著者
平本 俊郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.5, pp.571-575, 1998-05-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
10
被引用文献数
1

大学院レベルを対象として,学部の教科書には通常書かれていない微細MOSFEITの勤作原理についてわかりやすく解説した.特に,実際のVLSげバィスで問題となっている短チャネル効果によるしきい値電圧の低下と,キャリアの速度飽和によるドレイン電流の減少について多少詳細に解説した.
著者
鈴木 直司
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.7, pp.868-871, 2001-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
3

ピコアンメーターに使用している微少電流測定の方式には,シャント方式,フィードバック方式,積分方式などがあり,それぞれ長所と短所をもっている.また,実際のピコアンメーターでは,誤差要因を低減するためにいろんな技術が使用されている.微少電流を測定する場舎,これらを理解したうえで,測定器の設定,試料との接続などに注意しなくてはならず,ここに簡単に紹介する.
著者
中村 修二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.676-686, 1996-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
78
被引用文献数
2

発光ダイオード (LED) の高光度フルカラー,あるいはディジタルビデオディスク (DVD) などの光ディスクの高密度記録のため短波長青色発光素子の実現はワイドバンドギャップ半導体材料を研究している研究者にとっては長年の夢であった.最近 GaN 系半導体材料を使用して従来の LED より約100倍明るい高光度青,緑色 InGaN 単一量子井戸構造 LED が相継いで開発製品化された.また半導体レーザーの中では最短波長である390~430nmの青紫色半導体レーザーも InGaN 多重量子井戸構造を発光層とすることにより 1995 年末に世界で初めて開発された.ここではこれらGaN系発光素子の現状と将来の展望について述べる.
著者
吉見 信
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.165-168, 2001

SOI技術の各種LSIにおける最近の研究開発動向が述べられる.高速MPUにおいては,基板浮遊効果を回避しながら,バルクシリコン素子に比べて20~30% の高速化が達成されている. DRAM 応用においてはソフトエラ一フリー,ビット線容量低下などの利点とともに,ダイナミックリテンション特性の劣化問題などが指摘されている.通信用LSIでは,支持基板に高抵抗シリコンを用いることによりインダクターの性能改善とクロストーク改善が可能となる.そのほか,動作電圧0.5V 以下で動作するLSIへの応用,SOIを用いたポストスケーリング素子構造,および今後のSoCに向けた開発の方向性などが述べられる.
著者
金原 粲
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.8, pp.956-964, 2000-08-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
110

薄膜・表面に対する関心は17世紀からもたれていたが, 19世紀になって組織的な研究が始まった. 20世紀に至って薄膜・表面の構造,組成,物性の観察法,測定法の飛躍的な進歩があり,豊富なデータが蓄積され,この分野は科学としての形が整えられた.同時に, 1950年以降の光学,エレクトロニクスをはじめとする現代技術における需要の拡大があり,今や薄膜・表面科学は先端材料を提供する科学技術の世界で中心的な役割を果たしつつある.ここでは薄膜・表面科学の成立の過程を過去の文献をもとに概観し,今後の発展を展望する.
著者
笠井 一郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.377-387, 1972-04-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
66
著者
石原 宏
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.66, no.12, pp.1335-1339, 1997-12-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
11

本報告では,まず強誘電体をゲート絶縁膜に用いたFETをSOI基板上にマトリックス状に配置すると,パルス周波数変調方式やパルス幅変調方式のニューラルネットワークに適したシナプス結合回路が高密度に形成できることを示している.次に,Si基板上に作製した強誘電体ゲートFETの現状を紹介し,強誘電体膜とSi基板との間に適当なバッファ層を挿入すると電流のオンオフ比が103以上の良好なFETが作製できること,しかし現状のデバイスではメモリーの保持時間が短くその改善が急務なことを明らかにしている.
著者
福西 浩
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.849-854, 1984-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
12

南極は宇宙に開かれた窓といわれているが,今日の昭和基地ではオーロラ現象の観測が地上,気球,ロケット,衛星と異なる高度から立体的に実施されてい炉これらの観測は,応用物理学の成果として得られた最新のセンサー,情報処理システム,通信システムを駆使して行なわれている.これらの観測施設の概要と今後の発展方向について述べる.
著者
神谷 武志 土屋 昌弘
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.11, pp.1271-1280, 2001-11-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
110

超短光パルスおよび関連技術の情報通信,計測分野への適用の試みについて展望する.まず,超短光パルスの基本的性質についてまとめた後,パルス発生と制御,超高速光通信システムと関連デバイス,波長分割多重,超高速光計測をレビューする.次いで,筆者らが行ってきた超高速光半導体エレクトロニクスに関する研究について紹介する: (a) 半導体レーザーからのfsパルス発生, (b) チャープ特性評価 (c) 全光スイッチ, (d) モード同期レーザーの安定化, (e) 光プロービング, (f) ミリ波フオトニクス,終わりに今後の展望についてA及する.
著者
斎木 敏治 成田 貴人
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.653-659, 2001-06-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
58
被引用文献数
2

近接場光学顕微鏡システムとそれを利用した空聞分解分光技術の最近の進展を概観する,特に,近接場プ日一ブ作製技術の進歩に伴い,高分解能化と高感度化の両立が実現し,分光計測への応用が以前よりも容易になりつつある.ここでは,最も基本的な発光分光に始まり,パルスレーザーとの組み舎わせによる時間分解分光や非線形分光,偏光惰報の取得,感度の観点から最も難しいラマン分光などの測定例を紹介する.これらは,近接場分光技術が利用価値の高い計測技術として,まさに成熟しつつあることを承している.
著者
城石 芳博
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.67, no.12, pp.1424-1428, 1998-12-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
6
被引用文献数
1

磁気記録技術は, V. Paulsen の発明以来100年の歴史を有する身近な技術である.中でもハードディスク装置は,外部記憶装置の中核的存在であり,薄膜磁気記録媒体,磁気抵抗効累 (MR) 型ヘッド, PRML信号処理などの最先端技術の継続的導入により,ここ数年間は年率60%(このままでいけば10年で160倍)という驚異的なスピードで高密度化が進農している.現在,ハードディスク装置の記録密度は光ディスク装置を追い越すまでになっており,その産業規模も半導体メモリーに匹敵する巨大なものとなっている.本講座では,高度情報化時代にますますその重要度が高まると考えられる,ハードディスク装置の原理と構成について概説する.
著者
唐木 幸一 酒井 貢 佐々木 靖夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.1242-1248, 1988-08-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
5

Authors developed a reflection acoustic microscope using liquid nitrogen as the coupling liquid. The resolution of a sample surface is better than 0.4μm when the instrument is operated at 1.5 GHz. This system is more practical than any ever developed, because it is easy to change a sample and to select an observation area. In this paper, authors report the concrete structure of this system and some images of IC's, and discuss the properties of these images qualitatively.
著者
和保 孝夫
出版者
応用物理学会
雑誌
應用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.81, no.12, pp.1015-1019, 2012-12-10
参考文献数
35
著者
片山 建二 由井 宏治 澤田 嗣郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.672-676, 2001-06-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
29

光熱変換分光法の最近のトピックスについて紹介する。近年,本分野では光吸収後の励起電子・熱・弾性波の緩和現象を高時間分解能で計測し,得られる物理・化学的構報をさまざまな物性測定に利用しようという研究が急速に進展してきた.例えば,本法による固体表面物性計測を,ナノ薄膜や多層膜の熱・弾性物性や膜厚測定に応用したり,高速時間分解顕微光熱変換測定により,励起キャリア・熱拡散・表面弾性波の挙動を直接二次元画像表示することなどが行われている.また,光励起によって熱や音が発生する素過程そのものを明らかにしようという,古そうで新しい研究も行われている.
著者
南 茂夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.639-652, 2001-06-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
53

分光計測を実用計測技術としてとらえ,過去1世紀以上にわたって続けられてきた種々の分光的手法が,機器化されて一つの市場を形成するに至った背景と今後の発展の方向を,ニーズとの関連を明確にしながら展望した.まず,光と物質の相互作用で現れる光スペクトルの種類について,基本事項のテユートリアルな概説を行い,それぞれのスペクトル分野で実用されつつある特徴的な分光計測機器の現状を紹介した.続いて,これから分光計測実験や機器開発を試みる方々への指針として,構成要素の有機的結合を目標としたシステム設計の季法にっいて言及した.
著者
白鳥 世明
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.553-557, 2000-05-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
26
被引用文献数
1

高分子電解質の交互累積膜の吸着過程を水晶振動子微量天びん (QCM) を用いて,吸着質量をその場でモニターしながらロボットアームの動作をフィードバック制御することにより,有機超薄膜の構造制御を行った.これにより,ナノメートルオーダーで構造制御された秩序層構造の超薄膜を常温常圧で得ることができた.また,この手法はポリマーだけでなくモノマーであっても,有機材料だけでなく無機材料であっても,さらに水溶液のみならず有機溶媒でも幅広く適応できることが明らかになった.このヘテロ構造超薄膜を用いた煙センサー,フィルター,有機EL素子,オプティカルデバイスなどへの応用について紹介する.
著者
勝山 俊夫 細見 和彦
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.664-670, 2002-06-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
19

半導体中で励起子(電子・正孔対)と光が結合した励起子ポラリトンの素子応用について報告する.このポラリトンは,電界などに鋭敏に応答する電子(正孔)とコヒーレンスがよい光の両者の性質をあわせもつ特長があり,これらの利用によって,従来の電子素子や光素子とは違った新しい極微細光・電子融合デバイスの実現が期待される.ここでは,ポラリトンの電界による位相変調効果,ポラリトンの安定化について議論するとともに,光素子の低動作電圧化と極微細化の試みを中心に最近の進展を報告する.
著者
木下 實
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.994-1005, 1992-10-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
31
被引用文献数
2

最近,金属元素を含まない有機化合物(p-NPNN, TDAE-C60)の結晶で強磁性体への転移が見いだされた.分子間に強磁性相互作用を持ち込む指針を得るための前段階の研究から,p-NPNNで強磁性を発見するに至った研究経過を振り返ってみる.また,関連する有機強磁性体を探索する研究の最近の動きを,簡単な有機化合物と高分子化合物にわけて紹介する.