著者
鎰谷 賢治 菊地 太郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_30-I_39, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
7

トンネル点検業務の効率化や省力化を目的とした写真画像による点検支援技術が注目されている.この技術で変状の検出や測定などを高精度に行うためには,その撮影画像は変状の検出や測定などの後工程が要求する画像品質を満たす必要がある.この画像品質は,撮影条件や撮影システムの工学的性能だけでなく,撮影対象であるトンネル壁面や変状の状態からも大きな影響を受けるが,撮影されたトンネル壁面や変状の状態を定量的に取り扱うことはこれまで困難であった.本研究では,トンネル壁面や変状の状態を3種類のパラメータのみで定量的に取り扱う方法と,この方法を用いてシステムの性能を低コスト,短時間で合目的的かつ定量的にベンチマークすることができるトンネル点検用撮影画像のシミュレーション方法を開発し,その実用性について検討を行った.
著者
今井 龍一 神谷 大介 井上 晴可 田中 成典 藤井 琢哉 三村 健太郎 伊藤 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_58-I_66, 2021

<p> 建設現場における労働災害をゼロにするには,効果的な安全管理の対策の徹底が肝要である.安全管理の一方策として,ビデオカメラを用いて危険箇所への侵入や建機と接触する恐れのある作業者をリアルタイムに警告することが考えられるが,この場合,作業者の自動識別が必要となる.深層学習を用いた人物識別の既存研究では,顔認証,歩容認証や人物同定などで従来よりも高精度な成果を得ることが報告されているが,服装などが類似する作業者が往来する建設現場への適用は困難である.</p><p> 本研究は,建設現場の作業者が常に装着するヘルメットに着目し,深層学習の畳み込みニューラルネットワークに基づく人物の識別手法を提案した.そして,模様と符号の学習モデルに同手法の評価実験を実施し,建設現場における人物識別に適用できる可能性のある知見を得た.</p>
著者
小山 誠稀 矢吹 信喜 福田 知弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_97-I_113, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
32

国土交通省は橋梁管理者に対して,5年に1度の定期点検を義務づけている.センサ類の小型化,低価格化に伴い,多数のセンサを橋梁に設置してモニタリングが可能になると考えられる.人間は,センサから得られる大量のセンシングデータとセンサの設置情報から橋梁の状態を判断する.人間と同じようにコンピュータが橋梁の状態を判断するためには,橋梁とセンサの関係とセンシングデータを合わせて処理する必要がある.そこで,本研究では橋梁とセンサの関係をデータベースで管理する手法を提案する.橋梁とセンサの関係をデータベースで管理することで,橋梁諸元情報とセンシングデータを一元的に処理できると考えられる.検証実験で,従来の図面や書類による情報管理手法と比較して,提案手法では人間の作業時間が3割以下となることを確認した.
著者
田中 陸人 矢吹 信喜 福田 知弘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_114-I_123, 2021 (Released:2021-03-15)
参考文献数
27

就業中の作業姿勢の悪化は筋骨格系障害を始めとする労働災害の要因となるため,作業姿勢の定量的な評価を通じて姿勢の改善につなげる必要がある.既往研究では,機械式モーションキャプチャシステムが用いられているが,それらの機器は現場導入時のコスト増大が懸念される.そこで本研究では,建設現場での利用が開始されているヘルメット装着型端末を利用することで,コストの課題に配慮した上で,LSTM(Long Short-Term Memory)を用いた姿勢推定手法を提案する.また,検証実験では,OWAS(Ovako Working Posture Analyzing System)法による姿勢評価に対して,提案手法を適用することにより,鉄筋工作業員の身体負荷が大きい姿勢を再現率80%以上で推定できることを確認した.
著者
河村 圭 長谷川 達哉 塩崎 正人
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.2, pp.I_83-I_92, 2016
被引用文献数
5

斜張橋ケーブルの一般的な点検方法は,大きく二つに分類され,高所作業車を用いた目視点検,または,クライミング技術等の特殊高所技術による目視点検で行われている.しかし,点検時に高所作業車を使用する場合は,橋面上約30mの高さまでが点検の限界であり,点検中は交通規制が必要である.また,特殊高所技術による目視点検の場合は,作業者の安全性の確保が問題となる.これらを背景として,著者らは,ロボットを用いた斜張橋ケーブル点検装置の開発を進めている.特に,本研究では,USBカメラ,ミニPC,さらに画像処理技術の活用により,1度の撮影でケーブル全周の撮影画像展開図を作成可能とする点検記録システムのプロトタイプを開発した.
著者
井上 晴可 窪田 諭 今井 龍一 田中 成典 重高 浩一
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_152-I_168, 2015 (Released:2016-03-30)
参考文献数
20

スマートフォンを利用すると高精度な位置情報を容易に取得できるため,災害対応や交通などの分野で位置情報の利活用が期待されている.特に,災害時には,利用者がリアルタイムに正確な位置情報を知る必要がある.しかし,個々のスマートフォンのGPSセンサから取得される位置情報は,周囲の環境や機種で異なるため,精度にばらつきが生じ多くのノイズが含まれる.大規模なプローブパーソンデータを解析することにより,前述の課題に対処することが可能であるが,緊急を要する場合においてはリアルタイム性に欠ける.本研究では,スマートフォンで取得したパーソントリップデータからリアルタイムに信頼性の高いGPSデータを取得するために,3次元の位置情報を対象にノイズを除去する手法を提案する.
著者
野島 和也 桜庭 雅明
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.II_79-II_85, 2018 (Released:2019-03-29)
参考文献数
13

本研究は,土砂氾濫や津波,高潮などの氾濫災害時における氾濫流の来襲状況を把握・体験するための,疑似体験システムを構築するものである.本研究では,汎用的なツールやデータを用いて,容易にVR映像の構築を行うものとした.現実感を高めるため,数値シミュレーションにより氾濫流を再現し,ゲームエンジンを用いてVR映像を作成する仕組みを作成した.氾濫流に流されて来襲する流木や巨石などのがれきは,氾濫発生時の現実感と緊迫感を向上させる要素であり,疑似体験システムにがれきを取り入れる方法を開発した.氾濫流の計算には3次元のVOF法に基づく自由表面流れの計算を汎用CFDコードであるOpenFOAMの自由表面流ソルバを用いるものとし,その結果をゲームエンジンのUnityに取り込む仕組みとした.がれきの挙動の計算は,Unityの物理エンジンを利用し,簡易に実現させる方法を考案した.ヘッドマウントディスプレイ型のバーチャルリアリティ装置を用いて,氾濫流が押し寄せた場合の状況を擬似的に体験できるシステムを構築した.
著者
藤澤 泰雄 矢吹 信喜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_1-I_8, 2012 (Released:2013-03-29)
参考文献数
6

土木分野での三次元モデルの利用は,設計・施工などの各分野の中の一部で利用されているにすぎない.特に設計においては解析が重要な位置を占めているが,発注者も受注者も三次元モデルに慣れていないため三次元モデルの利用は進んでいない.本研究では,鉄道高架橋を対象に,三次元モデルから二次元解析ソフトウェア用の解析データと三次元解析ソフトウェア用の解析データを出力することにより三次元モデルと解析ソフトウェア,IAI日本が発表しているST-BRIDGEとの連携方法を示し,その課題を検討した.
著者
岩上 弘明 佐田 達典 石坂 哲宏 江守 央 池田 隆博
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.II_7-II_12, 2013 (Released:2014-03-19)
参考文献数
4

準天頂衛星が放送するLEX信号を用いた,単独搬送波位相測位(PPP)によって,センチメートル級の測位精度が期待されている.日本の天頂付近に長時間留まる軌道を持つ衛星システムであるので,日本国内の山間部や都心部の高層ビル街などでも,測位できる場所や時間を広げることができる.本研究では,キャンパス内を仮想の街として,異なる遮蔽環境下で,LEX信号を利用したPPPによる測位精度の検証を行った.また,JAXAが開発した複数GNSS対応高精度軌道・時刻推定ツールMADOCAによって生成した暦を用いた後処理PPP測位も実施し測位精度の比較を行った.その結果,遮蔽環境が測位精度に影響を与えることが確認された.
著者
伊藤 廣紀 蒔苗 耕司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.II_36-II_42, 2013 (Released:2014-03-19)
参考文献数
14

近年スマートフォンの普及により,位置情報を利用したARアプリケーションの需要が高まっている.しかし,携帯端末上におけるAR技術の利用は処理コストが高く,それに耐えうる高速な手法が求められている.中でもオクルージョン処理は,仮想物体を違和感無く重畳するために欠かせない処理であるが,現実空間の奥行きデータをリアルタイムで取得する必要がある.本研究では,現実空間から取得した地物モデルデータによってオクルージョン処理を行う手法を提案した.結果として,携帯端末の携行性を犠牲にすることなく,オクルージョン処理を行うことができた.問題点として,センサーやモデルデータについて,高い精度が求められることがわかった.今後はデータを動的に取得する手法や,ズレを補正するための手法について,研究していく必要がある.
著者
田井 政行 澤田 知幸 下里 哲弘 日和 裕介
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.13-20, 2019
被引用文献数
1

<p> 本研究では,風作用により渦励振が生じる照明柱に着目し,無線加速度センサを用いた疲労損傷度推定手法の提案を行った.道路橋照明柱で加速度及び応力計測を実施し,対象照明柱が渦励振により2次モードで振動することが明らかとなり,常時より疲労損傷が蓄積される可能性が示唆された.また,加速度応答から照明柱基部に生じる応力の推定法を提案した.提案手法に基づき算出した疲労損傷度は,応力計測結果から得られた値と同程度であり,加速度計測から疲労損傷度推定の可能性を示した.</p>
著者
石田 仁 矢吹 信喜
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.II_58-II_65, 2015
被引用文献数
2

国土交通省が推進するCIM(Construction Information Modeling)により,建設現場における3Dモデルの活用が急速に広まっているが,高スペックなワークステーションや特殊なソフトウェアを必要とするケースも多いことから,利用可能な状況が限られている.一方で,標準的なWEBブラウザで3Dグラフィックスを表現することが可能なWebGLは,様々な立場の利用者が3Dモデルを共有することができ,このような課題を解決できる可能性があると考えられる.そこで,本研究では,土木構造物の維持管理のうち,主に点検業務にWebGLを応用し,その有効性を検討した.
著者
栗原 航介 桑原 祐史 沼尾 達弥
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.II_13-II_18, 2013

災害時の避難所として公共施設が利用されることが多いが,これらの施設は,避難所を主要用途として設計されたものではなく,避難所として使用する際には,不安感やプライバシー確保などの生活環境上の問題が発生することが懸念される.東日本大震災時には,避難所になるべき施設に相応の設備や備蓄が十分に備わっておらず,避難所によって運営に大きな差があり,被災者のニーズ変化への対応や避難生活の改善が十分でなかったといった課題があった.本研究では,避難所における生活質として,(1)津波や洪水,土砂災害に対して避難所が安全な場所に立地しているか,(2)津波浸水想定域から津波到達時間内に避難可能であるか,(3)避難所の収容率や備蓄数,避難所と給水所との位置関係の3点に着目し,生活質の観点から見た避難所の地域特性分析手法を検討した.
著者
須﨑 純一 出口 翔理
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.74, no.1, pp.1-10, 2018 (Released:2018-01-20)
参考文献数
12
被引用文献数
1

現在,道路計測においてレーザの利用が進んでいるが,車両や歩行者等でデータに欠損が生じ,従来手法による位置合わせが困難となる場合がある.そこで本研究では,二段階の処理から構成される,欠損に頑健な位置合わせ手法を提案する.第一段階では,鉛直平面の法線の角度分布等を利用して,回転量や平行移動量を補正する.第二段階では従来の代表的な手法で,良好な初期値の下で高精度の位置合わせを実現できるIterative Closest Point (ICP)法を適用する.地上light detection and ranging (LiDAR)で取得し,部分的に欠損させたデータに対して検証した結果,道路線形の形状や勾配に関係なく,提案手法は欠損に対して頑健に位置合わせできると判明した.
著者
木下 公二 吉町 徹 樫山 和男 志村 正幸
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.I_372-I_379, 2017 (Released:2018-03-26)
参考文献数
16
被引用文献数
1

本論文は,VR(バーチャルリアリティ)技術を用いた幾何音響理論に基づく鉄道騒音評価システムの構築を行ったものである.音源を走行音と車輪の打撃音とに分け,それらを幾何音響理論に基づきモデル化した.そして,算定された音圧レベルを,実際に計測した車両タイプごとの走行音および車輪の打撃音を用いて音源データの作成を行い実装し,VR空間において立体音響化を行った.本手法の妥当性の検証を行うために,計算結果を実際の観測結果と比較を行うとともに,バーチャルリアリティ空間内での測定結果との比較を行った.
著者
西内 裕晶 塩見 康博 倉内 慎也 吉井 稔雄 菅 芳樹
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_40-I_46, 2015
被引用文献数
1

本研究は,わが国の地方都市やアジア諸都市のようなセンサーインフラが充実していない地域における交通流モニタリング手法の構築に資するために,新たな移動体データ収集のツールとして注目されるスマートフォンやカーナビから発信されるBluetoothのMAC(Media Control Access)アドレスに着目し,その検知特性を把握する.具体的には,MACアドレスを受信する際に,受信機の置き方,発信機からの距離,角度といった設置方法の違いが受信精度に与える影響を把握し,交通流観測のためのMACアドレス受信機設置方法について考察する.データ分析の結果から,MACアドレス検知に際しては,発信機と受信機の間の距離と受信機正面の角度がMACアドレス検知率に影響を与えることが示された.これにより,MACアドレスを検知する際には,受信機側の指向性を考慮することが重要であると結論づけられる.
著者
須 純一
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.I_123-I_132, 2014
被引用文献数
1

本論文では,航空写真と航空機レーザ(light detection and ranging: LiDAR)データから建物境界線を自動推定する手法を提案する.提案手法では,航空写真に領域分割を行い初期の領域分割結果を得る.次に,航空機LiDARデータの3次元座標点群に対しフィルタリング処理を実施し,地盤面と非地盤面データに分離する.そして非地盤面データの各点に対し,近傍の点を含めて平面の法線を計算する.この法線を領域ごとに集計した領域の法線データを活用して,対となる領域のペアを生成し,領域を建物単位で捉え直す.最後に各々の建物単位で2次元の境界線を生成する.京都市東山区の密集市街地に提案手法を適用した結果,細い路地に囲まれた街区に建物が隣接し、陰影が多数発生する密集市街地であっても,提案手法は良好な境界線データを生成できることが判明した.
著者
藤澤 泰雄 矢吹 信喜 吉野 博之
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.I_63-I_70, 2013 (Released:2014-03-19)
参考文献数
14
被引用文献数
2

土木工学分野における三次元プロダクトモデルの利用は,国土交通省が開始したCIM(Construction Information Modeling)により普及が開始された.CIMでは,計画・調査・設計・積算・施工・維持管理の各分野に渡ってCIMを利用することを目指しているが,その利用方法は開始されたばかりであり関連する研究はほとんど行われていない.CIMにおける三次元プロダクトモデルを設計・積算・施工と連携して利用することによりミスの低減,生産性向上,効率化・品質の向上などに繋がることが期待されている.本研究では,道路橋の下部工を対象に,詳細設計で作成したCIMの三次元プロダクトモデルを発注者側での積算に活用する際の手法を検討し,CIMによる建設生産性の向上を行うためにどのようなことが必要であるかを検討した.
著者
宮武 一郎 田村 利晶 盛 伸行 岡井 春樹 高岸 智紘
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.II_1-II_8, 2014 (Released:2015-04-08)
参考文献数
5
被引用文献数
4

本稿は,河川事業のうち築堤事業の設計の過程においてCIM(Construction Information Modeling)を適用した結果を報告するとともに,その結果で得られた知見を踏まえ,築堤事業の設計におけるCIMの適用について述べるものである. CIMを設計において試行した結果,CIMの適用によりこれまでであれば顕在化しにくかった図面間の不整合の発見に寄与することや,関係機関との協議や地元関係者への説明に有用な手段となる可能性が示された.一方,CIMを適用した設計においては,相当な業務量を要するところもあった.試行の結果や現状(通常)の築堤事業におけるリスクを踏まえつつ,CIMを適用する場合のプロセス,予備設計・詳細設計それぞれの実施事項を提案し,CIMを設計に適用することにより期待される効果を述べる.
著者
田中 成典 窪田 諭 北川 悦司 物部 寛太郎 中村 健二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F3(土木情報学) (ISSN:21856591)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.II_41-II_50, 2011 (Released:2012-03-26)
参考文献数
26

我が国の建設事業においては,CALS/ECや情報化施工,生産性向上のために3次元データを利用する環境を構築することは重要な課題であるが,その要求を満たす3次元CADが存在しない.そのため,国産の3次元CADの開発を支援することを目的とした,汎用3次元CADエンジンの開発が求められている. そこで本研究では,建設事業において3次元CADを迅速かつ低コストに導入し,これを活用できる環境を構築するために,汎用3次元CADエンジンを設計するための調査研究を行った.ここでは,3次元CADの利用場面,標準化動向,汎用3次元CADエンジンに付随するシーズ,既存製品,IT要素技術について調査し,汎用3次元CADエンジンに対する要求を明らかにした.