著者
倉本 敬二
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.257-267, 2017 (Released:2018-05-14)
参考文献数
17
被引用文献数
1
著者
大石 雅子
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.247-255, 2017 (Released:2018-05-14)
参考文献数
21

静脈栄養は複雑な組成であるが,近年高カロリー輸液キット製剤が多用され,調製の際の汚染やエラーの防止,省力化の点で格段に向上している.しかし年齢や病態によって個別化が必要な場合は注射剤の混合調製が必要である.TPN や抗がん剤の混合調製を薬剤師が行う施設は増加したが,病棟で医師または看護師により,末梢点滴調製や静脈栄養用製剤の加液が行われる施設も多い.清潔,正確,安全な無菌調製の確立はリスク管理上重要である.医療現場は多職種が交代制で業務を行い,情報が変化し多様な薬剤や機器を有する複雑系であるため,ノンテクニカルスキルもまた重要である.注射剤混合時におけるリスクは,微生物や微粒子による汚染,抗がん剤など細胞障害性物質による曝露,各種のヒューマンエラーおよび薬剤保管管理などであり,組織的な対策が必要である.
著者
田中 芳明 升井 大介 石井 信二 朝川 貴博
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.5, pp.279-285, 2017 (Released:2018-05-14)
参考文献数
33

長期に消化管が使用不可能な場合には中心静脈栄養が選択される.中心静脈栄養は中心静脈カテーテル挿入時,長期栄養管理中にさまざまなリスクを伴う.栄養療法の適応,方法を誤れば患者の安全と健康を脅かす可能性があることを常に念頭におく必要があり,どのような合併症が起こりうるか,起こさないようにすればよいか,合併症が発生した場合の適切な対応を熟知していることが重要である.
著者
伊東 恵里佳 山内 清孝 大林 洋子 山下 純子 梅田 篤 堂本 英樹 梶原 賢太
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.15-24, 2013 (Released:2013-04-01)
参考文献数
17

【目的】術後早期および維持期のTPN 管理におけるアミノ酸の投与意義を検討するため,アミノ酸を強化した高カロリー輸液の栄養効果を評価した.【方法】低栄養手術侵襲ラットモデルを作成し,対照輸液(NPC/N=150)またはアミノ酸強化輸液(NPC/N=110)を投与し,栄養効果を比較検討した.術後早期の評価では3POD まで両輸液をそれぞれ投与し,4-7POD は対照輸液でTPN 管理した.また,0-14POD まで両輸液をそれぞれ投与し,維持期の評価とした.【結果】アミノ酸強化輸液の投与は,術後早期,維持期ともに体重変化量,腓腹筋重量,および窒素出納を有意に改善した.また,術後早期における腓腹筋中筋萎縮遺伝子発現の抑制を認めた.【考察および結論】術後早期またはTPN 維持期におけるアミノ酸強化輸液の投与により術後の異化を抑制し,栄養状態の回復を促進することが示唆された.
著者
苛原 隆之 佐藤 格夫 大嶽 康介 邑田 悟 播摩 裕 柚木 知之 石原 健吾 伏木 亨 井上 和生 横田 裕行 小池 薫
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.151-156, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
8

侵襲時の栄養療法に関しては,種々のガイドラインが作成されているものの詳細はいまだ不明瞭な部分が多い.また運動介入についても近年ICUAW 予防としての意義が注目されているが,早期の運動介入が代謝や生存率に与える効果についての報告はない.本研究ではマウス敗血症モデルを用いて間接熱量測定および尿中窒素測定により栄養代謝動態の変化を調べ,敗血症の重症度・時期による糖質・脂質・タンパク質の三基質の代謝動態の変化を明らかにした.また低強度の運動介入による効果についても調べ,急性期の低強度運動によりPGC-1α(Peroxisome proliferator-activated receptor gamma coactivator 1-alpha)が活性化された結果,内因性脂肪利用が上昇して脂質代謝が改善することが転帰改善に寄与していることが示唆された.早期運動介入が病態そのものに対する治療的効果をもつ可能性があるというのは画期的な知見であり,臨床における重症患者への栄養療法にも応用が期待される.
著者
延原 浩 眞次 康弘 伊藤 圭子 板本 敏行
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.165-174, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
54
被引用文献数
2

周術期口腔ケアは術後肺炎や口腔癌の手術部位感染(SSI)予防に効果があるといわれてきた.心臓外科や整形外科領域におけるSSI 予防効果を示す報告は散見するが,消化器外科におけるSSI など感染性合併症予防効果の報告は少なく不明な点が多い.消化器外科手術のなかでも外科的侵襲が大きく,術後合併症が多いとされる膵頭十二指腸切除術に対して術前から口腔ケアを実施すると,感染性合併症の減少を認めた.口腔細菌が全身に影響を及ぼす機序として,気管や消化管への直接移行,局所からの血行性・リンパ行性移行,エンドトキシンや炎症性サイトカインによる影響などが報告されている.消化器外科手術においては,消化管に流入する細菌の量的かつ質的制御,口腔内感染症の術前治療などが感染性合併症減少につながった可能性がある.今後,さらなる有効性の検証や,より効果的な口腔ケア介入方法の検討が望まれる.
著者
松田 明久 宮下 正夫 山田 真吏奈 松本 智司 櫻澤 信行 川野 陽一 関口 久美子 松谷 毅 山田 岳史 内田 英二
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.157-164, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
29

手術侵襲などによる組織障害や感染が生じた生体では,障害・感染を受けた部位のみならず全身からさまざまな外因性・内因性のメディエーターが放出される.リゾリン脂質は,近年の研究により多彩な生理活性を有する脂質メディエーターとして注目されており,その免疫学的作用も豊富であることから侵襲後の炎症性生体反応にも大きく関与している可能性が高い.本稿では主要なリゾリン脂質であるリゾホスファチジルコリン(lysophosphatidylcholine:LPC), リゾホスファチジン酸(lysophosphatidic acid:LPA), リゾスフィンゴシン脂質(スフィンゴシン-1- リン酸(sphingosine 1-phosphate:S1P)の3 つに焦点を当て,手術侵襲後の炎症性生体反応における役割について,自験結果に文献的考察を加え概説する.
著者
増本 幸二
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.377-380, 2016 (Released:2017-04-12)
参考文献数
18
著者
井上 真 長尾 智己 迫 秀則 大久保 浩一 佐藤 博
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.219-226, 2015 (Released:2016-02-25)
参考文献数
20

手術後も消化管機能が保たれる心臓手術の術後は,経口摂取による栄養管理が早期に開始となる.経口摂取による栄養管理は患者の「食べようとする意志」に左右されるため,その摂取量には個人差が認められる.さらに,術後は多くの症例で食欲の低下を認め,必要と考えられている摂取量を充足していないケースも見受けられる.一方,手術技術の進歩により,体力的に難しかった心臓手術を80歳以上の高齢者も受けることが可能になってきた現在において,これまであまり気にされることがなかった心臓手術の術後の栄養管理にも目を向けていく必要が生じてきている.すなわち,術後の早期回復を目指し,経口で効率的に栄養を摂取してもらうための最適な食事内容を検討,評価していくことが今後の重要な課題である.
著者
天江 新太郎
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.5-15, 2015 (Released:2015-05-08)
参考文献数
60
被引用文献数
1
著者
千葉 正博 土岐 彰 川野 晋也 中神 智和 鈴木 淳一 杉山 彰英 菅沼 理江 中山 智理 小嶌 智美 大澤 俊亮 磯山 恵一 外山 大輔 松野 良介 塚田 大樹 真田 裕
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.45-52, 2013 (Released:2013-06-07)
参考文献数
18

予定した,がん化学療法を完遂するためには,化学療法に伴うさまざまな有害事象を早期に発見し対応することが重要である.しかし,有害事象の発生と血漿遊離アミノ酸の変化との関係を検討した論文は少ない.今回我々は,小児急性リンパ性白血病患児10例の化学療法前後の血漿遊離アミノ酸濃度の変化と有害事象の発生とを比較検討したので報告する.  化学療法後の有害事象として,臨床症状でグレード3 以上は見られなかった.血液生化学検査では,グレード3 以上の発症は白血球減少が9 例,顆粒球減少が10 例,Hb 低下が5 例,血小板減少が4 例,AST 上昇が3 例,ALT 上昇が4 例に認められた.化学療法前後で血漿遊離アミノ酸濃度を比較すると,タウリン,グルタミン,シトルリン,メチオニン,イソロイシン,アルギニンが化学療法後低下する傾向が見られた.これらのうち,アルギニン,メチオニンの低下はAST の上昇と相関が見られた.
著者
山本 和義 西川 和宏 平尾 素宏 福田 泰也 中山 環 永妻 佑季子 谷川 清 前田 栄 原口 直紹 三宅 正和 濱 直樹 宮本 敦史 大宮 英泰 池田 正孝 高見 康二 中森 正二 関本 貢嗣
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.35-41, 2015 (Released:2015-05-08)
参考文献数
22
被引用文献数
1 2

胃癌患者は高齢者や低栄養症例も多いため,術前からサルコペニアの有病率が高いことが予想される.2012年7月~2014年2月の期間で当科にて行った65歳以上の胃癌手術症例69例中38例(55.1%)にサルコペニアを認めた.サルコペニア群で有意に摂取エネルギー量が少なく(25.6 vs. 29.9kcal/(IBW)kg, p=0.0060),摂取タンパク質量が少なかった(0.95 vs. 1.12g/(IBW)kg, p=0.0041).Clavien-Dindo分類Grade Ⅲ a 以上の重篤な合併症発生率はサルコペニア群で有意に高かった(23.7 vs. 6.5%, p=0.043).サルコペニア有りは重篤な合併症発生に関する独立した危険因子であった(OR 5.86, 95%CI 1.06? 51.65, p=0.042).サルコペニア合併高齢胃癌手術症例に対し,適切な栄養介入が重篤な合併症を回避するうえで有用であると考える.
著者
小林 久峰
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.71-75, 2013 (Released:2013-06-07)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1