著者
石出 猛史
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.82, no.1, pp.15-23, 2006-02-01
参考文献数
13
著者
石出 猛史
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.225-233, 1996-08-01

日本国内が尊皇攘夷運動で揺れる中,佐倉藩も真忠組の乱・水戸藩子年騒動などに際して頻繁に出兵を強いられた。元治元年(1864)前藩主堀田正睦が没した後,慶応年間に入っても医療制度改革は継続して行われた。この改革は藩の兵制改革の一環として行われた。その内容は,(1)藩の制式医学として西洋医学の採用と漢方医学の廃止,(2)藩医の職制の変更と軍医としての再編成,(3)養生所の開設が挙げられる。しかし明治新政府の成立に伴って明治3年(1870)種痘事業も医学所から在野の町医に移管され,同年11月には佐倉藩医学所も閉鎖された。その後も藩校において医学教育は行われたが,明治5年の学制発布に伴って藩校も閉鎖された。ここに39年間にわたる佐倉藩独自の医療制度も幕が下ろされた。
著者
馬場 雅行 山口 豊 岩崎 勇
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.293-303, 1984-10-01

受動喫煙と肺癌の因果関係を検討する目的でB_6C_3F_1系マウスを用い,微量タバコ煙長期暴露による気道上皮の変化を観察した。暴露したタバコ煙のCO濃度は80ppm〜30ppmで,人間の実際の受動喫煙環境に相当する濃度に設定した。実験1:6ケ月間の微量タバコ煙暴露の結果,末梢気管支上皮細胞の肥大,増生像がみとめられ,呼吸細気管支では上皮細胞の肺胞側への増生,侵入像がみとめられた。回復実験の結果,これらの所見は可逆性変化と考えられた。実験2:18ケ月間の微量タバコ煙長期暴露と,MNU投与を併用する実験を行なった。MNUは0.2mg/マウスを週1回,計26回腹腔内に投与した。投与終了後1週間で病理組織学的検索を行なったが,MNUの単独投与群では末梢気管支上皮細胞の増生が著明で,腺腫様増殖像も認められた。微量タバコ煙暴露を続けながらMNUを同時に投与した群では,より強い末梢気管支上皮細胞の増生所見がみとめられ,さらに1例(6%)に腺癌の発生がみられた。またタバコ煙暴露を中止したのちMNUを投与した群では,末梢気管支上皮細胞の変化がMNUの単独投与群と同程度であり,肺癌の発生も認められなかった。微量タバコ煙暴露は,同時に行なうことでMNU投与によるマウス肺癌の発生を増強したと考えられ,助癌原作用(cocarcinogenic action)をもつ可能性が示唆された。また,本実験のマウス肺癌の発生母地は末梢気管支上皮と考えられた。
著者
榊原 隆次 福武 敏夫 平山 恵造
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.161-166, 1992-08-01
被引用文献数
1

単純ヘルペス脳炎(HSE)自験30例を,臨床症候・画像検査により側頭葉型,側頭葉脳幹型,脳幹型に分けると,脳幹型(7例,23%)は他の2型に比し,発病早期には頭痛,発熱が少なく,GOT・GPT値の異常高値がみられず,初回腰椎穿刺時の髄液圧が平均85mmH_2Oと低く,病像完成期には意識障害が高度であったが,脳波上での周期性同期性放電がみられないなどの特色を示した。脳幹障害を示唆する症候として,corectopiaや対光反射消失などの瞳孔異常,眼頭反射の消失や緩徐・急速相のない自発眼振などの眼球運動異常,無呼吸や吃逆様呼吸などの呼吸異常を認めた。硬膜下水腫の合併が2例にみられたが非手術的に軽快し,死亡例・再発例がなく,自然軽快例もみられるなど予後良好であった。以上の脳幹型HSEの特徴はHSEの早期診断および治療にとって重要と考えられた。
著者
川村 健二
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.33-39, 1986

精索静脈瘤が男子不妊症の原因となり得るかどうか,および本症が造精機能障害をもたらすとすればそのメカニズムについて検討し,次の結果を得た。1.精索静脈瘤のある不妊症の精液所見では,特発性不妊症患者の精液所見と比較して精子運動率が低下する傾向がみられた。2.精索静脈瘤手術により精液所見の改善と妊娠率の向上がみられた。3.コルチゾール,セロトニン,プロスタグランディン(PG)E,PGFを内精静脈血と末梢血で比較した結果,コルチゾール,セロトニンは両者の間に差を認めなかったが,PGE,FGFはともに内精静脈血で有意に高値を示した。4.内精静脈造影所見では,腎への逆流のある群と逆流のみられない群に分けることができた。精液所見の改善および妊娠率は前者の方が良好であった。以上より精索静脈瘤は男子不妊症の原因の一つであり,その機序として内精静脈を通して腎静脈血が逆流し,これに含まれるPGが造精機能障害をおこしていると推測された。
著者
白澤 浩
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.301-304, 2005-12-01
参考文献数
5
著者
岡林 篤
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.73-80, 1974-04
著者
上山 滋太郎 佐藤 弥生 木村 康
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.389-393, 1974-12
著者
松野 義晴 川端 由香 小野 祐新 佐藤 浩二 足達 哲也 小宮山 政敏 門田 朋子 森 千里
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.78, no.5, pp.203-207, 2002-10-01
参考文献数
2
被引用文献数
2

肉眼解剖実習は,医歯科大学生にとって人体の構造および機能を学ぶ上で,重要な基礎科目の一つである。本学において,解剖実習に供される遺体は千葉白菊会会員から提供いただいている。ところで,本学の解剖実習施設は,本学医学生およびコメディカル学生以外には公開していなかった。以前より,実習施設に関しては,会員から「死後自らのご遺体を預ける施設について見学したい」といった要請があったが,その機会を実現するには至らなかった。しかし,平成13年3月に解剖実習施設内の面会室および実習室の改装が終了したことを機に,要請に応えることおよび施設の現状を会員に知っていただくことを目的として,同年10月に開催された千葉白菊会総会時に希望者に対して見学会を実施するに至り,その成果を含めここに報告する。見学会には112名が参加し,見学箇所への移動に支障のない会員を10名程度のグループに分け,面会室,霊安室,遺体保管室および解剖実習室の順に見学を行った。なお,移動の困難な会員については待機場所において映像による見学を行った。後日,見学会に関するアンケート調査を行ったところ,参加いただいた8割の会員から返答をいただき,見学会全体を通して肯定的な回答をいただいた。特に,実際に施設見学を行った会員の回答によって(1)スタッフの対応,(2)見学時間,(3)見学内容,さらには映像による見学を行った会員の回答にみられるとおり,(1)映像の出来映え,(2)映像に関する説明,(3)放映時間については,その肯定的な回答を約6割の会員から得た点からすれば,及第点をクリアーしているといっても過言ではなかろう。
著者
高野 光司
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.77, no.1, pp.53-64, 2001-02-01

著者は, 1971年3月24日ゲッティンゲン大学医学部終身職教授, 運動神経生理部長(後部名改定により病態生理部長)に任官し, 1996年3月31日定年により部長職を解任された。以下は同年4月12日に行なわれた最終講義である。破傷風により現今, 全世界で1年に百万人のヒトが死んでいる。破傷風毒素はボツリヌス毒素とともに地球上で人類が知っている物質のうちで, 最も毒性が高い。ゲッティンゲン大学の若い医師A. Nicolaierによる最初の破傷風近代的研究, 同大学外科教授J. Rosenbachの実験, 北里柴三郎による病原菌の嫌気性培養の成功, 免疫の発見, Faberによる毒素の証明など19世紀後半の破傷風研究史とSherringtonの「抑制の興奮への変化仮説」など20世紀前半の神経生理学的研究を概観した。Brooks, Curtis, Eccles (1957)の脊髄運動神経細胞脱抑制説を簡単に紹介し, これが病因解明にはならないことを説明した。破傷風には, 局所性破傷風と全身性破傷風がある。脱抑制説による現在の教科書的病因論によれば, 全身性破傷風は, 局所性破傷風の総和であるが, 著者は, 臨床破傷風は, 局所性破傷風と全身性破傷風の和であるとする。また救命できるような破傷風は, 主としてガンマ運動系の活動冗進であり, ガンマ運動系を抑制するDiazepamの類が第1選択薬として全世界で使用されている理由を明解に示した。
著者
石出 猛史
出版者
千葉大学
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.97-106, 2004-06-01
被引用文献数
1

本学医学部の起源とされる共立病院は,明治7年(1874),千葉町の醤油醸造業者近江屋事柴田仁兵衛の倉庫を借りて開始された。一方,当時の院長二階堂謙の県知事に対する熱心な慟きかけが功を奏し,共立病院においても遺体の解剖実習を行うことが可能となった。当初,解剖は千葉新田にあった墓地内の小屋で行われた。第一高等中学校医学部時代に入ると,「長尾文庫」が創設され,近隣の住民にも解放された。文庫は,後に,本学図書館亥鼻分館に吸収されたと考えられている。医学部がある亥鼻山は,中世には千葉氏の本城があったとされている。数次にわたる発掘調査が行われており,城郭の遺構は確認されているものの,大規模な建造物の遺跡は見出されていない。近世以降繰り返されてきた畑地としての耕作,佐倉藩陣屋等の構築により,遺跡が破壊されてきたことも推定される。七天王塚の石碑群も風化等による破損が進んでいる。明治初頭の地籍調査記録中,千葉町に「千葉七俗霊神塚」の記述がみられる。七天王塚の原型と考えられるが,実態は不明である。
著者
鈴木 信夫
出版者
千葉医学会
雑誌
千葉医学雑誌 (ISSN:03035476)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.109-118, 2011-06-01
被引用文献数
2

即効を促す科学・技術の風潮などの様々な要因により,基礎医学の存続とその理念の継承が危ぶまれております。せめて,科学精神の神髄は刻印されるべき時のようです。そこで,そのような懸念と対策に適うか否かは後世の判断に委ねるとして,また,亥鼻台にて40数年間の学究活動をさせていただいた感謝の意を込めて,千葉医学へ過去に掲載した記事の補足をすることとします。 ワトソンの著書を読破した医学生時代に始まり,生化学第二講座(現 環境影響生化学)と微生物学講座(現 分子ウイルス学)での月火水木金金金の生活記録です。生命現象の神秘さに魅了され,無目的心境からスタートした大腸菌を用いた研究体験を踏まえて,ヒト個体には"突然"変異を"必然"変異とする新規の生理機能(SOS応答)があることを予感する悪戦苦闘の記録でもあります。前編では,その苦闘の末開発した培養ヒト細胞実験システムを紹介します。後編では,SOS応答探しの実証実験の過程を紹介します。将来,先天性疾患やがん,あるいはウイルス感染症などの変異に基づく様々な疾病が根本から絶滅されることを夢見ながら,ヒトの過去と未来を宇宙レベルから問う"宇宙進化医学"とでも称すべき基礎医学の開花を願うこととします。