著者
田中 和夫
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
no.29, pp.34-52, 1987
著者
柴山 淳 吉垣 茂 富岡 康浩
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.41-43, 2001-07-30

植物精油16種のイエバエに対する忌避効果をオルファクトメーターを用いた試験により評価した.その結果,スペアミント,シナモン,レモンでは特に高い忌避効果が認められた.さらに,ゼラニウムやローズウッドなどにも比較的強い忌避効果が見られた.
著者
水谷 澄 新庄 五朗 田中 生男
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.115-118, 2004-12-15

オオチョウバエの各種飼育法の概要を示した,さらに人工汚水と森谷らが1969年に報告したエビオス水溶液による飼育方法を室内観察で比較検討した.その結果,雌成虫が産卵適期であれば両法共培養液を設置後すぐ産卵した.25℃の温度下では,設置52時間後に一部1齢幼虫が孵化したので,卵期間は2〜3日であった.その後設置4日後まで双法の間で幼虫の発育に差は認められなかった.しかしそれ以降は人工汚水区の方がエビオス水溶液区より発育が早く進行した.成虫は両法とも自然個体と同様な大きさの個体が得られた,卵期間は2〜3日,幼虫期間は人工汚水区が8〜14日,エビオス水溶液区が10〜15日,蛹期は双法とも3〜4日であった.成虫の寿命は比較的短く,通常の湿度環境(60〜80%RH)では2週間以内にほとんどが死亡した.
著者
中根 猛彦
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.56-79, 1993
著者
吉村 剛 インドラヤニ ユリアティ
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.37-45, 2006-06-30
被引用文献数
3

1970年中頃より日本でその被害例が報告されるようになったアメリカカンザイシロアリ(Incisitermes minor (Hagen))の被害の現状とその対策について,現在解析が進みつつある食害生態における特徴とともにまとめた.アメリカカンザイシロアリの被害は全国的に拡大しつつあり,現在では日本全国に薄く広く分布していると考えるべきである.現状の被害報告件数から類推して,日本全国で数千軒以上の被害家屋があると思われるが,その被害は家屋上部,特に屋根部材に集中して発生する.食害行動や樹種嗜好性,および好適摂食環境条件などにおいて,アメリカカンザイシロアリはイエシロアリやヤマトシロアリとは大きく異なっていた.イエシロアリやヤマトシロアリを対象とした現在のシロアリ防除システムではアメリカカンザイシロアリに適切に対応することは不可能であり,新たな防除マニユアルの作成が早急に望まれる.これ以上の被害の拡大を防ぐために,行政-研究者-業界団体-薬剤メーカー-施工業者がスクラムを組んで真摯に取り組む必要がある.
著者
中野 敬一
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.94-96, 1994-12-20
被引用文献数
1

1993年の冬期と夏期から秋期に,東京都内の地下鉄駅において,昆虫等の生息および生息の痕跡の有無を確認し,気温と相対湿度を測定した。昆虫等の生息率(生息確認箇所/調査箇所)は冬期で25.4%,夏・秋期で44.8%であった。生息の確認された昆虫等は,チャバネゴキブリ,チカイエカ,オオチョウバエ,ホシチョウバエ,ユスリカsp.,ガガンボsp.,ノミバエsp.,ハエトリグモsp.,ウズグモsp.,であった。地下空間の広域化と複合化は,昆虫等の生息場所の拡大と最適な温度環境の提供を促進すると考えられた。
著者
田村 正人
出版者
日本家屋害虫学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.25-36, 2002-07-30
参考文献数
39
被引用文献数
1

本稿は1940~1952年の農村に於ける伝統的な家屋害虫の防除法,とくに土用干し,ハエ(蝿),カ(蚊)およびネズミ(鼠)の駆除法に対してIPMの光を当てることを目的として総括した.人と昆虫との関わりは古く広く深いので,生活の向上と安定化の歴史は「文化」を生んだものと考えられるので,語源や由来についても若干の考察を試みた.また本学会では,過去5年間「家屋害虫のモニタリング」を年次大会のメーンテーマに連続とり上げているので,ネズミのモニタリングについて,ラットサインによる生息の確認と,記号放逐法や捕殺除去法による個体数の推定を,わかり易く解説した.モニタリングによって防除の要・不要を判断し,さらには防除効果の評価も可能となる.
著者
富岡 康浩 柴山 淳 永山 篤子
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.11-19, 1997-06-30
被引用文献数
1

1.ガイマイゴミムシダマシ(以下ガイマイと略記)を各種の餌条件で飼育し,発育日数および蛹化率,羽化率を比較した。またガイマイの幼虫(若齢,中齢,終齢),成虫にイエバエの卵および各ステージの幼虫を給餌し,1日当たりの捕食数を調べた。さらにイエバエ幼虫飼育培地にガイマイをいろいろな密度で放飼し,ハエに対する羽化抑制効果を評価した。2.各種の餌におけるガイマイの孵化から羽化までの発育日数(平均±標準偏差)と羽化率は,フスマが37.6±2.5日,51.1%,魚粉が43.2±5.0日,53.3%となり,動物性タンパク質を主成分とし炭水化物をほとんど含有しない魚粉でも発育が十分可能であった。これらを混合した餌では32.1±2.9日,82.2%,合成飼料では32.1±2.9日, 85.6%となり,炭水化物,タンパク質ともある程度含有させると,より発育に適した飼料となった。3.ガイマイは乾燥鶏糞だけでも生育完了が可能であったが,発育日数は54.4±7.0日と遅延し,羽化率も17.7%と低かった。4.ガイマイの成虫,幼虫ともイエバエの主に卵と2日齢までの小さな幼虫を捕食し,捕食数はガイマイ終齢幼虫で最高となり,イエバエ卵を約41個/日,2日齢を約24頭/日捕食した。ガイマイ成虫の捕食数は,卵が18個/日,2日齢が約9頭/日であった。5.イエバエの3日齢幼虫飼育培地にガイマイをいろいろな密度で放飼した際のハエの羽化率は,ガイマイ成虫では80頭放飼でも73.7%であったが,終齢幼虫では10頭放飼で約30%,20頭放飼で約20%となり,成虫より終齢幼虫の方がハエに対する羽化抑制効果が高かった。
著者
洗 幸夫
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.25-28, 1994-07-20

ケナガコナダニを材料として,マィクロ波(電界強度100mW/cm^2)が畳に付着しているダニに及ぼす影響に関する実験を行った。マイクロ波照射時間が長くなるほど,ダニの死亡率が高くなる。畳の種類と部位により,ダニ死亡率に差があり,わら床畳では死亡率は内部>表面>裏面で,化学畳では表面と裏面がほぼ同様であった。しかし,60秒照射すれば,畳の種類や部位に関係なく100%の駆除効果が得られた。また,マイクロ波の照射により,畳の温度が上昇し,その発熱効果がマイクロ波のダニ駆除効果を助長していると推察される。
著者
中野 敬一
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.105-114, 2000-01-30

ホンデュラスにおけるタバコシバンムシの生息状況を把握するため,フェロモントラップによる調査を行った。(1)1家屋内外に1997年7月から1998年6月の1年間,毎月トラップを設置した。タバコシバンムシを1年間を通じて捕獲することができた。屋内の平均捕獲数の合計は43.7であり,最小捕獲数は0.7,最大捕獲数6.3であった。屋外(排水パィプ横)での捕獲数は合計52,最小捕獲数1,最大捕獲数15であった。屋外(中庭)の捕獲数は合計229,最小捕獲数4,最大捕獲数45であった。(2)5ケ所の公園に1998年3月,1998年9月,1999年3月7日間トラップを設置した。1998年3月の調査による総捕獲数は15で,平均捕獲数は3.8であった。1998年9月の調査による総捕獲数は109で,平均捕獲数は21.8であった。1999年3月の調査による総捕獲数は2で,平均捕獲数は0.7であった。(3)首都の2ケ所の事務所と3ケ所の住宅の屋内外に1998年9月,1999年3月,7日間トラップを設置した。ならびに地方都市の5ケ所の住宅の屋内外に1998年9月,7日間トラップを設置した。1998年9月,首都ではすべての調査箇所の屋内外でタバコシバンムシが捕獲された。総捕獲数は屋内で45,屋外で30であり,その平均捕獲数は屋内で7.5,屋外で5である。地方都市では3ケ所でタバコシバンムシが捕獲されたが,2ケ所では捕獲されなかった。捕獲されなかった地方は標高の高いラ・エスペランサと盆地であるラ・パスという町である。屋内の総捕獲数は48,平均捕獲数は9.6であった。屋外の総捕獲数は5,平均捕獲数は1.25であった。1999年3月,首都では屋外,屋内ともに1ケ所のみで捕獲され,総捕獲数は著しく少なく屋内外とも2であった。(4)小麦粉のべイトトラップによる調査を行ったが,次世代のタバコシバンムシは生育しなかった。タバコシバンムシの捕獲数は雨期に多くなった。しかし,その捕獲数は日本に比べると少ない。その原因として,日本と異なる生態型のタバコシバンムシの可能性,亜熱帯環境の生物的影響と気象環境の影響,ホンデュラスの食品環境と居住環境,特に都市化の違いが考えられた。
著者
安富 和男
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.139-143, 1995-12-20

世界各地に分布するイエバエMusca domestica L.は家住性のハエと呼ばれるように,人家内に侵入する性質が強い。そのイエバエに性決定機構の異常が起こっている。近年,日本では異常な性決定機構をもつイエバエが年々増加し,正常な標準型が急速に減少してきた。オスでは,本来Y染色体上にあるはずの雄性決定因子(M)が常染色体に転座して組みこまれたA^M型,さらにメスでは,複数のM因子に対して上位に働くF因子をもつFA^MA^M型の急増である。遺伝学的特性の研究から,この現象は環境汚染物質の蔓延,とくに有機リン剤の連用と因果関係がありそうだと推論されている。この機会に,現在までに報告された知見を要約しておきたい。
著者
川上 裕司 岩田 隆太郎
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.91-96, 2003-11-29
被引用文献数
1

奈良県橿原市在住の消費者が2000年7月24日に購入した「薬タンス(チャイニーズメディシンチェスト)台湾製」より,2002年5月3日にカミキリムシの成虫が羽化脱出した.同定の結果,中国・台湾に分布するヒゲナガヒラタカミキリEurypoda antennata SAUNDERSの♂と判明した.この家具は中国の古い家屋をリサイクルして製造されたものであり,本個体は原材料に産卵されてから少なくとも20年以上を経て羽化したものと推定された.
著者
春成 正和 富岡 康浩
出版者
都市有害生物管理学会
雑誌
家屋害虫 (ISSN:0912974X)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.107-113, 2004-12-15
被引用文献数
4

横浜市鶴見区の2階建て木造住宅において2003年7月に,外来種アメリカカンザイシロアリIncisitermes minor (Hagen)による被害を確認した.被害は天井裏の構造材に多く見られ,木材の表面を薄く残して内部が著しく食害されており,虫孔の下部には乾燥した砂粒状の糞が小山状に堆積していた.防除は,クロルフェナピル21.44%懸濁剤(ステルス[○!R]SC:ピロール系殺虫剤)水希釈液の被害部への加圧注入と木材表面への残留散布,さらに壁内部(間柱の間)等にはエンペントリン5%炭酸ガス製剤(ブンガノン[○!R]VA:ピレスロイド剤)を噴霧した.この被害家屋を中心に半径約300mの範囲を踏査した結果,43戸の家屋の外周部から本種の特徴的な糞塊が確認され,周辺地域に比較的高密度で生息していることが判明した.地域内の製材所の在庫木材の下にも虫糞が認められたことから,有翅虫による自然分散に加えて,物流に伴う広範囲な分布拡散の可能性も示唆された.