著者
関本 忠弘
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.266-268, 1995

日本は天然資源に乏しい.科学技術立国は国是である.したがって,素養としての理工系教育の意義は大きい.義務教育課程における理科授業時数の著しい減少およびそれに伴う授業内容の削減は,糾正すべきである.しかし一方で,理工系の業務;を職業として担う人材を資質を選ばず単なる員数合わせでより多く育成しようとするのは,誤りである.本来の資質をつぶさずにはぐくみ,個々の能力に応じた多様な教育機会を享受し得るように,社会環境を構築する施策が大切である.
著者
北畠 真 三露 常男 和佐 清孝
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.568-575, 1985-06-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
28

ABO3型の強誘電性物質のアモルファス状態について解説する.ここで用いるアモルファス誘電体とは,上記の意味で,ガラスや無機ガラスではない.アモルファス誘電体としてPbTiO3とLiNbO3を例にとり,その形成を,ロール対法とスパッタ法と比較して説明する.スパッタ法によって得られる特有のアモルファスPbTiO3, アモルファスPbTiO3の結晶化過程,アモルファスLiNbO3の示す高誘電率の原因等について述べる.
著者
大崎 茂芳
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.406-410, 1989

クモのけん引糸を開発した自動糸巻き器により採取し,その光学的性質を, 400~700nmの波長域で調べた.メスのジョロウグモのけん引糸は,夏には全波長領域にわたって均一な反射を示すが,秋には450nm付近の反射強度の低下を示すこと,すなわち自色から黄色へ色変化すること見いだした.この黄変の理由として,昆虫捕獲用と外敵防衛用の機能としての保護色化の可能性が考えられる.また,赤外線二色性から,たんぱく質分子鎖はけん引糸の方向に配向していることがわかり,この配向性が強さの秘けつと思われる.けん引糸の荷重一伸長曲線は完全破師に至る前に.段階的な荷重の低下を示すこ'とから,何本かの繊維からなるけん引糸は,たとえ一本の繊維が切れても,命綱としての役割を果たすことが示唆される.けん引糸は. 100km程度は垂らせる.こうした糸の物理・化学的な特性を明らかにすることが,巧妙で不思議なクモの生態を解き明かす手がかりになるであろう.
著者
福川 伸次
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.645-649, 1989

1. 最近,米国で日本の研究開発タダ乗り論としての批判があり,これを解決する道は,日本が基礎研究を進め,その成果を広く人類に均てんさせることである.<br> 2. 最近におけるわが国の研究開発の評価を試みると,基礎研究,基盤技術への挑戦の遅れ,研究人材の不足,研究環鏡の立ち遅れ,国際研究交流の低さが指摘される.<br> 3. 技術開発政策の戦略としては,創造的な基礎研究の強化,とりわけ,国においては,リスクや連鎖的波及の大きい根源的,基幹的研究開発や地球的課題の解決に資する公共性,国際性の高い研究開発に重点を置くとともに,国際研究交流,国際協力の推進を図る必要がある.
著者
廣田 榮治
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.866-878, 1990-07-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
85

赤外レーザー分光およびマイクロ波分光を用いた,低圧気相における簡単なフリーラジカルの構造研究の現況を紹介する.まずこれら分光法の特色を概観し,フリーラジカルの密度の実時間測定への応用を論ずる.プラズマプロセシングの基礎過程に特に重要と思われるCH3, CCH, SiHn, CFn, CCln, SiFn, SiCln(n=1~3)を取り上げ,これまでに得られた成果を概説する.
著者
大槻 義彦
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.438-441, 1987

昭和35年頃から,大学院修士課程の学生数は急激に増加した(およそ5倍以上).これに伴って,修士課程の硫究室は今や「サロン」と化し,「余計で余分な」学生生活の場となってしまった.院生は,わが国の学校制度の中で,最も優維で最後の学生生活を過ごす.しかも,大学の指導教宮・教員は,今になっても,修士課程に対し,甘い夢を拾て切れないでいる.
著者
小穴 純
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.206-210, 1957

Positive ophthalmic lenses of the Punktal type, stigmatically corrected for an object plane at infinite distance, are often misused for a presbyopic eye to facilitate the viewing of near objects, with the result that these lenses show an astigmatic defect of considerable magnitude.<br> The ideal lens for presbyopia must be corrected, with respect to astigmatism, for an object plane at near distance, say 300mm from the lens. The designing method for these lenses is described and the designed results are tabulated. The results cover the range of ophthalmic power (expressed in diopter, D) from +0.25 D to +8.75 D in steps of 0.25 D each, and in each power three thicknesses and three refractive indices of material glass, i.e. nine variations are included. Thus the total number of the lenses designed amounts to 314.<br> The designing calculation is carried out in the final course of the present work by an electronic computer FUJIC of Fuji Photo Film Co.<br> The designing principle can be successfully applied on the designing of auxiliary lens attachments for photographic objectives used in close-up photography.
著者
遠藤 賢次
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.852-852, 1968-09-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
4
著者
吉田 博
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.58, no.9, pp.1309-1320, 1989-09-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
24

第一原理に立脚した固体電子論に基づく計算は,半導体中の不純物を含むような系についても,その構造配置や電子状態を経験的パラメーターなしで,しかも高い精度で予測することを可能にした。このような電子状態の計算を基礎にし,データベースとエキスパート・システムを絶み合わせることにょり, 21世紀のエンジニアリングとしての「物質設計システム (MDS, Materials Design System)」を提案する.最近の半導体物理学における電子状態の計算の動向を踏まえ,物質設計の新しい概念と方法を解説する.
著者
田中 繁
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.64, no.10, pp.1018-1022, 1995-10-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
11

大脳皮質視覚領には,さまざまな視覚情報に関する地図が存在する.本解説記事では特に,物体が視野内を運動するときめ方向につい之の情報表現がmiddletemporal area(MT)内にいかにして自己組織化されるのか,という問題を取り上げ理論脳科学における最近の進展の一端を紹介したい.
著者
林 和弘
出版者
応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.84, no.1, pp.19-22, 2015-01
著者
天野 浩 赤崎 勇
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.163-166, 1991-02-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
14

GaNの伝導性制御に関する検討を行った. n型はSiドーピングにより低抵抗化を図った. p型はMgドーピングにより高抵抗化させ,さらにそのMgドープGaNに電子線照射処理を施すことにより初めて実現させた.また処理条件を調節することにより伝導性制御が可能であることを確認した. GaNによるpn接合型LEDを初めて試作し, n層内でのバンド間遷移に基づく紫外発光,およびp層内でのMgの関与した青色発光準位に基づく青色発光を利用できることがわかった.
著者
小西 進
出版者
The Japan Society of Applied Physics
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.326-330, 1984

従来の磁性記憶は磁気記録,磁気バブルメモリーを問わず磁性膜中の磁区を記億の担体としている.ところで磁気バブルでは垂直磁化ガーネット膜が開発されて以来,プロッホラインと呼ばれる磁壁微細構造を100本程度もバブルを囲む磁壁中に含むハードバブルの存在が知られていた.プロッホラィンは安定で磁界を加えると磁壁にそって移動することも実験・理論の面から明らかにされている.磁区に代わり,もしプロッホラインを記憶の担体として利用することができれば超高密度の磁性圏体記憶素子が実現できよう.本稿では,最近筆者が提案したヅロッホラインメモリーの概要を述べる.

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著者
高橋 秀俊
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.12, no.3, pp.137-140, 1943 (Released:2009-02-09)
参考文献数
4