著者
桂 敏樹 松田 一美 山崎 真理 星野 明子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.3-13, 2005-01-31 (Released:2017-12-28)
参考文献数
26
被引用文献数
3

30歳から70歳までの年齢コホートを6年間追跡し,体重の推移を性別に比較検討した。その結果,以下のことが明らかになった。体重は男女とも50歳代前半まで有意に増加し最大体重値になり,その後60歳代中頃から有意な低下に転じる。男性の体重は女性の体重よりも速く最大値に達し,減少する。成人では体重が増加するので最大体重値を抑制する体重管理が必要であろう。一方高齢者では体重が減少に転じることから,極度の肥満者を除けば積極的な減量指導は必要ないかもしれない。
著者
前山 直美
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.309-318, 2020

<p>本研究では,周産期看護職が行う妊婦口腔保健指導の実態を探り,実施の有無に関連する要因を明らかにすることを目的に,神奈川県内5施設の産科病棟および産科外来に所属する臨床経験年数を問わない周産期看護職対象に,妊婦口腔保健指導推進への関連要因に関する自記式質問紙調査を行った。質問紙150部配布,有効回答数121名の結果,周産期看護職が行う妊婦口腔保健指導の実施率は約4割であり,指導場面は妊婦健診や集団指導においてで,指導内容は妊娠に伴う口腔内変化や口腔衛生指導が主であり,妊婦口腔保健指導が十分でないことが明らかになった。</p><p>妊婦口腔保健指導実施有無の関連要因としては,「口腔健康の必要性の認識」,「口腔健康に貢献する意思」,「連携・協働の自信」,「周産期看護職の責任感」および「未来展望」の5因子19項目が特定された。さらに臨床経験年数と口腔保健指導経験の有無の間に,また年齢と口腔保健指導経験の有無の間に有意な関連がみられるという周産期看護職の特性が明らかになった。</p>
著者
若菜 真実 山﨑 裕子 岩佐 太一朗 武藤 美紀子 部谷 祐紀 本間 和宏 田中 越郎 若菜 宣明
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.222-231, 2018

<p>女性には,性周期が存在し,それにより,頭痛,眠気,排便困難など精神的・肉体的にもさまざまな影響を受ける。これらの不定愁訴は,月経前および月経期に強く出現している。本研究では,主観的な排便に対する意識と客観的便の形状について,性周期との関連性を解析した。対象者は,20-30歳の健康な女性17名とし,28日間にわたる排便記録・食事記録・月経記録,さらに初日に主観的な排便に対する意識アンケートと体組成計測を行った。排便記録は,排便時刻,1日の回数,およびブリストルスケールを用いて便の形状を記載させた。 主観的な排便に対する意識へのアンケートでは,15人(88%)に主観的変動があった。性周期による便の形状の変動では,黄体期後半に便秘気味になった者が10人(59%),月経期に下痢気味になった者が10人(59%)であった。ブリストルスケールによる客観的変動の平均は黄体期前半 4.2±0.6,黄体期後半3.8±1.0,月経期4.3±1.0,卵胞期 4.2±0.9であり,大きな変動は認められなかった。しかし9人(53%)において性周期を通して1.1ポイント以上の客観的変動があった。12人(71%)は主観的変動と客観的変動が一致していた。5人(29%)は主観のみの変動であった。排便回数では12人(70%)に変動が認められ,うち7人(41%)が黄体期後半に変動がみられた。このように多くの女性には,性周期によって主観的にも客観的にも排便に対する意識および便の形状の変動が認められた。</p>
著者
本島 茉那美 冨樫 千秋 土井 徹 境 俊子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.7-16, 2017-04-30 (Released:2017-08-14)
参考文献数
28
被引用文献数
2

本研究では,関東圏内200床以上を持つ病院46施設に勤務する既婚女性看護師632名を対象に,既婚女性看護師のワーク・ライフ・バランス(WLB)の満足感とその関連要因を明らかにするために,質問紙調査を実施した。分析にはχ 2乗検定,Mann WhitneyのU検定を行った。WLBの満足感の関連要因は,「所属部署」,「超過勤務時間」,「運動習慣の有無」,「家族とのコミュニケーションの有無」,「研修への参加の有無」,「ロールモデルの有無」,「目標の有無」,「キャリアプランの実施の有無」,「職業継続意思の有無」,「制度利用の有無」,「職務満足度」とその下位尺度(職業的地位,給料,看護管理,医師と看護師間の関係,看護師間相互の影響,専門職としての自律性,看護業務),「主観的幸福感」,職業性ストレス調査票の下位尺度「職場の社会的支援」とその構成要素(上司からの支援,同僚からの支援),「ソーシャルサポート」,「精神的健康度」であった。WLBの満足感は,「WLBに満足していますか」という質問で,「満足している」「満足していない」という回答で測定できることが明らかになった。これらの結果は,WLBに満足するためには,運動習慣をもつこと,家族とのコミュニケーションをとること,ロールモデルを持つこと,キャリアプランを実施すること,社会資源を利用することが必要であることが示唆された。また,看護管理者は,職場の社会的支援や職務満足度がWLBの満足感に影響していることを念頭におき,これらを支えていくことが必要であることが示唆された。
著者
藤本 裕二
出版者
JAPAN HEALTH MEDICINE ASSOCIATION
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.28, no.4, pp.407-413, 2020-01-31 (Released:2020-10-06)
参考文献数
20

本研究の目的は,地域で生活する統合失調症者のリカバリーに影響する要因を明らかにすることである。調査項目のリカバリーは,24項目版 Recovery Assessment Scale日本語版(RAS)を用いた。その影響要因を性別,年齢,病気体験により得られたこと,楽観性尺度(【前向きさ】【気楽さ】),日本語版Health Locus of Control(HLC),精神障害者の地域生活に対する自己効力感尺度(SECL),情緒的支援ネットワーク認知尺度,薬に対する構えの調査票(DAI-10)とした。地域で暮らす統合失調症者174名を対象にアンケート調査を実施し,調査票無効者17名を除く157名を分析対象とした。男性90名(57.3%),平均年齢(SD)は46.7(12.9)歳,病気体験により,自分自身が成長したり,特別な何かが得られたと感じたことがある人は115名(73.2%)であった。RAS合計平均得点(SD)は83.6(15.1)点であった。楽観性尺度の【前向きさ】平均得点(SD)は15.8(3.6)点,【気楽さ】平均得点(SD)15.3(4.7)点であった。HLC合計平均得点(SD)は39.5(5.1)点,SECL合計平均得点(SD)132.7(29.3)点,情緒的支援ネットワーク認知尺度合計平均得点(SD)7.0(3.0)点,DAI-10合計平均得点(SD)3.9(4.4)点であった。リカバリーの影響要因を検討するため,RASを従属変数,分析モデルの全9項目を独立変数として重回帰分析(Stepwise法)を行った。その結果,「SECL」,「楽観性尺度【前向きさ】」,「楽観性尺度【気楽さ】」,「病気体験により得られたこと」の4つがリカバリーに有意な影響力を持つ変数として採択され,自由度調整済みR2は0.65であった。自己効力感が高い人は,あらゆる物事に対して自信を持って取り組むことができ,肯定的な将来展望を持っていることがリカバリーの高さに繋がっていることが考えられる。また,楽観性の【前向きさ】は,新たな人生を切り開く原動力となり,リカバリーに良い影響を及ぼしていると思われる。【気楽さ】は,心や気持ちに余裕をもたらし,自分らしい人生や生活の見出しやすさに繋がっていることが考えられる。さらに,リカバリーには,病気を自分の人生の中で意味ある体験と認識することが重要であることが示唆された。
著者
山北 竜一
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.24, no.4, pp.276-285, 2016-01-31 (Released:2017-12-28)

精神科領域の現代医療では,治療の必要性はないが入院を余儀なくされている社会的入院といわれる患者が存在し,医療費の圧迫や患者の尊厳が脅かされている問題が引き起こされている。厚生労働省は2003年には,今後10年間で7万2千人の社会的入院を解消すると発表し,入院型から地域医療への転換が図られている。しかし現状では,様々な理由から退院が困難なまま入院生活を過ごしている者も少なくない。患者のなかには,病状が安定しないという理由の他に,ホスピタリズムや陰性症状が目立ち主体的に考える習慣が欠如している者が見受けられる。退院に対して消極的な姿勢や,退院意欲はあるが,対人能力や金銭管理など社会生活技術の不足が原因で退院できない患者が存在している。退院困難者のなかには,病院の環境に慣れ過ぎて目標が見えにくい患者がいる。目標がないため意欲が湧かず,単調な生活を漫然と過ごし,対人交流が減少し生活の質が低下している。本研究では,どのような社会生活技術の不足とその不安が退院を困難としているのかを調査すると共に,退院に近づけることを目的として8名の患者を対象としてSST(Social Skills Training)を行った。池淵はSSTについて「広くなんらかの社会生活の困難を持っている者に対し,社会生活技能(social skills,対人スキル,社会的スキルなどとも呼ばれる)の不十分さをその原因と想定して,学習理論を基盤にその(再)獲得を目標とする介入である。したがって対象は,統合失調症をはじめとするさまざまな精神障害や発達障害,知的障害などであり,さらに今日では,子どもの学校での適応支援や触法者の矯正教育などに広く普及してきている」と述べている。先行研究では,山口らが長期入院患者への集団退院支援について取り組み,SSTを通してのチーム介入の効果について述べている。しかしSSTを取り組む生活環境を含めてSSTの効果を検討したものは現在のところ見当たらない。長崎県にあるX病院の環境は山間部に位置し,交通機関は少なく,金銭は病院が管理している状況である。このような患者管理環境で退院困難者に対してSSTを行うことでの効果を明らかにし,最終的には病院環境に即したSSTのプログラムを提案することを目的とした。その結果,病院の特徴を配慮したプログラムは有効であり,X病院のような患者管理環境のある病院のプログラムとして提案できた。SSTの効果として退院に直接つながりにくいが,スキルを獲得することで社会生活での人間関係のストレスが軽減できると共に,ソーシャルスキルの向上は退院を促進する1つの要因であると考えられた。
著者
石舘 美弥子 山下 麻実 いとう たけひこ
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.204-211, 2018

<p>わが国の小児病棟では看護師が幼児に対して頻繁に用いることばにオノマトペがある。先行研究では,オノマトペの臨場感ある描写力が幼児にわかりやすく伝えるための重要な要素となること,オノマトペを中心とした文レベルの構造的特徴について報告している。看護師がこれらのオノマトペをどのように習得しているのかを明らかにするため,本研究では,実習を経験する看護学生が医療処置を受ける幼児にどのようなことばかけをするのか,小児看護学実習前後で違いがみられるのかについて調査した。看護学生154名を対象に,質問紙調査を行い,医療処置を受ける幼児へのことばかけを小児看護学実習前後で比較検討した。テキストマイニングソフトウエアを用いて特徴語分析を行った結果,小児看護学実習前は「まっすぐ」「出してほしい」「絆創膏」など成人語がみられたのに対し,小児看護学実習後は「ピーン」「チックン」「マキマキ」「ペッタン」などオノマトペが特徴的にみられた。実習後の方にオノマトペとの強い関係性が示されており,実習前後では言語的対応に差が認められた。看護学生は実習を通して,オノマトペを用いたことばを多用し,子どもに必要なことばかけを修得していることが示唆された。</p>
著者
畑下 博世 鈴木 ひとみ 辻本 哲士 金城 八津子 植村 直子 河田 志帆 藤井 広美 橋爪 聖子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.43-51, 2013
参考文献数
15

A県断酒連盟会員143人に自記式質問紙調査を実施し,107人(有効回答率74.8%)から回答を得た。その結果,研究参加者は男性が9割以上で40〜70歳代が中心であった。人生で基も自殺を考えるようになった時期に半数以上が消えてしまいたいと考え,死にたいと考えた者は約4割,自殺の計画を立てたり行動を起こした者は全体の約2割強であった。自殺の年代,場所,方法などは警察庁の統計と同様であり,その当時の心身の状態および経済状態,家族や友人関係が悪化していたことが伺えた。これからの自殺対策には,家族を含む地域のネットワークが専門家と連携できる環境が作られ,自殺のサインに気づき,当事者から逃げずに国民1人1人が自身の問題として自殺予防に向き合うことが求められる。
著者
西川 一二 吉津 潤 雨宮 俊彦 高山 直子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.40-48, 2015-04-30 (Released:2017-12-28)
被引用文献数
1

本研究では,好奇心と精神的な健康との関連を明らかにするため,CEI-II(The Curiosity and Exploration Inventory-II)の日本語訳に基づく日本版好奇心探索尺度を作成し,精神的健康や心理的well-beingとの関連を検討した。調査対象者は大学生830名であった。因子分析の結果,日本版好奇心探索尺度では,CEI-IIとほぼ同じ「伸展型好奇心」(α=.82)と「包括型好奇心」(α=.78)が抽出された。伸展型好奇心は計画性や誠実性の高さと,包括型好奇心は状況を受容し自己を調整する能力の高さや社交性の高さと,関連しており,好奇心探索尺度で測定される2タイプの好奇心が,それぞれやや違った経路を通じて精神的健康と心理的well-beingに影響する事が示唆された。
著者
若菜 真実 山﨑 裕子 岩佐 太一朗 部谷 祐紀 白井 智美 本間 和宏 福山 直人 田中 越郎 若菜 宣明
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.68-73, 2019

<p>近年,便秘や下痢などの腸のトラブルに対する腸内環境が注目されている。腸内環境を改善するために,日本ではプロバイオティクスとして様々な発酵食品およびプロバイオティクス飲料が日常的に販売されている。特に,「こうじ菌(<i>Aspergillus oryzae</i>)」は,日本で1千年以上前から,酒,味噌,醤油を発酵させるために使用されてきた。「こうじ菌」については食品の抗酸化活性や抗菌性の増強またうま味向上に関する多くの研究があるが,ヒトの腸の改善に関する研究は報告されていない。そこで,こうじ含有食品の摂取がヒトの排便状況と糞便中の細菌数に及ぼす影響について評価をした。被験者は30代から50代3人(男性2名,女性1名)の健康成人とした。被験者には甘酒(1日1本125mL)または生塩こうじ(1日7.5g)を14日間摂取させた。0日目,7日目,14日目,35日目に採便を行い,便中の総菌数,さらに有用菌の代表として<i>Bifidobacterium</i>, 日和見菌の代表として<i>Enterobacteriaceae</i>, 有害菌の代表として<i>Clostridium perfringens</i>のそれぞれの菌数を測定した。また,排便に関するアンケート調査も行った。被験者には排便頻度と主観を記録してもらった。全期間を通して糞便中の総菌数および3種類の菌の細菌数に変動は認められなかった。しかし,こうじ含有食品摂取によって排便回数の増加や便の形状が良くなることが明らかとなった。したがって,こうじ含有食品摂取を日常的に摂取していくことは,安定した腸内環境と便通を保つのに有用である可能性が示唆された。</p>
著者
古島 大資
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.130-137, 2015

近年,初交年齢の低下やそれに伴った10代の妊娠,人工妊娠中絶の増加が危惧されている。高校生時期における性行動は,友人,家族,学校,メディア等からの性情報に影響を受けており,とりわけインターネットはその影響力が大きいと言われている。昨今の急速な携帯電話の普及により,高校生が日常的にインターネットを通じた性情報へのアクセスや,通話やメールによる性に関する情報交換を行っている可能性が推測される。本研究の目的は,高校生における性行動と携帯電話使用との関連について明らかにすることである。平成26年7月に高校1校を対象として無記名質問紙調査を実施し回答の得られた400人(男子学生305人,女子学生95人)を解析した。性行為経験率は男子学生70人(23.1%),女子学生17人(18.7%)であった。性行為経験の有無別に分け多重ロジスティック回帰分析によりオッズ比(95%信頼区間)を算出したところ,携帯電話の所有開始時期が小学校時期であった場合は,所有開始時期が高校生であった場合と比べ7.19倍(2.27-23.88),1日平均10分以上の通話時間であった場合,10分未満と比べ7.04倍(2.16-26.60),メールの送受信回数が1日50回以上であった場合,50回未満と比べ5.00倍(2.57-10.09),インターネットを利用した性情報の検索・閲覧の経験がある場合は,ない場合と比べ3.91倍(1.97-8.13)と高くなる傾向がみられた。高校生の性行動には携帯電話使用が関連する可能性が明らかになり,携帯電話の適切な使用方法と有害なインターネット情報へのアクセス制限(フィルタリング)等を働きかけていく必要性が示唆された。
著者
石川 詔子 五十嵐 益恵 浜野 美代子
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.8-12, 2002-08-10 (Released:2017-12-28)
参考文献数
10

生活習慣病の一次予防の為の食生活を指導するために,学童期での食環境が,その後の食生活に重大な影響を与えると考えた。その事を調べるためアンケート調査を行い検討し,次のような結果を得た。1.学童期の朝食の欠食は,その後も継続して朝食をとらない習慣につながる。2.小学校低学年,小学校高学年,中学校時の学校給食への満足度は高い。3.学校給食で一番好きな食事と,自分が一番好きな食事が同じになる傾向がある。4.複合家族で育った下宿生の自炊の割合は高い。この様に学童期の食環境(特に学校給食)は,その後の食嗜好に大きな影響を与えることが,このアンケート調査でわかった。したがって生活習慣病の一次予防の為には,学童期の食生活指導が重要な意味を持つと考えた。
著者
辨野 義己
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.46-50, 2014-07-31 (Released:2017-12-28)

腸内常在菌の腸内・脳内代謝物へ及ぼす影響についてCE-TOFMSによる網羅的な解析が行われ,腸内常在菌の宿主への役割を見えてきた。さらに,培養・単離を介さない手法によるヒト腸内常在菌多様性解析はその生活特性との関連を明らかにする手段として用いることが出来き,人々の生活特性との関連性も明らかになってきた。
著者
水野 恵理子 岩崎 みすず
出版者
日本健康医学会
雑誌
日本健康医学会雑誌 (ISSN:13430025)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.157-164, 2010-01-31 (Released:2017-12-28)
参考文献数
19
被引用文献数
4

本研究では,発症後長期経過している統合失調症の子供をもつ母親の体験を明らかにすることと支援の方向性を見出すことを目的として,12名の母親へ半構成的間接を行い質的に分析した。その結果,母親の生き方,子供への向き合い方,病気や治療についての思い,人々との閔係についての思い,母親の気持ちの支えと気がかりなことの5つのテーマが抽出された。母親は,過去,現在,これからも子供が生きていく上での伴走者としてともに生きることを覚悟していた。その背景には,親としての責務,病気になったことへの哀れみ,他の家族員への配慮があった。母親が語るこれまでのケア体験をうけとめ,それらの体験を価値あるものとして母親の中に根づかせることは,母親の生き方を支えるここになりうると考えられた。