著者
山崎 孝 滝田 健一 石川 延男
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2131-2139, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
22
被引用文献数
10

トリフルオロメチル基を有する化合物の中でもっとも入手しやすいトリフルオロ酢酸エチルおよび,これから2段階で容易に合成できるトリフルオロアセトアルデヒドを原料として,[2-(トリフルオロメチル)アリル]トリメチルシラン,[2-(トリフルオロメチル)-1-(t-ブトキシカルポニル)ビニル]トリメチルシランをそれぞれ合成した。これらとアルデヒドやケトンとが触媒量のフッ化物イオンを用いることにより,良好な収率で付加体を与え,さらに他の求電子試薬との反応やMichael付加反応においても良好な結果を与えた。
著者
北爪 智哉 佐藤 武彦 小林 匡 林 正添
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.11, pp.2126-2130, 1985-11-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
24
被引用文献数
7

分子内にフッ素原子を有するマロン酸ジエステル誘導体の不斉加水分解反応を行ない,光学活性なモノフルオロ化合物の合成中間体を生成させるための微生物学的変換を検討した。その結果,有機フッ素化学の領域における実用的な光学活性シントンとなりうる2-フルオロマロン酸モノエステル誘導体の両鏡像体を簡便な方法で多量に得ることができた。
著者
石綺 孝義 鈴江 清吾 入倉 勉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.10, pp.2054-2056, 1985-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
3

Reaction of 2, 3, 4, 5-tetrafluoro-1-nitrobenzene [4] with N-(ethoxycarbonyl)piperazine in aqueous ethanol gave 4-(4-ethoxycarbonyl-1-piperazinyl)-2, 3, 5-trifluoro-1-nitrobenzene [5] in 89% yield, which could be quantitatively converted into its 2-cyclopropylamino derivative [6]. Malonate [7] prepared from [6] and diethyl ethoxymethylenemalonate in 73% yield, was cyclized in the reaction with acetic anhydride and conc. sulfuric acid, accompanying elimination of the nitro group, to give [8] in 41% yield. Saponification of [8] gave quinolonecarboxylic acid [3] which possesses potent antibacterial activity both in vivo and in vitro, in 92% yield.
著者
園田 浩 園田 高明 小林 宏
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.10, pp.2051-2053, 1985-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

Reactions of pentafluorophenyltrimethylsilane [1] with bis(2, 2'-bipyridine)copper(II)fluoride [2] were examined under various conditions. (Table 1) The reactions gave pentafluorobenzene [3] along with decafluorobiphenyl[4]The addition of benzaldehyde into the reaction mixture did not differ the results, giving no adduct of benzaldehyde. The addition of iodobenzene and copper powder yielded pentafluorobiphenyl [5] in addition to [3] while no [4] was produced at all. Without copper powder the reaction afforded the mixture of [3], [4], Cali and [5]. The choice of solvents affected the selectivity of products. These products were conceivably produced under mild conditions via pentafluorophenylcopper(II) [6] and -(I) [8] as illustrated in Scheme 1.
著者
関 復華 小林 直樹 渡辺 和子 伊藤 清隆 荒木 洋之助 石戸 良治
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.10, pp.2040-2047, 1985-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
67
被引用文献数
3

2,3,5-トリ-O-ベンジル-D-リボフラノース[1]を石川試薬(ヘキサフルオロブロペンージエチルアミン)で処理することによって2,3,5-トリ-O-ベンジル-α-および-β-D-リボフラノシル=フルオリド[2α]および[2β]がそれぞれ21.4%および63.8%で得られた。[2α]あるいは[2β]とイソプロペニル=トリメチルシリル=エーテル[3]乏を微量の三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを触媒として反応させると両者とも高収率高選択的に(2,3,5-トリ-O-ベンジル-α-D-リボフラノシル)アセトン[4α]を与えた。[4α]は三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートと長時間処理すると[4β]に異性化し[4α]:[4β]=1:2.5の混合物を与えた。さらに[2β]と[1]あるいは2,3,5-トリ-O-ベンジル-1-O-トリメチルシリル-β-D-リボフラノース[6]とを三フッ化ホウ素ジエチルエーテラートを触媒として反応させることにより高収率で2,2ノ,3,3ノ,5,5'-ヘキサ-O-ベンジル-(β-D-リボフラノシル=β-D-リボフラノシド)[5β]を与えた。その他,関連した選択的リボフラノシル化反応について述べた。
著者
高木 泰 土屋 務 梅沢 純夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.10, pp.2001-2009, 1985-10-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
17
被引用文献数
3

フッ素が導入されたアミノ配糖体抗生物質の合成の一環として表題化合物を合成した。6''-デオキシ-6''-フルオロカナマイシンAと6''-デオキシ-6''-フルオロアミカシンはそれぞれ,アミノ基をベンジルオキシカルボニル基で保護したカナマイシンAおよびアミカシンにDAST試薬を反応させて合成した。表題化合物の最後の2物質は保護された3-アミノ-2-フルオロプロピオン酸の活牲エステルを遊離の1-位アミノ基をもつカナマイシンA誘導体[13]に縮合させて合成した。目的物質の構造はNMRスペクトルにより確認したが二次元NMRスペクトルが構造決定に有効であること,またとくにフッ素の存在が解析に有用であることが示された。
著者
石井 洋一 佐々木 一郎 碇屋 隆雄 佐分利 正彦 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1985, no.3, pp.465-472, 1985-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
65
被引用文献数
4

プロキラルあるいはメソ形構造の 1,4-または 1,5-ジオールからアルケンへの水素移行反応において,Ru2Cl4((-)-DIOP)3 が有効な触媒となり光学活性の γ-または δ-ラクトンを光学収率 ~16.9% で与えることを見いだした。この反応は均一系錯体触媒の反応としては例の少ないエナンチオ場区男仮応に分類される。不斉誘導の方向はジオールの置換基の位置により決定され,γ-置換ジオールは R 体のラクトンを過剰に生成するのに対し β,β'-二置換ジオールはカルボニル基の α-位が S の絶対配置をもつラクトンを優位に与える。またジオールのエナンチオトピックなヒドロキシメチル基の一方を選択的に脱水素して光学活性なヘミアセタールを与える第一の不斉誘導と,ヘミアセタールの異性体問での脱水素速度の違いにより動力学的分割の起こる第二の不斉誘導の両方がこの反応に関与していることが判明した。
著者
宮川 浩一 井早 康正 村井 久雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1989, no.8, pp.1358-1364, 1989-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
3

ベンゾフェノンのアニリン類との光化学反応は,その溶媒の極性など実験条件の違いにより,水素引き抜き反応によるケチルラジカルの生成,あるいは,電荷移動によるベンゾフェノンアニオンラジカルの生成,のいずれかが起こる。この論文においては,時間分解ESR法を応用し,シクロヘキサンおよびアセトニトリル中でベンゾフェノン/アニリン類にレーザー照射を行い得られた新しい知見を報告する。シクロヘキサン中においてもアセトニトリル中においても,この実験で直接観測できたのは主に中怪のケチルラジカルであった。系によっては,アニリンから水素が引き抜かれたアニリンラジカルが観測された。N,N-ジエチルアニリン/アセトニトリルを溶媒として用いた場合にのみ,間接的に電荷移動過程を示唆する結果が得られた。特に重要な点は,この実験により,第二級アミンであるN-メチルアニリン,N-エチルアニリン,さらに第一級アミンであるアニリンにおいては,N-H結合部から水素原子がより速く引き抜かれていることが明らかとなった点である。すべての実験を通して得ちれたCIDEP信号は若干非対称な全発光型で,このことはベンゾフェノン三重項状態によるTMスピン分極(全発光)に,RPMによるスピン分極が発光ノ吸収として重なっているものと結論付けられた。
著者
古川 靖 岩切 三雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1973, no.4, pp.758-761, 1973

cis-4-デセン酸,cis-4-ドデセン醸およびcis-4-テトラデセン酸をWittig反応を用い,[3-(メトキシカルボニル)プロピル]トリフェニルホスホニウム=ヨージドをジメチルホルムアミド中ナトリウムメトキシドと作用させて得たホスホランに,対応するアルカナール(炭素数6,8,10)を縮合させて得たメチルエステル類をケン化して合成した。<BR>合成した酢酸のメチルエステルをアセトン中過マンガン酸カリウムで酸化すると,二塩基酸としてコハク酸,一塩基酸としておもに各アルケン酸に対応するヘキサン酸オクタソ酸およびデカン酸を得ることから二重結合は4-位にあることを確めた。またNMRスペクトルは4,65~4.70を中心とする多重線と7.63~7.72に見かけ上の二重線が認められることからも4-位に二重結合のあることを裏づけた。IRスペクトルは965cm<sup>-1</sup>付近にトランス体の特性吸収がなく,3010cm<sup>-1</sup>の吸収と720cm<sup>-1</sup>を中心とする幅広い吸収があることから,シス体であることを確認した.<BR>さらにこれらのcis-4-アルケン酸類とそのメチルエステルの定数を測定し,結晶性誘導体としてP-プロモフェナシルエステルとP-フェニルフェナシルエステルの2種をつくり,さきに報告したシロダモの種子油中から分離した同炭素数のcis-4-アルケン酸類と,それらの誘導体の定数との比較を行った.
著者
鈴木 仁美 大西 一雅
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1981, no.7, pp.1117-1120, 1981
被引用文献数
1

ジクロロメタン中でビス(ペンタメチルベンジル)セレニドに硝酸(d=1.5)を作用させると,還元的な開裂が起こり,単体セレンを分離してペンタメチルベンジルニトラートがほぼ定量的に生成する。ビス(p-クロロおよびp-ニトロベンジル)セレニドの同様な反応では,炭素-セレン結合の開裂はみられず,セレン原子が酸化されて,対応するセレノキシドが得られるが,芳香環のニトロ化はみられない。ジベンジルセレニドと硝酸の反応では,セレノキシドの硝酸塩が水溶性の白色結晶として得られる。一連のビス(置換ベンジル)セレニドについて,その反応形式におよぼす置換基の顕著な効果を検討し,それぞれの反応過程について考察した。
著者
藤田 佳平衛 山本 和正 庄野 達哉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1974, no.1, pp.86-91, 1974-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
20
被引用文献数
9

フェニルプロピオール酸メチルおよびフェニルエチニルメチルケトンとアルケンシク ヘキセンデテトラメチルエチレン,プロペソ,ピ シクロ[2.2,1]ヘプト-2-エン,ピシクpa(2.2.1コヘプタ-2,5-ジェソ)との光付加反応を行なった。その結果,光一次生成物として収率よくシクロブテソ誘導体が生成することが認められた。後二者のアルケンの場合は,生成物はエキソ付加物であった フェニルプ ピオール酸メチルとプロペンとの反応において,付加にかなりの配向性が見られた。フェニルエチニルメチルヶトンとビシクロ(2.2)ヘプタ-2,5-ジェンとの光反応で,シクロプテン誘導体以外にホモ-Diels-Alder-付加反応生成物,およびオキセタン誘導体が生成した。相当する二重結合化合物であるケィ皮酸メチルおよびベンザルァセトソとアルケソとの光反応を行なったが,付加体はまったく生成せず,それ自身のシスートランス異深化のみが認められた。
著者
亀岡 弘 三宅 昭雄 平尾子 之吉
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1972, no.6, pp.1157-1160, 1972

ドクダミの精油成分とその特有の臭気成分を明らかにするため,奈良県に群生するものを採集し,葉茎を水蒸気蒸留して得た精油を中性部,フェノール性部,カルボン酸部の3部にわけて,GLC,IR,NMRなどの機器分析を用いて検索した。その結果,メチルn-ノニルケトンなどの既知5成分の他に今回新たにメチルラウリルスルフィドの他26成分の存在を明らかにした。このドクダミの特有の臭気成分として,メチルn-ノニルケトン,3-ケトデカナール,メチルラウリルスルフィド,脂肪族アル潔-ルの同族体からなると考えられる。
著者
本仲 純子 池田 早苗 田中 信行
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.10, pp.1525-1531, 1980
被引用文献数
2

L-アスコルビン酸(ビタミンC),p-(メチルアミノ)フェノール硫酸盧(商品名メトール), ならびにヒドロキノソにヨウ素を反応させ,生じたヨウ化物イオンをヨウ化物イオン選択膜電極と飽和カロメル電極(SCE)を用いて銀電位差滴定することにより,間接的に,これら3種類の有機化合物を微量定量する方法を確立した。まず,基礎的な条件として,試料溶液の安定性,ヨウ素-メタノール溶液添加量の影響,pHめ影響,滴定時の試料溶液温度の影響,有機溶媒の影響,ならびに共存物の影響を検討しメた。また,適当な条件を用いて,定量下限を検討したところ,0.2~44mgのL-アスコルピン酸を1.6%以内の相対誤差と相対標準偏差で, 0.25-35mg のp-(メチルアミノ)フェノール硫酸塩を1.7%以内の誤差と相対標準偏差で, 0.1-23mgのヒドロキノンを0.9%以内の相対誤差と相対標準偏差で定量できることが明らかになった。<BR>最後に,市販薬剤である錠剤ならびに顆粒中のレアスコルビン酸と,4種類の市販ヒドロキノンの定量を行ない,本法と日本薬局方あるいはJISの方法による分析値の比較を行なった。
著者
坪井 正毅 南原 勇 松本 敏夫 村上 文康
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.3, pp.294-298, 1988

脂肪族第一級および第二級アルコール存在下,フェニルヒドラジンの過ヨウ素酸ナトリウム水溶液中での酸化反応を行なったところ,ベンゼン[1],フェニルアジド[2],ヨードベンゼン[3],アニリン[4],ビフェニル[5],アゾベンゼン[6],アルコールに由来するフェニルヒドラゾン[8]および少量ではあるがフェノール,ジフェニルアミンの生成が認められた。<BR>これ以外に,メタノールならびにエタノールを用いた場合には1-フェニル-1,2,4-トリアゾール誘導体[9],(CH<SUB>3</SUB>)<SUB>2</SUB>CH(CH<SUB>2</SUB>)<SUB>n</SUB>OH(n=1~3)型のアルコールを用いた場合には薪規化合物である第三級炭素上でのフェニルアゾ置換アルコール[10]が得られた。<BR>[9]の生成経路を明らかにするため,エタノールのかわりにアセトアルデヒド=フェニルヒドラゾン[8b]を用いてアルコールの場合と同様の実験を行なったところ,3,5-ジメチル-1-フェニル-1,2,4-トリアゾール[9b]の生成が確認された。さらに[8b]をメタノール中で過酸化ベンゾイルと反応させたところ,アニリン[4]と[9b]が生成していることが認められた.したがって,[9]は用いたアルコールから生成したフェニルヒドラゾン[8]の環化二量化とそれにつづく水素原子およびアニリンの脱離により生成したものと推定した。<BR>アルコールのα-水素が特異的に引き抜かれることはよく知られているが,本反応条件下で[10]のようにα-位以外の水素引き抜きによるフェニルアゾ置換アルコールが確認されたのは非常に興味深い。
著者
浜田 祐次 佐野 健志 藤田 政行 藤井 孝則 西尾 佳高 柴田 賢一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1993, no.7, pp.879-883, 1993
被引用文献数
3

二座配位子(N-salicylidenealkylamine),あるいは四座配位子(N,N'-disalicylidenealkanediamine)を用いて,亜鉛イオンと配位子が1対2,および1対1のアゾメチン亜鉛錯体を新しく合成して,有機エレクトロルミネヅセンス(EL)繁子の発光材料としての詐価を行った。この中で,1対1錯体である(N,N'-disalicylidene-1,6-hexanediaminato)Z121C(II)を発光層に用いて,二層構造素子[ITO/ホール輸送層/発光層/MgIn]を作製したところ,最高輝度1460cd/m2を示し,錯体系発光材料としては初めて高輝度青色発光(ピーク波長462nm)を得ることができた。同時に,錯体を発光材料に用いるためにはa錯体が昇華性のある分子内錯塩を形成していなければならないことがわかった。
著者
阪口 恵藏 福谷 征史郎 神野 博
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1988, no.12, pp.2037-2044, 1988-12-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1

メタン-空気同軸拡散火炎の各部の温度および安定化学種の濃度を測定し, その結果を基にして, 25種の化学種の間に82組の素反応を仮定した詳細な化学反応モデルを用いて計算機シミュレーションを行ない, その燃焼反応機講を解析した。火炎基部では, 燃料と空気とが巻き込みによってすみやかに混合し予混合燃焼が生じている。この領域でメタンは CH4→CH3→CH30→HCHO→CHO→CO→CO2 と酸化される。これらの反応は速度が大きく,火炎の温度もすみやかに 1140K にまで上昇し, ここで生成した活性化学種と熱エネルギーとが火炎をノズル口に保持しているものと考えられる。輝炎領域では, 90%以上の燃料は CH4→CH3→C2H4→C2H3→C2H2 と熱分解し, 一旦アセチレンを経由してそののち酸化される。火炎基部において巻き込まれた酸素は, OH ラジカルとなってこの領域でメタンの脱水素反応に消費される。酸素の量を実測値から変化させて化学反応を計算すると, メタンの消費反応の速度が大きな影響を受けるので, 火炎の内部に巻き込まれた空気がメタンの熱分解反応を促進すると考えられる。
著者
山本 憲子 中塚 えりか 白井 恒雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.8, pp.1226-1230, 1983-08-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
7
被引用文献数
2

大気中のアンモニア定量法として,インドフェノール吸光光度法をとりあげ,分析感度および再現性の向上を目的として,最適諸条件を決めた。とくに,発色液の最適pHについて検討を行ない,リン酸緩衝液を用いてpH10.5~11.7に調節することにより,感度および精度ともすぐれたものとなり,大気中アンモニアの測定に適用が可能となった。また,発色温度を通常の室温から40~50℃に上げることにより,発色時間は90分間から30分間となり,分析操作も迅速化された。大気捕集法としてインピンジャー法について検討を加え,大気中濃度レベル(1.0~15.0ppb)においても,インピンジャー2本を用いれば再現性のよい90%以上の捕集効率が得られることが確認された。本法により,横浜市において20箇月間測定をつづけた。アンモニア濃度は夏期には10ppb以上となり,一方,冬期には1~2ppbとほぼ一定した低い値を示した。すなわち,季節によるアンモニア濃度の変動は気温の変化とほぼ同様の動きを示し,このことからもアンモニアはおもに土壌から発生していると思われる。
著者
佐々木 和夫 九内 淳堯 妹尾 菊雄 河野 之伴
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1980, no.6, pp.966-973, 1980-06-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
19

溶融炭酸塩を反応媒体に用い,二酸化炭素と炭素から一酸化炭素を生成する反応を700℃付近で行なわせることを試みた。それにさき立って数種の炭酸塩と炭素との反応を試みたところ,いずれの塩でも同温度での単純な固/気反応よりはるかに速い速度で一酸化炭素発生がみられた。反応はM2CO3+C=M2O+2COと考えられるが,この反応は熱力学的には自発反応ではない。しかし.炭酸塩そのものの熱分解が既往の熱化学値以上に進行するので,熱分解で生じた二酸化炭素が一酸化炭素に転化する経路をとるものと考えられる。 三元アルカリ金属炭酸塩の融体中に底部から二酸化炭素を供給し融体中に分散している炭素粒と反応させることにより気体二酸化炭素からの連続転化実験も行なった。容易に定常状態が得られるので,単純な速度解析が可能であり,擬一次速度定数を決めることができた。本報の結果は,実用反応としてまだ不十分であるが改善の可能性が大きい。
著者
八木 修 清水 駿平
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.1, pp.74-78, 1995-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
12

塩化物イオソを含まない,高純度な水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を合成した.オートクレープを用いトリメチルアミンと炭酸ジメチルをメタノール中で反応させ,炭酸テトラメチルアンモニウムメチルを得た.この場合,トリメチルアミンと炭酸ジメチルとのモル比を2としたが,炭酸塩は得られず,1対1付加物である炭酸メチル塩が得られた.この炭酸メチル塩を加水分解し,炭酸水素塩を得た.更にこの炭酸水素塩を,陽イオン交換膜を配した電解層を用いて電気分解し,目的の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を効率良く得た.炭酸水素塩を電気分解した場合,他の塩類,例えばギ酸硫酸,塩化物を電気分解した場合と比べて,電流効率の低下という現象は見られず,効率良く電解生成物が得られた.このような電流効率が良い理由として,炭酸水素塩の場合,他の塩類と異なり,陽極液中に酸性物質が蓄積されないためである,と推察した.このようにして得られた水溶液中の金属イオン濃度は,すべて10ppb以下であった.また,炭酸塩の濃度は10ppm以下であった.
著者
森永 直樹 内ヶ島 美岐子 Mohammad Abdur RAHIM 大西 一聡 高橋 和文 小杉 善雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.3, pp.467-469, 2002 (Released:2004-03-05)
参考文献数
15
被引用文献数
2

The carboxylation of m-aminophenol with potassium hydrogencarbonate in aqueous solutions has been studied kinetically. The formation of 4-hydroxyanthranilic acid (4HAA) has been found for the first time in the carboxylation of m-aminophenol which gives only p-aminosalicylic acid (pAS) in the usual Kolbe-Schmitt reaction. Since 4HAA was easily decarboxylated, the product was removed from the reaction mixture after the carboxylation for 1 h at 60 °C. This method was repeated three times and 4HAA was obtained as a major product in 30.2% yield.