著者
奥村 弘
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.336-343, 2012-11-04
著者
松島 茂
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.328-335, 2012-11-04

本稿では、最近、歴史学、政治学、社会学の分野において活用されるようになったオーラル・ヒストリーとはなにかについて説明するとともに、筆者がこれまでに実施してきた機械工業振興臨時措置法のオーラル・ヒストリー、トヨタ技術者のオーラル・ヒストリー及びラオス企業家のオーラル・ヒストリーを紹介した。その上でオーラル・ヒストリーの実践のためには、インタビューの対象となる事象の起こった時点とインタビューをする時点の時間的距離、インタビューをする側と語り手の心理的距離について考慮することが重要であると指摘した。さらにオーラル・ヒストリーの手法を震災の記憶・記録に活用する場合の留意点について考察を行った。
著者
岡本 真
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.308-315, 2012-11-04
被引用文献数
1

災害の記録を伝えるアーカイブズ(震災アーカイブズ)の現状と課題を主に東日本大震災を中心に論じる。さまざまなアーカイブズを記録主体(自治体、大学等、企業ほか)、記録対象(画像、動画、文章、ウェブほか)、記録方法(デジタル、アナログ、両方)等の観点で分類をおこなう。その上で、現在の日本における震災アーカイブズを巡る課題を指摘する。特にデジタルデータへの傾斜や法的課題、二次利用の壁等についての問題提起を図る。
著者
宮本 聖二
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.298-307, 2012-11-04

2011 年 3 月 11 日の地震発生と同時に、NHK は緊急報道に取り組み、その後は、地震や津波のメカニズムに科学的なアプローチで迫る、震災時の人々の行動心理を分析する、また、がれき処理や復興の課題を追求するなどから、地域の復興支援をねらいにした歌謡番組なども含めて、さまざまなテーマや視点で番組を作り、放送を出し続けている。<br/> 一方で、放送局として東日本大震災をインターネットで伝えることにも取り組んでいる。多くの人々がネットで動画コンテンツや情報を得ようとしているブロードバンド時代のいま、放送局としては放送を出すとともに、ネットにコンテンツを提供することはきわめて重要である。ここでは、筆者が編集責任者をつとめている「NHK東日本大震災アーカイブス」について、制作の経緯から、あの震災を伝えていくためにどのような試みを続けているのかを述べたい。
著者
原田 隆史 吉村 紗和子
出版者
Japan Society of Information and Knowledge
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.65-72, 2010-05-15
被引用文献数
2 2

オンライン書店のサイトをはじめとして,読者自身が図書の感想などを投稿するオンライン書評サイトが増加してきている。本研究は,このようなオンライン書評の持つ特徴を,新聞書評などと比較することで明らかにするものである。書評中の各文を,評価対象,評価の視点,評価の客観性,評価極性(肯定的か否定的)かという4つの観点から分類し,集計した。その結果,1) 評価対象は「作品に対する評価」がどの書評でも評価組全体の約9割を占め,書評ごとの変化は見られない,2) 評価の視点について,新聞書評では「作家の表現手法」などが全体の48%を占めるのに対し,オンライン書評では「ストーリー」や「場面」がほとんどである,3) 新聞書評では客観的な表現や肯定的な評価がほとんどであるのに対し,オンライン書評では主観的な表現や否定的な評価も多く多様な内容であることが明らかとなった。
著者
江草 由佳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.225-234, 2007-12-08

日本の教科書のうち,特に現行の検定教科書以前に使用された戦前教科書の電子化と応用の現状を述べ,ケーススタディとして国立教育政策研究所教育研究情報センター教育図書館が所蔵する戦前教科書の電子化,保存とその応用について述べる.
著者
柊 和佑 阪口 哲男 杉本 重雄
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.47-57, 2008-02

毎日、膨大な数のWebページが発信者によって作成・更新され、それに伴って消えるWebページも多く、近年は様々な組織がWebページのアーカイブに取り組んでいる。既存のWebアーカイブは独自に収集と提供を行うことが多く、発信者の意向を考慮した運用は困難である。そこで、先に我々は、発信者が Webアーカイブと連携することで、収集と提供を効率よく行う組織内Webアーカイブを提案した。この組織内Webアーカイブの研究では、アーカイブの運営組織に改組が起きた場合の対応については未検討であった。そこで、本論文では改組の際に、複数のWebアーカイブが協調的に動作し、Webアーカイブを維持する方法を提案する。改組を分割、合併、消滅に分類、それらに共通した他のWebアーカイブのデータを取り込む方法を確立し、これを統合と呼ぶ。統合では、各Webアーカイブで使われているメタデータのスキーマ変換と、データの分割を行う。本論文では統合を自動化するために、一連の処理を整理し、変換規則と分割条件を表現する記述を定義している。
著者
原田 隆史 江藤 正己 高柳 知世
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.153-160, 2008-05-23 (Released:2008-09-08)
参考文献数
9
被引用文献数
2 2

近年,感性に基づいて小説を検索できるシステムが開発され実用化されてきている。著者らも児童書を対象としてオンライン書評から感性を示すパラメータに値を設定し,検索できるシステムを構築してきた。しかし,人間が付与するパラメータの値と書評中の語との関係の分析は十分に行われておらず,書評中の語を元として感性パラメータの値をどのように設定することが適切であるかは明らかとなっていない。本研究は,書評中の「人の感情や本の雰囲気を表す語」を元に機械学習の手法を用いて人間の判断と一致する感性パラメータの値を付与する実験を行ったものである。図書1605 冊分の書評を使って自動設定実験を行った結果,(1) 自動設定において書評中の語を使うことに有用性がある,(2) 書評中のすべての語を用いるよりも,出現回数が多い30語程度を用いた方が効果的である,(3)書評中から抽出する語の品詞はほとんど再現率に影響しないことなどを明らかにすることができた。
著者
時実 象一
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.238-244, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)

日米の公共図書館における電子書籍の利用状況について図書館訪問による実地調査をおこなった. 米国においてはオーディオ書籍提供の長い歴史があり, このルートの上に電子書籍が急速に普及した。2010 年には中都市以上の図書館ではほぼ100% の導入率である. 日本では東京の千代田図書館が2007 年末に先鞭をつけて以来停滞していたが, 2011 年に入り堺市図書館, 萩図書館が相次いで導入し, また鎌倉中央図書館でモニター実験がおこなわれるなど動きが出た. 米国ではOverDrive が主導し, iPad, Kindle などへの対応も始まっている. 日本ではもっぱらWBook システムが用いられている. 今後の課題について議論した.
著者
細野 公男
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.1112090034-1112090034, (Released:2011-12-13)
参考文献数
1
被引用文献数
2 2

The nuclear power plant disaster in Fukushima Prefecture has given big influence on our life. Such influence is due to not only the accident itself but many things resulting from the rumor which the accident brought about.This paper, first of all, points out several problems we have to cope with. One of the most serious one is that because the Tokyo Electric Power, the government, and the mass media do not understand the difference between data and information and because they do not recognize the importance of information, they provide unsuitable data to disaster victims and average citizens in many cases. In addition, the fact that disaster victims and average citizens considerably lack the knowledge about the accident and its effects can not be ignored. As the result, they become uneasiness and are prone to act improperly.Secondly, it describes the situation of the disaster from the mutual relation among phenomena, data, information, and knowledge.Finally, three ways of coping, by which disaster victims and average citizens can act appropriately and avoid damages caused by rumors, are proposed as follows.a) The Tokyo Electric Power, the government, and mass media must try to raise information consciousness and sense markedly.b) Disaster victims and average citizens must examine carefully the data provided from them before making any decision.c) An organization of the national level should be established immediately, in which specialists will lecture disaster victims and average citizens on the fundamental knowledge about the accident and its effects.
著者
石川 大介 酒井 哲也 関 洋平 栗山 和子 神門 典子
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
pp.1109070033, (Released:2011-09-10)
参考文献数
24
被引用文献数
1

コミュニティ型質問応答サイト(CQA)は,ユーザが自身の状況に応じた情報を得ることができる新たな手段である.しかし投稿された回答の質は様々であるため,その中から良質な回答を選択する方法が求められている.そこで本研究は,まず Yahoo!知恵袋データにおける良質回答を人手で分析し,その結果に基づいて良質回答自動予測システムを構築した.具体的には,「恋愛相談」「パソコン」「一般教養」「政治」の4つのカテゴリからそれぞれ無作為に50問の質問を抽出し,判定者2名によって手作業で良質回答を決定した.次に,その結果を分析し,良質回答の特徴として「詳しさ」「根拠」「丁寧さ」に基づく機械学習システムを構築した.機械学習システムの評価結果は,「パソコン」と「一般教養」カテゴリでは判定者らを上回った.「恋愛相談」と「政治」カテゴリでは,機械学習システムの評価結果は判定者らとほぼ同じであった.以上の結果から,CQAアーカイブから自動的に良質回答を発見するシステムの可能性が示唆される.
著者
松村 敦 柿島 大貴 宇陀 則彦
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.143-148, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)

ひとり読みを始める前の子どもには,大人が絵本を選ぶ必要があるが,膨大な絵本の中から子どもにあった絵本を見つけ出すことは難しい.そこで本研究では,子どもの質問にその子どもの興味が現れることに着目し,子どもの質問を利用したソーシャル絵本推薦システム「ぴくぶく」を構築した.「ぴくぶく」では,親によって記録された子どもの質問は他の利用者に共有され,子どもの質問を介して絵本を推薦し合うことができる.本システムの有効性を検証するために,親子25組を対象に評価実験を行なった.
著者
大槻 明 川上 あゆみ 林 剛 川村 雅義
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.213-219, 2010-05-28 (Released:2011-06-25)
被引用文献数
1

学術俯瞰の分野における最近の研究動向は,参考文献の引用分析により実現するサイテーションマップが主流であり、ネットワーク構築やクラスタ化までの自動化はなされているが、各クラスタがどのような集団であるかの意味付けまでの自動化はなされておらず、専門家が手動で分析している現状である.ゆえに、各クラスタの自動解釈を最終的な目的として,本発表では各クラスタの主要論文の自動抽出を目指す。具体的には、論文をノード、引用をエッジとする有向グラフと考え、各ノードに発表年数を持たせたうえで、あるノードに入るエッジの元ノードの発表年数の分散を調べることでそれぞれの重要度の計算を試みる。そして、それらの重要度を基に、時間軸を持つ可視化グラフの構築を目指す。
著者
後藤 真 柴山 守
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.2-16,46, 2002
参考文献数
14
被引用文献数
3 3

正倉院文書は、東大寺の正倉院に伝来した8世紀の文書群の総称である。本文書は、背面再利用と19世紀初頭からの「整理」作業のため、その奈良時代の帳簿の形態が著しく損なわれ、論理構造と物理構造の差異という特徴をもつ。この帳簿形態の復原過程を関連史料の各々の実体を含めてXML/XSLT(eXtensib1e Markup Language / eXtensible Stylesheet Language Transformations)で記述する手法を提案する。筆者らは、この復原過程における関連史料の各々の実体を統合化するための構造化ルールをXML/XSLTを用いて記述し、復原研究を支援するシステムを構築した。本システムでは、関連史料が構造化ルールのXSLT記述に基づいて階層構造化され、中問表現としてのXML文書が生成される。また、構造化ルールからの例外により新たな事象の発見が可能となり、新たな知見を得る機会になる。生成されたXML文書は、論理構造を復原するXSL(extensible Stylesheet Language)に基づき、Webブラウザ上に表示され、またWordマクロ機能により物理構造が反映された「短冊」として復原できる。本論文では、帳簿形態の復原過程をXML/XSLTで記述する手法、及び実現したシステムの有効性について考察する。
著者
五島 敏芳
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.217-224, 2007-12-08

小稿は,日本におけるアーカイブズ(文書館,永久保存記録)の情報の動向を,電子化・保存,共有化の視点から概観する.先行研究の成果に拠りながら,1)データの電子化が不均衡なこと,2)その電子化の多くが長期保存を考慮していないこと,3)利用者へ分かりやすい内容を伝えようとする努力がみられること,4)文書館相互の情報共有において資料目録の情報共有が意識されないこと,を指摘する.他方で新しい動きも見られる.国文学研究資料館史料館の実験からはじまった電子的検索手段(資料目録,索引,検索システム等)のデファクト国際規格EAD,Encoded Archival Description(符号化永久保存記録記述)の利用や,それらEADデータをつないで共有する日本のアーカイブズの世界でのオンライン総合目録の構想についても紹介する.