著者
川本 稔己 山崎 天 坂田 亘 佐藤 敏紀
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.131-136, 2021 (Released:2021-11-20)

本稿では、対話システムライブコンペティション4のシチュエーショントラックに提出した対話システムについて述べる。本システムはTransformerをベースとした言語モデルの「HyperCLOVA」を用いて応答生成を行った。言語モデルには対話履歴だけでなく、状況や発話者のペルソナをFew-Shotのプロンプトとして入力することでシチュエーションに沿った応答生成を可能にした。また、シチュエーションに沿わない応答を生成した場合に備えて、応答開始語句を指定した後に再度生成を行う機構を備えている。その結果、本システムは予選で2位の成績を収め、日本語の大規模言語モデルがシチュエーションに沿ったタスク指向対話の応答生成に有用であることを確認した。一方で、生成文には時折Hallucinationが起こることにより、発話の信頼性や対話の一貫性に未だ課題が残る。本稿では、予選の対話ログを参照し課題の議論を行う。
著者
武田 海人 松吉 俊 兼松 祥央 三上 浩司
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 96回 (2022/12) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.03, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)

本研究では簡易なゲームシナリオを対象とし、テーブルトークロールプレイングゲーム(TRPG)の司会進行役であるゲームマスターをテキストチャットにより演じるAIを試作した。TRPGは対話とダイスを振った結果により進行するゲームである。複数プレイヤーが参加し、分身となるキャラクターのロールプレイを通して問題や謎を解決する。ゲーム内の行動は対話で宣言し、行動の成否はダイスの出目とキャラクターの能力値を比較し決定する。ゲームマスターは対話によりシナリオの描写を行い、プレイヤーの発話や行動に応じて適切な対応と発話をしなければならない。本研究ではプレイヤーの行動可能範囲が限定され、ゲームマスターが担当する人間キャラクターが存在しない簡易なシナリオを作成した。そのシナリオを用いて経験者、素人、本研究のAIの3者のゲームマスターが、協力的、非協力的なプレイヤー群に対しTRPGを進行した実験について報告する。
著者
中野 幹生 駒谷 和範
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 第96回(2022.12) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.39, 2022-12-01 (Released:2022-12-01)

対話システムは,様々な技術を統合して構築されるため,情報技術教育の題材として有効であると考えられる.しかしながら,既存の対話システム構築フレームワークは,情報技術教育を目的としたものではないため,必ずしも初学者が学習目的で使うのに適しているとは言えない.そこで我々は,拡張性の高いアーキテクチャをもち,可読性の高いコードで書かれた対話システム構築フレームワークDialBBを開発している.DialBBは,ブロックと呼ぶモジュールを組み合わせることで対話システムを構築できるフレームワークである.システム開発者は,DialBB付属のブロックを用いることで簡単にシステムを構築できるが,自作のブロックを用いることで高度なシステムを構築することもできる.DialBBを対話ロボットコンペティション2022用のシステムの構築に利用してもらい,対話システム構築フレームワークとしての有用性を確認した.
著者
田中 陸斗 高木 友博
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 95回 (2022/09) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.47-52, 2022 (Released:2022-09-01)

深層学習を利用した対話システム構築において対話データの質と量は重要である.しかし,日本語の対話コーパスは大規模なものが公開されておらず,限られたデータしかないといった問題がある.また,コーパスを用いてend-to-endに学習したモデルはありきたりで短い応答をすることが多く,生成文の多様性が少ないといった問題もある.これらの問題を克服するために,本研究では非会話文を活用して対話データを増やすことで対話モデルの多様性の向上を試みる.ここで言う非会話文とは,web上の文章や小説の台詞などの対話の形式として整えられていない文のことであり,対話データと比較して収集が容易である.逆翻訳とサンプリング生成を用いて非会話文から対話データを増やし,不適切な対話を除去するためのフィルタを通すことでより質の高いデータを獲得する.増やしたデータを加えて対話モデルを学習させた結果,生成文の多様性の向上が見られた.
著者
井上 恵彰 谷津 元樹 森田 武史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
vol.94, 2022

<p>ユーモアを含む直喩表現生成における課題として直喩表現の質が挙げられる.先行研究より,ユーモアには,意外性,新規性,具体性の3つの要素が含まれると考えられる.本研究では,これら3つの要素を考慮したユーモアを含む直喩表現生成システムの実装を試みる.意外性を実現するために,京大格フレーム及びword2vecを利用し,新規性を実現するために,twitterの最新ツイートを取得し,具体性を実現するために,JUMAN7.0の形態素解析を用いて固有名詞抽出を行った.20~24歳の男女110人の被験者を対象に,直喩表現として成立しているかどうか,最もユーモアのある直喩の選択,直喩に意外性,新規性,具体性が認められるかの3つの評価を行った.結果,意外性,新規性,具体性全てを実現した直喩が最も直喩表現として成立していた.また,最もユーモアがあると評価された直喩は,意外性と具体性のみを実現した直喩であった.</p>
著者
中矢 明歩 岡本 雅史
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 94回 (2022/3) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.13, 2022-02-25 (Released:2022-02-25)

本研究では、複数の会話参加者が同時に話す発話の重なり箇所を「発話重複」と定義し、オンライン会話における先行発話への「阻害」に着目して発話重複の機能を解明することを目的とする。また対面会話との違いを考察し、それぞれの発話重複の回避の仕方についても明らかにする。日常的な会話場面の1つである4人組の「飲み会場面」を取り上げ、対面会話2組、オンライン会話2組の映像を観察した。発話重複の回数や生起箇所、言い止めの生起頻度などを定量的に分析し、その後発話重複による先行発話への阻害の有無を、発話内容や発話重複が生起するタイミングに即して定性的に考察した。その結果、オンライン会話は対面会話よりも先行発話への阻害の機能をもちやすく、発話重複の中でも「自己選択競争による同時発話」、「割り込み・意図的介入」、「TRPの誤認」、「ターンを要求しない発話」による重複は阻害のある発話重複になりやすいことが示唆された。
著者
中辻 真 立石 修平 小瀬木 悠佳
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.174, 2021

<p>NTTレゾナントは「教えて!goo」における恋愛相談AIオシエルや、日本テレビ社に提供したキャラクタチャット「AI菜奈ちゃん」など、多くの対話サービスを提供してきました。対話AIは広く普及し、現在では、様々なサービスをユーザが享受する際のインタフェースとして不可欠となっています。本講演では、レゾナントが進める、「音声、映像、言語の3モダリティを統合し、対話、ユーザ代行など、幅広いサービスを支える基盤となるAIアルゴリズムAPIサービスを紹介します。AI suiteにより、クライアント企業様の希望するサービスを迅速に構築できます。今回、本基盤を支えるPersonalized AI技術やマルチモーダル技術も紹介し、映像、音声、言語を統合した対話例とし、「ユーザアバタとAIキャラクタのエンタテイメント会話デモ」と「雑談を交えユーザ代行を行うAI」を紹介します。</p>
著者
白井 宏美
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
vol.93, pp.137-142, 2021

<p>第4回対話システムライブコンペティション予選1位通過において,本システムは「気遣いができるところが人間らしい」というコメントを多く得ることができた.人間らしい会話に求められる「気遣い」とは何か,語用論の知見をどのように活かして気遣いができる対話システムを作ったのかについて述べる.</p>
著者
信田 春満 張 磊 笠原 健治
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.165-166, 2021-11-20 (Released:2021-11-20)

世界初の「ディープラーニング技術を用いて言語生成し会話する家庭用コミュニケーションロボット」として認定された自律型会話ロボット Romi とその技術について紹介する.本稿では Romi の紹介と全体的な技術要素の構成の説明を行い, Romi の主要な2つの会話エンジンである ScenarioGraph と Cooper について説明する.ScenarioGraph はルールベースの会話を行うエンジンで主に天気予報を聞くなど機能的な会話に使用され, グラフで表現された会話ルールに従って会話を行う. Cooper は Romi のおよそ9割の会話を担う Transformer ベースの会話エンジンであり, Encoder 部分と Decoder 部分を統合することで比較的小さなサイズのモデルでも高品質な会話を短いレスポンスタイムで行えるよう工夫されたモデルである.しかし,このようなシステムのペルソナは初めに設定されたもので固定されており,事前に設定されたプロファイルから自動的に更新することができない.例えば,条件づけられていないペルソナについての質問がシステムに入力された場合には,システムが新たなペルソナを含んだ発話を生成する可能性がある.そのため,システムが一貫した対話を行うにはこのような新たなペルソナも考慮する必要がある.そこで本研究では,ペルソナ対話システムが発話履歴に応じて自身のペルソナを自動で更新するという新たな問題設定を考え,これを実現するために,ペルソナ追加機構を持つペルソナ対話システムを提案し,その際に起こりうる問題の影響の調査を行った."
著者
山本 賢太 井上 昂治 河原 達也
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会研究会資料 言語・音声理解と対話処理研究会 93回 (2021/11) (ISSN:09185682)
巻号頁・発行日
pp.09-14, 2021-11-20 (Released:2021-11-20)

ロボットなどの音声対話システムにおいて人間らしい対話を実現するために重要な要素としてキャラクタ表現がある.状況やユーザに応じてキャラクタを使い分けることで,ユーザの対話に対する満足感が向上することが期待される.先行研究では,システムのキャラクタは事前に設定されている.本研究では,ユーザのパーソナリティに応じてシステムのキャラクタを使い分けるユーザ適応の実現を目指す.キャラクタはパーソナリティ尺度を用いて定義する.はじめに,WOZ法で収録したロボットと人間との1対1対話のデータに対する印象評定実験を実施した.対話動画を視聴して,ロボットと人間に対してそれぞれのパーソナリティと両者の相性の印象評定をしてもらった.パーソナリティの評定結果をクラスタリングし,分類結果と相性評定結果との関係を分析した.その結果,ユーザのパーソナリティに対して相性のよいキャラクタの組み合わせがいくつか確認された.