著者
吉田 志緒美 露口 一成 鈴木 克洋 富田 元久 岡田 全司 林 清二 有川 健太郎 岩本 朋忠
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.461-467, 2013 (Released:2016-09-16)
参考文献数
20

〔目的〕Mycobacterium fortuitumを被験対象とした場合のZiehl-Neelsen染色法(ZN法)と蛍光染色法(蛍光法)の染色性の比較検討。〔方法〕2007年1月~2012年3月の期間中,NHO近畿中央胸部疾患センターにてMGIT培養で陽性となり,DDHにてM.fortuitumと同定された菌液42株と標準菌株を対象に,蛍光法であるauramine-rhodamine染色法(AR法)並びにacridine-orange染色法(AO法)とZN法の染色所見を比較した。さらに各菌株に対し16S-23S rDNA internal transcribed spacer(ITS)領域における遺伝子と16S rRNA遺伝子の部分配列シークエンスを実施し,相同性検索を行った。〔結果〕ZN法にてすべての株は良好な染色性を確認できた。AR法は16株(38.1%)に良好な染色性を認めていたのに対し,残り26株(61.9%)と標準菌株では蛍光法でほとんど染まっていないか,まだら模様の染色像であり,AO法もやや劣るがAR法と同程度の結果であった。ITSシークエンス解析では35株(83.3%)がM.fortuitum subsp. acetamidolyticumの遺伝子と100%一致したが,7株は同定不能であった。しかし16S rRNA遺伝子シークエンスにてM.fortuitum近縁の迅速発育菌と同定できた。遺伝子型と蛍光法の染色性との間における相関性は乏しかった。〔考察〕DDHでM.fortuitumと同定された菌体に対して蛍光法を用いた場合,検出が困難となるケースが半数以上存在する結果となり,同菌の分離頻度が過小評価される可能性が考えられた。特に,培養菌液からの菌体確認には蛍光法よりもZN法を用いることと,培養性状による同定(発育速度,温度,コロニー形状)の徹底を提唱したい。
著者
大森 正子 和田 雅子 内村 和広 西井 研治 白井 義修 青木 正和
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.329-339, 2002-04-15
参考文献数
39
被引用文献数
4

25歳以上の成人の60.3%, 人数にして5, 400万人が毎年定期の集団検診 (結核検診) を受診していると推計された。しかしながら定期集団検診による結核患者発見率は著しく低下し, 1998年には学校健診で受診者1, 000人対0.03, 職場健診で0.06, 住民健診で0.16までになった。ただし新登録中定期健診発見割合は過去10年ほぼ一定で, 1998年は12.8%であった。年齢別では20~30歳代で定期健診発見割合が大きく25.7%であり, 多くは職場健診からの発見であった。なお検診発見患者で排菌が確認されたのは35.1%であったが, この割合は高齢者でより大きかった。<BR>結核予防会で実施した40歳以上の住民健診成績から1名の結核患者の発見に要するコストは, 全体で440万円, 男で230万円, 女で840万円, 40歳代で730万円, 80歳以上では180万円と試算された。また罹患率人口10万対30の地域では400万円, 罹患率20では670万円と推計された。結核患者を2ヵ月入院, 4ヵ月外来で治療した場合, 治療費は約90万円と見積もられているので, 60歳未満の一般住民や罹患率50未満の地域では, 経費・効果の点で現行の結核検診は必ずしも効果的とは言いがたくなっている。しかしながら定期の結核検診のあり方については発見率やコストの他に発見患者の特性, 公共保健サービス, 国民の意思等も含めて検討する必要があるだろう。
著者
鹿住 祐子 前田 伸司 菅原 勇
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.81, no.9, pp.551-558, 2006-09-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
27
被引用文献数
3

〔目的〕抗酸菌の同定にrpoB遺伝子シークエンスを利用できるか評価を行うために16SrRNAシークエンス(RIDOM)と比較し,さらにこの2つの方法を使い分けてDDH法にて菌種不明であった38臨床分離株を同定した。〔対象および方法〕ATCC標準菌株を中心とした抗酸菌(106株)とNocardia属,Rhodococcus属,Gordona属合わせて計112株を用いて,rPoB遺伝子シークエンスと16SrRNAシークエンスを行った。そしてDDH法不明菌38臨床分離株のシークエンス結果を2つの方法のデータベースで相同性を調べ,菌種を決定した。〔結果・考察〕研究対象となった112株のうち16SrRNAシークエンス(RIDOM)では69,6%,rpoB遺伝子シークエンスでは89。3%が同定可能であった。16SrRNAシークエンス(RIDOM)では同定できないM.kansasiiなど11菌種をrpoB遺伝子データベースでは分けることが可能であったが,2つのシークエンスを用いてもM.tubereulosisなど12菌種を分けることができなかった。DDH法不明菌種の38株はM.heckeshomense,M.branderiなど21菌種として同定され,両方の方法を組み合わせることによって97.4%が同定可能であった。
著者
鹿住 祐子 大友 幸二 高橋 光良 御手洗 聡 菅原 勇 和泉 純子 安藤 昭子 長谷川 秀浩
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.7, pp.437-441, 2004-07-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
12
被引用文献数
2

[目的] 同定困難であったMycobacterium skinskuenseの細菌学的解析を行った。 [対象と方法] 37歳女性, 右下肢皮膚潰瘍より分離された抗酸菌 (被検株753) とM.marinum (ATCC927), M.ulcmns (ATCC19423), M.skinskuense (ATCC33728) をDDH, 16SrRNA法, rpoB法, 薬剤感受性試験, 生化学的・生物学的検査を用いて比較した。 [結果] DDH法によって上記の4株はM.marinumとして判定されたが, 遺伝子配列の検索方法 (16SrRNA法・rpoB法) ではこの被検株 (753) が3菌種のうち, いずれであるかを決定できなかった。しかし, 16S rRNA法の中のPortaelsらの方法によってこの3菌種を分類することが可能であった。この方法によって被検株 (753) はM.skinskuenseと同定された。薬剤感受性試験と生化学的・生物学的性状検査においても被検株はM.skinskuenseと同定された。 [考察] DDHにてM.msrinumと同定された抗酸菌で, 発育条件が28℃ 培養で2週間かかり, 暗所培養にて黄色のコロニーを形成するScotochromogenであった場合, 塩基配列レベルの検査と従来法の実施が必要である。
著者
木下 節子 大森 正子 塚本 和秀 大塚 吾郎 益子 まり 藤生 道子 高橋 司 星野 斉之
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.749-757, 2007-10-15
参考文献数
23
被引用文献数
7

〔目的〕都市における結核発病の実態を報告し,今日の都市結核対策を検討する。〔方法〕症例研究を中心に行った。各症例の社会背景と結核菌DNA指紋分析を加えた菌情報により感染経路を調査した。〔結果〕2005年2月よりの1年5カ月の間に,川崎市川崎駅周辺の約500m四方の地域で9例の結核発病を確認した。9症例は16~55歳の比較的若い年齢層で,3例はホームレスであった。接触者健診の過程で,すべての症例が川崎駅周辺を生活活動圏としており,ネットカフェ等での関連が推測された。9例中7例はSM耐性菌であり,そのうち5例はDNA指紋分析により同一パターンを呈した。〔考察〕本事例はネットカフェ等の不特定多数利用施設を中心とした感染と考えられた。都市にはこのような施設が多く,若年者層とともにホームレス等の社会的弱者も利用する。結核未感染の若年者層と結核ハイリスク層とが閉鎖的空間を長時間共有する環境は,いったん結核菌の喀出があれば,容易に感染が起こりうることを示唆した。結核の都市偏在にはこのような社会環境も影響しており,それらを加味した総合的対策が求められる。
著者
中田 信昭 祷 史明 中村 夫左央 針原 重義 平山 幸雄 鈴木 陽 下内 昭 高鳥毛 敏雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.82, no.5, pp.455-458, 2007-05-15
被引用文献数
3

〔目的〕大阪社会医療センターは結核高罹患地域であるあいりん地域に位置し,日雇い労働者や野宿生活者を主な対象とする無料低額診療施設である。地域にある当院の外来受診者について結核検診を行い,結核有病状況を明らかにし,地域における役割を検討することを目的とした。〔対象と方法〕平成17年3月31日から18年6月15日に整形外科単科外来初診患者1,673人中検診同意者(検診受検群)538人(男性523人,女性15人)について胸部エックス線検査を行った。また同時期の内科受診者2,000人(内科受診群)を対照として分析した。〔結果〕検診受検群については要医療率2.4%(13人)であった。一方,内科受診群2,000人については要医療率4.3%(85人)であった。〔結論〕検診受検群の結核患者発見率2.4%は,平成16年度のあいりん地域での結核検診における患者発見率1.1~1 .8%とほぼ同水準,対照群のそれは約2倍高率であった。これらの結果から,結核蔓延地域にある当院には,受診者に対し結核検診をルーチン業務とするとともに,発見患者に対する精密検査および外来診療を行えるよう基盤整備を行い,行政,専門機関の支援を得て,この地域の結核対策に取り組んでいく必要があると考えられた。
著者
山村 淳平
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.19-27, 2001-01-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
29

During the past nine years from 1991 to 1999, Minatomachi Medical Center and other organizations have provided free medical check-ups for foreigners in Kanagawa, Tokyo and Chiba. Eighty-five percent of the total of the 2370 examined were over-staying foreigners who were not covered by national health insurance system. The ratio of male to female was two to one and the most of them were in the twenties and thirties. As for their ethnic origins from forty-three countries, the Filipinos were the largest numbers, followed. by Koreans, Iranians, Bangladeshi, and Chinese/Taiwanese.As a result of chest radiographs, 82 % were normal, 8.3 % mostly normal, 9.6 % tuber culosis shadow (TBS) including active, non active and previous, 0.09 % suspected pneumonia, 0.05 % suspected cardiac disease, and 0.05 % suspected sarcoidosis.The TBS and active tuberculosis (ATB) rates of all examined were 9.6 % and 0.69 % respectively. There was no significant difference in each TBS and ATB rate between the two sexes. Seen from the age group, it was found that the more aged they were, the higher the TBS and the ATB rates were. The TBS and the ATB rates were 24.6 % and 2.73% in the Koreans, 10.7 % and 0 % in the Chinese/Taiwanese, 10.2 % and 0.65 % in the Filipinos, 11.3 % and 1.44 % in the South-East Asians, 6.3 % and 0.25 % in the South Asians, 2.3 % and 0 % in the Iranians, 3.7 % and 0 % in the sub-Saharan Africans, 8.5 % and 0.61 % in the Latin Americans, and 0 % and 0 % in the Europeans/North Americans.Based on a presumed ATB rate of 0.75 %, approximately two thousand cases with ATB could be calculated to exist among the estimated 270000 over-staying foreigners. It is, therefore, important to give them more frequent medical check-ups for early detection of latent cases with ATB.
著者
中西 徳彦 森高 智典 上田 暢男
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.79, no.10, pp.569-571, 2004-10-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
5

症例は28歳女性。職業は看護師。妊娠35週5日の時点で喀痰よりガフキー2号が検出され, 肺結核と診断された。妊娠末期の結核として, まずINH, RFP, PZAを投与し, 治療開始後21日目に帝王切開にて出産した。手術は, 陰圧換気の手術室で行われ, 術後は産婦は結核病棟に戻り, 新生児は羊水の結核菌PCR陰性を確認後, 新生児室に入室した。産婦には出産後, EBを追加した。結核病棟を有する総合病院において, 結核と妊娠の合併例に対する対応は重要な問題である。排菌陽性の結核と妊娠の管理について報告する。
著者
佐藤 博 大泉 耕太郎 本宮 雅吉 今野 淳
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.501-505, 1988

The process to the final diagnosis of tuberculosis was investigated in399cases which had been newly diagnosed as pulmonary tuberculosis by bacteriological and/or histological findings.Of these399cases71.9%were over40years old and31.6%were detected by the mass survey.Cavities were found in47.6%on chestX-ray film. Diabetes mellitus was complicated in14.8%of these cases and these patients were older and the cavities on chest X-ray film were more frequent as compared with non-diabetic tuberculous patients. Antibiotics had been administered in14.8%before the diagnosis of tuberculosis.Broncho scopy including transbronchial lung biopsy (TBLB) was useful for the diagnosis of tuberculosis in38cases.Tuberculosis was confirmed histologically in resected lung tissues in40cases.The majority of these histologically-proven cases had been detected by the mass survey and their pathological findings on chest X-ray films were found in upper and middle field of the lungs.
著者
佐々木 結花 倉島 篤行 森本 耕三 奥村 昌夫 渡辺 雅人 吉山 崇 尾形 英雄 後藤 元 工藤 翔二 鈴木 裕章
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.89, no.11, pp.797-802, 2014 (Released:2016-09-16)
参考文献数
24

〔目的〕イソニアジド(INH),リファンピシン(RFP),エタンブトール(EB),クラリスロマイシン(CAM)について,薬剤アレルギーによって投与が中断された後,急速減感作療法(rapid drug desensitization: RDD)を用い再投与が可能となるか検討した。〔対象と方法〕対象は肺結核ないしは肺Mycobacterium avium complex症治療において,何らかのアレルギー反応を生じ治療中断となった13症例で,肺結核6例,肺M.avium症7例であった。RDDのプロトコールは,Hollandら,Cernandasらに準じ作成した。〔結果〕RDDの結果,INH2例,CAM2例は投与可能となった。RFP 12例では8例(66.7%)で,EBでは6例中4例(66.7%)で投与可能となった。〔考察〕ピラジナミド,EBは薬剤耐性結核症例で,EB,CAMは非結核性抗酸菌治療で各々主要薬剤であるが,従来のガイドラインには含まれておらず,結核および非結核性抗酸菌治療に用いる薬剤すべてに施行しうる減感作療法の確立および減感作療法の選択肢を拡大するために,RDDについて検討することは有用であると考えられた。
著者
西浦 博
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.78, no.6, pp.419-426, 2003-06-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
26
被引用文献数
1

適切な結核対策を進めるための一助とする目的で, われわれは社会経済因子に対する結核罹患率およびその変化率の関係について検討を行った. 東京都特別区において, 1992年統計より得た8つの社会経済因子と, 1988年から1997年の結核新登録患者数から得た標準化結核罹患率より計算した平均年齢調整結核罹患率およびその変化率との関係について後向き生態学的研究を実施した. 重回帰分析の結果, 生活扶助世帯割合 (p<0.001), 10万人当たり公衆浴場数 (p<0.001), 人口密度 (p=0.012), および最低居住水準未満の世帯割合 (P=0.024) について平均年齢調整結核罹患率と正の相関関係を認めた. また, 持ち家世帯割合 (p=0.001), 1人当たり畳数 (p=0.021), および生活扶助世帯割合 (P=0.038) と平均年齢調整結核罹患率変化率との問に負の相関関係を認めた. これらの結果より, 結核罹患に関して明らかな社会経済的要因が存在することが示された. また, 本研究手法は結核に関係していると考えられる個々の社会経済的要因ごとに罹患率の変化を検討する方法として有用であると考えられた.
著者
前田 道明 水口 康雄 高橋 宏 室橋 豊穂 大田原 幸人 谷山 勢之輔 柚木 角正 西園 実 宮崎 武人 土屋 高夫 MATSUMOTO Mitsuyuki 高井 鐐二 塩沢 活
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.38, no.12, pp.524-529, 1963

Bacteriological examination was made on all cases, to whom radiography was indicated according to the results of miniature X-ray findings and tuberculin reaction in the tuberculosis mass surveys carried out in Okierabu-island (1961) and Setouchi-town (1962).<BR>The majority of the specimens examined was laryngeal swab and a few cases was examined by sputum. These specimens were kept in an icebox and each specimen was cultured on three slants of 1% Ogawa's egg media after pretreatment with 4% NaOH on the same day. Then, the slants were kept in an incubator at 37°C and observed for 8weeks.<BR>All of the acid-fast bacilli were investigated on their biological characteristics. Drug resistance was tested by the indirect test method on the strains which were identified as human type tubercle bacilli.
著者
青木 正和 片山 透 山岸 文雄 横田 総一郎 亀田 和彦 斎藤 肇 原 耕平 江崎 孝行 河合 忠 四元 秀毅 関口 進
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.593-605, 1994-10-15 (Released:2011-05-24)
参考文献数
8
被引用文献数
8

Recently, a new kit to detect and indentify mycobacteria in clinical specimens was developed by Japan Roche Co. Limited. The new method is based on amplification of DNA of mycobacteria in clinical specimens by PCR and hybridization of amplified DNA b. microwell plate hybridization method, which is the “AmplicorTM Mycobacteria, Roche. (AMP-M) ”. Cooperative study was organized with 15 tuberculosis hospitals and institu tions throughout Japan, and 349 clinical specimens from newly admitted tuberculosis patients and/or suspects were collected during July and August, 1993. All the specimens were examined by smear microscopy (Ziehl-Neelsen's staining), culture on Ogawa egg media, culture on variant 7H9 liquid media and by AMP-M. Excluding 25 specimens which had failed to identify the species of mycobacteria because of contamination, disability to multiply on the transplanted solid media and so on, the results of the examinations in 324 specimens consisting of 167 specimens from previously untreated cases and those of 157 specimens from previously treated cases were analysed. Main results obtained were as follows;1. Of 70 smear positive specimens from previously untreated cases, culture positive on Ogawa media and 7H9 media, and by AMP-M positive were 59 (84.3%), 61 (87.1%) and 66 (94.3%), respectively. Of 97 smear negative specimens, culture positive were 20 (20.6%), 22 (22.7%) and 27 (27.8%), respectively. The AMP-M showed the highest positive rate in both groups.2. The sensitivity and the specificity of AMP-M in previously untreated cases were calculated by assuming that positive on Ogawa and/or variant 7H9 media is “positive”. The sensitivity was 95.8% (68/71) and the specificity was 94.8% (91/96) for M. tuberculosis in previously untreated cases. The sensitivity and the specificity for M. avium and M. intracellulare were all 100%, although the numbers observed were small.3. So-called false positive of the AMP-M were observed in 5 cases out of 96 culture negatives on both Ogawa and variant 7H9 media. However, all 5 cases were positive by repeated AMP-M, 3 become culture positive later, and another 2 showed clinical findings consistent with tuberculosis. Hence, the authors considered that the false positive rate of the AMP-M method is to be very low in previously untreated cases.4. Of 86 smear positive cases with history of previous chemotherapy, the positive culture on Ogawa media, variant 7H9 media and that by AMP-M method were 64 (74.4%), 77 (89.5%) and 85 (98.8%), respectively. In the smear negative cases, culture positive was 10 out of 71 (14.1%), 13 (18.3%) and 24 (33.8%), respectively.5. The sensitivity and the specificity of the AMP-M were 98.7% (77/78) and 81.0% (64/79) for M. tuberculosis in previously treated cases calculated by the same method as in previously untreated cases. They were 77.8% (7/9) and 100% (148/148) for M. avium, and 100% (4/4) and 100% (153/153) for M. intracellulare.Based on these results, the authors concluded that the AMP-M is a very efficient and rapid method to detect and identify M. tuberculosis, M. avium and/or M. intracellulare in clinical specimens. This method will be useful to diagnose tuberculosis and diseases caused by mycobacteria other than M. tuberculosis rapidly.
著者
結核療法研究協議会
出版者
一般社団法人 日本結核病学会
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.46, no.8, pp.325-333, 1971 (Released:2011-05-24)
参考文献数
6

Tuberculosis Research Committee (Ryoken) investigated comparatively the therapeutic effects of three regimens, i. e., standard triple treatment with SM⋅INH⋅PAS (EB0 group), standard triple treatment plus EB twice weekly (EB2 group) and standard triple treatment plus EB daily (EB7 group), in order to intensify the initial treatment for pulmonary tuberculosis.The cases with positive tubercle bacilli and cavities were subjected to this study and were allocated at random for three regimens.The total number of the c a ses was 272 at the beginning of the treatment, but 48 cases were excluded from the analysis because of the primary drug resistance, etc. Finally, 74cases of EB0 group, 74 cases of EB2 group and 76 cases of EB7 group were analyzed.SM was injected 1 g a day twice weekly, INH was given O.4 g daily in two divided doses, PAS was administered 10 g daily in three divided doses, and EB was given 750 mg daily or twice weekly at the same day when SM was injected.The background factors of the cases in ea c h group were almost similar, but the cases with abundant bacilli on smear and (_??_) by culture were observed somewhat less frequently in EB2 group than in the other two groups.As to the rates of the radiological improvement and the sputum conversion rate, there was no significant difference among three groups. However, the moderate improvement of the fibrocaseous lesions and cavities were recognized sooner in EB2 and EB7 groups than in EB0 group.The number of cases, in which the regimens were changed because of side effects or ineffectiveness, were 8 cases in EB0, group, 9 cases in EB2 group and 5 cases in EB7 group. The number of cases with positive sputum by smear or culture after 12 month's treatments were 3 in EB0 group, none in EB2 group and 1 in EB7 group. Therefore, the rate of these unsuccesful cases in EB0, group, EB2 group and EB7 group was 16.7%, 13.6% and 8.3%, respectively.In order to prove the difference in the effectiveness among three regimens, the follow up-studies for longer period might be required.
著者
山本 正彦 荒井 秀夫 河原 伸 岸 不盡弥 倉島 篤行 近藤 有好 坂谷 光則 佐藤 滋樹 原 耕平 水谷 清二 一山 智 喜多 舒彦 久世 文幸 斎藤 肇 下出 久雄
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.73, no.10, pp.599-605, 1998-10-15
被引用文献数
65

日本結核病学会治療委員会は1987年に「非定型抗酸菌症の治療に関する見解」を発表したが, 本委員会は, 最近の10年間の非定型抗酸菌症に関する研究の進歩を踏まえて, 「非定型抗酸菌症の治療に関する見解-1998年」を公表することとした.
著者
小橋 吉博 沖本 二郎 松島 敏春 重藤 えり子 倉岡 敏彦 竹山 博泰 江田 良輔 矢野 修一 小林 賀奈子 大西 隆行 森 健一 上田 暢男 森高 智典 西村 一孝 阿部 聖裕
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR TUBERCULOSIS
雑誌
結核 (ISSN:00229776)
巻号頁・発行日
vol.77, no.6, pp.435-441, 2002-06-15
被引用文献数
8

MAC症に対して, ATSおよび日本結核病学会が提言した治療ガイドラインが臨床上適切かどうか, 過去の治療法との比較も併せ検討した。対象は, 1995年4月から2001年3月までに6カ月以上治療がなされ, 治療開始から12カ月以上経過観察を施行できた肺MAC症159例とした。治療状況は, 抗結核薬。CAM102例, 抗結核薬のみ33例, その他24例であった。治療効果は, 抗結核薬.CAMが菌陰性化率45.1%, 再排菌率39.1%, 臨床的改善率29.4%であった。一方, 抗結核薬のみは菌陰性化率30.3%, 再排菌率70.0%, 臨床的改善率12.1%と不良で, CAMが含まれた治療法で優れた成績が得られていた。次に, 抗結核薬.CAMの治療が行われた102例ではガイドラインに一致した RFP, EB, SM, CAMの治療が41例に施行され, 菌陰性化率58.5%, 再排菌率37.5%, 臨床的改善率36.6%であった。一方, 他の抗結核薬.CAMは61例に施行され, 菌陰性化率36.1%, 再排菌率40.9%, 臨床的改善率24.6%と, ガイドラインに沿った治療法が最も優れた成績であった。<BR>しかし, いまだ肺結核に対する治療効果と比較すると不十分であり, 今後新しい非定型抗酸菌に有効な治療薬の開発が望まれる。