著者
津野 洋 河村 正純 西村 文武 日高 平 本間 康弘 蒲池 一将 渡部 紀一
出版者
Society of Environmental Conservation Engineering
雑誌
環境技術 = Environmental conservation engineering (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.227-234, 2012-04-20
参考文献数
16

溶解性の重クロム酸COD(以下CODと記す)濃度が1000~1500㎎/LおよびSS濃度が300㎎/Lとなるように糖質系高濃度食品工場廃水と人工的合成生ごみにより調整した調整食品廃水,ならびに実際の製あん食品工場廃水の処理に対し,生物活性炭嫌気性反応装置を適用し安定的および効率的な処理の可能性とその操作因子について検討した.調整食品廃水および製あん食品工場廃水に対し,COD流動床容積負荷が各々0.5~33㎏/(m<sup>3</sup>・日)および1.6~29㎏/(m<sup>3</sup>・日)の条件下で,平均全COD除去率は各々86%および89%であった.調整食品廃水に対して,平均溶解性COD除去速度を基にした固形性COD変換率は平均0.12㎏COD/㎏COD-除去量であり,流入固形性CODの95%が可溶化することがわかった.
著者
Hiroshi NISHIOKA Hirofumi KODERA
出版者
Society of Environmental Conservation Engineering
雑誌
Journal of Environmental Conservation Engineering (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.301-305, 2005-04-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
8
被引用文献数
1

シダ植物の重金属含有量を調べるために, 兵庫県内7地域に自生するシダ133試料を採取した.蛍光X線分析法および原子吸光分析法を用いて測定した結果, 以下の事実を得た.1) ウラジロ科のコシダやウラジロはいずれもマンガンについて比較的高いX線強度が得られた.2) S1地域において採取したシシガシラには数千ppmの鉛が含有されていた.3) シシガシラにおける鉛含有量は根茎, 根および葉身の順に高かった.
著者
東野 誠 鬼束 幸樹 横田 恭平 古川 隼士 熊沢 大地
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.44, no.7, pp.402-408, 2015-07-20 (Released:2015-11-24)
参考文献数
9

本研究では,大分県佐伯市を対象として津波防災について検討を行うとともに,番匠川河川環境の津波による被害想定を行った.佐伯市は,南海トラフ地震発生時には県内で最も早く津波が到達するとともに,場所によっては予想される津波高は10mを超える.検討にあたっては,中央防災会議が実施した津波の佐伯市街地への津波到達時間,浸水深,および氾濫流速を基に,現況での津波防災と番匠川河川環境や生態系への影響を考察した.
著者
津野 洋 張 鶴清 坂本 昌則 山田 春美
出版者
Society of Environmental Conservation Engineering
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.111-119, 2009

エストロゲン様活性を波長405nmにおける発色強度で測定するNRL/TIF2-BAPアッセイはフミン質系着色試水についても適用できると考え,その再現性ならびに適用性の評価を試みた.また種々の下水処理工程水や汚泥サンプルについてGC-MSから得られた結果と比較検討を試み,以下の知見を得た.<br> 1)E1がE2の1.6倍,E3がE2の2.7倍も感度が高く,BPAに関しても他の方法より活性値が2桁高く,NPは同程度であり,本法は感度の高い方法である.<br> 2)下水一次処理水および二次処理水のE2添加回収率は60%以上で,変動係数は20%以内であった.<br> 3)GC/MSによる測定値と高い相関性が確認され,フミン質系着色試水や汚泥に対しても適用可能であること,およびオゾン処理の評価においては安全側の指標として有用であることが示された.<br> 環境水における生態系への影響が合成物質に比べ天然エストロゲンが寄与していることを考えると,NRL/TIF2-BAPアッセイは安全側の水処理指標になると考えられる.
著者
増田 勲
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.1, no.6, pp.420-422, 1972-07-18 (Released:2010-03-18)
参考文献数
2
著者
木村 隆一 片岡 昇 水谷 博
出版者
環境技術学会/環境技術編集委員会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.20, no.6, pp.359-366, 1991-06-30 (Released:2010-03-18)
参考文献数
7

大阪国際空港において, 気象条件や路線長による航空機の離陸滑走距離の変動を調査した.滑走距離は気温, 滑走路方向のベクトル風, 路線長などの影響を受けると考えられることから, それらの関係について重回帰分析をおこなった.その結果, どの機種の場合でも滑走距離とそれらの要因との間に高い相関があることが明らかになった.つぎに, 離陸後の飛行コース (フライトトラック, 高度) や騒音レベルについて空港北部で測定し, 滑走距離や気象などの変動がそれらに及ぼす影響についても調査した.飛行コースや騒音レベルを説明するための変数として, 滑走距離気温, 風向, 風速および路線長を選んで重回帰分析をおこない予測モデルを作成した.これらのモデルを使えば, 任意の気象条件における滑走, 離陸, 上昇プロファイルが得られ, 航空機騒音コンター図の作成に役立つことを確認した.最後に, 米国FAAのIntegrated Noise Modelに登録されている飛行プロファイルと実測のプロファイルを比較した結果, 標準的な気象条件では, 国内便の上昇プロファイルが良く一致した.
著者
八尋 正幹 木本 行雄
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.8, no.10, pp.986-991, 1979

在来線鉄道の下路鈑桁による騒音が沿線住民に及ぼす影響度を把握するため, 航空機騒音の評価尺度であるWECPNLの考え方を基本にして, 実態調査成績から得られた新たな評価式を用いて, その影響度を求めた.<BR>わが国の航空機騒音の環境基準では, 概略的にEPNL=dB (A) +13の関係が成り立つことから下式を採用している.<BR>WECPNL=dB (A) +10 log N-27<BR>著者らは, 下路鈑桁騒音の実態調査成績からEPNLとdB (A) の関係を求めたところ, 概略的にEPNL≒dB (A) +9の関係が成り立つことがわかった.このように, 上式をそのまま用いて, 下路鈑桁騒音の評価を行なうと, "騒音のうるささ"という点から判断すれば, WECPNL値で4dB程過大評価することがわかった, このため, 下路鈑桁騒音の評価には, 上式に実態調査から得られた補正値 (一4dB) を考慮した次式を用いた方が, より適確に住民への影響度を把握できるものと考えた.<BR>WECPNL=dB (A) +10 log N-31<BR>下路鈑桁周辺3調査地点のWECPNLを上式を使って求めたところ, それぞれ91, 85, 86であった.この値 は, 福岡空港の離陸側滑走路端から約2km, 着陸側滑走路端から約3km以内の飛行航路直下周辺の騒音のうるささに相当するものであり, 沿線住民の約80%以上の人が非常にうるさいと感じていることが推定される.
著者
永井 博
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.23, no.11, pp.661-665, 1994-11-30 (Released:2010-03-18)
著者
廣田 裕二
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.775-783, 2002-10-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
6
著者
横田 恭平
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.45, no.10, pp.536-544, 2016-10-20 (Released:2017-01-05)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本研究の目的は,火山噴火を予知するため,大分県の活火山である由布岳と九重山に近い温泉水の水質の変化から,最適な化学的な指標を提案することである.対象としたのは由布院温泉と長湯温泉で,長湯温泉においては炭酸成分を主成分とする九重山の火山ガスの影響が確認されている.対象とした成分は,イオンクロマトグラフ法,硫酸による滴定,ICP 発光分光分析法にて分析した20成分である.それぞれの変動係数(標準偏差と平均との比の百分率)のなかで,10%を下回ったのがMg2+,Ca2+,Cl-,HCO3-であり, 特にHCO3-は,およそ2.3~3.6%と低い値が確認された.長湯温泉については,炭酸成分を多く含む九重山のマグマの影響を受けていると報告されている.HCO3-は,変動係数が小さく,溶解度積から見ても炭酸成分が鉄と反応を起こすことが少ないことから,一般的に噴火予知で用いられている物理的な方法に加え,化学的な指標としてHCO3-は適していると考えられる.
著者
藤長 愛一郎 大脇 遼 諸澤 正樹 渡邊 信吾 松下 稔
出版者
Society of Environmental Conservation Engineering
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.172-179, 2014

2009年に世界中で流行した新型インフルエンザA(H1N1)を対象に,発病する可能性のある感受性者<i>S</i>,保菌者<i>E</i>,発病者<i>I</i>,免疫保持者<i>R</i>へといたるSEIRSモデルを作成した.そして,特定の学校内など局所的,地域的な傾向を予測できる方法として,発病者と接触し感染する人の行動を確率的に捉えてシミュレーションする「動的解析」を行った.この解析結果を微分方程式の数値解と比較し,動的解析の有効性を確認後,現実社会への応用として,学級・学年閉鎖の効果を検討した.
著者
高山 敦好 池田 真俊 藤田 浩嗣 原野 亘
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.747-753, 2013-12-20 (Released:2014-01-11)
参考文献数
11
被引用文献数
2

一部の工場や船舶機関において,環境負荷低減技術としてスクラバが用いられている.スクラバは,噴霧水滴との反応で,NOx,SOxを低減できるだけでなく,噴霧水滴との衝突で PMの捕集も可能である.しかしながら,スクラバ処理後は水槽内に排ガス成分を含んだ廃水が伴い,その処理が問題視されている.本研究は,3流体噴射弁を用い,燃料と廃水による混合燃焼により,廃水処理を含めた環境負荷低減技術を開発した.水との混合燃焼は,燃焼温度が下がることにより NOxの低減が見込め,同時に燃焼性が向上しPMの低減も可能である.廃水による混合燃焼は,水道水による混合燃焼と比べるとA重油では約5%,C重油では5-30%NOx濃度が上昇した.PMについては,水道水による混合燃焼では SOFが約 73%,DSが約 80%低減でき,廃水による混合燃焼では,SOFが 68%,DSが 74%低減できた.よって,本研究は,廃水処理と同時に排ガスを削減できた.
著者
太田 洋 吉田 高年 鈴木 一如
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.11, no.11, pp.795-804, 1982

下水処理水の受水水域の富栄養化防止の目的で, 下水処理場の二次処理水に対して生物化学的流動床による脱窒素法を用いて, 下水の三次処理方法としての性能把握を中心として実験を行った.<BR>その結果, 1) 原水のNH<SUB>4</SUB><SUP>+</SUP>-N, NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>-N濃度の調整により微生物の媒体への付着集殖期間を短縮し, 2) 容積負荷3.2kgN/m<SUP>3</SUP>d, LV20m/hでNO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>-Nを0.5mg/l以下 (除去率97.2%) , 3) CH<SUB>3</SUB>OH限界注入比2.0kg-CH<SUB>3</SUB>OH/kg-NO<SUB>3</SUB><SUP>-</SUP>-N, 4) CH<SUB>3</SUB>OH注入停止による汚泥減少速度Kd=0.051<SUP>-1</SUP>と汚泥のでないプロセスの可能, 5) 脱窒素工程でCOD成分が汚泥に変換される際必要なリン要求量によりリンが除去される現象 (△NO<SUB>3</SUB>-N/△PO<SUB>4</SUB><SUP>3-</SUP>-P=0.74, △CH<SUB>3</SUB>OH/△PO<SUB>4</SUB><SUP>3-</SUP>-P=5.99) がみられた.
著者
北川 睦夫
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.3, no.5, pp.308-315, 1974-05-18 (Released:2010-03-18)
参考文献数
11
著者
光石 一太 藤原 和子
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.41, no.11, pp.695-700, 2012-11-20 (Released:2013-04-03)
参考文献数
15
被引用文献数
1

炭粉末の利用拡大の観点から,炭粉末と天然バインダー(ロジン)を用いて圧縮成形することにより,炭成形体の作製を実施した.様々な温度,天然バインダー/炭粉末の混合比を設定し成形体作製条件の検討を行うとともに,曲げ特性,ホルムアルデヒド吸着性,水蒸気吸着性についてデータの蓄積を行った.
著者
堀田 健太郎 熊谷 哲
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.468-473, 2015-08-20 (Released:2015-12-29)
参考文献数
15

CODMn測定時,塩化物イオン除去には銀添加する必要があるが塩化物イオン測定法は指定されていない.従来法よりも簡便な方法を検討した. 塩化物イオンと電気伝導率には統計学的に直線性が確認されている.しかし,異なる組成の試料を扱う環境計量証明事業所ではその直線性が心配される.そこで,pH が中性域でかつ工程水を除いた試料を対象にすることで直線性を確認でき電気伝導率の測定値から銀量を決定できたので報告する.