著者
一宮 勉
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.39, no.9, pp.404-419, 1990-09-15 (Released:2010-07-21)
参考文献数
8
被引用文献数
2 1
著者
菅井 勲 高久 清作 長谷川 武夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.27, no.6, pp.295-299, 1978
被引用文献数
1

原子核物理実験に使用するセルフサポーティングのターゲット膜を作成するときに用いる数種類の剥離剤の有効の度合を調べた.塩化ナトリウム, 塩化バリウム, 塩化カリウム, ヨウ化セシウム, ティポール・ブドウ糖, ヨウ素酸カリウム, 雲母, ニトロセルローズおよびフォルンパールの剥離剤をスライドガラスに真空蒸着あるいはディピング法を用いて付着させた.<BR>ターゲット膜作成過程で剥離剤からそのターゲット中に混入すると思われる不純物の元素とその量を原子核反応の弾性散乱法を用いて測定した.またおのおのの剥離剤の有効の度合についてはターゲット膜の剥離の容易さによって決めた.
著者
神田 直之 王 瑩 片岡 憲昭 山田 龍太 今泉 洋 狩野 直樹
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.717-728, 2015
被引用文献数
5

2011年3月12~15日に,福島第一原子力発電所事故が起こった。この事故は,近県に放射性物質汚染を引き起こした。本研究では,汚染された地域に及ぼすこの事故の影響を明らかにするため,新潟市と福島県における幾つかの湖沼の湖沼水と湖沼泥を採取した。湖沼水においては,固体高分子膜電解(SPE)装置によりトリチウム(T)比放射能の濃縮を行い,T-比放射能を液シンで測定した。このように測定したT-比放射能に基づき,環境に及ぼすこの事故の影響を調査した。それと同時に,湖沼泥中の放射性セシウムの比放射能も測定した。その結果,福島第一原子力発電所事故が近くの湖沼(例えば,福島県や新潟市)に及ぼす影響が定量的に明らかになった。以上のことから,新潟市に及ぼすこの事故の影響はかなり小さく,事故は徐々に収束していることがわかった。
著者
日本アイソトープ協会理工学部会次世代スペクトル解析専門委員会
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.267-285, 2016-06-15 (Released:2016-06-15)
参考文献数
33
被引用文献数
1 1

「ゲルマニウム半導体検出器等で使用されているスペクトル解析の現状をレビューし,問題点や改善するべき点を抽出するとともに,国内国外での新しい研究成果等をレビューする」ことを目的とする次世代スペクトル解析専門委員会での議論から,サム効果をどのように補正するか,ピーク探査のあるべき姿,測定スペクトルのみから放射能の絶対測定が可能になるかもしれない可能性についての実験と議論,参照スペクトルの活用等を紹介する。
著者
楢崎 幸範 竹村 俊彦 天野 光 石川 徹夫 藤高 和信
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.62, no.11, pp.847-855, 2013 (Released:2013-11-29)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

福岡県における東京電力福島第一原子力発電所事故による2011年3~5月の大気中人工放射性核種濃度及び沈着量と経時変化並びに放射線による初期段階での被ばく線量を評価した。空間放射線量率は37±2.1nGy/hであり,事故の影響による線量の上昇は認められなかった。大気浮遊じんから131I,134Cs,136Cs,137Cs及び132Teが微量検出された。131Iは事故から2週間後に,134Cs及び137Csは3週間後から検出した。大気中の総131I量は14mBq/m3,134Csは11mBq/m3及び137Csは9.5mBq/m3であった。4月6~7日には大気移流による比較的高濃度のプルームを観測した。大気拡散シミュレーションにより,このプルームが福島第一原子力発電所起因であることを解析した。日間降下物からは人工放射性核種は検出されず,月間降下物からは131I,134Cs及び137Csを検出した。3か月間の総降下量は131Iが4.2Bq/m2,134Csが0.85Bq/m2及び137Csが0.84Bq/m2であった。上水試料からはこの間に検出された人工放射性核種は見られなかった。検出された人工放射性核種からの内部被ばく及び外部被ばくによる実効線量は0.23μSv/yであり,人体に健康影響を与える線量ではなかった。
著者
室屋 裕佐
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.425-435, 2017-10-15 (Released:2017-10-15)
参考文献数
23
被引用文献数
4

水や水溶液の放射線化学研究は,放射線の発見から間もない20世紀初頭から長年にわたって続けられてきた。工学,医学等に幅広く共通する課題を含み,初期過程から最終生成物に至るあらゆる過程が調べられてきたが,溶媒和等の高速過程や374°C以上の高温での超臨界水中での反応機構など,なお未知の素過程を内包し,1世紀以上経った今でも研究対象であり続けている。本節では,水や水溶液の放射線化学の歴史や基礎過程,アプローチを含めた研究全体について解説する。
著者
保科 静香 黒澤 景一 高橋 翔太 加藤 浩太 吉村 公佑 奥村 幸弘 松本 尚貴 横山 雅彦 中田 正文 日比谷 孟俊 神原 陽一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.537-549, 2018-11-15 (Released:2018-11-15)
参考文献数
13
被引用文献数
1

福島第一原子力発電所事故由来の134Csの分布を,南東北,北関東,南関東,及び甲信越などの山岳地域において,シンチレーションスペクトロメータを用いて測定した。吾妻山及び八溝山では,高度が低くなると放射線強度が増し,一方,御前山,及び大山では高度が高くなると放射線強度が増すことがわかった。このことは,特定の高度にその中心を有する放射性物質雲(プルーム)が存在し移動したことを示唆している。
著者
駒村 美佐子 津村 昭人 小平 潔
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.80-93, 2001-03-15 (Released:2011-03-10)
参考文献数
21
被引用文献数
6 9

わが国の白米の放射能汚染に対する全地球的な放射性降下物の影響を検討すべく, 全国17地点の国公立水田試験圃場からの試料採取を1959年以来37年間継続し, 放射能測定を行った。白米中の90Srと137Cs含量をmBq/kgの単位で表すと, 1963年の全国平均は90Srで269, 137Csで4179の値となり, 経年曲線上最初にして最高のピークを示した。その後, 白米中の両核種の含量は急減を続け, たとえば1975年には29と192, また1995年には5と46の値をそれぞれ示した。90Srや137Csなどの核種が米粒中に吸収される際に, 外気に触れる茎葉や籾殻からの直接吸収と, 水田表層土中の残留核種の経根的な間接吸収との2種類の経路が考えられる。37年間の観測値を解析した結果, 90Srと137Csの両核種とも, 大気中降下量の最盛期であった1963年前後では白米汚染全量の70-95%を直接汚染が占めること, しかし降下量が検出し難いほど減少した1985年以降では白米汚染のほとんどが間接汚染に起因すること, などが明らかになった。そのほか日本海側と太平洋側での白米の汚染レベルの地域差, また白米と玄米における90Srと137Csの分布比率の差異, さらに両核種の植物体内移動の難易の裏付け, などを議論した。
著者
伊藤 賢志 中西 寛 氏平 祐輔
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.206-211, 1998-03-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
16

ortho-positronium (o-Ps) の量子半径, Rps, を仮定して得られたo-Psの消滅寿命と~1nm以上の空孔の大きさとの新しい相関式を提案した。ナノメートルレベルの空間におけるo-Psの寿命, τhole (=1/λhole) は, 真空で消滅する固有寿命 (140ns) とバルク界面から浸出した厚さ△Rの電子層中の反平行スピンの電子とのピックオフ反応による寿命との分配によって, 以下のように決まると仮定した。λholo= {λR2γ=2 [1-R/R+ΔR+1/2πsin (2πR/R+ΔR) ] (f (R0)λ3γf (R) +λRα2γ (1-f (R) ) (f (R>0)ここで, λ3γ=1/140, Ra=RPs-ΔR, f (R) = (R-Ra/R+ΔR) bである。
著者
竹石 敏治 大土井 智 西川 正史
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.537-544, 1996-09-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
7
被引用文献数
1

現在のところ, トリチウム取扱施設において室内空気中に放出されたトリチウムを回収するたあに, 加熱された貴金属触媒塔およびその後段の冷却された吸着塔で構成されるトリチウム回収装置が用いられている。しかしこの方式では, トリチウムと同時に空気中に含まれる大量の水蒸気も同時に回収されるため, 吸着塔が大きくなり, 触媒塔の加熱装置や吸着塔の冷却装置の故障の際には, トリチウムの回収性能が低下するなどの欠点がある。本報告では, 冷却装置を設けない吸着塔と, その後段に加熱装置を設けない触媒塔により構成されたトリチウム回収システムを提案する。この方式では, 前置吸着塔において処理ガス中の水蒸気が, 触媒の酸化性能を阻害しない程度まで捕捉されることにより, 触媒の活性が維持される。またトリチウムが貴金属触媒の親水性担体に酸化された後に, 吸着や同位体交換反応によって, 入口ガスよりも高いT/H比で捕捉できる。
著者
大下 誠一 川越 義則 安永 円理子 高田 大輔 中西 友子 田野井 慶太朗 牧野 義雄 佐々木 治人
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.329-333, 2011-08-15
参考文献数
11
被引用文献数
4 6

福島原子力発電所から約230km離れた,東京都西東京市における研究圃場において原発事故後に栽培された野菜及び土壌の,<SUP>134</SUP>Csと<SUP>137</SUP>Csの放射能を測定した。試料は植え付け47日後のジャガイモの葉,並びに,苗の定植40日後のキャベツの外葉を用いた。両者共,<SUP>134</SUP>Csと<SUP>137</SUP>Csの総量は9Bq/kg以下となり,摂取制限に関する指標値500Bq/kgより低い値であった。土壌は約130Bq/kgであり,天然の<SUP>40</SUP>Kの約290Bq/kgと比較しても低い値であった。キャベツの外葉を水で洗浄する前後の放射能像をイメージングプレートにより得たが変化は見られなかった。
著者
持木 幸一 小林 久夫
出版者
日本アイソトープ協会
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.153-165, 2008-02-15
参考文献数
35
被引用文献数
2
著者
柴田 徳思
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.208-215, 1999-03-15 (Released:2011-03-10)
参考文献数
4
被引用文献数
8 7
著者
陣内 研一
出版者
Japan Radioisotope Association
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.135-140, 1982
被引用文献数
1

C<SUB>3</SUB>Hf/He系マウス頭部へのX線516mC/kg (2000R) , 1回照射による口腔組織上皮基底層の細胞動態を<SUP>3</SUP>H-チミジン標識を行うことにより, 細胞周期回転に関しては標識分裂細胞頻度 (PLM) 解析法によって, また, 基底細胞の分化相への移行は標識細胞の移行率の経時的変化によって調べた。舌上皮基底細胞では, 照射によりG<SUB>2</SUB>期および分化層への移行開始時間の遅れが起こる。しかし, 口唇粘膜では照射による障害が大きく基底細胞の増殖は著しく抑制された。
著者
山本 哲夫 三枝 健二 有水 昇 国安 芳夫 伊東 久夫
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.331-342, 2001-08-15 (Released:2011-03-14)
参考文献数
13

千葉大学病院のホールボディカウンタを用いて, 405名の健常人と186名の患者を対象に, 全身カリウム (K) 量の測定を行った。全身K量は以下に示すレファレンス値として算出した。すなわち20歳代の健康人の全身K量を標準値とし, 体表面積で除し, かつ年齢と男女差を加味して補正し%表示した。405名の健常人のレファレンス値は100.65±9.22%であった。各疾患ごとのレファレンス値は以下のようになった。肝硬変: 94.24±11.22%, 慢性肝炎: 95.74±11.24%, 甲状腺機能亢進症: 99.37±10.8%, バーター症候群: 82.0±9.01%, 周期性四肢麻痺: 93.99±9.86%, 筋無力症: 97.34±6.42%, 低カリウム血症: 90.64±11.76%であった。また子宮癌, 乳癌, 貧血, 高血圧症ではそれぞれ, 97.78±11.5%, 99.22±8.88%, 96.64±12.73%, 98.5±9.63%となった。14例が75%以下の異常低値を示した。その内訳は肝硬変1例, 高血圧症3例, 糖尿病1例, 低カリウム血症3例, 周期性四肢麻痺1例, バーター症候群2例, 薬物中毒2例, 乳癌1例であった。バーター症候群の1例, 周期性四肢麻痺の3例, 高血圧症2例, 肝硬変1例, 筋無力症1例では, 経時的に全身K量が測定され, 病状の経過との間に関連が見られた。