著者
鹿島 長次 原田 和雄 加藤 明良 清水 政男 表 美守
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1194-1198, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
2

オルトおよびパラ位にヒドロキシ勉基,メトキシル基,メチル基を有するN-フェニルピリミジン-2(1H)-チオン類の金属水素錯化合物(水素化アルミニウムリチウム,水素化ホウ素リチウム,水素化ホウ素ナトリウム)による還元について検討した。2種のジヒドロピリミジンおよびテトラヒドロピリミジンの生成比が大きく置換基と金属水素錯化合物に依存することがわかった。とくにオルト置換基がヒドロキシル基とメトキシル基の場合,水素化アルミニウムリチウムおよび水素化ホウ素リチウムを用いたところ,3,6-ジヒドロ体が位置選択的に得られた。この高い3,6-ジヒドロ体への選択性は,まず,オルト置換基が金属ヒドリドと反応してフェノキシドあるいは配位結合を生成したのちに,ピリミジンチオンの6-位に分子内からヒドリドが優先して攻撃しているためだと思われる。
著者
山本 嘉則 山田 順一 西井 真二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1177-1182, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

ステロイドアルデヒド〔3〕と(2R,4R)-(-)-2,4-ペンタンジオールから合成したキラルなステロイドアセタール〔8〕,S-R,R体,とアリルシラン〔12a〕,9-アゾル-9-BBN〔12b〕,またはアリルトリブチルスタンナン〔12c〕との塩化チタン(N)存在下での反応を行ない,つづいて常法にしたがって処理すると,ホモアリルアルコール〔14〕,S,S体,がきわめて優先的に生成する。ある場合には,S,S体が圧倒的(>99%)に生成する。〔3〕と(2S,4S)-(+)-2,4-ペンタンジオールから合成したアセタール〔9〕,S-S,S体,と〔12a〕または〔12b〕とを同様に反応させると,やはり〔14〕が優先的に生成した。これは,従来のアセタールテンプレートを用いる不斉誘導り結果からは理解しがたしこ現象である。一方,〔9〕と〔12c〕との反応では〔16〕,S,R体,のアルコールが得られた。また同様に,スタンニルアセチレン,〔11a〕,と〔11b〕と,〔8〕との反応ではS,S体〔13〕が得られ,〔9〕との反応ではS,R体〔15〕が得られた。一方〔9〕とシリルアセチレン〔1Zc〕とからはS,S体〔13〕,が得られた。これらの結果は,不斉誘導率のみならず不斉誘起の方向さえも有機金属化合物の求核性に大いに支配されることを示している。合成的にはC-22位の立体制御をスズ化合物を用磁れば可能であることを示している。機構的には,アセタールテンプレートによって高い不斉誘起を達成するためには,アセタールの結合開裂と結合生成とのタイミングが同一でなければならないことが明らかとしなった。
著者
古川 尚道
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1118-1129, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
77
被引用文献数
3

1,5-ジチアシクロオクタン1-オキシドを濃硫酸に溶解し,活性な1,5-ジチオジカチオン(1)およびカチオンラジカルを発生させた。(1)はD2SO4中で1H-,13C-NMRで存在を確認,単離した。(1)はモCF3SO3-塩として安定な結晶となつた。同様に1,n-ジチア環状,非環状モノスルポキシドの濃硫酸溶液中でも,1,n-位の硫黄-硫黄の渡環相互作用による,ジカチオンの生成が見られた。とれらのスルポキシドとAc2Oを用いたPginmerer友応でも,1,n-位の硫黄-硫黄相互作用に基づく活性なジチオジカチオンが生成するかめ原応が加速され,転位がスルフィニル基のα-位のみならずω-位にも起こった。芳香環をもつ鎖状,環状のジチア,トリチア体からも硫黄一硫黄相互作用による安定なジチオジヵチオンが生成し,NMRで確認した。また,これらの活性ジカチオンの反応を行なった。
著者
小沢 文幸 山本 明夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.5, pp.773-784, 1987-05-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
61
被引用文献数
5

ジオルガノパラジウム錯体(PdRR'L2.R,R'=アルキル基,アリール基などの有機基.L=第三級ホスフィン配位子)の還元的脱離反応は,パラジウム錯体触媒を用いる有機合成反応の重要な素反応の一つである。本研究では,トランス,および,シス構造をもつ,一連のジメチル-,ジエチル-,メチル(アリール)-,および,ジアリールパラジウム(II)錯体を,立体選択的に合成単離した。さらに,合成した錯体の還元的脱離反応,ならびに,有機ヨウ化物との反応について,系統的な機構論的研究を行ない,反応に対する,錯体の立体配置,有機基,,および,配位子の影響を明らかにした。
著者
菅原 享 飯田 武揚 河野 淳夫 宮下 晃 三田村 孝
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.4, pp.719-724, 1987-04-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22
被引用文献数
1

cis-ジクロロジアンミン白金(II)錯体(以下cis-DDPと略記する)には制がん作用があり,現在臨床治療に広く使用されている.このcis-DDPは生体内において特異的にがん細胞のDNAと結合し,そのDNAの複製を阻害することが知られている。このようなことから,白金錯体の配位子を種々変えた新規の白金錯体の研究が数多くなされているが,担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金錯体についての研究は,ほとんど報告されていない。そこで担体配位子に硫黄含有配位子を用いた白金錯体であるジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体を薪規に合成し,IRおよび13C-NMRスペクトル,元素分析,原子吸光分析などでその構造を解析し,この白金錯体とDNA構成ヌクレオシドとの相互作用をUV差スペクドルおよび解離塩化物イオン濃度を測定して研究した。その結果,ジクロロ(2-アミノエチルスルホニル)白金(II)錯体とDNA構成ヌクレオシドのUV差スペクトルには等吸収点が観測され,この系でのUV差スペクトルに関与する化学種が二成分存在し,それらが平衡をなしていることが示唆された。また,DNA構成ヌクレオシド存在下で,この白金錯体から解離する解離塩化物イオン濃度を測定したところ,白金錯体1molに対して塩化物イオンが2mol相当解離していることが明らかになり,この白金錯体は塩化物イオンを解離し,DNA構成ヌクレオシドと錯形成を行なっていることがわかった。さらに合成した白金錯体はアドリアマイシン耐性白血病細胞に対して特異的ながん細胞増殖抑制・障害性を示すことがわかった。
著者
井上 英夫 井村 明弘 大塚 栄子
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.7, pp.1214-1220, 1987-07-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
20
被引用文献数
21

糖部を保護した5-ヨード-2'-デオキシシチジン[3]とトリメチルシリルアセチレンとの縮合をPd触媒存在下行なうと,5-(トリメチルシリル)エチニル体[4a]が好収率で得られた。[4a]のN4-アセチル体[5a]は,CuI存在下DMF中加熱すると収率よく閉環体[6a]を与え,[6a]は脱保護により3-(β-D-2-デオキシリボフラノシル)ピロロ[2,3-d]ピリミジン-2(3H)-オン[7a,dF*]を与えた。同様にして1-ヘキシンを用いることによりdF*の6-位ブチル置換体[7b]も合成することができた。dF*を含む部分的に自己相補的なオリゴデオキシリボヌクレオチドdGGGAAF*NTTCCC(N=T,C,AまたはG)は固相リン酸トリエステル法により合成した。4種のドデカマーの熱的安定性(Tm値)の測定結果から,このピロロピリミジン塩基(F*)はグアニン塩基と塩基対を形成することがわかり,F*・G対を含む二本鎖ドデカマーは比較としたC・G対を含む二本鎖ドデカマーと同様な熱的安定性を有することが明らかとなった。dF*の発蛍光性についても述べる。
著者
石原 一彦 鈴木 七美 松井 清英
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.3, pp.446-451, 1987-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
22

高分子膜を透過させることによりDL-アミノ酸を光学分割することを目的として,側鎖に分子包接能を有するβ-シクロデキストリン残基を導入した高分子を合成し,これから得られる高分子膜のアミノ酸透過性を検討した。フェニルアラニンを透過させた場合,L-体の透過速度がD-体にくらべて大きく,その透過係数比は1.40であった。トリプトファン,ヒスチジンを透過させた場合も同様の傾向となった。また,シクロデキストリン残基のかわりにグルコース残基を有する高分子膜を用いた場合は,アミノ酸の光学異性体間で透過係数に差は認められない。さらにβ-ジグロデキストリンを橋かけした樹脂に対するフェニルアラニンの吸着量は,L-体にくらべてD-体の方が多くなる。これらのことから,シクロデキストリン残基とアミノ酸とが高分子膜中で相互作用し,とくにD-体との相互作用が強いため拡散性が抑制され,透過係数に差が生じたと考えられる。また,DL-アミノ酸を透過物質として光学分割を試みたところ,膜透過とまりL-体が濃縮きれ,フェニルアラニンの場合,その組成比はL/D=61.7/38.3となった。
著者
田中 耕一 戸田 芙三夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.3, pp.456-459, 1987-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
6
被引用文献数
3

シアノヒドリン〔2〕がブルシンと錯体をつくり,一方の光学活性体へ変換されることを見いだした。たとえば,(±)-1-シアノ-2,2-ジメチル-1-フェニル-1-プロパノール〔2a〕をメタノール中ブルシンで処理すると,94%eeの(+)-〔2a〕へ定量的に変換された。同様な方法で,(+)-〔2b〕,(+)-〔2c〕,(-)-〔2d〕,(-)-〔2e〕,(+)-〔2p〕および(-)-〔2u〕も得られた。
著者
南後 守 木村 吉晴 伊原 靖二 黒木 宣彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.3, pp.405-407, 1987-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11

Stereoselective hydrolysis of amino acid p-nitrophenyl esters was examined for poly (ethylenimine) derivatives with covalently-linked dipeptide containing a histidyl residue in the presence of copper(II) ions. Added copper(II) ions influenced both the rate constant and the ratio of stereoselectivity in the hydrolysis of the chiral esters by poly(ethylenimine)derivatives (Ia and Ib) depending on the nature of the esters and the modified polymers. Added copper(II) ions caused to increase the rate of the reaction, but no significant effect on the stereoselective preference for the quaternized polymer (Ib), indicating the action of copper(II) ions in the hydrolysis of the esters as catalyzed by a histidyl residue on the polymer.
著者
近松 啓明 金光 高正 橋本 安弘
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.3, pp.351-357, 1987-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
30
被引用文献数
1

プロキラル中心をもつ対称ジケトンに含まれる二つのエナンチオトピックなカルボニル基のうち,その一方のみを選択的に還元できれば基質の全量を一つの光学活性体に変えることが理論的に可能である。このような観点に基づいて,微生物の立体選択性を生かして8a-メチル-cis-2,7-デカリンジオン[4]の不斉変換を試みた。Rhodotorula rubra によって[4]は容易に還元され,ジアステレオマーである2種のケトール(生成比4:1)となる。これらはアセタート[6],[8]として分離精製したのち,加水分解して(+)-ケトール[5](収率54%,光学純度88%)と(-)-ケトール[7](収率13%,光学純度93%)を得た。(-)-ケトール[7]は(+)-(1R,3R,6S,8R)-6-メチル-4-ツイスタノン[10]に導くことによって(4aR,7S,8aS)-7β-ヒドロキジ-8aβ-メチル-cis-2-デカロンと決めた。一方,(+)-ケトール[5]は,そのヒドロキシル基の反転反応によって(+)-[7]を与えるので(4aS,7S,8aR)-7α-ヒドキシ-8aβ-メチル-cis-2-デカロンである。ロよって,R.rubraによる[4]の還元では基質中の二つのエナンチオトピックなカルボニル基のうちpro-S側が優先的に還元されることがわかる。また,ケトン[10]のWolff-Kishner還元により(+)-1-メチルツイスタン[11]が得られた。かご型炭化水素[11]の光学活性体が[4]から簡単な経路によって合成できることを示した。
著者
鈴木 洸次郎 谷相 美智 毛利 智代 藤山 亮治 清岡 俊一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.257-259, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

exo-3-Formy1-3-methylcamphor was synthesized by a following route, for the purpose of asymmetric alkylation of glycine.Methyl 3-methyl-3-camphorca rboxylates [4] were obtained by the methylation of methyl 3-camphorcarboxylate [3] with sodium hydride and methyl iodide in good yield. The products were separated into two parts by treating with ligroine, i. e. a crystalline part [4a](mp 88-48.5°C) and an oily one [4b]. It was found that the structure of [4a] was determined as exo-3-carboxylate and that of [4b] was as endo-one by the analyses of their NMR data. The reduction of [4a] with LiAlH4 gave diol[5] And exo-3-formy1-3-methylcampho r was obtained as a slightly unstable liquid (bp 123°C/13 mmHg, [α]D20 162.5°) by the oxida-tion of [5] with Collins' reagent.
著者
高木 謙 山田 道男 大杉 政克 根来 健二
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.260-262, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

Oxy-Cope rearrangement of 4-vinyl-1, .6-heptadien-4-ol [1] at 330°C gave 1, 8-nonadien-4one [4] along with 2, 8-nonadien-4-one [5]. The ketone [4] was converted to the title compound [2] as a mixture of (E)- and (Z)-isomers, by the treatment with LDA and, trimethylsilyl chloride. Alternatively the nonatriene [2] was prepared selectively by the anionic oxy-Cope rearrangement of [1] followed by quenching with trimethylsilyl chloride. Intramolecular Diels-Alder reaction of [2] afforded only cis-3 a-trimethylsiloxy-2, 3, 3 a, 6, 7, 7 a-hexahydro-1 H-indene [3], irrespective of the stereochemistry of [2].
著者
篠田 喜一 佐藤 正喜 輿石 義雄 長根 尉 中尾 正明 西村 寧 小出 桂三 越川 昭三 山根 至二 日高 三郎
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.215-223, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
45

尿毒症の原因について,化学物質の面から探求する目的で,腎不全患者血漿中の特異成分の解明を試みた。すでに報告したように,薯者らは水系高速液体クロマトグラフィーにより,腎不全患者血漿中に特異的に検出されるピーク(ピーク2a)を見いだし,これが,尿毒症毒素を含む可能性のあることを示した。本報では2a画分について,紫外吸収成分をさらに分離し,その構成成分の同定に供した。その結果,表1に示した10成分を解明するとともに,これらの尿毒症毒素としての可能性について考察した。2-デオキシ-2,3-デヒドロ-N-アセチルノイラミン酸,N2-フェニルアセチルグルタミン,キノリン酸はヒトの代謝産物であり,その生物学的活性から,尿毒症毒素としての可能性が示唆された。そのほか,4-[[(カルボキシメチル)アミノ]カルポニル]フェニルβ-グルコピラノシドウロン酸は,そのオルト異性体が尿毒症毒素としての可能性が指摘されており,注目すべき物質と考えられた。
著者
巣出 隆之 狩谷 幹夫 諏訪 和男 市川 英一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.1, pp.56-59, 1987-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
5
被引用文献数
1

N-シリルアミンはN-シアノアミノ化合物に特異的に付加する。反応は比較的低温で円滑に進行することから,他の活性な官能基を有するN-シアノアミノ化合物を対応するグアニジン化合物に誘導するのに有用である。しかしながら,酸性の弱いN-シアノアミノ化合物や塩基性の弱いN-シリルアミンでは反応しにくい。本研究では,この反応におよぼす溶媒の影響およびアミン塩の効果を検討した結果,溶媒としては酸素や窒素原子を含まないものが好適であることを認めた。たとえばN-ブチル-N'-シアノ-S-メチルイソチオ尿素[2a]とN-(トリメチルシリル)ジエチルアミン[1a]との反応では,ジクロロメタン中で対応するグアニジン体[3a]が73%収得されたのに対し,同じ条件下でもジオキサンやアセトン,アセトニトリル中では42~49%にすぎなかった。またアミン塩,とくにピリジン硝酸塩がこの反応をいちじるしく促進することを見いだした。すなわち,ピリジン硝酸塩が存在しない場合,まったくあるいはほとんど反応しなかった[2a]とN-(トリメチルシリル)イソプロピルアミン[1b]あるいは[2b]とN-(トリメチルシリル)アニリン[1c],N,N-ジメチル-N'-シアノ-S-メチルイソチオ尿素[2c]と[1b],シアノイミノジチオ炭酸ジメチル[4]と[1a]との反応も等モルのピリジン硝酸塩の存在下に進行して,それぞれ対応するグアニジン体を生成した。
著者
巣山 隆之 奥野 敏 狩谷 幹夫 市川 英一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.1, pp.51-55, 1987-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
2

N-シリルアミンが穏和な条件下でN-セアノアミノ化合物に特異的に付加して,対応するグアニジン誘導体を生成することを見いだした。N-(トリメチルシリル)ジエチルアミン[3b]は(エトキシカルボニル)シアナミド(ECC)やN-シアノ尿素[8],シアナミド[10a]と発熱してすみやかに反応した。[3b]はまた,N-フェニル-N'シアノ-S-メチルイソチオ尿素[4a],およびN-ブチル-N'シアノ-S-メチルイソチオ尿素[4b],,N-シアノグアニジン[6a]とも室温で反応した。N-(トリメチルシリル)イソプロピルアミン[3a]は[4a]と60℃ で定量的に反応したが,[4b]との反応では同じ条件下で,グアニジン体の収率はわずかに9%であった。N-(トリメチルシリル)アニリン[3c]は反応性が悪く,[4a]とは反応しなかった。また,[(メチルチオ)カルボニル]シアナミド(MCC)あるいはECCとの反応では対応するグアニジン体のMCCあるいはECCの塩が単離された。以上の結果,N-シアノアミノ化合物としては酸性の強いものほど,またN-シリルアミンとしては塩'基性の強いものほど反応しやすいことがわかった。なお,Nに水素原子をもたないN-シアノアミノ化合物はN-シリルアミンとまったく反応しなかった。
著者
北原 滝男 高野 二郎 白井 孝三
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.1, pp.122-124, 1987-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The reaction of acridine hydrochloride with aniline in the presence of lead(IV) oxide, peroxides of alkaline earth metals, metal chloride or mercury(II) sulfate as an oxidizing agent was examined. It was disclosed that metal chlorides (such as silver chloride and mercury(II)chloride) were effective to give 9-(4-aminophenyl)acridine in high yields.
著者
鈴木 洸次郎 平見 泰通 谷相 美智 毛利 智代 合田 智英 藤山 亮治 清岡 俊一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.2, pp.186-190, 1987-02-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10

3-ホルミルショウノウは,グリシンエチルエステルと反応させると,エノール化するためSchiff塩基をつくらず,3-[N-(エトキシカルボニルメチル)アミノメチレン]ショウノウを生成した。これをリチウム=ジイソプロピルアミド(以下LDA略記する)存在下に,ヨウ化メチルおよび塩化ベンジルと反応させると,低い不斉収率でL-Ala(9.2%e.e.)およびL-Phe(4.3%e.e。)が得られた。N-メチルグリシンエズテルに代えると,不斉収率が高くなり,しかもD-アミノ酸が得られた。すなわちD-(NCH3)Ala(43.3%e.e.),D-(N-CH3)Phe(26.5%e.e.)。N-ベンジル化合物のアルキル化でもD-形が生成した。N-置換基がアルキル化にさいし強い影響をおよぼすことを考慮し,またホルミル基のエノール化を防ぐために,exo-3-ホルミル-3-メチルショウノウを合成した。これを用いてグリシンエステルとSchiff塩基をつくりアルキル化した。結果は予想どおり,収率,不斉収率ともに向上した。つぎにおもなものを示す。L-Ala(70.2%e.e.),D-Phe(84.7%e.e.),L-Leu(71.6%e.e.)。
著者
中沢 利勝 柴崎 正己 板橋 国夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.1, pp.45-50, 1987-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
10
被引用文献数
3

2-ナフタレンチオール(2-NT)とアクリルアルデヒド(AAa)の付加反応により得られる3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアルデヒド[1a]をプロトン酸の存在下で反応させると,ホルミル基による閉環によって2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン-1-オール[2a],3H-ナフト[2,1-b]チオピラン[3a],2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン[4a]などのナフトチオピラン類が生成した。この反応でプロトン酸の種類および反応条件を選択することによって[2a],[3a]および[4a]を,それぞれ主生成物として選択的に得ることができた。一方,チオール類,チオ酢酸,アセトニトリルあるいは2-ナフトールなどの求核剤の存在下で[1a]の反応を行なうと,求核剤のホルミル基への付加につづいて閉環反応が容易に進行し[2a]のヒドロキシル基が求核剤で置換された生成物が,それぞれ高奴率で得られた。また,[1a],3-(2-ナフチルチオ)ブチルナルデピド[1b],2-メチル-3-(2-ナフチルチオ)プロピオンアルデヒド[1c]の50%硫酸による閉環反応では[2a~c]が得られ,[1a~c]の2-NT存在下での閉環反応では1-(2-ナフチルチオ)-2,3-ジヒドロ-1H-ナフト[2,1-b]チオピラン類[6a~c]を得た。
著者
卯西 昭信 北浜 亨 下村 与治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.1, pp.40-44, 1987-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
8
被引用文献数
6

2-アリール-4-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-6-クロロ-1,3,5-トリアジンにアリールアミンを110℃で反応させるとメラミン誘導体である2,4-ジアリール-6-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-1,3,5-トリアジンが生成した。しかし,2-アリール-4-クロロ-6-(2-クロロエチルアミノ)-1,3,5-トリアジンにアリールアミンを同様に反応させてもメラミン誘導体は生成せず,2,4-ジアミノ-6,7-ジヒドロイミダゾ[1,2-α][1,3,5]トリアジン誘導体が得られた。生成したこの縮合複素環化合物の構造をIR,1H-NMR,13CNMRおよび元素分析により決定した。
著者
毛海 敬 宇野 理枝子 白崎 力 斎藤 隆平 森田 俊夫 北嶋 英彦
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.1, pp.35-39, 1987-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
21
被引用文献数
2

2,8-ジメトキシジベンゾフラン(DMD)および2,8-ジエチルジベンゾフラン(DED)のアシル化とニトロ化の異盤体分布を求めた。DMD,DEDのHMO計算に基づく求電子反応性順は3->1->4-であった。DMDのアセチル化,ベンゾイル化,ニトロ化およびDEDのベンゾイル化,ニトロ化は1-および3-置換体を与え,その比は反応条件により0.05~O.85の範囲で変化した。DEDのアセチル化は3-および4-置換体を与え,その位置反応性順はHMO計算による予測と異なった。この違いについて.攻撃種とDEDの置換甚および9-位水素の立体効果によって考察した。