著者
山下 澄奈 石川 由羽 髙田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-112, no.16, pp.1-6, 2017-02-20

本稿では,DCGAN を用いてイラスト画像の自動生成を行う.日本におけるキャラクタービジネスは以前から盛んであり市場規模は増加し続けている.最近では,企業や地方自治体の独自のキャラクターが宣伝活動を行う例も多い.また,SNS のプロフィール写真を独自のキャラクターのイラスト画像にする者も多く,独自のキャラクターを生成し使用する需要が増加している.しかし,知識や技術を持たない者がイラスト画像を 1 から作成することは困難である.そこで,本研究では DCGAN を用いてイラスト画像の生成を行う.また,生成されたイラスト画像を別のニューラルネットワークに入力し変換を試みる.最初に生成された画像と処理を加えた画像の比較をし,考察を行う.
著者
吉田 岳人 矢野 正基 堀川 健一郎 佐藤 啓太 南 翔太 繁野 麻衣子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2018-MPS-117, no.3, pp.1-6, 2018-02-22

近年,ライドシェアリングは広く注目を集めているが,その中でもタクシー相乗りは効果が高いことが期待されている.本研究では,イベントへの参加などで共通の目的地のある乗客のタクシー相乗りの可能性を探る.タクシー相乗り問題では通常移動コストの最小化を扱うが,ここでは,タクシーの総走行距離が長くならない中で,乗客の総移動距離を最小化することを目的とする.この問題を混合整数線形計画問題として定式化するとともに,乗車人数に制限がある場合に対する厳密アルゴリズムと制限がない場合に対するヒューリスティックアルゴリズムを提案する.そして,数値実験により,ヒューリスティックアルゴリズムの解が適切であることを検証し,さらに,得られた解の相乗り方法と支払料金から評価して妥当性を示す.
著者
蓮実梢 石田貴士 秋山泰
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.34, pp.1-7, 2014-06-18

標的となるタンパク質を定めて行う薬剤開発において,薬剤標的タンパク質の選定はとても重要となる.この標的タンパク質探索には,既に病原体のゲノム情報等を利用して探索を行うための統合的なデータベースシステムが提案されてきたが,その生化学経路情報については統合の対象とされていなかった.しかし,この情報を用いることであるタンパク質が病原体の生命維持に対して致命的であるかという議論が可能となるため,生化学経路情報の統合は標的タンパク質の探索のために有用であると考えられる.そこで本研究では,顧みられない熱帯病の新薬の標的タンパク質を探索するための統合データベースシステム iNTRODB に,トリパノソーマ科寄生原虫に関する生化学経路情報を追加し,またそこにゲノム等に関連する情報を表示するインタフェースを開発することで,標的タンパク質の探索の更なる効率化を目指した.In structure based-drug design, selecting a drug target protein is very important. For the target protein selection, several database systems integrating various related information, such as genomic information of pathogens and phenotypic information, have been proposed. However, biological pathway information, which may facilitate understanding the importance of proteins, has not been integrated. In this research, we integrated the biological pathway information about Trypanosomatidae family, protozoans parasites into a database system iNTRODB, which has been developed for selecting drug target protein of neglected tropical diseases. We also developed an interface to display pathway information with genome and protein information to improve the search process of drug target proteins.
著者
秦野 真衣 米澤 朋子 吉井 直子 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.33, pp.1-6, 2012-02-23

本稿では,子どもの空間認識能力を高めるための AR を用いた新たな学習方法を提案する.AR を用いる利点として,物体を実際に動かすことで子どもでも直感的に,動作と視覚の両方の感覚を使って扱うことができる点がある.また,空中に浮いている立体などの仮想立体でも提示することが可能である.本学習方法は,イメージの中で物体を回転させやすくなるような支援を行っている.学習者は AR 空間の中に表示された物体を別の角度から見る場合を想像し,想像された物体を新たに作成するものである.この学習方法による空間認識能力の学習効果を調べるために,小学生を対象とした実験と実験結果による分析を行っている.In this research, we propose a method to progress spatial reasoning capacity of children with Augmented Reality(AR). AR has two advantages. First, children can use AR tools viscerally with sence of action and vision, since this tool can be moved actually. Second, AR tools with AR can display virtual solids like floating solid. An AR tool, which is based on the proposed method, supports to make image which rotates objects more easily. Learner images rotated objects which was displayed in AR. Then, they make this imaged objects. To evaluate spatial reasoning capacity in the AR tool, we experiment and analyze in regard to elementary school children.
著者
松島 由紀子 舩曵 信生 中西 透
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MPS-76, no.13, pp.1-6, 2009-12-10

本論文では,忙しいライフスタイルの人が,効率よく食事を作ることを目的として,多種料理の調理順最適化アルゴリズムを提案する.まず,材料の加工,加熱,鍋の洗浄からなるキッチンモデルを定義する.その上で,各料理の調理順探索問題を組合せ最適化問題として定式化し,シミュレーティッド・アニーリングを用いたアルゴリズムを提案する.Java 言語を用いて本アルゴリズムを実装し,例題として 6 種類の料理を与えて評価を行った結果,実際の調理結果とは約 15 分の誤差が生じたが,多種料理の調理順最適化に有効であることが明らかとなった.
著者
関口 涼平 高橋 治久 堀田 一弘
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2009-MPS-75, no.23, pp.1-6, 2009-09-03

本論文では,カーネル判別分析 (KDA) に基づいた新しい多クラス識別器を提案する.KDA は主にパターン識別の前処理として用いられ,線形判別分析を使う場合に比べ良い識別性能が出せることが知られている.しかしながら,その性能は SVM と同様カーネルパラメータに大きく依存し,学習における最適なカーネルパラメータを導くには膨大な事前実験を必要とする.このため学習そのものよりも事前実験に要する計算量が膨大になり応用の障害になっている.本論文では,KDA に対し,分離度の理論に基づいて最適なカーネルパラメータを自動決定するアルゴリズムを提案し,計算機実験によりその性能を評価する.SVM との計算機実験による比較により,提案手法が少ない計算時間でより良い性能を達成できることを示す.
著者
田村一樹 吉川大弘 古橋武
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.19, pp.1-6, 2013-09-19

近年,電子商取引 (Electronic Commerce: EC) 市場の規模は拡大を続けている.EC サイトには,膨大な量のアイテムの情報に加え,アイテムに対するユーザの評価・口コミ (ユーザレビュー) などの情報が掲載されている.また,各ユーザの閲覧行動などのログも,大量に蓄積されている場合が多い.EC サイトは,それらの情報を用いて,各ユーザの嗜好を適切に抽出し,能動的にアイテムを推薦することにより,ユーザの購買活動を促進することを試みている.嗜好の抽出手法には,ユーザが直接的に与えた評点などの情報を用いる明示的手法と,アイテムへのアクセス履歴やその時間などを用いる暗黙的手法が存在するが,それらを同時に用いる研究については,これまであまり報告されていない.本稿では,アイテムの内容に関する評価情報であるユーザレビュー履歴に加え,明示的な情報であるアイテム評価履歴と,暗黙的な情報であるアイテム閲覧履歴の情報を用い,ユーザの購買行動を階層ベイズモデルによってモデル化することを試みる.また,オフラインのアイテム評価予測実験を行い,提案モデルの性能について検討を行う.The market of Electronic Commerce (EC) has been drastically growing in recent years. EC sites contain various types of evaluation information on items such as ratings and reviews by users in addition to the numerous information on items themselves. In addition, browsing history of each user is usually recorded. Recently, a lot of EC sites try to recommend items actively to each user to encourage him/her to purchase more items by abstracting his/her preference based on above information. To abstract preferences, there are the explicit method and the implicit method. The explicit method uses the information such as ratings directly given by users, and the implicit method uses the information such as access histories to items and browsing time. However, the study to combine the explicit information and implicit one is not found. This paper tries to construct a hierarchical Bayesian model to analyze purchasing behavior of a user based on reviews as the information of contents, rating histories as the explicit information, and browsing histories as the implicit information. An off-line experiment predicting the ratings of items is carried out and the performance of the proposed model is discussed.
著者
石田 隆 ニウー ガン 杉山 将
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2017-MPS-113, no.25, pp.1-8, 2017-06-16

ラベル付きデータの収集にはコストがかかるため,実世界の分類問題を解く際の大きな障壁となる.そこで,パターンが所属しないクラスを一つ指定する補ラベルの設定を考える.補ラベルの収集は,数多くの候補の中から正解ラベルを慎重に選ぶ必要がないため,通常のラベルを収集するよりも遥かに少ない労力で済む. しかし,補ラベルは通常ラベルよりも情報が少ないため,補ラベルに適した学習方法が必要となる.本論文では,損失関数が特定の対称条件を満たすとき,分類リスクの不偏推定量が補ラベルのみから得られることを示す.そして,提案法の推定誤差の上界を理論的に求め,提案法の有用性を実験的に示す.
著者
小宮山 純平 本多 淳也 鹿島 久嗣 中川 裕志
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-103, no.14, pp.1-8, 2015-06-16

バンディット問題 (multi-armed bandit problem) は,情報の活用と探索の間のトレードオフをモデル化した問題である.バンディット問題にはいくつかの亜種があるが,そのうち比較バンデイット問題 (dueling bandit problem) と呼ばれるものは,一対比較によるフィードバックを用いて最適化を行う.比較バンディット問題の枠組みを用いることによって,検索エンジンのランキング手法の比較や,人間の選好抽出の問題に対して,効率的な最適化を行うことができる.本研究では,比較バンディット問題における理論的な性能限界およびそれを達成するアルゴリズムを提案する.このアルゴリズムは,経験尤度を用いた通常のバンディット問題におけるアルゴリズム (本多,竹村,2010) の比較バンデイット問題への拡張である.提案手法を評価するため,検索エンジンの実データにおけるランキング手法の比較や,寿司データセット (神嶌,2003) などによる人間の選好抽出における性能を既存手法と比較する.
著者
松谷 貫司 木村 昌弘
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.3, pp.1-6, 2016-12-05

ソーシャルメディアでは,ユーザは様々な情報を手軽に発信および共有することができ,ユーザが投稿したアイテムは,他のユーザからの共有や賛意メッセージなどのアテンションの数が増えるにつれてポピュラリティを獲得していく.最近 Shen ら [10] は,個々のアイテムへのアテンションの到着過程の確率モデルとして RPP モデルを提案し,それが既存のポピュラリティ予測法よりも精度が高いことを示した.本論文では,対象とするソーシャルメディアのアイテム群全体に対するアテンションの到着過程の確率モデルとして,ディリクレ過程と RPP モデルを融合した DPM-RPP モデルを提案し,アテンションダイナミクスの観点からそれらアイテム群の関係の分析を目指す.我々は,観測データに基づく DPM-RPP モデルの効率的な学習法および,DPM - RPP モデルによる各アイテムの将来ポピュラリティの予測法を与える.料理レシピ共有サイトの実データを用いた実験により,DPM-RPP モデルはポピュラリティ予測において RPP モデルを含む従来モデルよりも精度が高いことを示す.また,アテンションダイナミクスの観点における料理レシピ群のコミュニティ構造を明らかにする.
著者
坂野 鋭
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-106, no.2, pp.1-6, 2015-12-08

本稿においては,データの相関構造を保存する確率的匿名化技術,Correlation Preserving Anonymization - CPPk 匿名化法を提案する.Pk 匿名化は,単なる乱数雑音の印加で,確率的に k-匿名化を保証する興味深い技術である.しかし,議論が事実上,単変数で行われているために,変数間の関係などの構造が破壊される疑問があった.この問題に対し,我々は匿名化前に相関構造を算出し,それを保存する様に匿名化を行う CPPk 匿名化法を提案する.実測データに基づく人工データを用いた実験結果は提案手法が分析に有効であることを示した.
著者
上野 ふき 鈴木 泰博
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.23, pp.1-8, 2012-02-23

Collective Intelligence という概念は古くから論じられているが,その性質は未解明の部分が多い.本研究ではエージェントベースによる集団的知性の発生プロセスのモデル化の提案を行う.傾向として社会シミュレーションは自然現象のアナロジーを用いてモデル化する場合が多いが,本論文では "思想" も生命システムと同じ自然現象であると見なし,哲学者ライプニッツの思想を基にエージェントの構造と関係性を作成する.本モデルは,集団的知性の創発プロセスの中で,より正しい解に収束できる集団はどのような内部構造を持っているのかという事をシミュレートできるモデルの提案をする.Although the concept of Collective Intelligence is discussed for many years, thecharacter has many unsolved portions. In this research, modeling of the generationprocess of the collective intellect by an agent base is proposed. Although a socialsimulation is modeled in many cases, using the analogy of a natural phenomenon as ageneral trend, in this paper, it considers that "thought" is the same natural phenomenonas a life system, and it creates an agent's structure and relationship based on philosopherLeibniz's thought. The group who can converge this model on the righter solution in theemergence process of collective intellect proposes the model which can simulate whatkind of internal structure it has.
著者
北山 雄樹 井庭 崇
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.20, pp.1-6, 2011-02-28

本論文では,書籍販売市場において,売れている商品が日々変化しているにも関わらず,販売量の分布がいつもべき乗分布になるという定常性に注目し,それがいかにして可能なのかを説明するモデルを提案する.提案モデルでは 3 つの特徴,すなわち,「販売量のポジティブ・フィードバック」,「魅力度の逓減」,および 「商品の増加」 を組み込む.シミュレーションによる分析の結果,売れている商品が入れ替わりながらも,べき乗分布が定常的に形成され続けるというためには,これらの 3 つの特徴すべてが必要であることが明らかになった.In this paper, we propose a model to explain the fact that the distributions of the book-sales amount always follow a power-law. Our proposed model incorporates the following three factors: (1) positive feedback of sales volume, (2) decreasing the attractiveness of books, and (3) increasing the titles of books in the market. As a result of our simulation analyses, we found that three factors are necessary for the emergence of the stationary power-law distributions.
著者
宮下 洋一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MPS-80, no.19, pp.1-7, 2010-09-21

論文では,べき乗則から逸脱する領域を含めて幅広く適合する新しい統計分布モデル (一般化べき乗分布モデルと呼ぶ) を提案する.このモデルは,パラメータが特定値のときにべき乗分布になるように拡張した統計分布モデルである.論文では,べき乗則が成立する典型的な実データに対して一般化べき乗分布が幅広い範囲で適用できることを示す.さらに,一般化べき乗分布になるようなデータを生成するダイナミックモデルを提唱する.このダイナミックモデルは,複雑ネットワークの優先的選択型成長モデルと密接な関係を持っている.
著者
高田 司郎 新出 尚之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.19, pp.57-60, 2009-02-26

従来のBDI logicは,Bratmanの「意図の理論」を基にした既存BDIモデルの範囲で,信念・願望・意図などの心的状態とそれら心的状態を保持・更新して目的を達成する振る舞いに関して,形式的な議論や証明を行うことができた.しかし動的な環境下の合理的エージェントの実現には,強化学習との統合などが要請される.そこで,確率的遷移と不動点オペレータの概念を導入してBDI logicを拡張したtomatoを用いて,強化学習で用いられる方策や有限MDPをtomatoの論理式として記述し,BDIと同じ論理体系で扱うことを可能にすることで,BDIと強化学習の統合方式を提案する.具体的には,強化学習の事例として「カヌーレーシング」をtomatoを用いて形式的に記述することで,厳密な議論や証明ができることを例示し,上記のように拡張された合理的エージェントの実現に,tomatoが有効であることを示す.Using traditional BDI logics, within the existing BDI model which based on the theory of intention by Bratman, we can formally argue or prove various properties of agents' mental states such as beliefs, desires and intentions, or behaviors of agents to achieve their aims while holding and updating their mental states. However, to construct rational agents under dynamic environments, additional capabilities such as integration with reinforcement learning are required. In this paper, we describe the notions used in reinforcement learning, such as policies and finite MDPs, as a formula of tomato, an extended BDI logic with probabilistic transitions and fixpoint operators. In this way, we propose a way to integrate BDI and reinforcement learning by enabling us to handle those two within a uniform logic. Specifically, using tomato, we provide a formal description of canoe racing as a case of reinforcement learning, and give some examples of strict arguments and proofs. It shows the effectiveness of tomato on realizing rational agents extended in the way described above.
著者
鈴木 脩司 石田 貴士 秋山 泰
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.20, pp.1-6, 2010-12-09
被引用文献数
1

近年,DNA 配列等の配列決定技術の向上により高速に配列データを得ることが可能となった.これにより DNA 配列及びタンパク質配列のデータベースのデータ量が爆発的に増加している.このため大量の配列データに対して巨大な DB への相同性検索を行う機会が多くなってきてる.しかし,大規模なデータを用いた相同性検索では,BLAST など従来のツールでは解析が間に合わないという問題がある.本研究では Suffix Array を用いてクエリのインデックスを,FM-index を用いて DB のインデックスを構築し,これらのインデックスを用いてミスマッチをある程度許して短い領域で高いスコアとなる部分を見つけ,その部分の周辺をアラインメントするアルゴリズムを提案した.その結果,従来用いられてきた BLAST 以上の精度を保ったまま,約 10 倍の高速化を達成した.In recent years, a lot of biological sequence data can be determined easily and the size of DNA/protein sequence databases is increasing explosively because of the improvement of sequencing technologies. However, such a huge sequence data causes a problem that even general homology search analyses by using BLAST become difficult in terms of the computation cost. Therefore, we designed a new homology search algorithm that finds alignment candidates based on the suffix array of queries and the FM-index of a database. As results, the proposed method achieved about 10-fold speed up than BLAST.
著者
得丸 公明
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.20, pp.1-7, 2011-11-24

ヒトは,音節というデジタル信号を獲得したことによって,概念,文法を獲得し,長期保存可能な文字,さらには五官で感じることができない抽象概念を自然発生的に獲得した.これは生命がデジタル信号であるmRNAを獲得し,長期記憶として保持するための DNA,文法である非コーディングRNAが生まれて,複雑に進化をとげてきたことと相似である.本稿では,(i) 言葉と意味の結合は,大脳皮質と脳脊髄液中の免疫細胞による抗原抗体反応である可能性,(ii) 科学的抽象概念の意味はデジタル公理系に支えられていることについて論ずる.Human language evolved by the acquisition of digital signals, i.e. syllables, and autogenetically acquired concepts, grammars, character sets for long term memory, and abstract concepts which cannot be perceived by five sensory organs. This evolution is analogous to that of living creatures, which acquired messenger-RNAs as digital signals, DNA in nucleus for long-term memory, non-coding RNAs for grammatical modulation/ modification, and evolved toward complexity. The author discusses on the possible role of immune system, Antigen-Antibody Response, for the combination of word and meanings and on the guaranteeing mechanism by Digital Axiomatic System for meanings of abstract concepts.
著者
宮地 美希 北 栄輔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.13, pp.1-2, 2014-12-02

本研究では,ユーザーが証明写真として適切と思うものを選択するためのアルゴリズムについて述べる.電子的な顔画像データから顔特徴量を抽出する.顔特徴量を説明変数として,写真が証明写真として良い写真か否かを判別するアルゴリズムをニューラルネットワーク (NN) とサポートベクターマシン (SVM) を用いて定義する.解析例において,1 名の被験者の写真をもとにニューラルネットワーク (NN) とサポートベクターマシン (SVM) を学習する.それを他の 10 人の被験者の写真に適用して良い写真であるかどうかを推定する精度を評価する.
著者
林田守広 阮佩穎 阿久津達也
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MPS-100, no.11, pp.1-2, 2014-09-18

生物は進化の過程において,突然変異や組み換えなどによって DNA の塩基配列情報を変化させながらも自らの生命を維持させてきた.生物の持つ情報を DNA の塩基配列とすると,この配列を圧縮することによって大体の情報量を知ることができる.本研究では塩基配列の代わりにタンパク質ドメイン構成に基づき,個体の持つすべてのタンパク質について圧縮する.遺伝子重複や遺伝子融合などの進化現象により同じドメイン構成を持つタンパク質が複数生成されるとすると,複製元のタンパク質を参照することでデータ量を減らすことができる.このような参照によるネットワークは有向ハイパーグラフとなり,多数の参照候補を持つグラフから最小大域木を見つけることで圧縮する.しかし現実的な時間での,ハイパーグラフからの最小大域木の抽出は困難であるので,前処理としてハイパーエッジを削減する発見的な手法を提案する.本手法を数種の生物種に適用した結果,タンパク質進化における遺伝子融合の重要性が示唆された.
著者
大岩 秀和 松島 慎 中川 裕志
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.18, pp.1-6, 2011-02-28

オンライン学習 (逐次学習) とは,訓練データを 1 つ受け取るたびに逐次的に学習を行う手法であり,大規模な訓練集合からの学習が効率化される.L1 正則化とは,学習上不要なパラメータを零化する手法で,学習の高速化やメモリ効率の改善が期待される.2009 年に提案された FOBOS7) は上記の二手法を組み合わせた,教師あり学習のための L1 正則化付きオンライン学習手法である.しかし FOBOS では,特徴の出現回数が不均一な訓練集合では,低頻度の特徴が排除されやすい性質を持つ.FOBOS では各特徴の出現頻度やパラメータの累積更新幅とは無関係に全特徴に共通の零化を施すためである.しかし既存の L1 正則化付きオンライン学習アルゴリズムでは,この性質は分析されてこなかった.本稿では,特徴の出現回数の情報を用いた L1 正則化を導入した教師あり学習のためのオンライン学習手法 (HF-FOBOS) を提案する.さらに,HF-FOBOS は既存手法と同様の計算コスト.収束速度でパラメータの累積更新幅に応じた L1 正則化を実現する学習手法である事を確認する.また,HF-FOBOS と FOBOS に対して実問題に基づく実験を行い,出現頻度を利用した L1 正則化が精度向上へ寄与することを示した.Online learning is a method that updates parameters whenever it receives a single data. Online learning can learn efficiently from large data set. L1 regularization is used for inducing sparsity into parameters and exclude unnecessary parameters. FOBOS7) combines these two methods described above and presented a supervised online learning method with an efficient L1 regularization. FOBOS has the property the parameters of low frequency features are zeros in a heterogeneous data set. However, this property is not analyzed enough in the field of online learning. In this paper, we presented a new online supervised learning method with L1 regularization based on the number of occurrences of feature, named Heterogeneous Frequency FOBOS (HF-FOBOS). HF-FOBOS can solve optimization problems at same computational costs and convergence rate as FOBOS. Moreover, we examined the performance of our algorithms with classification tasks, and confirmed L1 regularization based on the frequency of features improve accuracy.