著者
沈浩洋 日野英逸 村田昇 若尾真治
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MPS-86, no.15, pp.1-6, 2011-11-24

太陽光発電,風力発電,及びコジェネレーションシステム (熱電併給システム) は,家庭の発電手段として実用化され,導入が進んでいるが,これらの発電手段にはそれぞれ長所と短所がある.実際にこれらの発電手段を導入する際には,家庭の電力消費パターンに応じて発電システムを最適に組み合わせる必要がある.本研究では,家庭の電力消費量の典型的なパターンを抽出する手法を提案する.一日の電気消費量を混合正規分布でフィッティングし,一般化 KL 情報量を用いて家庭の電力消費データを一日単位でクラスタリングする.Annex42 データセットを使い,提案手法により電気消費量の典型的なパターンを抽出できることを示す.
著者
廣安 知之 西井 琢真 吉見 真聡 三木 光範 横内 久猛
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MPS-80, no.24, pp.1-6, 2010-09-21

本研究では,2 本以上の時系列データに対して類似部分の抽出手法を提案している.提案手法は,時系列データを再量子化し,文字列検索アルゴリズムを用いて類似部分を抽出する方法である.文字列検索アルゴリズムには,相同性検索を利用する.相同性検索を利用することで,将来,既存の並列アルゴリズムを利用することで高速に処理が可能である.数値実験を通じて,再量子化手法の違いによって抽出される類似部分にどのような差異が生まれるか検討した.また,既存の時系列データの距離測定手法である DTW とどの程度一致する類似部分を抽出するのかについて検討した.実データへの適用として,fNIRS を使った脳機能実験を行い,提案手法による時系列データの抽出を試みた.
著者
山田 修司 菅野 仁子 宮内 美樹
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MPS-92, no.1, pp.1-5, 2013-02-20

重力のように単一方向の力ではなく,分子間力のような粒子間引力が働いている環境における球充填シミュレーションのための高速アルゴリズムを考案した。これにより,107 個を超す球の充填シミュレーションを,パーソナルコンピュータを用いて 30 分未満で行うことが可能となる。
著者
得丸 久文
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-130, no.2, pp.1-6, 2020-09-22

概念は,低雑音環境で思考を深めることによって,1 対 1 の反射の論理が 1 対全の群の論理へと進化することで生まれる思考ツールである.この意味を正すには,概念とその意味が群を形成することを確認することが有効ではないか.
著者
呉靭 松浦佑哉 松野浩嗣
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MPS-100, no.6, pp.1-3, 2014-09-18

近年,分子系統学の手法を言語学に応用し,言語系統樹を推定するアプローチが注目を集めている。本発表では,基礎語彙に基づいた分子系統学の手法による言語系統樹の推定方法を調査し報告する.これを踏まえ,我々の研究展開の位置づけおよび方向性などを示す.
著者
田中 雅浩 松田 健 園田 道夫
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-123, no.44, pp.1-2, 2019-06-10

CTF(Capture The Flag)は,ゲーミフィケーションの手法を取り入れた,情報セキュリティ分野の知識を競う競技であり,世界各国で競技が開催されている.CTFはセキュリティ技術を学ぶ学習コンテンツとしても有用であるが,入門者向けの問題であってもある程度の専門知識が要求される場合もあるため,初学者の中にはハードルが高く感じる者も存在する.本研究では,問題文とその問題に対するCTF経験者の正解Flag取得までの課程が分かるデータを収集し,それらの中から技術用語を中心とする単語の共起頻度を調べることで,分野ごとに必要な知識や技術が具体的にどのようなものか,重用語の関連性から調査することで,CTF入門者に有用な情報が抽出できるかどうか検討する.
著者
秦野 真衣 米澤 朋子 吉井 直子 高田 雅美 城 和貴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012-MPS-87, no.33, pp.1-6, 2012-02-23

本稿では,子どもの空間認識能力を高めるための AR を用いた新たな学習方法を提案する.AR を用いる利点として,物体を実際に動かすことで子どもでも直感的に,動作と視覚の両方の感覚を使って扱うことができる点がある.また,空中に浮いている立体などの仮想立体でも提示することが可能である.本学習方法は,イメージの中で物体を回転させやすくなるような支援を行っている.学習者は AR 空間の中に表示された物体を別の角度から見る場合を想像し,想像された物体を新たに作成するものである.この学習方法による空間認識能力の学習効果を調べるために,小学生を対象とした実験と実験結果による分析を行っている.
著者
髙田 雅美 木村 欣司 中村 佳正
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2010-MPS-79, no.1, pp.1-6, 2010-07-05

本論文では,特異値分解を評価するために,条件数の大きなテスト行列の作成法を提案する.我々が対象とする条件数は,以下の 2 種類である.1 つ目は,連立 1 次方程式を解く際の困難さを 1 つの指標とする.2 つ目は,特異値の近接度を用いる.1 つ目の提案作成法では,2 重対角行列のみならず,密行列を作成することも可能である.一方,2 つ目の提案作成法では,2 重対角行列のみが作成可能である.提案する 2 種類の作成法の目的は異なるため,それぞれに意義がある.これらの作成法を用いて,LAPACK 3.2.1 に含まれているいくつかの特異値分解アルゴリズムを評価する.
著者
田中 博基 木村 泰己 松縄 哲明 三本木 省次 髙田 雅美 木村 欣司 中村 佳正
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-129, no.3, pp.1-4, 2020-07-20

半導体製造において,リソグラフィシミュレーションモデルが重要である.このモデルを構築する際,大規模密行列の部分特異値分解が必要となる.部分特異値分解のための方法として,AIRLB(augmented implicitly restarted Lanczos bidiagonalization)アルゴリズムがある.本稿では,大規模密行列の部分特異値分解のために,AIRLB アルゴリズムの改良を行う.改良法では,計算途中で必要となる小さな行列の特異値分解のために,QR アルゴリズムではなく,OQDS(orthogonal-qd-with-shift)アルゴリズムを適用する.これにより,高精度な特異値を持つ特異値分解が行われる.数値実験の結果,既存の QR アルゴリズムを用いる AIRLB アルゴリズムと比較して,提案した改良が有効に機能していることが確認できる.精密な議論を行うため, 大規模疎行列と大規模密行列の両方を実験の対象としている.
著者
馬場 建 槇原 絵里奈 米田 浩崇 清川 清 小野 景子
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2020-MPS-129, no.10, pp.1-4, 2020-07-20

組込みシステム開発では,ハードウェアとソフトウェアの両状態を考慮する必要があり,初学者にとってデバッグを行なうことは難しい.本研究では,無意識的な知識が反映される視線に着目し,熟練者がバグを効率的に修正する方針を視線分析で明らかにできるかを調査する.そのために,熟練者と初学者の組込みシステムデバッグ時の視線情報を分析し,熟練者の無意識的な知識と,初学者が苦手とする点を調査した.分析は注目物体の時系列データに対して,GP-HSMM という高精度な教師なしの分節化手法を用いることで行なった.分析の結果,初学者はデバッグの修正方針を持たず,システムの確認方法を知らないことがわかった.熟練者は序盤に回路,中盤にソースコード,終盤に回路とソースコードの両者を確認する傾向があることが明らかになった.
著者
藤岡 和暉 町田 貴史 松原 崇 上原 邦昭
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-123, no.2, pp.1-6, 2019-06-10

深層学習に基づく画像のモダリティ変換は, 2 つのドメインの同時分布とそれらの間の変換の学習を目的としている.特に,敵対的学習 (GAN) に基づく手法の 1 つである CycleGAN は目覚ましい結果を示している.しかし,CycleGAN による画像のモダリティ変換は,変換前後における整合性の維持が難しく,異なるドメインの大規模な訓練データを生成するパフォーマンスを低下させる.この問題を解決するために,本研究では CycleGAN を改良した.具体的には,CycleGAN では変換後の画像 1 枚のみで識別するところを,本研究では変換前後の画像をペアにして識別することで,整合性の維持を図る.また,CycleGAN と提案手法を比較するために,変換画像から生成されたデータセットを用いて YOLOv3 を訓練することにより定量的に評価した.実験結果より,提案手法がデータ増強に有効であることを示した.
著者
川勝 崇史 棟朝 雅晴
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2013-MPS-96, no.9, pp.1-6, 2013-12-04

災害対策や可用性の高いシステムを構築するために,分散クラウド環境における WEB システムの多目的資源最適割当モデルを提案する.モデル化にあたっては、ロードバランサーによるリクエストの負荷分散やスケールアウトが自動できるようなシステムを前提とし,ユーザーが求める SLA を満たしたサーバーのスケジューリングを行なう.最適化にあたっては,コスト・レスポンス・リクエスト処理量の三つの目的関数をパラメータとして多目的遺伝的アルゴリズムを用いた最適解の探索を行い,その妥当性・有効性について検証する.
著者
王 亜騰 アランニャ クラウス 狩野 均
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.26, pp.1-6, 2016-12-05

外国為替取引 (FX) 市場は世界最大級の金融市場である.現在では一般人でもネット証券で取引することが可能になった.しかし,為替相場は無数の要因で反動し,取引のタイミングを予測することが非常に困難である.そのため,一般人でもわかりやすく利用できる取引支援システムが求められている.本研究では取引率と正解率を目的関数とした多目的遺伝的アルゴリズムを用いて為替取引における有効な売買ルールを獲得した.本手法は非劣解集合による多数決で取引のタイミングを予測するものである.従来の手法より高い利益が得られることを過去のデータを用いた実験で確認した.
著者
大江 将悟 渡邉 真也 塩谷 浩之
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011-MPS-85, no.14, pp.1-6, 2011-09-08

投影方向の限定されたコンピュータトモグラフィ (Computed Tomography, CT) である少数投影 CT は逆問題の 1 種であり,欠損情報を推定することにより内部画像の再構成を行う.本研究では,この問題に対して GS アルゴリズム (Gerchberg-Saxton algorithm) と進化型多目的最適化手法 (Evolutionary Multi-criterion Optimization, EMO) を組み合わせた新たな手法を提案する.これは解の一意性が保証されず,実空間・逆空間の双方の空間において拘束条件が存在する少数投影 CT に対して,多点に基づく多目的の枠組みで最適化を行う EMO が親和的に機能すると考えられるからである.本研究では,上記の提案手法を用いて性質と解像度の異なる 3 種類の画像に対して数値実験を行ない,その有効性を検証した.
著者
寺戸 綾佑 林田 守広
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2019-MPS-122, no.14, pp.1-2, 2019-02-21

サイバー攻撃に対する防御法として,ネットワークベース侵入検知システム (Network-based Intrusion Detection System : NIDS) による攻撃の検知が挙げられる.本研究では,NIDS 評価用データセット Kyoto 2016 Dataset に対して勾配ブースティング木を用いることで,サイバー攻撃の検知精度向上を目指す.
著者
堀 伸哉 棟朝 雅晴 赤間 清
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.16, pp.1-6, 2011-09-08

BOA (Bayesian Optimization Algorithm) はベイジアンネットワークと条件付確率を用いて問題の構造を詳細に表現することで、広範囲の問題を解くことのできる最適化アルゴリズムである。BOA はその特性から広範囲の問題を解くことができるが、環境が動的に変化するような問題に対しては、ベイジアンネットワークが一方の環境に対して収束し、結果として動的環境に対応できないという問題点がある。本論文は BOA に混合ベイジアンネットワークの概念を導入した BOA with Mixture Distribution (BOA-MD) に新しい追加要素を導入することでそのような問題の解決を目指す。そして、その効果を考察することによって BOA の問題解決領域を広げることを目的とする。Bayesian Optimization Algorithm (BOA) can solve wide-spectrum of optimization problems by modeling their probabilistic models with conditional probabilities based on Bayesian networks. BOA succeeds in solving a variety of difficult optimization problems, however, it has not been applied successfully to dynamic environment because it tend to converge at one specific network and cannot adapt to change of probabilistic distributions. In this paper, we propose a BOA that introduces mixture distributions and inheritance of probability distribution of previous generation to adapt to dynamic environment, and discuss effect of this introduction. Through these, this work motivates to broaden the optimization problem domain.
著者
磯崎 敬志 穴田 一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2015-MPS-106, no.5, pp.1-5, 2015-12-08

本研究では新たなアントコロニー最適化技法 (ACO) を提案する.ACO はアリの採餌行動をモデル化したメタヒューリスティクスで,巡回セールスマン問題 (TSP) などの組み合わせ最適化問題の近似解を求めることができる.ACO の一種である MAX-MIN Ant System(MMAS) は高い精度で近似解を求めることができるが,収束が遅いなどの欠点がある.そこで提案手法では,MMAS 解を記憶させておくスペースである Memory を改良したものを持たせ,局所解からの脱出を目的とした近傍探索アリ,解の多様性の維持を目的とした複数のアリによるフェロモン更新を導入し,従来手法と比べて解の精度と収束速度の両方が向上したことを評価実験で確認した.
著者
下久保 弘樹 北 栄輔
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MPS-101, no.11, pp.1-2, 2014-12-02

本研究では Kinect センサーを用いて歩行動作から個人認証を行う方法について述べる.提案手法では,Kinect センサーを用いて人体の身体特徴量,人体歩行時の関節の角度,座標の変位などを取得して特徴量とする.サポートベクタマシンとニューラルネットワークを用いて,これらの特徴量から個人認証するアルゴリズムを定義する.解析例では,被験者 10 人に対して個人認証実験を行った結果,平均適合率はサポートベクタマシンで 99.0%,ニューラルネットワークで 99.8%となった.
著者
大西 立顕 高安 秀樹 高安 美佐子
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.1, pp.1-3, 2010-12-09

ページランクアルゴリズムを用いて,日本企業間の取引関係を 100 万ノード,400 万リンクの有向ネットワークとして分析した.ネットワークを最大強連結成分とその他の成分に分解し,最大強連結成分に属する企業についてページランクを計算した.各企業のページランクとリンク数は,売上高とは強く相関しているが,成長率との相関は弱いことが分かった.さらに,リンク数の大きい企業については,ページランクとリンク数の比が大きくなるにつれ,成長率も大きくなることが分かった.これらの結果は,企業の重要性がネットワーク構造から算出できることを示している.PageRank algorithm is applied to Japanese inter-firm network. The network is consisted of about one million nodes representing firms and four million directed links representing transactions between firms. We extract the largest strongly connected component, and calculate the PageRank of these nodes. While the PageRank and the number of links strongly correlate with sales, they weakly correlate with the growth rate of sales. For the firms with large number of links, we find that the growth rate increases with the ratio of PageRank to the number of links. This indicates that the importance of firms can be measured based on the network structure.
著者
佐藤 豊浩 穴田 一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:21888833)
巻号頁・発行日
vol.2016-MPS-111, no.23, pp.1-5, 2016-12-05

進化的アルゴリズムは,生物の個体群の進化をモデル化したアルゴリズムで,最適化問題の解探索に用いられる.そうしたアルゴリズムである Genetic Algorithm と Differential Evolution が有する解探索過程を収束性と多様性の観点から取り入れた,巡回セールスマン問題 (TSP) の解探索を行う新たなアルゴリズム Referential Evolution を構築した.そして,TSPLIB に掲載されているベンチマーク問題を用いて提案手法と既存手法を比較し,その有効性を確認した.