著者
冨岡 玖夫 斎藤 博久
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.1042-1044, 2018 (Released:2019-10-10)
参考文献数
2
被引用文献数
1
著者
木原 令夫 足立 哲也 藤永 秀子 小川 隆一 小関 隆 姫野 友美 牧野 荘平
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.609-617, 1995-06-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
16
被引用文献数
2

伊豆大島住民のうち15歳以上の4673名を対象としてスギ花粉症のアンケート調査を行ったところ回収率は22.3%であり, 春先 (2月中旬から3月中旬) に鼻症状を有する例は8.9%, 眼症状例は5.7%, 皮膚症状例は8.1%であった. 有症状例に行ったスクラッチテストで13.8%の例がスギ抗原陽性であり, IgE RAST score 2以上の例は33.3%であった. 平成2年2月から4月までの最高スギ花粉飛散数は北部診療所で3月7日に118個/cm^2, 南部診療所では2月28日に271個/cm^2であった. 全住民に対するスギ花粉症患者を推定すべく再度アンケート調査を行ったところ (回収率53.1%) 鼻症状3項目以上と眼症状2項目とを同時に有する例は4.7%であり, 未回答者のうちランダムに選んだ100名に対する電話での調査結果と合わせて頻度を検討すると, 全住民のうち5.64%にスギ花粉症を疑わせる例が見出された.
著者
正木 拓朗 永倉 俊和 飯倉 洋治
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.941-947, 1982-09-30 (Released:2017-02-10)

寒冷下化での運動負荷テストを喘息児8名と健康児5名に行った.マスク着用時とマスクのない場合について同一患者の運動後の肺機能の変動を検討した.エルゴメーター運動の負荷の程度を調べるためVO_2, VEもあわせて検討した.1) 健康児は寒冷時の運動によりFEV_<1.0>の変動は認められず, またマスク着用によりなんら影響をうけなかった.2) 喘息児は寒冷時の運動で著明なFEV_<1.0>, PEFR, V50, V25の低下を認めた.このEIBはマスク着用により予防可能であり, EIBの回復過程にも改善を認めた.3) エルゴメーターの運動は0.035KP/kg, 60回転/分, 6分間の一定の負荷とした.この負荷でVO_2は平均36.6±4.5ml/kg/minであり, 喘息児のEIB検出として適当な負荷と思われた.以上より喘息児の冬季の運動でEIAのため活動を制限される場合, 薬剤でEIAを予防する以外の方法としてマスク着用が勧められる.
著者
石黒 智紀 松井 照明 松本 圭司 渡邊 由香利 濵嶋 浩 池山 貴也 窪田 祥平 北村 勝誠 高里 良宏 杉浦 至郎 伊藤 浩明
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.70, no.9, pp.1207-1210, 2021 (Released:2021-11-10)
参考文献数
7

12歳,女児.既往に気管支喘息,アレルギー性鼻炎あり.自宅で作ったたこ焼きを4個摂取直後にアナフィラキシーショック,呼吸不全を認めた.開封後1カ月間室温で保存したたこ焼き粉を使用したこと,ダニ抗原特異的IgEがクラス6と強陽性であったことからパンケーキ症候群を疑った.被疑粉が破棄されていた為,冷蔵保存されていたたこ焼きから虫体数と抗原量の測定を試みた.ワイルドマン・フラスコ法によるダニの洗い出しとELISA法による抗原量測定を実施した.結果は,コナヒョウヒダニ430匹/gを認め診断に至った.ELISAではDer f 1 21.1ng/gを検出したが,これは虫体数に比して少なかった.検出されたダニ抗原量が少なかった原因として,加熱や還元剤による抗原性の減弱,ダニ抗原とグルテンとのジスルフィド結合による不溶化等が考えられた.パンケーキ症候群が疑われるが被疑粉の入手が困難な場合,調理された食品の鏡検を行うことで直接ダニ虫体を確認することを考慮すべきである.
著者
山本 雅司 奥野 未佳 佐々木 崇博 藤本 雷 片岡 葉子 川島 佳代子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.979-988, 2020 (Released:2020-12-14)
参考文献数
17

【背景・目的】IL-4受容体抗体薬デュピルマブは,Th2型炎症疾患のキードライバーであるIL-4,13を介するシグナル伝達路を阻害することで,アレルギー性鼻炎に対する治療効果が期待できる.今回重症アトピー性皮膚炎患者において,デュピルマブのアレルギー性鼻炎に対する治療効果の検討を行った.【方法】デュピルマブによる治療を開始した重症アトピー性皮膚炎患者のうち,通年性アレルギー性鼻炎を合併した21症例に対して前向き観察研究を行った.アレルギー性鼻炎に関して最重症・重症群と軽症・無症状群に分けて検討を行った.【結果】最重症・重症群においては自覚的な鼻症状,アレルギー性鼻炎に関わるQOLの評価,フェイススケール,鼻内所見において,一部項目を除き有意な改善を認めた.軽症・無症状群においては全ての項目で有意な改善を認めなかった.また自覚的所見においては他覚的所見と比較すると低く評価される傾向を認めた.【結語】重症アトピー性皮膚炎患者において,デュピルマブは重症通年性アレルギー性鼻炎に対して治療効果を持つと考えられる.
著者
久米 裕昭 冨田 ひかる 福原 敦朗
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.321-327, 2022 (Released:2022-06-11)
参考文献数
27

55歳男.28歳から日本酒の醸造元に勤務.42歳時から麹菌(Aspergillus oryzae)を扱う作業を開始すると呼吸困難感,咳,喘鳴が出現し,作業から離れると症状は消失した.症状は次第に増強し,防塵マスクを着用しても作業を中断するようになり,2019年6月に当科外来を受診.血清学的検査では,アスペルギルス特異的IgE抗体陽性,アスペルギルス沈降抗体陰性,Asp f 1(Aspergillus fumigatusの主要抗原)特異的IgE抗体陰性.肺機能検査は正常で可逆性陰性であったが,経過中にFEV1は400mL,15.9%変動した.PEFの測定では,麹菌の作業直後に20.8%低下した.吸入ステロイド薬(Budesonide),吸入長時間作用性β2刺激薬(Formoterol)の配合剤を用いたSMART療法で症状は軽減した.これらの症状,肺機能から,麹菌によるアトピー性気管支喘息で,III型アレルギーの関与は証明されなかった.これまでに,日本酒醸造の従事者に発症した報告は無く,新たな職業性喘息と考えられる.
著者
小泉 富美朝
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.14, no.12, pp.682-703,715, 1965-12-30 (Released:2017-02-10)
被引用文献数
1

This is a report of the immunopathological studies of the correlation between the chronic changes of serum protein, peripheral blood pictures and the morphological changes in the various organs in 30 rabbits, which were sensitized with egg white 2 times a week for over one year. Furthermore the inoculation of the tubercle bacilli of bovine type were performed on the prolonged sensitized rabbits. These results were summarized as follows. 1) The chronic changes of serum protein were characterized by hypergammaglobulinemia which had a peak in the earlier period (till 120 experimental days) and another peak in the later. 2) The chronic changes of serum protein were closely connected with the behaviour of the lymphatic follicles and the cell reactions in the haematopoietic organs especially of the lymph nodes and the spleen. 3) Methylgreen-pyronin staining of pyroninophilic cells indicated a defferent result in the earlier and later period, i, e. those in the earlier stage stained intensively, but weakly in the later and even non-pyroni-noophilic plasma cells were demonstrated. However, many intensive pyroninophilic plasma cells appe ared again in the lymph nodes and spleen of the cases which the inoculation of the tubercle bacilli was superimposed. 4) Nuclear changes in necrotic cells, LE transformation, HX bodies, and onion skin lesions were demonstrated in the group of the later period. 5) Hyperplastic bone marrow, remarkable myeloid metaplasia in the various organs and myeloid leukemoid reaction up to the promyelocytes in the peripheral blood were observed mainly in the earlier period, however, there was hypoplastic marrow in the later period, with single case (285th experimental day) which provided for change similar to myelofibrosis. 6) Experimentally produced Aschoff bodies in the heart have demonstrated, which became more typical form in the later period than those of the earlier period. From the evidences stated above, it may be possible to conclude that the processes of prolonged sensitization were divided into two periods, i.e. the earlier period which is characterized by showing an allergic-hypergic condition and the later having an abnormal immune response.
著者
岡本 義久 栗原 和幸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.652-658, 2012-05-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
22

症例は関東地方に居住する15歳女児. 2歳時にアレルギー性鼻炎と診断され, 5歳時に,口腔アレルギー症候群(oral allergy syndrome, OAS)を発症し,広範な果物・野菜に反応するようになった.アレルギー性鼻炎を主訴に当科を紹介され, 15歳時にシラカバ・ブタクサ・スギ花粉の急速皮下注射免疫療法(rush subcutaneous immunotherapy, rush SCIT)を行った.急速期前後で一重盲検リンゴ経口負荷試験を行い,口腔違和感・掻痒はnumerical rating scale (NRS)で治療前3/10点に対して,治療後は陰性化した.オープン法リンゴ負荷試験の結果,症状なく摂取可能な量は1.5gから50g以上に増加した.その後,各種果物・野菜の負荷試験を行ったところ,いずれも臨床症状の改善または消失が認められた.シラカバ花粉に対する免疫療法がpollen-food allergy syndrome (PFAS)に対して有効である可能性が示唆された.