著者
埴田 健司 石井 国雄
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.141-151, 2020

<p> 本研究では、ピンクと青の衣服を着ることが、ジェンダーに関する自己認知と他者認知に及ぼす影響を検討した。実験では、参加者にピンクあるいは青の服を着てもらった状態で、女らしさ・男らしさに関する自己認知と他者認知を測定した。自己認知はIATにより潜在的側面を、質問紙による自己評定により顕在的側面を測定した。結果、潜在測定では、ピンクの服を着た参加者は青の服を着た参加者に比べ、自己と女らしさの連合が強くなっていた。顕在測定では服の色の効果は見られなかった。他者認知は女性と男性の刺激人物に対する印象を測定したが、ピンクの服を着た参加者は青の服を着た参加者に比べ、女性の刺激人物を男らしいと評定していた。この効果は男性の刺激人物に対しては見られなかった。これらの結果は、衣服を着用すると、その衣服に連合している概念が自己認知に対しては同化効果を、他者認知に対しては対比効果をもたらすことを示唆している。</p>
著者
周村 諭里 柳沢 昌義
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.63-72, 2015-03-21 (Released:2018-12-14)
参考文献数
10

本研究は“女性にわかりやすい数学の教科書”の作成を目指し,第一段階として表紙のデザインと女性に好まれる登場人物のキャラクターを調査した。最初に近年よくみられる文庫本の表紙を参考に,a. 従来型,b. 女子学生の写真,c. 女子学生のイラストの3種類の表紙デザインの比較を行った。結果,全体的にaとbが好まれる傾向であった。特に,男性に比べて女性のイラストに対する評価は低かった。 次に,女性に好まれるキャラクターの特徴を調査した。結果は胸の強調されたイラストは男女ともに倦厭された。女性ではロングヘアの胸の小さなワンピース姿のキャラクターが高評価を得た。男性にはロングヘアで胸の小さいミニスカートのキャラクターが高評価であった。これらの結果から,マンガ教材に利用するキャラクターの好みには性差があることがわかった。そこで,女性向けの教科書には女性が好むキャラクターを利用することが効果的であると考えられる。
著者
鈴木 公啓 真家 英俊 寺島 宏紀
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.93-99, 2021-03-31 (Released:2021-05-26)
参考文献数
29

This study aims to investigate the relationship between oneʼs gait patterns and psychological characteristics such as affect and personality. Fifty-two adults( men = 18, women = 34, mean age = 33.8, age range = 18-72) participated in this study. Their gait patterns were assessed by an apparatus, while psychological characteristics were assessed by several self-report questionnaires. Results showed that vitality was positively related to some specific gait patterns. With walking goal-oriented behavior, vitality as energy for the environment is considered to be reflected on the gait patterns. Furthermore, with other psychological variables were not related to the gait patterns, it is considered that the perceived psychological characteristics from gait patterns may not be related to actual psychological characteristics.
著者
今井 康晴
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.11-19, 2016-03-21 (Released:2018-12-13)

現代の子育て支援の課題として、「仕事と子育て」の両立が中心的なテーマとなっている。女性の社会進出、次世代育成など子どもを産み育てやすい社会の構築が、エンゼルプラン以降、20 年来の課題である。これらをふまえ、本論文では、未曾有の不景気とされる昨今の社会状況と対照的なバブル期(1986~1991)の社会状況との検討を行い、経済、社会状況の変動による子育ての変化をみるとともに、社会情勢と子育ての在り方を問うことを主な目的とした。バブル期における子育ては、現在の子育て支援よりも乏しく、また少子化が取り上げられた1.57 ショックが1990 年であることを踏まえると、好景気とされる時代に少子化が指摘されたこととなる。これらの背景には、少子高齢化社会の高齢化への対応が優先されたことや保育施設の量的側面の不備が挙げられる。景気の良い時代に、少子化が問題化されたことを踏まえると、景気が良くなれば結婚、出産という短絡的な発想にはならないということが明らかにされた。
著者
今井 康晴
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.11-16, 2017-03-31 (Released:2018-12-03)

本研究では、バブル期前半の子育て支援について明らかにすることを目的とした。その手がかりとして1986年~1988年にかけての保育雑誌『保育の友』に焦点を当て検討を行った。『保育の友』は主に保育所保育に特化した雑誌で、バブル期の社会情勢とそれに伴う保育問題が示されている。その主な傾向として、国の保育に対する冷遇、女性の社会進出と子育て、社会状況の変化に求められる保育、子育てのネットワークなどが論じられた。このいずれのテーマも、現代における保育問題と合致し、現在進行形の課題であることが明らかにされた。加えて、これまでの我が国の保育行政の失策、課題も明らかにされた。これらの知見をふまえ、保育や子育ては私的なものではなく、公的なものとして子育ての社会化という課題への提言として示唆を得ることができた。
著者
上野 昌之
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.153-161, 2020-03-31 (Released:2020-05-21)

アイヌ文化振興法のもとで始まった「伝統的生活空間(イオル)の再生」が行われている。イオル再生事業とはアイヌ民族が古来伝統的な生活の場と考えてきた空間を復元し、アイヌ文化を伝承していこうというものである。その中でアイヌ民族の受け継いできた知恵(ウパシクマ)の継承をめざし、伝承者を育成していこうという事業が白老で行われている。アイヌ民族の儀式がアイヌ語ででき、舞踏や工芸、自然に関する知識など様々なアイヌ文化を伝承し、普及していく人材の育成が行われている。アイヌ民族の若者が、3年間の専門教育を受け伝統的なアイヌ文化を学んでいる。すでに第4期目となり、これまでに優秀な人材が輩出され教育や文化伝承などで活躍している。ここではアイヌ文化伝承者育成事業の学習カリキュラムを分析することでアイヌ民族の伝承活動のあり方、事業の趣旨を明らかにし、後継者の育成の観点からこの事業の持つ問題点と課題を考察する。
著者
須藤 康介
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.79-89, 2022-03-31 (Released:2022-04-14)

本稿の目的は、筆者が日本全国の25 ~59歳を対象に実施した「教育についての意識・経験に関する調査」から、一般の人々の教師の不祥事イメージと教師への信頼の実態を明らかにするとともに、その規定要因を、本人の学校経験とメディア接触に着目して検討することである。分析の結果、中学時代に成績が悪かった人が「教師はわいせつが多い」「教師は犯罪率が高い」「教師は信頼できない」と思う傾向、小中高でイヤな思い出がある人が「教師は犯罪率が高い」「教師は信頼できない」と思う傾向、高3でなりたかった職業と現職が一致していない人が「教師は信頼できない」と思う傾向などは、認知的不協和理論が当てはまった。また、ドラマを見る人が「教師は体罰が多い」「教師は犯罪率が高い」と思う傾向、ゲームをする人が「教師はわいせつが多い」と思う傾向、Webニュースを見る人が「教師は犯罪率が高い」と思う傾向などは、培養理論が当てはまった。
著者
藤後 悦子 大橋 恵 井梅 由美子
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.129-139, 2020-03-31 (Released:2020-05-21)
参考文献数
24

There are various types of harassments in children’s sports, including corporal punishment by coaches. Not only coaches but also cheering groups, especially bystanders of cheering groups, are important factors in harassment. The authors focused on psychological harassment by parents of team members, which is known as “bench- harassment” and investigated what parents expect or do not expect from coaches and parents of other team members(cheering groups)to identify conditions of sports harassment and improve the sports environment. A survey was conducted with parents( N=112)with children enrolled in elementary school and junior high school attending a private basketball club in the Kanto area. The results indicated that parents expected coaches to provide “concrete advice and welldesigned training” as well as “mental support.” On the other hand, they expected coaches to avoid “violence or violent language” or provide “low-quality training.” They expected parents of other team members to provide “support for the smooth operation of the team” and “mental support,” and avoid “attitudes inappropriate for adults” or “negative attitudes or behaviors.” The child-centered sports environment was examined from the perspective of children’s rights and sports principles based on the above results.
著者
大橋 恵
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.29-36, 2010-03-20 (Released:2019-01-15)
参考文献数
31

The present study examined the cultural value attached to ordinariness in Japan. In previous researches, the Japanese attitude toward ordinariness was examined only among young adults. The present study aimed to ascertain the developmental changes in this attitude toward ordinariness. Elementary, junior high, and university students in the Tokyo area were asked about the connotations of the word “ordinary” in the phrase “an ordinary person.” In addition, they were asked to rate their image of an ordinary person using adjective pairs. It was found that while ordinariness did not receive a very favorable evaluation in general, the evaluation of junior-high students was greater than that of university students.
著者
金塚 基
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.29-36, 2020-03-31 (Released:2020-05-21)

本稿は、特別活動の教育理念の明確化を目的として、その学習指導要領ならびに関連する社会環境の変化を捉えた上で、集団的な応援活動のあり方をひとつの事例として取り上げ、その教育理念と実践との間に存在する今日的な課題について考察した。今日のように多文化・多様化した日本の学校では、単一性の高い集団的な枠組みのなかで行われる応援活動によって、逆に生徒たちに不平等や格差の容認、多様性の否定や偏見の形成といった学習効果を与えてしまう可能性がある。集団的な応援活動には、これまでの歴史的な伝統文化や環境要因のアドバンテージに基づくものではなく、より系統立てられた調和や実践からの成果に基づく集団的な凝集力が必要といえる。
著者
紙本 裕一
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.35-44, 2019-03-29 (Released:2019-05-30)

問題文に対する解法のように、数学では記号そのものだけでなく視覚的記号によって構成された構造も内容理解として求められる。本稿は、数学学習での学習者にとって、聴く活動がどのような固有性を持つのかについて示唆を得ることが目的である。特に、コンピュータ的思考との対比から学習者の聴く活動の役割について言及した。構造を支える1つ1つの内容を理解し、そこでの話を聴くことにより、頭の中で構造を再構成するという意味で、聴く活動には論理的作用があるといえる。しかし、それ自体はコンピュータにも同様の作用があるため、コンピュータ的思考との対比でいえば数学学習における聴く活動の固有性は直感的作用にあるといえる。
著者
坪井 寿子
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.83-91, 2015

<p> 本研究では、いわゆる懐かしいお菓子の代表的なものとされる「ねるねるねるね」及び「うまい棒」に関する自伝的記憶について検討した。研究1 では、「ねるねるねるね」及び「うまい棒」に関するエピソード内容について具体的検討を行った。研究2 では、「ねるねるねるね」及び「うまい棒」に関する味覚形容語から研究1 の自伝的記憶における感覚モダリティの部分についての補足的検討を行った。</p>
著者
山﨑 善弘
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.221-231, 2020

<p> 従来の近世地域社会論では、それぞれの地域社会の個別性の把握(分現状を克服することは容易ではないが、大島真理夫が提起した「幕藩制支配の地域類型」論を参考にするとともに、その問題点をも浮き彫りに析知)は緻密になされているが、その一般化・普遍化(総合知)がなされているとは言い難い状況にある。しかし、地域社会の個別性の把握と一般 化・普遍化とは矛盾せず、むしろ両立して初めて真の地域社会論といえる。 しながら、最終的に私の研究に引き付けて、地域社会の個別性の深い把握 とその一般化・普遍化の両立に向けた考察を展開した。</p>
著者
篠原 俊明 小城原 舞 渕上 京花 平井 大樹 篠崎 智歩 小島 絵梨香 齊藤 怜汰
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.89-96, 2020-03-31 (Released:2020-05-21)

本研究は、女子大学生を対象に会場でのスポーツ観戦状況と会場でのスポーツ観戦阻害要因との関係を捉えることを目的とした。 そのため、会場でのスポーツ観戦阻害要因尺度の作成を試みた。その結果、「無関心」「環境的制限」「人的欠如」「メディアの影響」から成る16項目4因子構造となり、信頼性も確認された。 次に会場でのスポーツ観戦状況をもとに対象者を「無関心者」、「潜在観戦者」、「観戦者」の3つに分類し、比較した。「阻害要因」は、無関心者は潜在観戦者、観戦者より有意に高値であった。下位尺度では、「環境的制限」には有意差がなく、女子大学生には距離や時間が阻害要因にならないことが明らかとなった。 「無関心」では、無関心者の値が潜在観戦者、観戦者より有意に高く、会場での観戦を考えてない者は、会場での観戦に関心を持たないことが明らかとなった。「人的欠如」および「メディアの影響」においても有意差が確認された。
著者
宅間 雅哉
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.95-107, 2013

<p> イギリス地名協会による『イングランド各州地名要覧』(以下,『要覧』)から気候地名を収集し,地名に反映された気候要素ごとに,イングランド全土の分布図を作成するというプロジェクトにおける最初の成果報告として,本稿では南東部のSurrey 及びSussex を扱った.『要覧』に示された語源情報,地名の古形,解説等を根拠として,計106 の地名を気候地名と判断した.日照・日射に関する地名及び寒暖に関する地名が最も多く,ともに31 例であった.ただし後者には「暖」を意味する地名は1 例も見られない.続いて季節に関する地名24 例,乾湿に関する地名13 例,風に関する地名7 例となる.今回の調査で,新たに「洪水」「虹」「露」「荒天」「風車」の意味が語源に反映された地名を確認した.分布図の比較では,日照・日射に関する地名と季節に関する地名に興味深い傾向が見られた.また今後の研究発展のため,気候地名の定義を再検討する必要性を論じた.</p>
著者
大橋 恵 坪井 寿子 藤後 悦子 伊藤 恵子 山極 和佳 府川 昭世
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.65-75, 2011-03-18 (Released:2019-01-18)
参考文献数
15

本稿では,小学校や教師と,心理学部の教員や学生とを大学が連携,活用し,コンサルテーションを行った実践例を報告する。具体的には,小学校生活において主に社会性のつまずきを抱えている小学校2,3年男児4名を対象に,小集団によるソーシャルスキル・トレーニング(SST)を実施し,その効果を検討した。その特徴として,日常子どもたちが生活している小学校内で行ったこと,子どもたちの様子に応じて内容を適宜変更したこと,プログラム内での行動の変化だけではなく内面的側面や教室での様子の評定など多面的に効果測定を行ったことなどが挙げられる。その結果,SST活動中の行動には,ルール違反や不適切な発声や身体の動きにおいてSST実施前後で改善がみられた。一方,教室内の行動においては,その効果の般化は示されなかった。
著者
府川 昭世
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.1-12, 2009-03-20 (Released:2018-12-04)

近年、知的障害はないのに学習がスムーズに進まないとか、集団生活がうまくいかない子どもたちが目立ってきている。発達障害者支援法(平成 16 年 12 月 10 日法律 167)に基づき、文部科学省はこれらの子どもたちを「発達障害児」と考え、特別な支援教育を必要として、全国都道府県に早急な対策を講じるよう通達を出した。「発達障害児」とは、①学習障害(LD)②注意欠陥多動性障害(ADHD)③広汎性発達障害(PDD)などをもつ子どもたちを指しているが、これらの子どもたちは言語障害や運動障害を合併していたり、二次障害として反抗挑戦性障害や行為障害をおこしていたりする。対人関係や社会生活上の失敗体験による不安障害、気分障害、適応障害が並存していることが多い。 筆者が 20年にわたって、地域発達相談・小児科心理臨床・保育園幼稚園小学校カウンセリング・児童養護施設心理相談において担当したケースのうち「発達障害」に該当するのではないかと考えられる代表的なケースの療育について概観し、予後を左右する要因を考察する。
著者
佐々木 由美子 相澤 京子
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.39-48, 2017

<p> 現在、保育現場で活用されている紙芝居は、昭和初期におこった街頭紙芝居をもとに、保育教材として発展したものである。低劣、俗悪と批判されていた紙芝居が、昭和10年代に急速に保育現場に普及し、20年代には「紙芝居中毒を起こしている」と批判されるほど日常的に活用されるようになっている。その急速な普及の背景には、幼児に向けた紙芝居とは何なのか、保育における紙芝居とは何なのかを真剣に追究し、研究や制作を行った保育問題研究会や日本教育紙芝居協会の働きがあったのではないだろうか。 本論文では、これら二つの研究会に焦点をあて、どのような研究や活動が行われ、紙芝居の普及にどのような役割を果たしたのかについて考察した。</p>
著者
平部 正樹 小林 寛子 藤後 悦子 藤本 昌樹
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.167-178, 2016

<p><b> </b> 本研究では通信制高校の生徒を対象とし、入学前・後の心の問題に関わる体験や、精神健康の実態把握のための調査を行った。対象は、私立の広域通信制高校2 キャンパスに所属する全生徒1,086 人であった。調査票については、基本項目に、通信制高校入学前の体験や通信制高校入学理由が含まれていた。 精神健康関連項目として、現在の悩みに加えて、K6 を用いて精神健康度を尋ねた。結果として、入学前には友人関係や不登校、親との問題を経験した生徒が多かった。通信制高校入学の主な理由については、学力や学習上の理由や、前校での不適応となっていた。現在の悩みについては、将来の進路が高かった。精神健康については、K6 による比較で、日本の同年代の精神健康度よりも低くなっていた。通信制高校生徒の精神健康の維持・向上のためには、それまでの学校体験や、生活背景を考え対応していくことが必要であることが示唆された。</p>
著者
平部 正樹 小林 寛子 藤後 悦子 藤本 昌樹 藤城 有美子 北島 正人
出版者
学校法人 三幸学園 東京未来大学
雑誌
東京未来大学研究紀要 (ISSN:18825273)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.135-144, 2017-03-31 (Released:2018-12-03)

本研究では、通信制高校の生徒を対象として質問紙調査を行い、入学形態と入学理由の関連、およびそれらと精神健康の関連について明らかにした。対象は、私立の広域通信制高校2キャンパスに所属する全生徒1,086人であった。調査票については、入学形態や通信制高校に入学した理由、精神健康を測る指標としてKessler-6が含まれていた。結果として、男女ともに「学力上の理由」は新入学で、「年齢上の理由」は編入学で、「前校での不適応」は転・編入学で高かった。女性では、転入学で「友人関係上の理由」が高かった。精神健康との関連では、男性で「学力上の理由」、「友人関係上の理由」、「前校での不適応」、「心の病気」等の入学理由や入学形態が精神健康に関わっていた。女性では、「友人関係上の理由」、「心の病気」等の入学理由が関わっていた。これらの情報は、生徒への支援の際に、重要な情報になりうることが示された。