著者
吉崎 もと子 渋谷 岳造 鈴木 勝彦 清水 健二 中村 謙太郎 大森 聡一 高井 研 丸山 茂徳
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.58, 2011 (Released:2011-09-01)

様々な分野の研究から、初期地球の熱水系にはメタン生成菌のような水素をエネルギー源とする化学合成独立栄養細菌を一次生産者に持つ生態系が繁栄しており、水素は生命誕生・進化の重要な鍵であったと考えられる。本研究では、初期地球熱水系では当時の表層にあったとされるAl枯渇型コマチアイトが水素発生を担っていたと考え、熱水実験を通して初期地球のコマチアイト熱水系における水素発生量とその反応過程を検証した。その結果、コマチアイトの熱水変質による顕著な水素発生量を確認した。また、実験生成物の分析を行った結果、かんらん石では従来提唱されてきたように蛇紋石化反応に伴う磁鉄鉱生成によって水素が発生しているのに対し、コマチアイトでは別の水素発生プロセスが進行し、それは、粘土鉱物への?V価鉄の分配によるH2Oの還元であると推定した。コマチアイトの熱水変質による水素発生量は、現生のかんらん岩熱水系で観測される水素濃度に匹敵し、現世のかんらん岩熱水系と同様に、初期地球熱水系の生態系に豊富な量の水素を供給していたことが示唆される。
著者
浅野 大喜 瀬戸 雄海 山崎 千恵子 清水 健太 瀬川 麻衣子 小林 正行
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11888, (Released:2020-09-12)
参考文献数
16

【目的】COVID-19 により入院した高齢者と若年者の2 例に対し,感染対策をしながら理学療法を実施した。今回,その取り組み方法と症例の経過について報告する。【方法】実施にあたり,部署内で,担当者の選定,実施方法の選択,実施中の留意点の取り決めを行った。それにしたがい高齢者には直接介入,若年者には間接介入を選択し実施した。評価は,症例1(高齢者)は運動,認知機能について,症例2(若年者)は精神機能について評価を行った。【結果】症例1 は,運動,認知機能ともに初期評価時より向上し,入院32 日目に入院前に生活していた施設に退院した。症例2 は,運動機能の維持だけでなく,抑うつや混乱などの精神機能にも向上がみられ,入院24 日目に自宅退院となった。【結論】入院中のCOVID-19 患者に対する理学療法は,高齢者,若年者いずれの場合においても,運動機能,認知・精神機能に対して効果があることが示唆された。
著者
清水 健司 海塚 敏郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.54-64, 2002-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
26
被引用文献数
11 13

本研究は, 青年期における対人恐怖心性と自己愛傾向との関連について検討することを目的とした。大学生336名を対象として対人恐怖心性尺度と自己愛人格目録の質問紙を施行した。分析の結果, 対人恐怖心性と自己愛傾向には有意な負の相関が見られた。これは, いくつかの対人恐怖心性と自己愛傾向の関連のパターンが混在している状態であるという解釈可能性を示していた。また, クラスター分析を行った結果, 対人恐怖心性と自己愛傾向のパターンには4つサブタイプがあることが示された。これらは, 臨床的な知見を参考にすると第1クラスターは,「純粋な」対人恐怖であり, 第2クラスターは,「過敏型」自己愛人格であり, 第3クラスタ」は,「ふれ合い恐怖的心性」に類似したものと推測され, 第4クラスターは,「無関心型」自己愛人格であるとそれぞれ解釈された。このなかで第2クラスターと第4クラスターは, 対人恐怖心性が自己愛の影響を大きく受けていることが分かり, 自己愛の高まりが対人恐怖心性を増大させていることを示した。
著者
佐野 貴司 テハダ マリア ルイサ 中西 正男 羽生 毅 三浦 誠一 末次 大輔 利根川 貴志 石川 晃 清水 健二 淸水 祥伽
出版者
公益社団法人 東京地学協会
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.130, no.4, pp.559-584, 2021-08-25 (Released:2021-09-23)
参考文献数
163
被引用文献数
2 4

Large Igneous Provinces (LIPs), such as the Ontong Java Plateau (OJP) in the western equatorial Pacific, provide information on mantle processes and composition, and their formation may have global environmental consequences. The OJP is the largest oceanic plateau and is probably the most voluminous igneous edifice on Earth. Despite its importance, the size, volume, and formation rate of the OJP are not yet well constrained. The maximum extent of OJP-related volcanism may be even greater than currently estimated, because volcanological studies indicate that long lava flows (or sills) from the OJP may have reached the adjacent Nauru, East Mariana, and possibly Pigafetta basins. Moreover, the similarity in age and some geochemistry of lavas from the Ontong Java, Hikurangi, and Manihiki plateaus suggests that they once may have been part of a single LIP (Ontong Java Nui, OJN). If true, the massive volcanism may have covered > 1% of the Earth's surface. The lack of detailed knowledge of the size, age, and composition of the OJP has given rise to various models, such as a surfacing mantle plume head, bolide impact, and fusible mantle melting, but no model satisfies all observational data and no consensus has been reached on its origin. The OJP is divided into the High Plateau to the west and the Eastern Salient to the east. The basaltic basement of the OJP was cored at seven sites during Deep Sea Drilling Project (DSDP Site 289) and Ocean Drilling Program (ODP Sites 289, 803, 807, 1183, 1185, 1186, and 1187) expeditions, but all sites are exclusively located on the High Plateau. In order to examine the true extent of the OJP (i.e., whether the flows in the Nauru, East Mariana, and Pigafetta basins, as well as the Manihiki and Hikurangi plateaus are parts of the OJN), we propose drilling in the Eastern Salient and adjacent basins to recover basement samples. We also propose drilling through the sedimentary section on the Magellan Rise, a small plateau that formed > 20 Myr before the proposed OJN emplacement. Because of its greater age, the sedimentary sequence on the Magellan Rise may preserve ash layers or other chemical tracers that cover the entire eruptive history of OJN. The sediment layers from the Magellan Rise are also useful for evaluating environmental effects of OJN emplacement, including older and younger perturbations related to other LIPs.
著者
新井 康通 広瀬 信義 川村 昌嗣 本間 聡起 長谷川 浩 石田 浩之 小薗 康範 清水 健一郎 中村 芳郎 阪本 琢也 多田 紀夫 本間 昭
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.202-208, 1997-03-25 (Released:2009-11-24)
参考文献数
22
被引用文献数
3 5

東京都在住の百寿者45名 (男15例, 女30例, 平均年齢101.1±1.4歳, mean±SD, 以下同じ) の血清脂質値, アポ蛋白A1 (以下アポA1と略す), アポ蛋白B (以下アポBと略す), リポ蛋白分画, 低比重リポ蛋白 (以下LDLと略す) 分画の被酸化能を測定し, 健常な若年対照群と比較検討した.百寿者では対照群に比べ, 総コレステロール (以下TCと略す), 高比重リポ蛋白コレステロール (以下HDL-Cと略す), アポA1, アポBが有意に低値を示した. アポBが60mg/dl以下の低アポB血症の頻度は対照群の2.3%に対し, 百寿者では23%と有意に高かった. 各リポ蛋白分画中のコレステロール濃度は超低比重リポ蛋白コレステロール (以下VLDL-Cと略す), LDL-C, HDL-C, のいずれにおいても百寿者で有意に低かった. HDLの亜分画を比べると百寿者で低下していたのはHDL3-Cであり, 抗動脈硬化作用を持つHDL2-Cは両群で差がなく, 百寿者の脂質分画中に占めるHDL2-Cの割合は有意に増加していた. LDLの被酸化能の指標である lag time には有意差を認めなかった (百寿者44.7分±31.8対対照群49.9±26.0分). 百寿者を日常生活動度 (以下ADLと略す) の良好な群と低下している群に分け, 脂質パラメータを比較したところ, ADLが良好な群でHDL3-Cが有意に高値を示していた. 認知機能を Clinical Dementia Rating (以下CDRと略す) によって正常から重度痴呆まで5段階に評価し, 各群の脂質パラメータを比較したところ, 中等度以上の痴呆群でHDL-Cが正常群に比べ有意に低下していた.百寿者はアポBが低く, HDL2-Cが比較的高値であり, 遺伝的に動脈硬化を促進しにくい脂質組成を示すことが明らかとなった.
著者
野原 寛文 前田 育子 久澄 倫之介 内山 岳人 平島 紘子 中田 大仁 大野 里香 長谷川 哲朗 清水 健史
出版者
日本法科学技術学会
雑誌
日本法科学技術学会誌 (ISSN:18801323)
巻号頁・発行日
pp.778, (Released:2020-08-20)
参考文献数
9

Many unidentified bodies are expected to be discovered during a major disaster. Therefore it is necessary to establish a technique of identity estimation from the DNA of the dead person. Y-STR haplotype is genetically same among male relatives unless a genetical mutation occurs, and it is expected that the same Y-STR haplotype tends to be distributed in nearby residential areas. In this study, we analyzed Y-STR haplotypes and Y-haplogroups from 1,702 samples mainly collected from Miyazaki Prefecture to examine whether the geographic origin can be estimated. Y-haplogroup tended to be distributed differently between inside and outside of Miyazaki Prefecture. Some specific Y-STR haplotypes were intensively distributed in the southern and northern parts of Miyazaki Prefecture. These findings are thought to lead to the construction of a geographic origin estimation system in Miyazaki Prefecture, and are expected to be used in disaster victim identifications and criminal investigations in the future.
著者
田渕 裕子 大石 雅子 辻本 貴江 小西 祐子 畑 伸顕 清水 健太郎 曹 英樹 和佐 勝史 福澤 正洋
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.1119-1123, 2011 (Released:2011-08-25)
参考文献数
7

【目的】経腸栄養剤のpHの変化に対する反応を観察し、1%重曹水を用いた経腸栄養チューブ閉塞に対する効果について検討した。【方法】経腸栄養剤2種 (エンシュア・リキッド®、ラコール®) に酸 (0.1N HCl)、アルカリ (1%重曹水、0.1N NaOH) を添加し、pHの変化に対する経腸栄養剤の凝固の程度を観察した。また、臨床的にも1%重曹水の経腸栄養チューブの閉塞防止効果を検討した。【結果】2試料とも酸に接触すると凝固し、アルカリを加えると凝固物はpH上昇に伴い溶解した。アルカリを加えた場合は外観に変化はなかった。また、経腸栄養チューブ閉塞を繰り返す臨床例に対し、1%重曹水をチューブの洗浄に予防的に用いたところ閉塞を起こすことなく投与続行可能であり、チューブ閉塞症例に対しても開通し投与が再開できた。【結論】1%重曹水は経腸栄養チューブ閉塞防止に有用な手段と考えられる。
著者
清水 健司 川邊 浩史 海塚 敏郎
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.350-362, 2008-04-01 (Released:2008-07-15)
参考文献数
39
被引用文献数
3 2 10

本研究は,青年期における対人恐怖心性–自己愛傾向2次元モデルにおける性格特性と精神的健康(心理的ストレス反応)の関連を検討することを目的としている。大学生595名を対象として対人恐怖心性–自己愛傾向2次元モデル尺度短縮版(以下,TSNS-S),心理的ストレス反応尺度,性格特性を測定する尺度であるFFPQ尺度の質問紙調査を施行した。分析1では,TSNS-Sにおける信頼性と妥当性を検討し,分析2では,対人恐怖心性と自己愛傾向の相互関係の観点から分類された5類型における性格特性と精神的健康の関連を検討した。その結果,分析1ではTSNS-Sにおけるα係数,再検査法の各信頼性係数が高い値を示し,FFPQとの相関分析の結果においても一定の構成概念妥当性を持つことが確認された。また,分析2では5類型の性格特性と精神的健康の関連性の検討から,各々の類型が持つ特徴の基礎的部分が明らかにされた。
著者
下野 功 高橋 志郎 清水 健志 高村 巧 小林 淳哉 都木 靖彰
出版者
公益社団法人 日本セラミックス協会
雑誌
Journal of the Ceramic Society of Japan (ISSN:18820743)
巻号頁・発行日
vol.117, no.Supplement, pp.S5-S10, 2009 (Released:2009-04-01)
参考文献数
7
被引用文献数
3 3

In this study of the phosphor utilizing a scallop shell, it was researched that the luminescence center was estimated from the chemical composition of the shell for the final purpose of the improvement of the luminescence property. The luminescence centers were estimated to be Cu and Mn from the experiment result and literature investigation. Furthermore, these concentrations were small by more than two orders in comparison with the commercially available phosphors. Therefore, improvement of the luminescence property can be expected by doping Cu and Mn to the shell and to investigate the relationship between these concentrations and the luminescence property to find the optimum concentration.
著者
清水 健吾 上垣 貴嗣 菊池 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 94回 (2022/3) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.06, 2022-02-25 (Released:2022-02-25)

雑談対話システムがユーザに「また対話したい」と思わせるための方法として,特定のキャラクタらしさをシステム応答に付与する方法が考えられる.本研究は,強化学習を用いてニューラル対話生成モデルをfine-tuningすることで,特定のキャラクタらしい雑談応答を生成する対話生成モデルを提案する.Fine-tuningの際に,特定のキャラクタらしさを持つ独立した発話データのみを必要とし,対話形式のデータを必要としない点で既存研究と大きく異なる.評価実験では,被験者に提案手法による対話システムとチャットアプリ上で数ターンの対話を行ってもらった.評価実験の結果,提案手法による対話システムが,ユーザに特定のキャラクタらしさの印象を与え,「また対話したい」と思わせる効果を持つことを確認した.
著者
藤井 博英 宇佐美 覚 牟田 能子 入江 良平 大和田 猛 清水 健史 伊藤 治幸 藤田 あけみ 大山 博史
出版者
日本赤十字秋田看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

我々は、民間信仰の「イタコ」を利用した自死遺族のグリーフワークを促進する要素を明確にすることを研究目的とした。「イタコ」を利用した対象者群と、利用しなかった対象者群の半構造化面接の結果を質的に分析し、それぞれに6つの因子が導出された。「イタコ」を利用した遺族は全てソーシャルサポートを受けておらず、「イタコ」を利用し、語ることによる心の浄化と、故人との内的な対話を通した相互理解や赦しの獲得がグリーフワークの促進要素として見いだされた。
著者
藤井 博英 伊藤 治幸 角濱 春美 清水 健史 村松 仁 森 千鶴 石井 秀宗 中村 恵子 田崎 博一
雑誌
青森県立保健大学雑誌 = Journal of Aomori University of Health and Welfare (ISSN:13493272)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.27-34, 2009-06

今日、精神科医療においては、これまでの入院中心の精神医療から地域での生活を支えるための支援が行われている。なかでも精神科訪問看護は、精神障がい者の地域生活をサポートする上で重要な役割を果たしている。そこで、本研究では、質問紙開発のために、精神科訪問看護師が認知する精神科訪問看護のアウトカムを明らかにすることを目的とし、文献概観および北東北3県で訪問看護を実施している施設で訪問看護に従事する看護師49名を対象に半構造化面接を実施し内容分析を行った。面接の内容は、1)患者の観察点、2)実施した看護内容、3)患者の変化や効果、4)症状悪化のサインについてである。精神科訪問看護師が認知する訪問看護のアウトカムを文献概観および内容分析の結果をカテゴリー分類した結果59項目23カテゴリーに分類された。本研究の結果と文献検索から得られたアイテムとはほとんど整合していた。本研究の特徴的な事としては、利用者本人のケアだけではなく、家族ケアにも視点を置かれていた。centered mind medical care. Above all, the psychiatric home visiting an important role when there is it, and mentally-handicapped persons supports the local life of the person. Therefore, in this study, I was aimed at clarifying the outcome of the psychiatry home visiting at home that community mentally psychiatric visiting nurses visit recognized and I carried out a half posture Creator interview for 49 nurses who engaged in documents general view and the temporary nursing at home of the institution which carried out temporary nursing at home in three prefectures of North Tohoku and performed a content analysis. The contents of the interview about 1)the patient of the observation 2)practice content 3) a change and the effect patients, 4) a sign of symptom aggravation. Documents surveyed the outcome of the temporary nursing at home that nurse psychiatry visit recognized and it was classified the results of the content analysis in 23result 59 items categories that were similar for a category. I almost adjusted it with the item provided from document retrieval as a result of this study. When it is decided that this study is characteristic, the knowledge at the action level that I compare it with there being the thing which put a viewpoint for the family care as well as the care of the user person himself, an existing study and depend, and is concrete is a provided point.
著者
長谷川 光弘 清水 健介 須藤 誠 木田 哲量 加藤 清志 高野 真希子
出版者
日本学術会議 「機械工学委員会・土木工学・建築学委員会合同IUTAM分科会」
雑誌
理論応用力学講演会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.326-326, 2006

コンクリートは凍結融解作用や乾湿潤作用に伴い、環境水の微小水循環により中性化が加速され、かつ、そのアルカリ度の希薄化を定量化した。さらに、コンクリート組織中の欠陥界面に半透膜モデルを設定し、環境水の吸排水の可能性をファントホッフ効果によるものと論じた。本報では、仮想仕切版(す焼板)を介し、清水プールと高濃度アルカリ溶液プールのそれぞれの濃度平衡を定式化し、かつ、浸透速度を逆解析的に求め得ることを明らかにした。
著者
川﨑 規介 清水 健一 八木 光晴 高山 久明
出版者
公益社団法人 日本航海学会
雑誌
日本航海学会論文集 (ISSN:03887405)
巻号頁・発行日
vol.134, pp.52-57, 2016 (Released:2016-07-01)
参考文献数
12

The Japanese boat “Wasen” uses “Ro-Scull” as a human-powered propulsion system. These traditional boats and propulsion system are almost vanished in Japan due to decrease in material Wood, and boat-builder’s aging. “Ro-Scull” is thought to be effective propulsive method compared to other human-powered boat such as canoe and cutter boat. In this study, we evaluate propulsive efficiency of “Ro-Scull” based on active metabolic rate (MR). We measured MR and metabolic equivalents (Mets) during “Ro-Scull”, Walking, and jogging exercise by using indirect calorimeter. MR and Mets during “Ro-Scull” exercise were nearly equal to walking ones. Energy conversion efficiency of “Ro-scull” was 12.3%. These suggest that propulsion efficiency of “Ro-Scull” is efficient, and its exercise can be done for a prolonged time as well as Walking. “Ro-Scull” exercise seems to be useful way to become familiar with maritime activities and seamanship.
著者
清水 健太郎 小倉 裕司 高橋 弘毅 和佐 勝史 平野 賢一
出版者
一般社団法人 日本臨床栄養代謝学会
雑誌
学会誌JSPEN
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.95-102, 2020

<p>リフィーディング症候群は,飢餓状態にある低栄養患者が,栄養を急に摂取することで水,電解質分布の異常,心合併症を引き起こす病態であるが,低血糖との関連は明らかではない.BMIが14未満の低血糖を伴うリフィーディング症候群を発症した12例の本邦報告例を検討したところ,たこつぼ型心筋症や心停止を含む致死的な心合併症を10例に発症していた.機序は不明な点が多いが,低栄養状態でのエネルギー供給による過剰なインスリン分泌が低血糖を生じ,低血糖によるカテコラミンの過剰分泌がたこつぼ型心筋症をひきおこすことが推察された.また,心筋への不十分なエネルギー供給が心合併症の要因と考えられた.この病態は重症化する可能性があるため,極度の低栄養患者には心電図モニターや血糖値および電解質管理等の全身管理を要する.目標投与エネルギー量を適切に設定し,リフィーディング症候群およびそれに伴う合併症を予防しつつ厳密な栄養管理が必要である.</p>
著者
清水 健一
出版者
芝浦工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

(a) 2017年度まではテンソル圏における『随伴代数』および随伴代数を用いて構築されるテンソル圏における積分理論について研究を行っていた. 2018年度は, 柴田大樹氏との共同研究として, これらの理論の準ホップ代数への応用を与えた. 具体的には, (1) 有限次元準ホップ代数 H の表現圏の随伴代数 A が Bulacu, Caenepeel, Panaite の構成した Yetter-Drinfeld 圏におけるある可換代数と同じであることを示した. (2) H がユニモジュラーである場合に A はフロベニウス構造を持つことが知られているが, その構造を H の積分および余積分を用いて明示的に表示した. (3) m を H 上のモジュラー関数とするとき, H の表現圏における m-twisted modified trace を H の余積分などを用いて明示的に表示した. 以上の結果は arXiv:1812.03439 として公開中であり, 学術雑誌に投稿中である.(b) Fuchs, Schaumann, Schweigert は, 有限テンソル圏 C 上の完全 C-加群 M に対して M の双対セール関手を定義した. これは有限テンソル圏の様々な問題に対して有効であることが知られていたが, C が有限次元ホップ代数の表現圏の場合でさえも具体的な表示は良くわかっていなかった. 2018年度は C が有限次元ホップ代数 H の表現圏, M が H 上の余加群代数の表現圏の場合に M の双対セール関手と関連する同型射を H の積分などを用いて具体的に表示した. さらに, この結果を用いて, M のピボタル構造などについても調べた. 以上の結果は, アメリカ数学会などで発表し, arXiv:1904.00376 として公開中であり, 学術雑誌に投稿準備中である.
著者
清水 健太郎 小島 将裕 小倉 裕司 嶋津 岳士
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.797-802, 2016 (Released:2016-06-20)
参考文献数
52

プロバイオティクスは、「適正な量を摂取したときに宿主に有用な作用を示す生菌」、プレバイオティクスは、「大腸の有用菌の増殖を選択的に促進し、宿主の健康を増進する難消化性食品」のことである。急性期病態において腸管は全身性炎症反応の源となる傷害臓器のひとつであり、特に腸内細菌叢の崩壊は感染合併症や予後と関連している。腸内細菌叢を安定化させるプロバイオティクス・プレバイオティクス治療は、侵襲外科手術や外傷後の感染合併症予防に対して有効性が報告されており、急性期疾患での適応が広がっている。また、基礎研究の発展とともに腸内細菌叢の免疫系への深いかかわりが近年注目されている。腸内細菌叢の解析方法も培養だけなく網羅的なメタゲノム解析によって未知の原因菌が明らかになってきた。このような基礎・臨床研究によって急性期におけるプロバイオティクス・プレバイオティクス治療のメカニズムの解明と新たな治療法の開発が望まれる。