した. 病変別の菌分離率は, 膿瘍では34.0%(16/47), 出血性肺炎では11.6%(5/43), 膿瘍と出血性肺炎を保有する肺炎では26.7%(4/15)であった. 分離菌株の血清型別を行ったところ, 1型2頭(10株), 2型21頭(85株) 8型2頭(8株), 9型1頭(1株)であり, 8型及び9型菌株は我が国で初めて分離された.
著者
平野 稔泰 小川 美敬 後藤 仁 清水 亀平次 野呂 新一 桜田 教夫
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.633-638, 1985-08-15

1980〜83年に, 北海道帯広市の十勝総合食肉流通センターで収集したブタ血清3,701例について, 香港型(H3N2)インフルエンザウイルスに対する抗体調査を行った. 1980〜82年では抗体陽性率は0.7〜7.4%で, 1980年には7〜8月に集中して陽性血清が認められた. これらのブタは屠殺時に7か月齢であり, 同年1〜3月に帯広地区学童間に確認されたH3N2ヒトインフルエンザウイルス流行時に若齢豚への感染がおこったものと考えられた. 一方, 1983年には3月に抗体陽性例が出現し, 3〜7月を通じて高率(4.8〜53.4%)に陽性例が認められ, 同年1〜3月におこったH3N2ウイルスのヒトにおける流行時に成豚も含めてブタが感染したことが示唆された.
著者
熊埜御堂 毅 福永 昌夫 鎌田 正信 今川 浩 安藤 泰正 和田 隆一 新田 仁彦 秋山 綽
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.1191-1197, 1986-12-15

西日本地域の馬飼養地2箇所において, 1980年5月11日〜11月18日の期間, 隔週に採集した雌成虫蚊33,604匹から, Vero及びHmLu-1細胞培養によって計13株のウイルスが分離された。これら13株中4株はゲタウイルス, 9株は日本脳炎ウイルスと同定された。ゲタウイルス4株中3株は宮崎競馬場から採集されたコガタアカイエカ200プール19,465匹から分離され, 感染率は1:6,488であった。残りの1株は栗東トレーニング・センターで採集された5,897匹のコガタアカイカから分離された。宮崎競馬場及び栗東トレーニング・センターにおけるコガタアカイエカは全採取蚊種のそれぞれ85.1%及び54.5%を占め, 両調査地において捕獲されたキンイロヤブカは2%以下であった。以上の成績から西日本地域の散発的ゲタウイルス感染症においては, コガタアカイエカが主要ベクターであることが示唆された。
著者
高瀬 公三 西川 比呂志 野中 富土男 山田 進二
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.567-574, 1985-08-15
被引用文献数
3

肉用鶏の腱鞘炎由来トリレオウイルス58-132株の病原性を検索した. 1日齢SPFひ^^.な^^.に58-132株を皮下接種すると, 10^<2.7>PFU/羽以上でひ^^.な^^.は全例死亡し, LD_<50>は10^<0.8>PFUであった. 10^<5.7>PFU/羽の経口接種では14羽中10羽が死亡した. 58-132株を7日齢以下のひ^^.な^^.に経口接種すると生残ひ^^.な^^.の全例に腱鞘炎が認められたが, 14日齢接種では5羽中3羽のみが発病し, 21日齢以上のひ^^.な^^.への接種では発病例はなった. また, 感染ひ^^.な^^.と同居させたひ^^.な^^.の全例に腱鞘炎が発生し, ウイルスが回収され抗体も陽性を示した.
著者
鹿江 雅光 井土 裕児 花見 正幸 戸田 光敬 原 行雄
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.73-76, 1979-02-25

乳用雄若令肥育牛64頭について検討したところ, 肝膿瘍が18頭(28%)に, 第一胃等の損傷が33頭(51.8%)に認められ, また, 前者の13頭に第一胃等の損傷が観察された. 肝膿瘍牛ではA/Gの減少がみられた. 細菌学的には, 肝膿瘍全例からF. necrophorum phase Aに属する菌が分離され, その菌数は平均10^<6.2>/gであった. 本菌のVPI 2891株を抗原とした寒天ゲル内沈降反応では肝膿瘍牛血清のうち14例が陽性を示し, また, 凝集反応では本血清の多くが1:64から1:1024の凝集価を示した.
著者
加藤 久弥 村上 敏明
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.39-PLATE I, 1962-01-25

1959年4月, 定型的リステリア(以下Lと略)脳炎で弊死した羊を剖検し, 偶然, 鼻洞に寄生する羊蝿 Oestrus ovis の幼虫を発見した. 採取した9匹の幼虫の内2匹を試みに培養し, 残り7匹はフォルマリン標本とした. また, 後に同一牧場から得た5頭(健康羊3, 急性鼓張2)から22匹の幼虫を採取してL菌の培養に供した. 各材料は夫々減菌食塩氷で10回洗滌し, 5mlの食塩水乳剤としてその0.2mlを平板に塗抹し, 37℃, 24時間培養した. いづれの場合も虫体の最終洗滌液を培養して無菌なることを確めた. 結果は第1表の如く, L症羊寄生幼虫2匹の内1匹からL菌(K16株)が殆ど純培養状(Fig.1)に分離された. 本株の生物学的性状及び血清学的型別を行い, 1型菌と同定された(Tables 2〜4). 従来L症の自然感染要約については種々の推論があり, 齧歯類, 野獣, 野鳥等, 或はサイレージ等区々として, 未だ確立されていない. 羊蝿とL症の関係について1937年, GILL により示唆されたが, その後これを支持する研究が出なかった. 今回の著者等の報告は GILL に次いで, 羊蝿幼虫からL菌を分離した第2例である. 先に, 著者等は盛岡における羊蝿の生活環を研究した. 一方1951年以降10年間の日本における家畜のL症の発生時期が外国と同じく晩冬初夏の候に限局することを知った. 之等の事実と羊蝿のL症との関係を追及することは興味あるものと考える.
著者
跡部 ヒサエ 尾形 学
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獸醫學雜誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.39-46, 1977-02-25

Investigation was made on the resistance to intranasal challenge with thevirulent strain of Mycoplasma pulmonis of mice vaccinated intranasally or intramuscularlywith the formalin-killed organisms. The protective effect of vaccination was evaluated bycomparing the clinical appearance, establishment of organisms in the respiratory tract,and development of pneumonia between these mice and those unvaccinated and servingas controls. A significant protection was observed after either intranasal or intramuscularvaccination. No relationship was shown between such protective effect and serum anti-body titer. Intranasal vaccination could inhibit the establishment of organisms in therespiratory tract without causing a remarkable increase in antibody titer. In contrast, theprevention of pneumonia was observed after intramuscular vaccination resulting in producLion of high antibody Liter. These findings suggested that the mechanisms to inhibit theestablishment of organisms in the respiratory epithelium might be separate from thoseto prevent the occurrence of pneumonia.
著者
大石 勇 片江 宏巳 中垣 和英 中井 正博
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.125-130, 1988-02-15
被引用文献数
1

Ivermectinの1か月間隔投与による犬糸状虫の寄生予防効果を,自然感染下で実験した. 実験犬35頭をA(15頭), B(10頭), C(5頭)の3群とし,7月1日から9月30日の3か月間蚊に曝して自然感染させた. さらに,A,B両群には7,8月に3回に分けてL_3を1頭当り30匹実験感染した. A群には8,9,10,11月の各月1日にivermectin 6μg/kgを経口投与し,B群にはA群と同一日にplaceboを投与し,C群は無投薬群とした. B群全例からは平均49.1匹の虫が回収(実験感染L_3数に対して平均163.7%の回収率)され,C群全例からは平均33.6匹の虫が回収されたことから,この実験では高度の自然感染があったことが示された. Ivermectin投与のA群からは虫は回収されず,右心への寄生予防効果は確実であり,副作用は認められなかった. 以上の成績から,自然感染開始後1か月から終了後1か月の期間を通して,1か月間隔でivermectin 6μg/kgを投与すれば,犬糸状虫寄生を確実に予防できることが証明された.
著者
佐々木 信宏 高橋 清志 川本 哲 黒沢 隆 井田 三夫 川合 覚
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.495-501, 1990-06-15

単為生殖系フタトゲチマダニの幼ダニをT. sergentiの自然感染牛に耳袋法で付着, 飽血させた. 飽血ダニは24℃で飼育後, 37℃, 相対湿度約100%で温度感作を加え, 若ダニ唾液腺内のT. sergentiの発育をメチルグリーン・ピロニン染色で観察した. 温度感作を加えたダニの唾液腺腺胞内に成熟原虫塊が認められ, このダニの乳剤を接種した牛では18日目から原虫血症がみられ, IFAによって特異抗体も検出された. 以上のようにT. sergentiは37℃の温度感作を与えたフタトゲチマダニの唾液腺内で感染力を持つまでに成熟することが確認された.
著者
串田 寿昭
出版者
日本獣医学会
雑誌
日本獣医学雑誌 (ISSN:00215295)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.p77-81, 1979-02

Trichophyton rubrumによる犬のringwormについては, さきに, 飼主の"みずむし"から感染したと考えられる症例を, わが国における最初の記載として報告したが, 今回, それと同様にやはり飼主から感染したと思われるプードルの症例を経験したので, 第2例目として追加報告する. 犬の病巣はトリミングされた腰背部に限局し, 紅斑, 落屑, 脱毛がみられた. 飼主は同菌による多年にわたる"みずむし"をもっており, 夜間犬と一緒に寝る習慣があった.