著者
薮崎 努 木下 俊哉 福田 浩一 高橋 義朗
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.906-910, 1994

超流動状態の液体ヘリウム中に導入した中性原子は,気体や固体,他の液体中とは違った独特のエネルギー構造や振る舞いをする.しかし,液体ヘリウム中に中性原子を導入するのに技術的な困難があり,最近まで実験がほとんどなされていなかった.われわれはレーザースパッタ法を開発し,種々の原子や分子を,直接,液体ヘリウム中で生成することに成功した,ここでは,特にわれわれが実験に成功したアルカリ原子を中心に,その光学的特性や光ポンピングによるスピン偏極,光一高周波(マイクロ波)二重共鳴実験;を紹介し,未解決の問題や基礎科学への応用例について述べる.最近,超流動ヘリウム中の原子やイオンへの関心が高まり,世界的にも一つの研究分野にもなりつつある.
著者
田中 健一
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.485-490, 1996-05-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

計測のばらつきを評価する方法である,「計測における不確かさの表現方法のガイド」が, 1993年にISOなどの7つの国際機関の連名で出版された.不確かさについてはすでにいくつもの解説が書かれているが,本文は,不確かさを求めようとする人のための入門書として,事例を入れて分かりやすくすることを心掛けて解説したものである. まず,最初の導入につづき,不確かさという用語のもつ意味と,このガイドの特徴を述べた.このガイドは,単に表記の方法や用語の定義を定めたものではなく,評価方法を細かく取り決めたものであるので,この評価方法の手順に沿って,手順のバリエーションを分類しながら,事例を入れて解説した. 不確かさには大きく2種類の異なった評価の方法があり,世の中に混乱を招いている.しかし,国際的にこのISOのガイドに書かれた方法に統一されつつある.論文などでも計測の結果には,この不確かさを表記するように求められつつあり,このガイドに沿ったものであることが必要となろう.
著者
藤井 政俊 川合 知二 河合 七雄
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.11, pp.916-933, 1984-11-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
118
被引用文献数
2

半導体の電子と正孔の挙動は,単にエレクトロニクス外野において重要性をもつにとどまらず,光と組み合わせることによって,優れた化学機能を発揮する.この研究は,1970年代の後半クリーンエネルギー源であるH2発生のための光触媒の開発に端を発している.現在,この化学機能は,光エネルギー変換,無機化合物や挙導体のプロセッシングと表面処理,新しい有機合成法,細胞工学への応用などの諸労野に生かされつつある.さらに,微生物のみが成し得たグルコースからのアミノ酸の合成が,光と半導体によっても可能になっている.このように,半導体光触媒は広い応用分野をもつと同時に,生命の起源の解明にも光を投げかけるであろう.
著者
戸井田 昌宏 稲場 文男
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.10-17, 1993-01-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
41

顕著な光散乱や拡散を生じる生体の光画像計測,特に光断層画像(光GT)計測は,困難な問題があるものの魅力的なテーマであるため,最近大きな関心がもたれ活発に研究が行われている.本稿ではレーザーを中心とした光エレクトロニクス関連技術の進展に基づき,光GTの実現を目指して進められているいくつかの方法を紹介し,これら光画像計測技術の現状について述べる.さらに,今後の研究の動向と課題にっいても記述する.
著者
宮原 諄二 加藤 久豊
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.10, pp.884-890, 1984-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
21
被引用文献数
8

従来のレントゲン写真は(蛍光スクリーン/フィルム)システムでX線像を可視化したものである.このシステムに代る新しいデジタルラジオグラフィーシステムの開発が各国で進んでいる,輝尽性蛍光材料をX線像の検出とメモリーの二つの機能に用い,デジタル画像処理システムと組合せたコシピューテッドラジオグラフィーシステムもその一つであり,多くの臨床上の有用な効果が明らかになってきている.このシステムは,古くから知られている固体結晶中のカラーセンターとルミネッセンスを,最新のエレクトロニクスとコンピューター技術に結びつけ,古きものの中に新らしい血を注いだ「温故知新」の技術開発の一つの例としてあげられよう.
著者
浅川 賢一 田幸 敏治 平田 照二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.519-525, 1979-06-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
11
被引用文献数
1

A 50 meter modified Michelson interferometer has been installed in an underground tunnel in the Nagatsuta campus of Tokyo Institute of Technology. It is enclosed by vacuum pipes and illuminated by a frequency stabilized 633 nm He-Ne laser. The displacement of the interference fringes is converted to voltage with an accuracy of about 1×10-10. From the spectral analysis of the fluctuations of the interference fringes, it is found that the power spectral densityof the microtremor at the quiet time has peakes at 1 cycle/day and its har-monics, also at 0.3, 0.6, and 3 Hz, and that the values at around 10 Hzincrease when cars pass by on the road near the tunnel.
著者
加藤 誠 鈴木 達朗
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.903-907, 1967 (Released:2009-02-09)
参考文献数
7

The process of producing the hologram of an incoherently illuminated object and that of obtaining the reconstructed image from the hologram are described mathematically based on the Fresnel-Kirchhoff diffraction integral. Formulas are given which represent the magnification, posi-tion and separation of the reconstructed images. Distortion term does not appear in the case of incoherent holography. The condition for obtaining Fourier transform holograms is outlined. A system consisting of two spherical mirrors and a beam splitter is proposed.
著者
中島 俊典
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.560-573, 1972-06-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
100

Various methods of vibration analysis using holography, that is, time average method, stroboscopic method and other modified methods are reviewed. Characteristic features and practical problems of each method are discussed and several reconstructed images of vibrating objects with interference fringes which are the contour lines of the amplitude of vibration are shown. Holographic technique enables us to visualize vibration pattern on a rough surface of any shape without touching it. The distribution of vibration amplitudes from a fraction of one wavelength to more than 25 wavelengths of the light can be obtained. Relative phases of vibration between various object points can also be measured by some modified methods. These unique advantages over conventional methods of vibration analysis make holography an indispensable technique for practical vibration analysis.
著者
外村 彰
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.63, no.3, pp.222-231, 1994-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
63

電子は光の10万分の1という短1い波長をもっている.その位相情報を活用すれば,まさに極微の物体の観察.計測が可能になる.筆者らの20年以上にわたる開発によって,従来とは比較にならぬほど明るく干渉性のよい電子線が得られるようになった.このため,電子線ホログラフィーを使って電子の位相変化を1/100波長という高精度で測定したり,さらにピントをはずした電子顕微鏡像の形で,極微の位相物体を動的に観察することが可能になった.これらの手法を使って,これまで不可能だった超伝導体中の個々の磁束量子の磁場分布や,磁束量子の動的挙動の観察が初めて可能になり,高温超伝導体のミクロな磁気的挙動などの未解の問題を明らかにする有力なツールとして期待がかけられている.
著者
外村 彰 松田 強 遠藤 潤二
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.48, no.11, pp.1094-1100, 1979-11-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
28
被引用文献数
1

Electron holography has recently made a remarkable progress due to the high coherence of an electron beam generated in a newly developed field emission electron microscope and almost reached the stage of practical reality. This review describes firstly the objectives of electron holography: the improvement of electron microscope resolution and the development of new functions that have never been possible with conventional electron microscopes. Secondly three technical advances of electron holography are also described: generation of the electron beam with high coherence, improvement of the electron hologram formation method and compensation of the spherical aberration of electron lens. Furthermore interference microscopy was realized which gives information on thickness and magnetization distribution of specimen.
著者
菅田 栄治 文 道平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1024-1031, 1969-11-10 (Released:2009-02-20)
参考文献数
10
被引用文献数
1

The FEM W-tip which initially has the shape of a needle (the radii of curvature 5×10-6_??_1.510-5 cm) was inserted into a special specimen chamber of an electron microscope and the changes of shape by heating were observed over a wide range of temperatures (1600°K_??_2800°K) either continuously or intermittently. The receding rate by the blunting of the tip was determined by an application of Herring's theory on transport phenomena in solid to field emission cathode. It was found from the experimental results that the receding rate of the tip depended on the cone angle. Furthermore, the process of typical changes in the shape of the tip was established, and why a neck formed in the region near the tip could be explained.
著者
板谷 謹悟
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.844-848, 2000-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

表面科学の研究は,これまで超高真空装置 (UHV) を用いるのが常識であり,清浄かつ原子スケールで規定された金属あるいは半導体表面の幾何学的構造,表面電子状態などの研究が行われてきた.しかし,電気化学走査型トンネル顕微鏡 (STM) の開発とそれを用いた実験法は,水溶液中でも原子的に規定された表面が存在することを実証し,しかも原子のスケールで直接観察できる非常に強力な手段となった.液体中では表面上でさまざまな物理,化学反応が起こる.これらの諸過程を個々の分子,原子レベルで解析可能となった.この画期的な装置と,それによって明らかにされた興味ある結果の数例を解説する.
著者
生駒 俊明 森塚 宏平
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.205-209, 1982-02-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
12
被引用文献数
4

電子線超音波顕微鏡は,電子ビーム照射により発生する超音波を用いて像を得る新しい顕微鏡である.試料の弾性的性質や熱的性質がとらえられるので,電子線超音波顕微鏡は,半導体材料やデバイスの評価手段として有望である.特に集積回路等の内部構造を観察できるので,今後種々の応用が期待される.ここでは,筆者らの研究結果を基に動作原理,観察例を解説している.
著者
魚住 清彦
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.10, pp.1481-1487, 1989-10-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
13

走査型トンネル顕微鏡 (STM) は試料表面を実空間で原子分解能を持って観察することを可能にしたが,試料に電流が流れる必要がある.一方,非導電性試料表面をも観察可能にした原子間力顕微鏡 (AFM) も原子分解能を持つことが報告され, AIM と STM を同時に可能とする試みがなされている.われわれは, STM の課針に超音波パルスを加え,探針先端の機械的な接触を検出することにより, STM も同時に可能な新しいタイプの顕微鏡を作成できる可能性を示す実験結果を得たので紹分する.