著者
佐原 亮 遠藤 和博 五十嵐 絵美 浜田 純一郎 矢野 雄一郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.758-761, 2014

肩疾患では屈曲と比べ外転しづらい.本研究の目的は屈曲と外転を比較することである.健常者11名22肩を対象とし,三次元動作解析を用い安静下垂位から屈曲・肩甲骨面挙上・外転し,上腕外旋角度,水平肩甲上腕角度,肩甲骨内旋角度を算出した.屈曲の上腕外旋角度は55°であり直線的に増加し,外転では挙上初期から外旋角度が大きく100°まで屈曲より多かった.屈曲では肩甲骨はまず内旋しその後外旋したが,外転は常に外旋した.水平肩甲上腕角度は外転で常に大きい.肩甲骨の外旋制限のある肩関節疾患では外転しづらい.屈曲では僧帽筋を弛緩し前鋸筋を収縮するが,外転では両筋を同時に収縮させる.棘下筋・小円筋も外転では筋長の短い状態での筋収縮が必要である.屈曲に対し外転は,(1)挙上初期から上腕外旋角度が大きく,(2)肩甲骨は常に外旋し,(3)水平肩甲上腕角度は常に大きい.
著者
宮島 玄陽 見目 智紀 中脇 充章 佐々木 秀一 大寺 亜由美 落合 信靖
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.619-622, 2015

肩関節脱臼によって損傷した関節唇が外旋位によって整復されることは知られているが回旋による動態は未だ不明である.我々は手術を行った外傷性肩関節前方不安定症患者10名10肩について,損傷した関節唇の肩関節他動回旋時の動態をCine-MRIを用いて評価した.Cine-MRI上で関節唇が関節窩に圧着された肩関節下垂位での回旋角度(以下圧着角)と関節唇が関節窩から離開した回旋角度(以下離開角)を計測した.平均圧着角は15.7±24.6°,平均離解角は-1.1±20.9°であり,10肩中3肩は内旋域のみでも関節唇の関節窩への圧着がみられた.本研究より,関節唇は外旋により関節窩に圧着されても回旋角度が最大内旋に向かうに従い全例離開してしまうことが確認された.一方で内旋域のみでも角度により関節唇の関節窩への圧着が維持される例を30%認め,内旋位固定でも反復脱に移行しない症例が存在する一因と考えられた.
著者
石谷 栄一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.611-614, 2016

胸椎の矢状面アライメント並びにその可動性と外傷性・非外傷性腱板断裂の関連性を調査検討した.対象は入院患者128例で胸椎後弯角はスパイナルマウスを用いて,自然坐位,坐位屈曲,坐位伸展で計測した.また胸椎運動前後の運動効果も算出した.腱板断裂の有無は超音波検査を用いた.外傷群23例,非外傷群45例,正常群60例に分け各項目を3群間で多重比較検定をした.胸椎後弯角度は非外傷群が正常群に対して坐位と伸展で有意に大きく,可動域と運動効果が有意に小さかった.非外傷群は胸椎後弯が増大し,胸椎伸展可動域が低下し,胸椎運動の即時効果が得られなかった.胸椎後弯の増大と伸展可動域並びに運動効果の低下が非外傷群の断裂要因であることが示唆された.一方,外傷群と胸椎アライメント要因の有意な関係は認められなかった.
著者
大井 雄紀 高木 陽平 土山 耕南 乾 浩明 信原 克哉 吉矢 晋一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.675-677, 2016

Stride Foot Contact(SFC)における骨盤回旋,体幹と股関節の姿勢に注目し,年代別に運動学的検討をすることを目的とした.対象は野球投手287名:小学生(小)42名,中学生(中)94名,高校生(高)105名,コントロール群(コ)46名(19歳以上かつ球速120km/h以上)とした.対象者の投球動作をモーションキャプチャ・システムによりデジタル化した.大腿,腰部,体幹部に座標系を設定し,それぞれの座標系の回転をオイラー角で表した.全ての年代において,SFCの骨盤左回旋角度と相関関係がみられた変数は,それぞれ体幹左側屈角度(r = 0.5以上),右股関節内転角度(r = 0.49以上),右股関節伸展角度(r = 0.78以上),左股関節内転角度(r = 0.46以上),左股関節屈曲角度(r = 0.43以上)であった.骨盤が早期回旋しないよう体幹側屈,股関節屈曲伸展,内転に注目しながら投球指導を行う必要があると言える.
著者
小林 雅彦 水野 泰之 森 大祐 馬谷 直樹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.513-517, 2016

肩甲下筋腱(SSc)断裂の診断は困難なことが多い.我々はSSc断裂の診断精度を上げるため,MRI 上SScと肩甲骨(Sc)間に生じるT2 highの間隙である&ldquo;Gap sign(GS)&rdquo;に注目した.本研究の目的は,前向き研究によりGSのSSc断裂に対する診断精度について検討することである.<BR> 2014年にARCRを施行した42肩(平均年齢63.2&plusmn;10.2(SD)歳)を対象とした.単純MRI のoblique-saggital像において,scapular-Y viewから外側10mmにおいて,SScとSCの間に生じるT2強調像での高輝度領域をGSと定義した.術前にGS陽性か陰性か判定し,手術時にSSc断裂の有無を診断し,GSの精度を検定した.<BR> GS陽性24肩・GS陰性18肩で,SSc断裂ありが23肩,なしが19肩.感度91.7%・特異度94.4%・PPV 95.6%・NPV 89.5%であった.<BR> GSはSSc断裂を予測する優れた方法といえる.
著者
原田 幹生 高原 政利 村 成幸 丸山 真博 大石 隆太 宇野 智洋 佐竹 寛史 結城 一声 鶴田 大作 高木 理彰
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.564-568, 2017

Lateral Scapular Slide Test(以下LSST)は,肩甲骨の位置を評価し,肩甲骨下角とその高さの脊柱との距離で示される.本研究の目的は,成長期の野球選手において,LSSTと関連する因子について検討することである.野球選手382名を対象とした(小学:185名,中学:133名,高校:64名).小中高の順序で,肩痛あり(26,29,44%),投球パフォーマンススコア(最悪0-100%最高)(80,79,70%)であった.LSSTは,小中高の順序で,投球側(7.8,8.5,9.5 cm),非投球側(7.8,8.4,9.3 cm),左右差(投球側と非投球側の差)(0.0,0.1,0.2 cm)であり,左右差が1 cm以上ある選手は(10,16,25%)であった.僧帽筋下部の筋力低下は,小中高の順序で,(23,58,45%)であった.LSST(左右差)は,中学生では関連する因子はなかったが,小学生では,投手,肩痛あり,および低い投球パフォーマンスと関連し,高校生では,投手と関連していた.LSST(左右差)は,小中高いずれにおいても,僧帽筋下部筋力と関連はなかった.
著者
原田 幹生 高木 理彰 村 成幸 丸山 真博 宇野 智洋 佐竹 寛史 鶴田 大作 結城 一声 大石 隆太 高原 政利
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.548-551, 2018

関節内インピンジメント(インピンジ)は,投球動作の肩外旋時に,腱板と後上方関節唇が接触し,肩痛を生じる病態である.本研究の目的は,中学野球選手に生じるインピンジの頻度を調べ,後方タイトネス(タイトネス)とインピンジの関係を検討することである.中学野球選手154名を対象とした.投球側の肩痛(なし0点-最悪40点)の平均点は8.0点(1~36)であった.タイトネスは59名(38%)であった.fulcrumテストとrelocationテスト陽性をインピンジとすると,12名(8%)に認められた.平均の肩痛は,いずれもなし(n=87):2.3点,タイトネス単独(n=55):3.6点,インピンジ単独(n=8):9.1点,両者の合併(n=4):26.0点であり,タイトネスとインピンジの合併は,他の3群に比べ,有意に高かった(p<0.05).インピンジにタイトネスが合併すると,肩痛が有意に強くなっていた.タイトネスのため,インピンジによって加わる腱板への圧力がさらに増大し,肩痛が強くなったと推測された.
著者
古屋 貫治 西中 直也 鈴木 昌 松久 孝行 小原 賢司 磯崎 雄一 大澤 一誉 田鹿 佑太朗 木村 亮介 筒井 廣明
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.593-597, 2019

<b>【目的】</b>プロ野球投手のメディカルチェック(MC)でみられる,MR画像のposterosuperior impingement(PSI)と身体機能 との関係は不明である.今回,PSIと当院で重視しているゼロポジション保持機能との関連性について検討した.<BR><b>【方法】</b>当院のMCで,2年連続でゼロポジション保持機能と投球側MR画像を調査しえたプロ野球投手8名を対象とした.ゼロポジション近似肢位での外旋筋力(Zero外旋),肘伸展筋力(Zeroリリース)を両側測定し,MR画像の経年変化でPSI不変群4例と増悪群4例を比較した.<BR><b>【結果】</b>両群ともZero外旋,Zeroリリース,Zero外旋/リリース比は左右差がなく,投球側のZero外旋/リリース比のみPSI増悪群で有意に高かった(p=0.0209).<BR><b>【結論】</b>PSIとZero外旋、Zeroリリースの筋力は相関がみられなかったが,投球側のZero外旋/リリース比には相関がみられた.画像でPSI所見がみられた場合は新たな障害発生のリスクとなる可能性があるため,注意深く経過を診ていく必要がある.
著者
遠藤 和博 佐原 亮 小出 将志 五十嵐 絵美 浜田 純一郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.487-490, 2016 (Released:2016-10-07)
参考文献数
7

肩疾患では関節可動域制限を有することが多く,上腕の回旋制限とも捉えられる.本研究の目的は,肩屈曲90度での上腕回旋角度を計測し,肩関節疾患別の可動域制限と上腕回旋制限の関係を調査することである.健常群10名20肩,症候性腱板断裂群(RCT群)9名10肩,凍結肩群(FS群)14名15肩を対象とした.肩屈曲90度の前腕回外,中間,回内位の3肢位で水平面を0度として各上腕回旋角度を計測した.前腕中間位での上腕回旋角度においてRCT群は健常群より14.4度有意に外旋していた.中間位と回外位間の上腕外旋角度は,健常群39.5±7.3度と比較しRCT群,FS群ともに有意に低下し,中間位と回内位間の内旋角度は健常群18.0±8.7度であり,FS群と有意差を認めた.RCT群は上腕が外旋方向にシフトし内旋可動域制限を生じ,FS群では上腕の内・外旋角度ともに制限が強いためすべての可動域制限が起こる.
著者
中野 幸雄 高田 直也 後藤 英之 松井 宣夫 藤森 修 山田 和順 杉本 勝正 大薮 直子
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.111-116, 1996-10-15 (Released:2012-11-20)
参考文献数
13
被引用文献数
1

PurposeThe anatomical characteristics and nerve distribution in the coracohumeral ligament(C-Hligament)and surrounding tissue were studied. The role of the ligament in periarthritis of the shoulder was assessed.Materials and Methods Specimens were obtained from 30 cases,50 joints at autopsy. The cases consisted of 14 males and 16females; with an age range from 29 to 98 years(mean 78 years). The C-H ligament and its surrounding tissues were excised en bloc.Paraffin sections, vibratome sections and whole mount preparations were made and subjected to immunohistochemical staining using NF, PGP9.5, SP and CGRP antibodies in order to the distribution of sensory nerve fibers.
著者
藤井 幸治 兼松 義二
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.549-553, 2003-10-30 (Released:2012-11-20)
参考文献数
8

The purposes of this study were to investigate the non and delayed union of diaphyseal fractures of the clavicle and to identify the risk factors associated with such problems. Two hundred three diaphyseal fractures of the clavicle were treated at our clinic from August 1987 to August 2000. Type2A fractures of Robinson's classification were forty-three and type2B were one hundred sixty. We treated all fractures conservatively till August 1990, but most fractures with complete displacement surgically since September 1990. The patients and treatment factors for nonunion and delayed union were analyzed statistically. All patients of type2A fractures with bony contact healed uneventfully. Two patients of type2B fractures without bony contact developed nonunion and five delayed union which was defined as healing more than five months. Two patients of nonunion were treated conservatively. One patient was thirty-nine years old and male.Another patient was fifty-seven years old, female and suffered from chronic hepatitis. Both fractures were displaced more than 20 mm after reduction. Two of five patients with a delayed union were treated surgically. One was fortyseven years old, male with a re-refracture and the other was sixteen years old, male with a refracture. The other three patients with a delayed union were treated conservatively and displaced more than 20 mm. In addition, their ages were fifty years or more. Most studies concerning the risk factors for nonunion focused on displacement In this study, displacements more than 20 mm were associated with poor prognosis of union the same as in our former studies. Furthermore age and refracture were considered as risk factors of a delayed union.
著者
福島 秀晃 森原 徹 三浦 雄一郎 甲斐 義浩 幸田 仁志 古川 龍平 竹島 稔 木田 圭重
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.776-780, 2019

腱板広範囲断裂(Massive Rotator Cuff Tears: MRCT)における上肢自動挙上可能例と不能例の三角筋・肩甲帯周囲筋群の筋活動を比較検討した.対象は健常者12名12肩(健常群),MRCT36名を上肢自動挙上可能な21名25肩(挙上可能群)と挙上不能な15名16肩(挙上不能群)とした.被験筋は三角筋前部・中部・後部線維,僧帽筋上部・中部・下部線維,前鋸筋とした.測定課題は肩関節屈曲0&deg;,30&deg;位を各5秒間保持し,分析は0-30&deg;間のR-muscle値を算出した.<BR> 三角筋各線維のR-muscle値は,挙上可能群と挙上不能群間において有意差を認めなかった.僧帽筋上部線維のR-muscle値は,健常群と比較して挙上不能群で有意に高値を示した(p < 0.05).また僧帽筋中部線維のR-muscle値は,挙上可能群と比較して挙上不能群で有意に高値を示した(p < 0.01).<BR> MRCTにおける三角筋各線維の筋活動は,上肢自動挙上の可否に影響しないことが示された.一方,僧帽筋中部線維の筋活動特性がMRCTにおける上肢自動挙上の可否に影響する可能性が示された.
著者
山田 均志 永井 英 鈴木 一秀
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.844-848, 2019

小中学生の投球障害肩の身体特性と保存療法における治療成績を検討することを目的とした.投球側肩痛を主訴に受診し,復帰までの経過観察が可能であった小中学生の野球による投球障害肩15例(平均12.4才)を対象とした.検討項目は単純レ線像の異常の有無により上腕骨近位骨端線損傷無し群(Pain群)と上腕骨近位骨端線損傷群(LLS群)の2群に分類し,機能低下部位,LLS群の骨端線修復までの期間,投球禁止期間,復帰までの期間を比較検討した.機能低下部位について2群間では有意差を認めなかったが,柔軟性やバランス能力などの機能低下を両群ともに高率に認めた.投球禁止期間,復帰までの期間はLLS群では有意に長期間を要した.投球障害の治療は単なる投球禁止のみではなく,メカニカルストレスの軽減や投球フォーム改善へ向けた柔軟性の獲得や機能低下部位に対する運動療法を行うことが重要であると考える.
著者
松木 圭介 菅谷 啓之 前田 和彦 森石 丈二 望月 智之 秋田 恵一
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.2, pp.213-215, 2007 (Released:2008-01-30)
参考文献数
6
被引用文献数
14

The purpose of this study was to examine the anatomy of the infraspinatus including the orientation of muscle fibers and the insertion to the greater tuberosity. Ninety-three shoulders from 52 cadavers were minutely dissected. After resection of the acromion and removal of the coracohumeral ligament, the infraspinatus muscle was carefully investigated macroscopically. After the orientation of muscle fibers was confirmed, the muscle was peeled from the proximal part to the distal part and the insertion of the infraspinatus tendon was examined. In 4 shoulders, muscle fibers were completely removed in water and the direction and insertion of the tendon were examined. The infraspinatus muscle originated both from the inferior surface of the spine of the scapula and the infraspinatus fossa, and inserted to the greater tuberosity. The muscle fibers originated from the spine were running dorsally and horizontally to the greater tuberosity. On the other hand, the fibers from the fossa were running ventrally and diagonally to the greater tuberosity. These fibers were merged at the insertion. The infraspinatus tendon had vast insertion to the greater tuberosity, and the most anterior part of the tendon was inserted to the most anterior portion of the greater tuberosity, bordering on the most anterior part of the supraspinatus tendon. The supraspinatus tendon is regarded as the most affected tendon in rotator cuff tears. However, the results of this study suggested that the infraspinatus tendon could be involved in the majority of rotator cuff tears. The infraspinatus may act not only in external rotation but also in abduction, because the infraspinatus tendon was inserted to the most anterior part of the greater tuberosity.
著者
小川 清久 皆川 邦直 松井 健郎
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.95-100, 1988-08-10 (Released:2012-11-20)
参考文献数
2
被引用文献数
1

Psychological factors have seemed to play an important role in voluntary shoulder dislocation. Nevertheless, there are no detailed reports of those who have received psychiatric treatment. We would now like to report the following 4 cases whose shoulder dislocations were caused as a manifestation of psychological factors.Case 1: 28 y. o., female. When the patient was about 16 years old, she dislocated both shoulders by minimal trauma; then, voluntary shoulder dislocation developed. She underwent five operations at a certain hospital from the age of seventeen. As the dislocation had recurred within 6 months postoperatively on each occasion, she visited our clinic. As we recognized split object relations, we told her to have a psychiatric examination. As a result, it became clear that she had a borderline personality disorder and the dislocation was a trend of autoclasia.Case 2: 22 y. o., female. This case is the similar disorder to Case 1, but, just a slight.Case 3: 15 y. o., female. Voluntary shoulder dislocation and pain appeared in her left shoulder two years ago. As her relations with her mother were unnatural, we recommended a psychiatric examination. The result clarified that an adjustment disorder during adolescence existed.Case 4: 23 y. o., female. Two years ago she suffered from traumatic dislocation caused by a traffic accident, and lost her fiance. Then, after she started going out with another man, dislocation of the shoulder began to occur at twilight accompanied by a syncope-like episode. Though it was spontaneously repositioned under general anesthesia, the dislocation occurred again when she came out from under the anesthesia. Therefore, we requested the cooperation of the psychiatric dept.. As a result, she was diagnosed as having hysterical neurosis.
著者
泉 政寛 池邉 智史 竹内 裕介 玉井 幹人
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.616-619, 2017

第1肋骨疲労骨折を2例経験したので報告する.2症例ともに高校野球の投手であった.投球後より右肩甲部の痛みを認め,単純X線にて第1肋骨疲労骨折の診断となった.1~2ヶ月間の投球禁止で疼痛は改善した.本骨折は,単純X線にて骨折部が不明瞭で,臨床症状においても特徴的な症状にも乏しく,初診時に診断に至らないことが多い.スポーツ選手における肩関節周囲の痛みでは第1肋骨疲労骨折を念頭に置き診断する必要がある.
著者
井手 淳二 森沢 佳三 山鹿 真紀夫 北川 敏夫
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.91-94, 1988-08-10 (Released:2012-11-20)
参考文献数
5

We have determined the effectiveness of muscular strengthening exercises of the rotator muscles for shoulder instability. These exercises are one of the conservative treatments for shoulder instability.As of y et, there have only been a few reports about the effectiveness of this procedure due to lack of data. So we have attemped to clarify this treatment and its effect. In this study, we will report on 11 cases-19 shoulders with inferior and/or multidirectional instability and 3 cases-3 shoulders with recurrent anterior dislocation.All the patients began isometric rehabilitation exercises and followed up using a Cybex machine and a grading system. As a result, we found muscular strengthening exercises to be effective and useful in 75% of the patients with inferior and/or multidirectional instability. Patients with recurrent anterior dislocation also had a good rate of response. However the success and effectiveness of this technique has certain limitations.We should first try muscular strengthening exercises of the rotator muscles in the treatment of shoulder instability.
著者
中道 憲明 松村 昇 塩野 将平 丹治 敦 戸山 芳昭 池上 博泰
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.31, no.3, pp.477-480, 2007

There are numerous reports of success with an open Bankart repair, using low recurrence of dislocation. Few studies indicate that subscapularis (SSC) tenotomy may result in postoperative SSC insufficiency. The purpose of this research was to measure the subscapularis muscle strength, muscle area and signal intensity by magnetic resonance imaging after the open Bankart procedure.<BR>A total of 22 patients were observed prospectively for a mean of 33 months (range 17-51 months). There were 11men and 1woman. The mean patient age at the surgery was 22.8 years old (range, 18-36 years old). All patients were right-handed. 8 patients had injured their shoulder of their dominant extremity. Internal rotation (IR) at 45 degrees abduction was at 60 degrees per second. The peak torques of both extremities was measured at the day before the operation, 6 months and 12 months after the operation. We calculated the ratio of the affected side to the unaffected side. The peak torques of ER and IR of the pre-operation were 13.5% and 18.5% respectively lower than those of the unaffected side. The peak torques of ER and IR that were measured at 6 months after the operation were 27.6% and 21.1% respectively lower than those of the unaffected side. The peak torques of ER and IR that were measured at 12 months after the operation were 18.4% and 0.2% respectively lower than those of the unaffected side. The area at 12 months after surgery was not significantly different from the preoperative area. However, the signal intensity at 12 months after surgery was significantly higher than that in the preoperative signal intensity. An open Bankart procedure using an L-shaped tenotomy approach did not decrease SSC muscle strength and volume. This procedure approach may lead to the deterioration of the subscapularis muscle.
著者
幸田 仁志 甲斐 義浩 来田 宣幸 山田 悠司 三浦 雄一郎 福島 秀晃 竹島 稔 森原 徹
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.548-551, 2019 (Released:2019-09-18)
参考文献数
13

地域在住高齢者を対象に,腱板断裂,肩痛の自覚症状,他覚症状のそれぞれの有無により健康関連QOLを比較検討した.地域在住高齢者363名を対象とした.測定項目は,超音波診断による腱板断裂,アンケートによる肩痛の自覚症状,impingement signによる他覚症状の有無,SF-8の下位尺度およびサマリースコアとした.統計解析はMann-Whitney の U 検定を用い,それぞれの陽性群と陰性群で健康関連項目を比較した.肩痛の自覚症状の陽性群は,身体機能,日常役割機能(身体),体の痛み,全体的健康感,活力,身体的健康感が有意に低値を示した.他覚症状の陽性群は,身体機能,体の痛み,全体的健康感,活力,身体的健康感が有意に低値を示した.腱板断裂の有無では,いずれの項目にも有意差は認められなかった.地域在住高齢者の健康関連QOLには,腱板断裂の有無は直接的に関与せず,肩痛の自覚症状や他覚症状によって低下することが示唆された.