著者
小原 丈明
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.162-172, 2019-03-15 (Released:2020-04-22)
参考文献数
7
著者
藤塚 吉浩
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.34-42, 2015 (Released:2019-04-07)
参考文献数
30

本稿では,2000 年代のブルックリンにおけるジェントリフィケーションの変化とその影響について検討した.ウィリアムズバーグにおける創造的活動を確認し,アーティストに利用される歴史的建造物や,倉庫を改装した音楽ホールがつくられるとともに,地区の工業景観をモチーフにしたブランド商品が開発された.イースト川沿いの工場や倉庫跡地の再利用のために,2005 年にゾーニングの変更が行われたが,一部の地域に効果は限られ,全域には及んでいなかった.アフォーダブルな住宅の供給により,許容される容積率は追加されたが,住宅の価格差が大きく,住民間の格差が顕在化した.規模の大きな開発は地域の住民構成を大きく変えることとなり,マイノリティの住民を立ち退きさせる結果となった.
著者
山下 亜紀郎 山元 貴継 兼子 純 駒木 伸比古 李 虎相 橋本 暁子
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.140-151, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本稿では,「チェミン済民チョン川生態河川造成事業」が実施された韓国中部の地方都市,コンジュ公州市の旧市街地の南縁にあたる,近年まで衰退傾向にあった地区を対象に,店舗の業種構成や景観変化の特徴を把握し,そこに,同地区における地域活性化策や住民の取り組みがいかに関わっているのかを明らかにすることを目的とする.調査対象範囲は,公州市の旧市街地南部の地区である.近年の店舗・事業所等の分布と業種構成およびその変化については, 2017 年3 月と2019 年2 月に実施した建物悉皆調査に基づいて把握した.また,公州市における近年の景観をめぐる動向については,公州市庁の景観に関わる施策を担当する部署への聞き取り調査と資料収集,および,歴史的な建築物や街路を活用した取り組みを行っている地域住民や店舗への聞き取り調査を実施した.店舗・事業所等の全体的な業種構成や分布特性には,2017 年から2019 年の間で大きな変化はみられなかったものの,全店舗・事業所等のうち約4 分の1 にあたる78 件で,店舗の入れ替えや土地利用としての変化が生じていた.この2 年間で空店舗化したところも少なくなかったものの,空店舗に新たに入居した店舗等もみられた.それらは調査対象範囲北側のかつての繁華街であった旧市場町でより顕著であった.一方で,商業地域としては衰退傾向にある調査対象範囲南側や,済民川左岸側においても,店舗の入れ替えや新規出店が少ないながらもみられた.調査対象範囲を中心とした景観をめぐるさまざまな取り組みをまとめると,公州市の旧市街地南部では近年,河川や建築物や「コルモッキル」といった景観構成要素が,一部では保存されつつ,一部では改変されたり新しく創造されたりすることで,古きものと新しきものとが混在した都市景観が形成されつつある.このように新旧混在した景観こそが,韓国の地方都市で衰退傾向にある地区における,地域活性化の活力を体現する個性といえるのかもしれない.古きものを守り活かす活動と,新しきものを創造する事業とが並行しながら,現在の,そして将来の公州市旧市街地南部における独自の景観が造られていくのであろう.
著者
張 耀丹 阿部 康久
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.152-162, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
24

日本国外に居住する中国人の個人投資家を対象としたインタビュー調査に基づいて,住宅購入の動機や購入する住宅の形態・購入地域について検討した.研究手法として日本で住宅を購入した中国人海外不動産投資家 21 人にインタビュー調査を実施した.調査対象者が日本の住宅を購入した動機や背景として,①他の国・地域と比較検討した上で日本での住宅購入を選択した「投資効率重視型」と,②最初から何らかの理由で日本に対して関心があり,日本の住宅に絞って購入を検討した「日本指向型」の2 つのパターンがみられる.また,調査対象者が購入した住宅の選定基準としては,賃貸収入の利回りや将来的な安定性といった資産価値を重視しながら住宅を選定した人が多いといえる.購入した住宅の類型として,資産価値が下がりにくいと考えられている中古マンションを選択した人が多く,賃貸収入を得て運用することを前提として住宅を購入した人が多いといえる.購入した地区の地理的な特徴として,中心市街地や商業施設への利便性が高い地域が好まれ,特に住宅の資産価値が高く,将来的にも資産価値を維持しやすいとみられる大阪市と東京都を中心に住宅を購入した調査対象者が多い.とりわけ,大都市の中でも,大阪市の住宅への投資が人気化している可能性がある.その理由として,「大阪市の知名度の高さ」と「将来の発展性への期待感」に加えて,「東京に比べると住宅価格が低い点」を評価して購入した点が指摘できる.
著者
佟 亜斉娜
出版者
The Japanese society of Urban Geography
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.163-174, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
20
被引用文献数
2

本研究は,在留資格「特定活動」によって受入れた準熟練労働者と見られるEPA 介護福祉士候補者,在留資格「介護」によって受入れた熟練介護福祉士,技能実習制度によって受入れた介護職種の非熟練技能実習生及び在留資格「特定技能1号」によって受入れた介護分野の非熟練介護労働者の受入制度について政策分析を行った.日本の少子高齢化と生産年齢人口減少を背景に,量的分析に基づき,各受入制度の目的,要件,外国人介護人材への就労待遇,受入れ現状からみる地理的分布と地域格差等に対して分析を行った.
著者
杉浦 芳夫
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.1-46, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
217

Christaller は1933 年に『南ドイツの中心地』を出版した直後に,ドイツの行政領域再編を論じた論文を親ナチ的地理学雑誌に発表した.そして1934 年以降,ベルリン大学において国家学・歴史地理学を専門とする急進的民族主義者Walther Vogel の「ドイツ帝国歴史アトラス」作製プロジェクトに加わる一方で,ナチスに協力的な同大学自治体学研究所でも研究に携わった.これらの経験を踏まえて,Christaller はナチスの教育行政方針と親和性がある自治体地理学(Kommunalgeographie)を提唱するに至る.自治体地理学の実証研究事例が,後にフライブルク大学において教授資格請求論文として認定された,1937 年出版の『ドイツ帝国における農村集落様式といち場ばまち(=その自治体組織との関連性』であった.Christaller はこの著書において,市町M 段階中心地)を核とする 市場統一体に基づく農村自治体再編論を展開し,実際に市場統一体シェーマに沿った大規模な農村集落建設を実現し得る場は,入植地確保の点から見て東欧などの国外にしかないことを暗に認めている.さらに,市場統一体の幾何学的模式図(=農村集落システム理念図)にはドイツ農村に特徴的な集落や農地,林地といった景観的要素が描き加えられており,この景観への配慮はChristaller を抜擢した東方占領地総合計画(Generalplan Ost)の統括責任者Konrad Meyer が目論んだドイツ景観の東方地域への移植計画と符合するものであった.
著者
田端 幸朋
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.47-58, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
46

クリスタラ-の中心地理論の三原理相関に基づく空間構造形成論については,その論理的な妥当性の論証は十分ではなく,歴史的,実証的研究が必要とされる. これまでの中心地体系の動態研究は分析手法の精緻化が図られ,日本における中心地体系変容の歴史的過程を明らかにしてきた. しかし,そこでは中心地体系内の中位,下位階層の地域をめぐる「都市と農村」の関係を踏まえた実体的な把握,三原理相関に基づく構造変容の様態分析が今後の課題として残されている.
著者
本多 広樹
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.59-75, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
21

本稿は,スマートシティ政策における先端技術のユーザー,特に地域のユーザーの役割を明らかにすることを目的とした.そして,研究の枠組みとして,空間スケール,ユーザー,普及プロセスの3 つの軸を設定し,これらを組み合わせて分析および考察を行った.横浜市は,「次世代エネルギー・社会システム実証事業」の対象地域に国によって選定され,さまざまな取組みを実施してきた.その中では,HEMS(家庭用エネルギーマネジメントシステム)をはじめとした先端技術の普及が計画され,実証事業の期間中に企業や個人のユーザーが増加し,計画はほぼ達成された.HEMS の普及には,各ユーザーが従来有していたネットワークや,実証事業によって新たに生じたネットワークが影響していた.特に地元地域のユーザーは独自のネットワークを有し,スマートシティ政策を行う行政や中核企業とは異なる別の地域へ先端技術を普及させていた.実証事業の終了後は,行政や中核企業からの働きかけは弱体化した一面もある.しかし,その後も実証事業中の知見を活かし,HEMS の新たな活用方法を考案,実践する地域のユーザーが存在することも明らかになった.
著者
藤塚 吉浩
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.91-99, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
23

本稿では,社会主義後のブダペストにおけるツーリズムジェントリフィケーションの影響について検討 した.第二次世界大戦後,社会主義をとったハンガリーでは,住宅は接収され再配分された.社会主義体制下のブダペストでは,インナーシティの住宅は十分な管理が行われずに衰微した.1960 年代後半には住宅の所有が認められるようになり,1980 年代に大規模な修復が行われた街区では,若い知識階級が来住した. 社会主義体制後には,政府所有の住宅を居住者に安価で売却する,住宅の私有化が行われた.状態の悪い住戸の多いVII 区では,住宅の私有化は進まず,大半が政府所有のままで残った.老朽化した建物を再利用する廃墟バーが2004 年に始まったが,退廃的な雰囲気の中でアートの場としても注目を浴びた.廃墟バーは人気を博し, 2010 年代には国外から多くの観光客が訪れるようになった.夜間の廃墟バー周辺の騒音に悩まされる地域住民は,居場所を脅かされており,夜間のツーリズムの拡大がジェントリフィケーションを惹起したのである.
著者
奥野 聡子
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.100-109, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
40

インナーシティでは住民の高齢化,住宅の老朽化が進み,空き家や空閑地が増加してきたため,その再生利用が重要な課題となっている.大阪市城東区蒲生4丁目界隈では,空き家となった木造長屋を飲食店へとコンバージョンする再生活動が進められてきた.本稿では,蒲生4丁目界隈での空き家・空閑地の実態を調査・分析し,起業家による再生活動が進展してきた過程について検証した.また,再生活動が誘因となった,大企業資本によるチェーン店の増加と,近隣商店が減少したことを明らかにした.当地区は新たな商業集積により再活性化する一方で,近隣に高層共同住宅が建設されたり,増加するチェーン店の原色の看板が設置されたりと,低層の住宅地景観との不調和がみられる.さらに,住宅地に酒類を提供する店が増え,酔客によるトラブルやごみの散乱,近隣商店の立ち退きなど,住民の生活環境への影響が表出してきたことを示した.
著者
大島 規江
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.110-117, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
17

本稿は複雑な歴史をたどってきた台湾の台北市を事例に,近年における台湾の本土化の流れで行われてきた古蹟指定と歴史的遺物の取り扱いに着目し,台湾の政治・経済・文化の中心である台北市中心部である中正區におけるマルチ・エスニックな台湾の表象について明らかにする.台湾においてはその複雑な政治情勢から,人々の意識は歴史的遺物に対して積極的に向けられてこなかった.しかし,1980 年代からの民主化の流れのなかで,次第に台湾独自の経験に目が向けられるようになり,日本による植民地支配をも台湾固有の経験,すなわち台湾の歴史の一部として客観的に受け入れるようになった.1980 年代に古蹟指定された物件はすべて清朝時代の歴史的遺物であったが,1990 年代には日本時代の遺物も古蹟指定がなされるようになった.台北市は他の都市よりも政治性をはらんだ歴史的遺物が数多く残存し,民主化以降,その可視化が顕著にみられる.
著者
塩谷 香帆 蓑 豪輝 鈴木 健斗 山元 貴継
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.129-139, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
8

用途規制の厳しい大都市圏では1990 年代以降,立地規制の緩い工場跡地に大規模な複合商業施設が多くみられてきた.そうした施設は,多くの自動車の行き来に対応していなかった施設周囲の道路で交通渋滞などを発生させないよう,さまざまな事前対策を練って立地している.そこで本調査では,静岡県浜松市浜北区の工場跡地に立地した「プレ葉ウォーク浜北」による対策を紹介した上で,それらの対策がどのように発揮されているのかを,現地での実際の利用者(車)の動きについての計測で確認した.その結果,圧倒的に多くを占める近隣からの利用者の乗った自動車が,施設側の誘導する特定の駐車場入口から入場する一方で,遠距離からの自動車が,施設側が誘導していない入口からも相対的に多く入場していることが明らかとなった.また,施設側が誘導していない駐車場入口からの自動車の入場は,昼食時に加えて,施設で行われていた各種イベントの直前の時間帯に集中しやすかった.
著者
新庄 勉
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.89-98, 2019-03-15 (Released:2020-04-22)
参考文献数
23

小売市場は地域住民の食料品の購入先として日常生活に欠かせない商業施設であったが,流通業近代化や 1990 年代の規制緩和などによって,新たな商業施設の立地や新たな小売業態の誕生に対応できずに,小売市場の零細小売業者の多くは廃業することになった.その結果,小売市場内に多くの空き店舗が発生し,小売市場は衰退した.小売市場内の空き店舗は長期間使用されなくなり,老朽化して危険な状態になっている.小売市場の店舗は棟続きで建てられているために,市場通路は薄暗く,老朽化した小売市場では通路の天井に穴が空くなど,防犯・防災上も危険な状態となっている.研究対象とした尼崎市の小売市場では,これまで火災が発生すれば全焼し,近隣住宅にも延焼していた.
著者
福井 一喜 金 延景 上野 李佳子 兼子 純
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-70, 2016 (Released:2019-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
3

本研究は,長野県佐久市の岩村田本町商店街を事例として,地方都市における中心商店街の取組みを調査することにより,新規店舗の開設と新規事業の創出による商店街活性化の方策を明らかにした.中山道の宿場町として発展した事例商店街では高速交通網の整備にともなって,隣接する郊外地域に大型店中心の商業集積が形成されたものの,それに先んじて商店街組織の世代交代を進め,空き店舗を活用した新規店舗の開設と新規事業創出を進め,地域住民の生活を支援する商業的・社会的機能を再構築した.こうした取組みを成立させることができた方策として,①地域貢献を使命とするビジョンの確立とそれを具現化するリーダーシップ,②その基盤となる世代を中心とした地域的連帯の活用,③新店舗や新事業の創出に向けた外部人材と小規模店舗の積極利用が挙げられる.
著者
福井 一喜 金 延景 上野 李佳子 兼子 純
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-70, 2016

<p> 本研究は,長野県佐久市の岩村田本町商店街を事例として,地方都市における中心商店街の取組みを調査することにより,新規店舗の開設と新規事業の創出による商店街活性化の方策を明らかにした.中山道の宿場町として発展した事例商店街では高速交通網の整備にともなって,隣接する郊外地域に大型店中心の商業集積が形成されたものの,それに先んじて商店街組織の世代交代を進め,空き店舗を活用した新規店舗の開設と新規事業創出を進め,地域住民の生活を支援する商業的・社会的機能を再構築した.こうした取組みを成立させることができた方策として,①地域貢献を使命とするビジョンの確立とそれを具現化するリーダーシップ,②その基盤となる世代を中心とした地域的連帯の活用,③新店舗や新事業の創出に向けた外部人材と小規模店舗の積極利用が挙げられる.</p>
著者
阿部 康久 李 商益
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.71-79, 2016

<p>中国・延辺朝鮮族自治州の延吉市を対象として,情報サービス産業の進出と停滞について従業員の雇用条件等に注目して検討した.調査結果として,延吉市内には,主に国内企業や韓国企業を中心に情報サービス産業のある程度の立地がみられる.同市への企業進出は2006 年頃から顕著になり始めたが,当初は,韓国語を理解できる朝鮮族住民が多く,しかも賃金水準が低かったことが進出の大きな要因となっていた.しかしながら, 2008 年以降は,リーマンショック等の金融危機が起こったことに加えて,賃金水準の上昇が顕著になったことで一部の進出企業では経営状況が悪化するものや撤退するものもみられた.一方,賃金水準は以前に比べると上昇しているものの,国内の他地域や海外を勤務地とする求人に比べると依然として低い水準にあることが分かった.この要因として,求人の職種や勤務内容をみると,高賃金が期待できるものが少ないことが指摘できる.</p>
著者
橋田 光太郎
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.59-68, 2006 (Released:2020-02-29)
参考文献数
2

北九州市は,5市(門司・小倉・八幡・戸畑・若松)が1963年に対等合併して誕生した.しかし,合併に伴う旧自治体の確執で,効果的な施設配置や重点的な都市開発が展開できなかった.1988年,末吉現市長は「北九州ルネッサンス構想」1)でそれまでの多核都市構想を見直し,都心を小倉,副都心を黒崎に位置づけた都市構想に街づくりの方針を変更した.本研究ではその小倉の中心部,つまり小倉都心部の都市景観の特色と変容を,2~3時間歩いて見て周るという設定で,JR小倉駅を出発点に記述する(図1).