著者
渡辺 昇蔵
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.11, no.7, pp.293-299, 1958-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
59
被引用文献数
2 4
著者
金子 一幸 川上 静夫 三好 正一 虻川 孝秀 山中 栄 望月 誠 吉原 進平
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.183-186, 1998-04-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14

卵巣に嚢腫卵胞を有するホルスタイン種乳牛78頭を発情周期および直腸検査所見から3群に区分し, 各群別の処置により空胎期間の短縮を試みた. 初診日の発情徴候が良好で, 嚢腫卵胞と正常卵胞 (NF) が共存していた39頭 (NF共存群) には無処置で人工授精のみを行った. 初診日に発情徴候がみられず, 嚢腫卵胞と黄体 (CL) が共存していた16頭 (CL共存群) にはジノプロスト (25mg) を投与し, 投与後7日以内に発情が誘起された例には人工授精を行った. 嚢腫卵胞のみが認められた23頭 (卵胞嚢腫群) には, 酢酸フェルチレリン (200μg) 投与後14日にジノプロスト (25mg) を投与し, 発情誘起例に人工授精を行った. NF共存群, CL共存群および卵胞嚢腫群の初診から初回授精までの日数 (平均±SD) は, それぞれ0, 9.3±14.であった. また, 各群の初回授精受胎率は43.6, 43.8, 34.8%であり, 受胎に要した授精回数は1.9±1.1.
著者
坂口 裕亮 田中 宏 北村 雅彦 松本 有紀 中垣 佳浩 松倉 将史 川辺 朋美 中山 正成
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e193-e196, 2023 (Released:2023-08-05)
参考文献数
9

CT検査により脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認めた椎間板ヘルニアのミニチュアダックスフンド2症例に遭遇した.2症例ともに脊髄造影検査を実施したところ,神経徴候が悪化した.片側椎弓切除術にて,椎間板物質の摘出を試みたが,周囲組織と癒着しており摘出は困難であった.このことから,CT検査で認められた石灰化した椎間板物質は,脊柱管内で時間経過を経たものと考えられ,脊柱管内を大きく占拠する椎間板物質に長い経過で圧迫されている脊髄に対し,造影剤を注入することで脊髄障害を悪化させた可能性が考えられた.以上より,CT検査によって脊柱管内を大きく占拠する石灰化した椎間板物質を認める症例に対し,脊髄造影検査を実施する際には悪化の可能性を考慮する必要があり,また,手術法やその適応など十分検討が必要であると考えられる.
著者
斑目 広郎 広瀬 学 広瀬 みさき 佐藤 加奈子 森 恵 山田 一孝
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.e183-e186, 2023 (Released:2023-08-05)
参考文献数
9

16歳齢,避妊雌猫が肛門左側にできた潰瘍化した皮膚腫瘤を主訴に個人動物病院に来院した.切除腫瘤の病理組織学的検査を実施し,肛門囊腺癌と診断後,第82病日に死亡した.死後CT後に病理解剖を実施し,局所再発と全身多発転移を伴う両側性肛門囊腺癌と診断した.
著者
斉藤 咲弥香 永井 淸亮 黒岩 武信 遠藤 なつ美 田中 知己 加茂前 秀夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.e165-e173, 2022 (Released:2022-08-18)
参考文献数
30

牛の発情・排卵同期化に複数のホルモン剤を用いる方法は経費と労力を要する.プロジェステロン(P4)1.55gを含有するP4単味腟内徐放剤(PRID−E)をホルスタイン種経産乳牛3頭に排卵後2日(D2群:排卵日を0日),別の3頭に排卵後15日(D15群)からそれぞれ20日間処置し,発情・排卵の同期化について検討した.その結果,排卵が両群の全頭において抜去後3~4日に起こった.卵胞発育波数はD2群が2~3波,D15群が3~4波であった.排卵卵胞の優位日数は両群各2頭では7日,残る両群各1頭では13~14日,最大直径は5頭では14.1~17.9mm,残るD2群の1頭では20.5mmであった.発情徴候は全頭において抜去翌日に最も明瞭となった.排卵後2日及び15日からPRID−Eの20日間処置を行うと当該徐放剤抜去後3〜4日に排卵を同期化できることが明らかになった.
著者
乙丸 孝之介 岩本 悠紀 洪 惠英 永井 克尚 窪田 力 山内 清哉 野地 智法
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.344-347, 2019-06-20 (Released:2019-07-20)
参考文献数
18

本研究は,黒毛和種子牛に対するベータ(β)カロテンの経口投与による糞便中の免疫グロブリン(Ig)A濃度へ及ぼす影響について検討を行った.2週齢の黒毛和種子牛22頭をランダムに2群に分け,11頭の子牛には,2週齢から4週齢まで,1日当たり20mgのβカロテンを経口投与した(投与群).一方,11頭の子牛にはβカロテンの投与は行わなかった(対照群).すべての子牛は,2週齢及び4週齢(投与2週間後)で血液及び直腸便を採取された.投与群の血清βカロテン濃度は,投与2週後において対照群と比較し有意に高値であった.また,投与2週間後において投与群の糞便中IgA濃度は,対照群と比較し有意に高値であった.これらの結果から,黒毛和種子牛に対するβカロテンの投与は子牛の消化管内におけるIgA産生を増加させる可能性がうかがえた.
著者
甫立 京子 宮重 俊一 東山 由美 谷口 稔明 宮崎 茂 宮本 亨 甫立 孝一
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.57, no.6, pp.371-376, 2004-06-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
30
被引用文献数
4 4

黒毛和種去勢牛でビタミンA給与を全期間 (I期とII期) 制限した制限区 (4頭) と, 1期のみ制限した対照区 (3頭) の栄養と内分泌状態を検討した.血漿ビタミンA濃度は配合飼料摂取量および血清アルブミン濃度と正の相関があり (P<0.01), ビタミンA濃度が20IU/dl以下になると配合飼料摂取量は急激に低下し, と畜前のアルブミン濃度 (2.6vs3.7g/dl) とアルブミン/グロブリン比 (0.61 vs 1.12) は制限区が対照区より有意に低かった (P<0.01).と畜前に飼料摂取量が低下した制限区の牛は蛋白質とエネルギー不足の状態であり, 最も不足していた牛で全身筋肉水腫が発生した.この時レプチン濃度に差はなかったが, トリヨードサイロニン濃度は低下し, 成長ホルモン濃度は上昇する低栄養状態の特徴を示した.筋肉水腫発生の原因のひとつは, ビタミンA欠乏により血清アルブミン濃度が減少し, 血液の膠質浸透圧が低下することによると考えられる.
著者
大野 真美子 杉田 智子 石川 智恵子 住吉 俊亮 堀北 哲也
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.181-185, 2021-03-20 (Released:2021-04-20)
参考文献数
16

本研究では,生存子牛の肋骨骨折の発生状況及び分娩状況との関係を調査した.神奈川県内酪農家13戸の子牛101頭(自然分娩68頭,介助分娩33頭)を対象とし,胸部触診による肋骨骨折の評価及び分娩状況の聞き取り調査を実施した.また,肋骨骨折を認めた7頭の胸部CT検査を行った.肋骨骨折の発生率は全体で6.9%であった.肋骨骨折の発生率は介助分娩が自然分娩より高かった.また,肋骨骨折した子牛は出生後に異常を示す割合が高かった.CT検査により8.9±4.4本/頭の骨折を確認し,左右ともに第4~7肋骨の骨折が多い傾向にあった.本研究より,肋骨骨折は介助分娩時の不適切な牽引などが原因と考えられた.また,分娩を介助する畜主への適切な介助方法に関する情報提供が必要である.
著者
阿部 竜大 安藤 達哉
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.e130-e134, 2023 (Released:2023-06-07)
参考文献数
20

乳牛における子宮捻転の病態と母体予後との関係を明らかにするため,乳牛139例の子宮捻転を対象に調査を行った.子宮捻転の病態を産次数,捻転度数及び捻転方向に分類し,各々の母体予後を比較すると同時に,捻転整復方法の違いによる母体の予後との関係も比較した.この結果,未経産牛と比較して経産牛で死亡率が高い傾向が明らかとなり,死亡牛の方が治癒牛と比較して有意に産次数が高かった.さらに捻転度数が360°以上で有意に死亡率は高くなり,捻転方向や整復方法では死亡率に有意差は認められなかった.
著者
岡野 公禎 河内 由紀 上原 ひかり 田近 萌
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.e177-e182, 2023 (Released:2023-06-27)
参考文献数
32

卵巣子宮摘出術の術前にモルヒネを皮下投与した供試犬60頭を,マロピタントを経口投与した2群(MP2群:n=15,2mg/kg;MP8群:n=15,8mg/kg),皮下投与群(MS1群:n=15,1mg/kg)及び生理食塩水を皮下投与した対照群(Control群:n=15,0.1ml/kg)の4群に分類した.悪心や嘔吐を麻酔導入前と抜管後で,PONV(postoperative nausea and vomiting)スコアを抜管後で評価した.導入前の嘔吐はMP2群,MP8群,MS1群で,悪心はMP8群で有意に減少した(P<0.05).抜管後は,MP8群が有意な悪心抑制とPONVスコアの改善を示した(P<0.05).マロピタントの経口投与はモルヒネによる嘔吐に対し皮下投与と同様な制吐作用を有し,8mg/kgの経口投与では悪心及びPONVに対し十分な抑制効果を示した.
著者
才田 祐人 北野 寿 矢田 乃路子 矢田 新平
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.6, pp.e141-e148, 2023 (Released:2023-06-14)
参考文献数
39

胸部X線検査において椎体長により指標化された評価法が一般的に知られている.そこで本研究では,僧帽弁粘液腫様変性犬において左心房サイズを椎体長に依存しない方法により評価することの有用性について検討した.左心房サイズ(Left atrial size:LAS)は,臨床ステージとともに有意に上昇し,椎骨左心房径と同等に心臓超音波検査所見と強い相関性を示した.したがって,胸部X線検査におけるLASは,従来法と比較し測定がより簡便であり,体重1kg以上3kg未満,3kg以上5kg未満及び5kg以上10kg未満の個体においてカットオフ値をそれぞれ2.3,3.0及び3.3cmに設定することで,心臓超音波検査における左心房及び左心室拡張の目安になりうると考えられた.
著者
寺本 直輝 島田 圭悟 杉田 由佳 グルゲ・ キールティ・シリ 吉岡 都 山中 典子
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.788-791, 2021-12-20 (Released:2022-01-20)
参考文献数
14

ドングリによる中毒の診断に資するために,ドングリに含まれる総ポリフェノール(TPPs)の簡便,迅速な抽出手法を開発した.含水アセトンで振盪する本手法は高速溶媒抽出法(ASE)に匹敵する回収率であった上,再現性が高く,簡易であり,十分診断に応用できるものと考えられた.また,この手法でマテバシイのドングリのTPPs濃度を定量したところ,未熟果は熟果よりも有意に濃度が高かった.
著者
紫野 正雄 林 繁利 市原 伸恒
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.331-333, 2005-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
2 2

チワワ種雌犬が, 難産の末3匹を初産分娩したが, その後のX線検査によって子宮外に2胎のミイラ化胎子が認められた. その後無処置の状態で分娩後2回日の発情でふたたび妊娠した. 妊娠末期にX線検査を行ったところ, 4胎の正常胎子とともに2胎のミイラ化胎子が確認された. 正常胎子の摘出のための卵巣子宮全摘出を行い, さらに腹腔内ミイラ化胎子の摘出も行った. 摘出右子宮の先端に脱出跡と思われる組織学的所見が得られた. また, 摘出ミイラ化胎子についてX線検査による骨格測定を行ったところ, 妊娠末期の胎子と一致した. 以上の結果から, このミイラ化胎子は前回の分娩時の難産のおりに子宮破裂口から腹腔内に脱出し, 長期間腹腔内に遺残し, その後の子宮修復に伴い重複妊娠した事が示唆された.
著者
安積 一平 西田 英高 田中 美有 桑村 充 嶋崎 等 田中 利幸 山本 卓矢 秋吉 秀保
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.e75-e80, 2023 (Released:2023-05-02)
参考文献数
12

7歳齢の避妊雌のトイプードルが,右前肢の跛行を主訴に受診した.初診時のX線検査では右肩甲骨の骨増生及び皮質骨の不整が認められた.病変部位の組織の一部を採取したところ,非感染性の骨の炎症が疑われた.プレドニゾロン内服によって臨床徴候の改善が認められ,休薬によって血中C反応性蛋白(CRP)の高値及び両後肢不全麻痺が認められるようになった.核磁気共鳴画像(MRI)検査によって,第1-2胸椎,第4-5胸椎の硬膜外脂肪の炎症が認められ,特発性無菌性化膿性肉芽腫と診断した.免疫抑制量のプレドニゾロン及びシクロスポリンの内服によって,両後肢の神経徴候は改善し,血中CRPは正常範囲内まで低下し,MRI検査では病変は消失していた.本症例では,無菌性化膿性肉芽腫が肩甲骨及び硬膜外脂肪に発症したと考えられた.
著者
中川 恭子 南 毅生
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.74, no.3, pp.191-195, 2021-03-20 (Released:2021-04-20)
参考文献数
16

7歳のペキニーズが排便困難を主訴に来院した.直腸検査にて腫瘤状病変による直腸狭窄を認めた.CT検査によって周囲組織への浸潤を伴う全周性の腫瘤状病変が確認され,病理組織学検査により直腸腺癌と診断した.外科切除が困難と考えられたため,緩和的治療として自己拡張型直腸ステントの設置を実施した.直腸ステント設置により狭窄部の拡張が認められ,排便困難が改善した.その後,時々軽度のしぶりや血便は認められたものの一般状態も改善し,自力での排便が可能となった.しかし,直腸ステント設置40日後の第72病日に自宅にて突然死した.死因は明らかではなく,腫瘍及びステント設置との因果関係は不明であった.死亡時まで一般状態,排便ともに良好であったことから,短期的には有効性が認められたが,長期的な安全性や有効性については確認できなかった.
著者
坪倉 操
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.40, no.5, pp.317-323, 1987-05-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
91
被引用文献数
1