- 著者
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小机 敏昭
- 出版者
- 一般社団法人 日本人工臓器学会
- 雑誌
- 人工臓器 (ISSN:03000818)
- 巻号頁・発行日
- vol.13, no.6, pp.1468-1479, 1984
人工弁置換術後遠隔期の41症例に対し, 右室ペーシング負荷法による弁機能の比較検討を行なった. 対象は, AVR群16例(BS12, SJM4), MVR群14例(BS6, SJM2, IS5, H1), AVR兼OMC群7例(BS6, SJM1), AVR兼MVR群4例(BS兼BS2, SJM兼SJM2)である. ペーシング負荷時のCIの変動をSowtonの分類に従って検討すると, AVR群は安静時を最大とし以後漸減するsloped type, MVR群とAVR兼MVR群は80/min時を最大とするpeaked type, AVR兼OMC群は安静時から100/min時まではflat typeで, 120/min時に急に減少する型を呈した. 弁サイズ別の検討では, AVRに用いた機械弁は25~29mm, 23mm, 21mmの順に弁機能が優れ, MVRに用いた人工弁は機械弁より生体弁, 生体弁の中では29~33mmのIS弁の弁機能が優れていた. ペーシング負荷法による血行動態の変動を検討することは, 人工弁機能を評価する上で有用な方法であった.