著者
西澤 正己 孫 媛
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.216-223, 2014
被引用文献数
6

2007年から2012年の間に、大学に関連して発行されたプレスリリースが掲載された新聞記事を、読売新聞と毎日新聞について調査した。これまでの調査で、大学に関連したプレスリリースが近年大幅に増加していることがわかり、それに対応して、新聞掲載も増加していることがわかっている。本調査では、プレスリリースが読売新聞と毎日新聞に掲載された記事について、その特徴等を考察する。
著者
狩野 芳伸 神門 典子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.179-184, 2013-05-25
参考文献数
7

「ロボットは東大に入れるか」プロジェクトでは、最初の課題として大学入試センター試験の自動解答を目指している。本稿では、そのうち歴史系科目を対象とした解答器作成の試みを報告する。我が国の大学入試は、基本的に高校教科書の範囲内から出題されることになっている。しかし、人工知能が機械的に解くという観点でみると、範囲内というのは曖昧さがあるうえ、潜在的に人間の常識や知能を前提にしている。我々はあくまで教科書内の知識のみを用いるアプローチで、どこまで自動解答が可能かを試みた。歴史系科目とセンター試験の特性を鑑みて、解答にあたってはあえて論理的な構造や解析を排除し、教科書内の表現が肯定的であることを前提に単語を基本とする知識でどこまで解答可能かを探った。
著者
深澤 克朗 沢登 千恵子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.133-143, 2017
被引用文献数
1

<p> 本稿は,テキストマイニングの一環として,中世を代表する文学である和歌についてアプローチを試みたものである.分析対象は,平安中期から鎌倉時代初期までの「八代集」と呼ばれている勅撰和歌集である.これらの和歌の形態素での計量分析を行い,「八代集」の違いについて考察を行った.分析手法としては和歌集間での品詞使用率の統計的な差や,特に季節歌と恋歌に関して,冨士池優美氏が行っている名詞率とMVRの関係を用いた手法により,和歌集における差を調査した.そして,その結果を用いて,機械学習の手法の一つであるNaïve-Bayesにより判別を試みた.結果は,若干の程度の差はあれ判別をすることは困難であった.しかるに,和歌集の季節歌・恋歌などの部立別データにおいては,特に「後撰集」が高い判別であった.このことより,「後撰集」は「八代集」の中で異質な存在であるのかも知れないと思われる.</p>
著者
村川 猛彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.219-224, 2017-05-27 (Released:2017-07-21)
参考文献数
20

Dockerコンテナとして動作する,全文検索サービス生成プログラムを開発した.検索対象文書を送ると,全文検索サービスを稼働させるためのDockerfileなどを生成する.これにより保有コンテンツの公開やクラウドサービスへの送付をすることなく,インデックスが作られ,Webブラウザ上で全文検索が可能となる.約6万件の防災ブログ記事を用いて評価実験を行った.
著者
金光 秀和
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.24-38, 2006-08-08
参考文献数
25

現在,技術者倫理が世界各国で技術者教育に導入されつつある.日本においても,技術系学協会が倫理教育に取り組むと同時に,理工系の大学や高等専門学校で技術者倫理教育が活発化している.本稿では,歴史的背景の概観を通して,なぜ技術者倫理が必要なのか,また,現在どのような技術者倫理が求められているのかについて考察する.現在の技術者倫理はアメリカにルーツをもつものであるが,各国はそれぞれ異なった歴史的背景を有している.本稿では,アメリカの技術者倫理の歴史を概観し,その上で各国の歴史的相違について考察する.そのさい,とりわけ技術者の専門職としての責任に注目する.最後に,技術者倫理の今後の展望について論じ,ヨーロッパで試みられている,技術者倫理の技術倫理への拡張の構築に注目し,技術哲学による技術者倫理の基礎づけを求める議論について考察する.
著者
児玉 閲 小野寺 夏生
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.243-266, 2015-09-28 (Released:2015-11-20)
参考文献数
42

引用傾向(論文あたり参考文献数や引用年齢分布)の経年変化及びそれが自然科学分野の雑誌インパクトファクター(JIF)に及ぼす影響について分析した.対象をJCR2001~2009に継続して掲載されている4463誌に限定し,雑誌の入れ替わりの影響を除いた.自然科学分野全体では,論文あたり全参考文献数は増加していたが,JIFの算出対象となる前2年参考文献数の増加は微少で,引用年齢が高い参考文献が増加していた.JIFの変化は,前2年参考文献数と論文成長率の両方の変化の影響を受けているが,後者の影響がより強い.分野別にみると,論文あたり全参考文献数は全分野で増加したが,前2年参考文献数は分野によって増減がみられた.分野間のJIF変化率の違いに最も強く影響を与える要因は論文あたり前2年参考文献数変化率,次いで論文成長率変化率であり,分野間引用の影響は小さかった.
著者
東 英弥 佐藤 純一 岩田 修一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.49-70, 2002

現代社会で生活の基本システムである経済活動の社会連関において、言語を道具とした社会的、経済的活動である広告に着目し、日本唯一の広告専門誌「宣伝会議」の1954年から2000年の47年間613冊の全誌における掲載記事の全タイトルに用いられた言葉の出現頻度について、ビブリオメトリー分析を実施した。50年代から90年代にわたる10年期毎に、第2次大戦後の日本の廃墟からの復興と現在に至るまでの経済、産業、社会の変遷を、広告用語を通して、現象論的な特徴を明確にすることを目的に研究を行った。本稿では、広告業のマーケットコミュニケーションを通じての人間社会、環境への適応への貢献の可能性を探るため、企業製品の消費者への宣伝という狭義の広告に止まらず、産業界の発展や、社会情勢を正しく伝えることで、次の10年期への経済・社会動向、企業意識、さらに環境や国際問題等の理解に日本の広告活動が果たしてきた状況について、半定量的なビブリオメトリーで明らかにした結果を報告する。
著者
沢 恒雄
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.142-151, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
18

21世紀の爛熟した工業化社会では,環境・社会・経済のトリレンマの状態にある。22 世紀に人類は,100 億人になると予測されているが,地球の資源はそれを賄うだけの資源がない。トリレンマの解決策は無く緩解策とした。人口増加率と工業化率の低減を提案してきた。その基盤として「生物人類温存モデル」と「言語文化温存モデル」を2 大モデルの思想とした。ここで日本モデルの前提となるGHQ 洗脳と自虐思想のモデルを考察した。
著者
林 賢紀 瀬尾 崇一郎 阪口 哲男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.11-28, 2016

Web技術によるデータ公開の方法としてLinked Open Data(LOD)が注目されている.しかし,既存のWeb上の情報資源の多くは人が読む利用形態に適したデータ構造のままであるなど,構造化が不十分であることが指摘されている.本研究においては,異なる性質の要素を持つ複合的な情報資源に対し,相互運用性を持ちかつ情報損失を起さずにLODを適用する方法について検討を行った.この結果,対象となる情報資源に記載されている情報を元にして,文書の構造や使用されている語彙などを分析することにより,LODへの再構成を効率的に行うことが可能であることを明らかにした.また,関連付けが可能な他の情報資源を用いて不足している情報を補うことを前提とした構造化により,人が読む利用形態に適したデータ構造に基づいていても適切なLOD の適用を可能とし利活用しやすくするための一手法を示した.
著者
松村 敦 濱沖 肯志郎 榎本 祐季 三島 悠希
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.211-216, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
5

子どもの質問には,その子どもの興味が表れることに着目して,登録された質問に人手で絵本を推薦するソーシャル絵本推薦システム「ぴくぶく」を開発している.本稿では,「ぴくぶく」に自動推薦機能を追加することで,絵本の推薦率を向上させ,活発な絵本推薦を促すことを試みた.14組の親子を対象とした利用実験を行った結果を報告する.
著者
榎本 翔
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.221-226, 2016-05-14 (Released:2016-07-15)
参考文献数
12

近年,電子媒体の資料が増加している.研究者が資料を入手できるように,リンクリゾルバーやベンダーによるウェビナーの開催といった工夫が多く見られる.一方,大学図書館ではデータベースの代理検索や利用教育を行ってきたが,最新の動向は明らかになっていない.本研究では,日本の大学図書館におけるデータベース利用案内と利用教育がどのように行われているのか,複数の大学を抽出しWebサイトを通じて調査をし分析を行った.その結果,設置母体や大学の規模によって利用案内や利用教育の内容量に差が見られた.
著者
深澤 克朗 沢登 千恵子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.152-157, 2016

本稿では、中世古典文学の数作品について「係り結び」を構成する係助詞の頻度を計測し、それをベースにテキストマイニングを試みた。統計的手法としては、比率の検定、主成分分析、クラスター分析、判別分析を行った。「係り結び」は鎌倉・室町時代あたりから衰退が起こってきているということが定説であり、本稿の作品群においても、時代を追ってその傾向が見られる[1][2]。さらに、その作品間での差を段単位での係助詞の頻度により調査した。その結果、「宇治拾遺物語」は他の作品とは差があるという傾向が見受けられた。
著者
佐藤 翔 井手 蘭子 太田 早紀 林 直樹 道浦 香奈 副田 沙織
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.195-200, 2016
被引用文献数
1

本研究では同志社大学の学生102名を対象に2015年に実施した質問紙調査の結果に基づき,日本の大学生のWikipediaに対する信憑性認知や,学習におけるWikipediaの利用実態を明らかにするとともに,どのような要因が信憑性認知や学習における利用に影響を与えるかを検証する.分析の結果,回答者はWikipediaをどちらかと言えば信憑性のあるものと考えており,レポート作成等にも用いているが,参考文献には挙げない傾向があること等がわかった.
著者
川村 隆浩 山下 泰弘 松邑 勝治
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.2016_028, (Released:2016-06-30)
参考文献数
26
被引用文献数
1

現在,論文数や被引用数といった研究業績の量に基準を設けて研究者を判断することがしばしば行われている.しかし,基準の設定は分野によって異なる上,経験則に頼らざるを得ない.また,単純な合計では年長者が有利になり易い等の問題が指摘されている.そこで,本論では業績の量に加えて時系列的変化からも特徴を見つけ出し,それに基づいて研究者を分類することを試みる.具体的には,大規模な文献データセットからビブリオメトリクスの時系列パターン群を抽出し,機械学習手法によって研究者を “優秀” かそうでないか分類するモデルを構築する.実験では,JST と Scopus のデータセットを用いて 2 分野計 114 名の研究者を対象に,F 値 80%以上の精度で分類できることを確認した.今後は,対象人数の増加や別分野での検証を進め,“優秀” な人財発見に役立てたい.
著者
長塚 隆 神野 こずえ
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.149-156, 2011-05-28
被引用文献数
1 2

Wikipediaは利用者参加型のオンライン百科事典であり,インターネットに接続し,誰でもが記事を編集できる.Wikipedia日本語版は281言語版のなかで記事数では7番目に大きな言語版である.Wikipedia日本語版の学生を中心とした利用動向を調べるために,認知度,利用経験,利用理由,利用目的,記事の信頼度,記事の編集経験,他の言語版の利用などについてアンケートを実施した.学生におけるWikipedia日本語版の利用時の特徴を明らかにした.
著者
重元 康昌 桑名 良和 權 娟大 菅原 秀明
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.86-91, 2009-05-16 (Released:2009-06-27)
被引用文献数
2 1

生物の研究現場ではさまざまな解析プログラムやデータベース、文献などの情報があり、それらを組み合わせて使うことが多い。そこで、国立遺伝学研究所では120 以上の機能についてWeb API を開発し公開した。これによって、利用者は国立遺伝学研究所の大規模システムが手元にあるかのようにさまざまなサービスを自由に組み合わせて利用することができるようになるとともに、組み合わせのノウハウをワークフローとして共有することも可能になった。本稿ではこの生物分野におけるWeb API の適用事例を紹介する。
著者
村主 朋英
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.11-16,32, 2001

American Society for Information Science and Techno1ogyを中心に進んだ研究は、図書館・情報サービスの歴史や情報学の分野それ自体の歴史を扱って成果を挙げている。本稿では、そのような近年の情報学における歴史学的研究の動向を踏まえ、情報学の立場からの歴史研究とメディア史(コミュニケーション史)の双方の視点を有機的に統合することによって、より包括的な情報史の研究を実現するための方策について論じた。情報環境の概念を導入すると、情報学の視点からの歴史研究は情報環境の構築・準備および管理という観点から構造的に把握し直すことが可能である。これに対し、メディア史の観点からの歴史像、つまり情報環境に囲まれた人々の情報探索行動や利用行動に焦点を当てた歴史記述を付加することによって、総合的な情報史の歴史観が得られると結論付けた。
著者
矢木 大介 村田 健史 笠原 禎也
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.3-22, 2015-02-28 (Released:2015-04-30)
参考文献数
30
被引用文献数
2

昨今,種々の目的で打ち上げられる科学衛星や地球観測衛星の観測データは蓄積され続け,膨大な量となっている.自然科学ビッグデータをプロセス間通信等の複雑なプログラミングや大規模な環境設定なしに解析するためのデータ処理手法と環境の需要が高まっている.本論文では,サイエンスクラウド上で容易に並列処理の実装が行えるタスクスケジューラを用いたヘテロタイプの並列分散処理の性能評価について議論する.評価を行うにあたって,月周回衛星かぐやに搭載されたWFC-Lが観測した波形データセットと既存のデータ解析プログラムを用いた.今回提案するタスクスケジューリング技術および並列分散処理技術がヘテロタイプの時系列データ処理に適していることを実証する.

1 0 0 0 Thesaurus管見

著者
寺澤 芳雄
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.9, no.4, pp.3-11,49, 2000

まず、中世から現代に至るthesaurusの発達をRoget's Thesaurusを中心に概観する。ついで、Roget's Thesaurusが近代科学発展期のキーワード「分類・組織」によって観念を分類・体系化し、これに基づいて英語の語彙組織を確立しようと試みたものであること、その際RogetがF.Bacon, J.A.Comenius, J.Wilkins等の構想から影響を受けたことを明らかにした。さらに、Roget's Thesaurusがその後の時代の要請に応え、どのような変容受けつつあるか、またその構想を応用した各種概念別分類辞典を取り上げて、thesaurusの今後の可能性を考察した。