著者
局 博一
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.19, no.Suppl1, pp.39-43, 1999-03-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
8
被引用文献数
2
著者
小野 克重
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.35-39, 2022-03-04 (Released:2022-03-17)
参考文献数
11
著者
渡部 裕 南野 徹
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.86-94, 2015 (Released:2016-03-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1

カテコラミン感受性多形性心室頻拍(catecholaminergic polymorphic ventricular tachycardia : CPVT)は,交感神経活性を高める精神的ならびに肉体的なストレスによってVTを発症する遺伝性不整脈症候群の一種であり,現在までにいくつかの原因遺伝子が明らかとなっている.これらの遺伝子の変異は,筋小胞体に存在するリアノジンレセプターからの異常なCa2+の放出により,CPVTをきたすことが共通している.臨床像としては,器質的に心臓は正常であり,運動や感情の高まりによって誘発される心室不整脈による動悸や失神,心肺停止が特徴である.心房細動や心室不整脈が高頻度で見られるものの,一拍ごとにQRS波の軸が180°変化する二方向性VTが特徴的であり,診断に有用である.交感神経活性によって誘発されるVTは心室細動へ移行することがあり,心停止が初発症状である症例もしばしば見受けられる.安静時心電図は正常であり,診断に際しては画像診断による器質的心疾患の除外と,運動やストレスによって出現する不整脈が重要である.治療には,β遮断薬やフレカイニドが用いられる.植込み型除細動器は,心停止歴のある症例やβ遮断薬が不整脈の抑制に不十分な症例で適応となるが,突然死の予防効果は不完全である.

3 0 0 0 OA J波の機序

著者
相庭 武司 河田 宏 横山 光樹 日高 一郎 高木 洋 石橋 耕平 中島 育太郎 山田 優子 宮本 康二 岡村 英夫 野田 崇 里見 和浩 杉町 勝 草野 研吾 鎌倉 史郎 清水 渉
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.345-351, 2015 (Released:2015-07-27)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

これまで良性と考えられてきた早期再分極(J波)だが,一部の症例で突然死との関係やBrugada症候群,QT短縮症候群との合併が注目され,必ずしも予後良好とはいいきれない.その成因は,主に動脈灌流心筋切片(wedge)モデルの実験結果から,心外膜側の活動電位第1相notchに起因する「早期再分極」異常と,臨床の電気生理学的検査から得られた心室内伝導遅延による「脱分極」異常の両方が考えられている.しかし,脱分極と再分極は相反するものではなく,ひとつの心筋細胞の活動電位において表裏一体であり,両者が密接に関係し,特徴的な心電図異常と心室細動発生に至ると考えるべきであろう.遺伝子レベルでも特発性心室細動(早期再分極)やBrugada症候群が,必ずしも単一の遺伝子異常では説明不可能な点もこれを裏付ける考え方である.今後,心電図学のさらなる研究によって,より具体的に良性J波と不整脈の原因となる悪性J波の鑑別が可能となることを期待したい.
著者
藤田 禎規 岸 良示 中沢 潔 高木 明彦 長田 圭三 龍 祥之助 宮津 修 渡邉 義之 西尾 智 松田 央郎 石川 由香子 三宅 良彦 中村 雅 望月 孝俊
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.737-743, 2006-09-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
10

症例は52歳, 女性.心室細動 (Vf) による心肺停止状態となり, 植込み型除細動器 (ICD) 植込み術を施行した.以後Vf発作は認めなかったが, 発作性心房細動 (Paf) によるICDの不適切作動を頻回に認めた.Pafは多剤無効でアミオダロンを使用したが, 甲状腺機能亢進症を生じたため継続不能となった.アミオダロン中止により, 再びPafによるICDの不適切作動を認めた.このため薬物コントロールは困難と考え, カテーテルアブレーションによる房室プロツク作成術および心房リードの追加を行いDDIRペーシングとした.その後はICDの不適切作動は認めなかったが, 7カ月後に失神発作を生じた.ICD記録では, 頻拍イベントは認めなかったが, 入院後の心電図モニターで失神前兆と一致して心停止を認めた.心房波は75bpmの自己調律で, ICDの心内心電図記録から, 心房波のオーバーセンシングによる心室ペーシング抑制と考えられた.
著者
青峰 正裕 大和 孝子
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.10-15, 2002-01-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
20
被引用文献数
4 4

女子大学生 (252名) を対象として, 身体の各部に冷えを訴える冷え症者 (冷え症群) と, 冷えを自覚しない正常者 (正常群) の身体的特徴と標準肢誘導心電図を比較した.冷え症群では体脂肪量, 皮下脂肪厚, 体脂肪率は正常群と比べて, いずれも有意に低下しており, 体脂肪が低い傾向にあった.また, 除脂肪体重も正常群に比し有意に低く, このことは身体を構成する筋肉量も少ないことを示唆しており, したがって体重, BMIも低く, 冷え症群は痩せ型の傾向があった.心電図波形を正常群と冷え症群で比較した場合, QT時間とR-R間隔を除いて他の心電図波形には有意な差は観察されなかったが, 両ファクターはともに冷え症者で延長していた.また, 脈拍数は冷え症群では有意に低下しており, R-R間隔の延長がQT時間の延長を招き, それが冷え症群における心拍数の減少を引き起こしていることが考えられ, QT時間を先行するR-R間隔で補正したQTcを両群間で比較すると, 有意差は消失した.このように冷え症者は一般に痩せ型であり, 徐脈傾向で, 心電図ではQT時間とR-R間隔の延長が観察される傾向があることが明らかになった.最後に冷え症と自律神経障害との関係を論じた.
著者
家子 正裕
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.2, pp.149-156, 2014 (Released:2015-07-27)
参考文献数
9
被引用文献数
3

ワルファリンは,細胞性凝固反応の開始期,増幅期,増大期に存在する凝固第VII,IV,X因子およびトロンビンの原料となるプロトロンビンの蛋白量を低下させ,強力な抗凝固効果を発揮する.しかし,出血性副作用も多く,プロトロンビン時間-国際標準比(PT-INR)を頻回に測定し,用量を調節しなくてはならない.ダビガトランは,初期トロンビンおよび増幅期にフィードバックするトロンビンを阻害し,結果的に凝固増幅期を阻害することでトロンビン産生速度を低下させる.活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)で過剰状態をモニタリングできるものの,APTTのトロンビン阻害薬感受性は試薬ごとに大きく異なっているため,標準化が必要である.Xa阻害薬は凝固増大期のプロトロンビナーゼ複合体を阻害し,トロンビン生成速度および産生総量を低下させ,抗凝固効果を発揮する.リバーロキサバンおよびエドキサバンでは,過剰状態をPTでモニタリングできるが,PTのXa阻害薬感受性は試薬ごとに異なるため注意を要する.また,アピキサバンはPTに反応しないことから,今後新たなモニタリング検査の開発が望まれる.一方,抗血栓効果の確認には,Dダイマーや可溶性フィブリンモノマー複合体などの血栓マーカーが,すべての抗凝固薬で有用である.
著者
小林 洋一 菊嶋 修示 宮田 彰 三好 史人
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.20-36, 2010 (Released:2010-07-14)
参考文献数
10

ATP(アデノシン三リン酸)は多くの不整脈の診断と治療に用いられる.そのなかで,上室不整脈に対するATPの使い方としては,上室頻拍の停止,上室頻拍の鑑別診断,wide QRS頻拍の鑑別診断,上室頻拍に対するカテーテルアブレーションの評価,WPW症候群に対するカテーテルアブレーション後の副伝導路再発の予知,心房細動に対するカテーテルアブレーションの評価,などがあげられる.まず,ATPのヒトにおける上室の刺激伝導系への作用を概説し,次にATPの基本的な使い方を,さらには,臨床的な診断治療における有用性につき述べ,その他今まであまり使われていない使用方法にも触れる.Ca拮抗薬はすでに20年以上前から不整脈治療に用いられてきたが,本章では静注薬に的を絞り,ATP,ベラパミル,ジルチアゼムの使い分けについて解説する.
著者
熊谷 浩一郎
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.205-207, 2012 (Released:2015-07-01)
参考文献数
5

心房細動(AF)に対する薬物治療が奏効しない場合,カテーテルアブレーションによってAFを根治できる可能性がある.また近年は,AF停止効果が認められているピルシカイニドやニフェカラントとカテーテルアブレーションを組み合わせたhybrid therapyにより,高い洞調律維持率が得られるようになった.カテーテルアブレーションと抗不整脈薬によるhybrid therapyは,難治性AFに対する治療戦略のひとつとして有用であると考えられた.
著者
樗木 晶子
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.139-140, 2020-10-30 (Released:2020-11-19)
参考文献数
4
著者
柳(石原) 圭子
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.179-185, 2013 (Released:2015-07-27)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

マグネシウムイオン(Mg2+)は体内ではナトリウムイオン(Na+),細胞内ではカリウムイオン(K+)に次いで二番目に多い陽イオンであり,体内のMg2+不足は不整脈,虚血性心臓病,心不全などの心血管疾患の病態にかかわる可能性が古くから指摘されてきた.不整脈との関連では,硫酸マグネシウムの静脈内投与がQT延長に伴うトルサード型心室頻拍を抑制することが知られており,一方で高Mg2+血症は房室ブロックや心停止を引き起こす危険性がある.そのメカニズムには細胞外から心筋の膜電位やイオンチャネルへの作用以外に,何らかの経路でMg2+が細胞内に流入してイオンチャネル機能を修飾する可能性が考えられる.生理的濃度の細胞内Mg2+(Mg2+i)にはL型Ca2+チャネルを抑制し,緩徐活性型遅延整流性K+電流(IKs)や内向き整流K+電流(IK1)を増加させる作用がある.したがって,Mg2+流入が心室筋活動電位の持続時間を短縮して活動電位延長に伴う早期後脱分極,さらにはトルサード型心室頻拍を抑制する可能性がある.またMg2+iが誘発するIK1トランジェントは,急速活性型遅延整流性K+電流(IKr)が減少する際に,再分極予備能として早期後脱分極発生を抑制することがシミュレーションによって示されている.
著者
沢山 俊民
出版者
Japanese Heart Rhythm Society
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.21, no.4, pp.447-450, 2001-07-25 (Released:2010-09-09)
参考文献数
9

川崎医科大学循環器内科に入院し, 冠動脈造影で冠狭窄部位が特定された患者を対象に, マスター負荷試験の成績を解析したところ, 以下のように虚血性U波の有用性が見い出された.1.従来のST・T異常例に虚血性U波例を加算すれば, 心筋虚血の検出率は心筋シンチや負荷エコー所見に勝るとも劣らないものと思われた.2, 心電図検査では弱点とされていた後壁虚血も, 右冠動脈疾患か左回旋枝疾患かの鑑別も含めてT波とU波の組合せ所見で検出可能である.3.U波異常は, トレッドミル法によらなくても, より簡便なマスター2階段法で検出可能である.
著者
野上 昭彦
出版者
一般社団法人 日本不整脈心電学会
雑誌
心電図 (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.245-263, 2014 (Released:2015-07-27)
参考文献数
29
被引用文献数
1

不整脈原性右室心筋症(arrhythmogenic right ventricular cardiomyopathy : ARVC)は,右室の拡大と機能低下,および右室起源の心室不整脈を特徴とする心筋症である.遺伝的要因があり,心筋細胞間の接着に関与するデスモゾーム関連遺伝子や,Ca2+ハンドリング蛋白であるリアノジン受容体(RyR2)遺伝子の異常などが明らかになっている.2010年には,初期病変や保因者への診断感度を高くした新たな診断基準が示された.本疾患は若年者の突然死の原因となることもあるため,早期診断と心室不整脈および心不全に対する適切な治療が重要である.