著者
兼子 純
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Ser. A (ISSN:00167444)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.783-801, 2000-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
22
被引用文献数
2

本研究は,ホームセンター (HC) チェーンにおける出店・配送システムの空間構造を解明することを目的とする.新潟県に本部を置くK社を事例企業として,その施設の立地展開と,商品の配送システムを分析した.その結果,発注情報が事業本部への一極集中型を示すのに対して,配送はその商品特性により,重層的な空間構造を形成していることが明らかになった.物流センターから各店舗への配送では,夜間,午前,午後の配送時間帯による配送範囲の形成が認められた.これは, (1)商品回転率が低いこと,(2)食品を扱わないこと,(3)配送時に混載が可能であること,(4)配送時間帯が柔軟であること,といったHCの商品特性により,物流費を削減する取り組みを反映した結果である.商品の鮮度や形状を重視する園芸関連商品や重量のある建築用ブロックは, K社物流センターには集約されず相対的に配送範囲が細分化されている. HCチェーンの運営は,物流費の低減にその重点が置かれており,多店舗化・広域化という出店行動を規定している.
著者
野尻 亘 兼子 純 藤原 武晴
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.85, no.1, pp.1-21, 2012-01-01 (Released:2016-12-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1

日本における自動車部品の中・長距離のジャスト・イン・タイムによる物流システムは,特にオイルショック以降,多品種生産,フレキシブルな生産への移行,通信情報システムの発達,完成車工場立地の広域化を背景として,完成車メーカー,部品サプライヤー,その物流子会社やサード・パーティー・ロジスティクス(3PL)相互の協力により形成された.各部品サプライヤーからミルクラン方式で集荷する集散地の集荷物流センターと,完成車工場近くで,部品の仕分け・定時多回納入を行う配送納入センターを設け,その間は大型車で幹線集約輸送をする.それは,積合わせによる幹線輸送における規模の経済の実現と,きめ細かな仕分けや多頻度配送を可能とする範囲の経済を同時に実現するフレキシブルな物流システムである.各部品メーカーが物流コストを負担し,多様な物流が展開している本田技研熊本製作所と,完成車メーカー側が物流コストを負担して,3PLを元請にして集荷している三菱自動車水島製作所の具体的事例について比較,考察した.
著者
李 虎相 兼子 純 駒木 伸比古
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.199-208, 2018 (Released:2018-04-13)

本稿は,韓国の基本的な人口動態を明らかにするとともに,少子高齢化の進展する日韓の地方都市に対する活性化策について検証することを目的とする。韓国国内の地域別の人口分布とその変化についてみると,首都ソウルおよび首都圏への一極集中が進んでおり,それらの地域以外からの人口流出によって都市間格差が拡大している。首都圏に隣接する忠清南道の都市群を事例として,その人口動態を分析した結果,首都圏に近接して位置する人口規模の大きい都市ほど人口増加を示す一方で,下位都市では大幅な人口減少を示しており,道内部でも二極化する構造が明らかとなった。加えて本稿では,そうした都市間格差を是正するための日本と韓国における都市活性化策について,特に2000年代以降の地方都市への施策を比較・検討した。両国に共通する特徴として,1990年代の景気後退の影響により,政策の方向性が経済成長を前提とした国家主導型から,低成長時代を見据えた地域主導型に転じていることを指摘できる。
著者
山下 亜紀郎 山元 貴継 兼子 純 駒木 伸比古 李 虎相 橋本 暁子
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.140-151, 2020-03-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
9
被引用文献数
1

本稿では,「チェミン済民チョン川生態河川造成事業」が実施された韓国中部の地方都市,コンジュ公州市の旧市街地の南縁にあたる,近年まで衰退傾向にあった地区を対象に,店舗の業種構成や景観変化の特徴を把握し,そこに,同地区における地域活性化策や住民の取り組みがいかに関わっているのかを明らかにすることを目的とする.調査対象範囲は,公州市の旧市街地南部の地区である.近年の店舗・事業所等の分布と業種構成およびその変化については, 2017 年3 月と2019 年2 月に実施した建物悉皆調査に基づいて把握した.また,公州市における近年の景観をめぐる動向については,公州市庁の景観に関わる施策を担当する部署への聞き取り調査と資料収集,および,歴史的な建築物や街路を活用した取り組みを行っている地域住民や店舗への聞き取り調査を実施した.店舗・事業所等の全体的な業種構成や分布特性には,2017 年から2019 年の間で大きな変化はみられなかったものの,全店舗・事業所等のうち約4 分の1 にあたる78 件で,店舗の入れ替えや土地利用としての変化が生じていた.この2 年間で空店舗化したところも少なくなかったものの,空店舗に新たに入居した店舗等もみられた.それらは調査対象範囲北側のかつての繁華街であった旧市場町でより顕著であった.一方で,商業地域としては衰退傾向にある調査対象範囲南側や,済民川左岸側においても,店舗の入れ替えや新規出店が少ないながらもみられた.調査対象範囲を中心とした景観をめぐるさまざまな取り組みをまとめると,公州市の旧市街地南部では近年,河川や建築物や「コルモッキル」といった景観構成要素が,一部では保存されつつ,一部では改変されたり新しく創造されたりすることで,古きものと新しきものとが混在した都市景観が形成されつつある.このように新旧混在した景観こそが,韓国の地方都市で衰退傾向にある地区における,地域活性化の活力を体現する個性といえるのかもしれない.古きものを守り活かす活動と,新しきものを創造する事業とが並行しながら,現在の,そして将来の公州市旧市街地南部における独自の景観が造られていくのであろう.
著者
福井 一喜 金 延景 上野 李佳子 兼子 純
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-70, 2016 (Released:2019-05-31)
参考文献数
14
被引用文献数
3

本研究は,長野県佐久市の岩村田本町商店街を事例として,地方都市における中心商店街の取組みを調査することにより,新規店舗の開設と新規事業の創出による商店街活性化の方策を明らかにした.中山道の宿場町として発展した事例商店街では高速交通網の整備にともなって,隣接する郊外地域に大型店中心の商業集積が形成されたものの,それに先んじて商店街組織の世代交代を進め,空き店舗を活用した新規店舗の開設と新規事業創出を進め,地域住民の生活を支援する商業的・社会的機能を再構築した.こうした取組みを成立させることができた方策として,①地域貢献を使命とするビジョンの確立とそれを具現化するリーダーシップ,②その基盤となる世代を中心とした地域的連帯の活用,③新店舗や新事業の創出に向けた外部人材と小規模店舗の積極利用が挙げられる.
著者
福井 一喜 金 延景 上野 李佳子 兼子 純
出版者
日本都市地理学会
雑誌
都市地理学 (ISSN:18809499)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-70, 2016

<p> 本研究は,長野県佐久市の岩村田本町商店街を事例として,地方都市における中心商店街の取組みを調査することにより,新規店舗の開設と新規事業の創出による商店街活性化の方策を明らかにした.中山道の宿場町として発展した事例商店街では高速交通網の整備にともなって,隣接する郊外地域に大型店中心の商業集積が形成されたものの,それに先んじて商店街組織の世代交代を進め,空き店舗を活用した新規店舗の開設と新規事業創出を進め,地域住民の生活を支援する商業的・社会的機能を再構築した.こうした取組みを成立させることができた方策として,①地域貢献を使命とするビジョンの確立とそれを具現化するリーダーシップ,②その基盤となる世代を中心とした地域的連帯の活用,③新店舗や新事業の創出に向けた外部人材と小規模店舗の積極利用が挙げられる.</p>
著者
兼子 純 菊地 俊夫 田林 明 仁平 尊明 ワルデチュック トム
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

ローカルレベルでの小規模な流通,もしくは生産者と消費者間のダイレクト・マーケティングの重要性が,その土地の自然条件や位置関係,歴史的・文化的背景,産業構造などの地域の文脈で議論されることが必要であり,こうした動きに食料の生産の場として機能してきた農村地域や農業者がどのように対応しているのか明らかにする必要がある。本研究は,カナダ・ブリティッシュコロンビア州(BC州)バンクーバー島のカウチンバレー地区を対象として,地域資源を活かしたアグリツーリズムの事例分析から,農村観光の特徴を明らかにする。<br> バンクーバー島は,BC州の南西端に位置する。島全体の人口は約76万であるが,2000年以降一貫して増加を続けている。主要都市は島の南東部に集中しており,BC州の州都であるビクトリア(人口:約34万)は島の南東端に位置する。島の主要産業は元々林業であったが,近年では豊かな自然環境を活かしたアウトドア観光のほか,植民地時代の遺産を活かした都市観光に加えて,農村観光が盛んになっている。 研究対象地域であるカウチンバレー地区は,バンクーバー島の南東部,州都ビクトリアの北に位置する。カウチンバレー地区はカナダで唯一地中海性気候帯に属する温暖な地域である。このような気候条件に加えて,山や海,湖が地区内に近接して存在するという自然環境,島の主要都市から車でおよそ1時間という立地条件から,近年観光業に力を入れている。&nbsp; <br> カウチンバレー地区では恵まれた自然条件の下,多様な農業が展開され,それらを観光に結びつける動きが盛んである。当地区では西部が山間地で農業不適である一方,中央部の丘陵地では畜産関係,東部を南北に走る主要道路沿いには果樹・野菜生産など高付加価値で比較的集約的な農場が分布するとともに,菊地ほか(2016)で示されたワイナリーも分布する。 農業生産者はいくつかの形態でアグリツーリズムの場を提供する。一つは主要都市ダンカンで毎週土曜日に開催されるファーマーズ・マーケットである。このマーケットは通年開催で,出店登録者は177(2016年)である。地元農業者を中心に出店があり,直売としての機能のほか,出店者の農場と消費者を結びつける役割を果たしている。 ワイナリーはカウチンバレー地区を特徴づける重要なアグリツーリズムの場であるが,ここでは地区で唯一のアップルサイダー農場の事例を紹介する。地区南部の丘陵地コブヒルに立地するこの農場では,自園地で生産したリンゴからアップルサイダーを生産・販売している。整備された園地ではリンゴの生産,商品の直売のほか,ビストロが併設されるとともに,結婚式場としても使用される。その他に発表では,地域密着型農業に取り組む農家レストランの事例,ファームツアーを開催する水牛農家の事例を紹介する予定である。<br> 対象地区の海岸部に位置するカワチンベイ(図1)は,2009年に北アメリカで最初のスローシティ組織である&ldquo;Citta Slow(チッタスロウ)&rdquo;コミュニティに認定された。カワチンベイは夏季には大変賑わいを見せる観光地になっているが,同組織の活動趣旨は経済的な観光地化ではなく,農村地域のコミュニティ形成にあるという。本発表では,このスローシティの実態を紹介したい。
著者
兼子 純 山元 貴継 橋本 暁子 李 虎相 山下 亜紀郎 駒木 伸比古 全 志英
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2018, 2018

日韓両国とも,地方都市における中心商業地の衰退が社会問題化している。しかしながら,韓国の地方都市の中心商業地は,人口減少や住民高齢化のわりに空き店舗が目立たず,日本でいう「シャッター商店街」がみられにくい(山元,2018)。そこで本発表では,2016年と2018年に発表者らが行った土地利用実態調査の結果をデータベース化し,韓国地方都市の中心商業地における店舗構成の変化を明らかにすることを目的とする。<br><br>調査対象地域として,韓国南部の慶尚南道梁山(ヤンサン)市の中心商業地(新旧市街地)を選定した(図1)。梁山市は同道の東南部に位置し,釜山広域市の北側,蔚山広域市の南西側に接している。高速道路で周辺都市と連結されており,さらに,釜山都市鉄道2号線によって,釜山市の中心部とも直接結ばれている新興都市である(2017年人口:324,204)。旧市街地は梁山川の左岸に位置し,南部市場が立地している。新市街地は旧市街地の南西約1km,2008年に開通した地下鉄梁山駅前に位置している。近年では,両市街地と梁山川を挟んで対岸に位置する甑山(チュンサン)駅前で,新たな商業開発が進行している。<br><br> 韓国では短期間で店舗が入れ替わることもあって,日本の住宅地図に相当するような,大縮尺かつ店舗名などが記載された地図が作成されることはまずない(橋本ほか,2018)。そのため発表者らは,韓国における中心商業地の構造変化を明らかにするための基礎資料の作成を念頭に置き,2016年3月に梁山市の新市街地と旧市街地において土地利用調査を実施し,そのGISデータベースを構築した。この時の結果をもとに,2018年3月に同じ範囲かつ同様の調査手法で再度土地利用調査を実施し,2年間で店舗が変化している箇所の業種を抽出した。今回の発表では,1階で店舗が変化している部分を分析対象とする。<br><br> 2016年の調査では,新旧市街地での商業機能の分担,つまり旧市街地では伝統的な商品や生鮮食料品店の集積,新市街地では若年層向けの物販サービス機能が卓越し,チェーン店(それらが展開する業種)の立地が確認された。そうした両市街地における2016年から2018年の2年間で店舗構成が変化した箇所を確認すると,旧市街地では530区画中129区画(24.3%),新市街地では485区画中132区画(27.2%)で店舗が入れ替わっていた。<br> 旧市街地において,在来市場を中心とする中心部よりも周辺部で空き店舗が目立つようになり,市街地の範囲が縮小している。新市街地では,店舗の入れ替わりが激しいことに加えて,店舗区画の分割や統合なども顕著である。現地での聞き取り調査によると,賃貸契約は2年が一般的であるが,契約更新時の賃料上昇や韓国特有の権利金の存在もあって,現在では新市街地から,新規に建設が進む甑山駅周辺に移転する店舗が増加しつつあるという。当日の発表では,変化箇所の業種や地域,区割りの特徴などから,梁山市全体の商業地の構造変化について報告する。
著者
兼子 純 山元 貴継 山下 亜紀郎 駒木 伸比古 橋本 暁子 李 虎相 全 志英
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<u>1.研究課題と目的</u><br> 日本においても韓国においても,国土構造として首都への一極集中が指摘され,首都圏と地方都市との格差が拡大している。共に少子高齢化が進行する両国において,地方都市の疲弊は著しく,都市の成立条件や外部環境,地域特性に合わせた持続的な活性化策の構築が必要とされている。その中で日本における地方都市研究では,モータリゼーション,居住機能・商業機能の郊外移転などによる,都市中心部の空洞化問題が注目されやすい。空洞化が進んだ都市中心部では,低・未利用地の増加,人口の高齢化,大型店の撤退問題,生鮮食料品店の不足によるフードデザート問題などが生じ,大きな社会問題となっている。 一方で韓国では,鉄道駅が都市拠点となりにくく,また同一都市内で「旧市街地」と「新市街地」とが空間的にも機能的にも別個に発達しやすいといった日本とは異なる都市構造(山元 2007)が多くみられる中で,バスターミナルに隣接した中心商業地などの更新が比較的進んでいる。そして,地理学の社会的な貢献が相対的に活発であって,国土計画などの政策立案にも積極的に参画する傾向が認められるものの,金(2012)によれば,研究機関が大都市(特に首都ソウル)に偏在し,計量的手法の重視および理論研究への偏重によって,事例研究の蓄積が薄い。 それらを踏まえた本研究の目的は,低成長期における韓国地方都市の都市構造の変容を明らかにすることを目指して,その手がかりとしての土地利用からみた商業地分析の手法を確立することである。なお,今回の報告は調査初年度の単年次のものであり,今後地域を拡大して継続的に研究を進める予定である。<br><u>2.韓国における一極集中と地域差</u> <br> 先述の通り,韓国は首都ソウルとその周辺部への一極集中が顕著である。その集中度は先進諸国の中でも著しく高く,釜山,大邱,光州,大田の各広域市(政令指定都市に相当)との差が大きい一方で,これら広域市と他の地方都市との格差も大きい。 <br><u>3.対象都市</u> <br> 地方都市をどのように定義するのかについては議論の余地があるが,本研究では首都ソウルとその周辺部を除く地域の諸都市を前提とする。今回の調査対象地域としては,韓国南部の慶尚南道梁山市の中心商業地を選定した。梁山市は同道の東南部に位置し,釜山広域市の北側,蔚山広域市の南西側に接している。高速道路で周辺都市と連結されており,さらに,釜山都市鉄道粱山線(2号線)によって,釜山市の中心部とも直接結ばれている。このように梁山市は,釜山大都市圏の一部を構成する都市である一方,工業用地の造成が進み,釜山大学病院をはじめとする医療サービスおよび医療教育の充実した新興都市として独立した勢力があり,人口増加も顕著である(2014年人口:292,376)。 そのうち新市街地は梁山川左岸に位置し,そこに梁山線が2008年に全通し,その終着点でもある梁山駅が開業した。同駅に近接して大型店E-MARTが立地しているほか,計画的に整備された区画に多くの商業施設が集積している。E-MARTに隣接してバスターミナルも立地し,全国各地への路線網を有する。一方,旧市街地は新市街地から見て国道35号線を挟んだ東に位置している。そこには梁山南部市場およびその周辺に生活に密着した小売店舗が集積しており,伝統的な商業景観が形成されている。<br><u>4.調査の方法</u> <br> 今後,韓国の各都市の都市構造の動態的変化を継続的に調査することを目指して,今回はその調査手法の確立を目指す。特に,韓国の商業地における店舗の入れ替わりは日本に比して頻繁で,その新陳代謝が都市を活気づける要因ともなっており,その変化に関心が持たれる。しかし,そうした変化を既存の資料から明らかにすることは難しく,実態調査が求められる。そこで今後,継続的に定点観察することを予定している中で,業種分類の設定の仕方なども重要となる。今回は予備的調査として,事例都市において商業地の調査手法を確立し,その方法を他都市に展開していくことを目指す。
著者
日野 正輝 富田 和暁 伊東 理 西原 純 村山 祐司 津川 康雄 山崎 健 伊藤 悟 藤井 正 松田 隆典 根田 克彦 千葉 昭彦 寺谷 亮司 山下 宗利 由井 義通 石丸 哲史 香川 貴志 大塚 俊幸 古賀 慎二 豊田 哲也 橋本 雄一 松井 圭介 山田 浩久 山下 博樹 藤塚 吉浩 山下 潤 芳賀 博文 杜 国慶 須田 昌弥 朴 チョン玄 堤 純 伊藤 健司 宮澤 仁 兼子 純 土屋 純 磯田 弦 山神 達也 稲垣 稜 小原 直人 矢部 直人 久保 倫子 小泉 諒 阿部 隆 阿部 和俊 谷 謙二
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

1990年代後半が日本の都市化において時代を画する時期と位置づけられる。これを「ポスト成長都市」の到来と捉えて、持続可能な都市空間の形成に向けた都市地理学の課題を検討した。その結果、 大都市圏における人口の都心回帰、通勤圏の縮小、ライフサイクルからライフスタイルに対応した居住地移動へのシフト、空き家の増大と都心周辺部でのジェントリフィケーションの併進、中心市街地における住環境整備の在り方、市町村合併と地域自治の在り方、今後の都市研究の方向性などが取組むべき課題として特定された。
著者
村山 祐司 山下 清海 森本 健弘 兼子 純 呉羽 正昭 松井 圭介 仁平 尊明 山下 亜紀郎 田林 明 手塚 章
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本プロジェクトでは,人文地理学者が培ってきた豊富なフィールドワークの経験や蓄積にもとづき,暗黙知とされてきたフィールドワークを体系的に考察することにより,方法論の「ホワイトボックス」化に挑んだ.研究そのものを遂行するノウハウや研究論文の論旨を組み立てる方法などに注意を払いつつ,データを系統的に取得・蓄積・管理・分析・可視化・伝達する汎用的な方法を探究した.さらに,GISデータ解析のポータルサイトを立ち上げ,時空間データベースの活用実験を行うとともに,空間解析を主体としたフィールドサイエンスの確立に向けて議論を重ねた.本研究の成果はウェブで公開した.