著者
岡田 ちから
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.156-163, 2017

<p>The paper discusses how genetically-modified (GM) seeds containing patents affect benefits for bio-majors (large seed corporations) and farmers based on interviews with actors in the GM seed supply system. The first analysis indicated the importance of the patents system for bio-majors to recover investments when farmers replant bio-majors' seeds. The second analysis, based on a field study, revealed that seed suppliers in the GM seed system can enhance the benefits for bio-majors and of farmers who purchase GM seeds in the market. In conclusion, the role of seed dealers is indispensable in achieving the optimum resource allocation, to maintain the beneficial patent system for bio-majors and farmers.</p>
著者
钱 加荣 伊東 正一 穆 月英 磯田 宏
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.172-176, 2013-06-25 (Released:2014-03-14)
参考文献数
7
被引用文献数
2

大規模な農業補助が農業生産コストの増やすことを刺激する,さらに農製品の市場価格を推進でいる.本論文では,時系列データを用い,共和分分析方法による中国の農業補助金政策が中国コメ市場価格に及ぼす影響を分析した.その結果としては,近年間実施している農業補助金は増加させると,コメ価格は上昇することになると指摘できる.さらに,推測結果から農業補助金によるコメ価格への影響は大きくないことであると分かった.また,長期的見れば,農業補助金が10%の増加により,コメ価格は0.41%の上昇をもたらすことが計測できた.
著者
森下 裕之 宮崎 猛
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.256-261, 2008-06-25
参考文献数
4
被引用文献数
3

中国雲南省元陽県には、世界遺産に申請中の世界最大級の棚田がある。少数民族のハニ族が耕作する棚田農村では、森林(聖山・聖樹)・棚田(稲魂)保全の伝統文化による有機物と水・蒸気・降雨との循環システムの保全活動、アジア・モンスーンの気候風土に基づく生物多様性を最大限に活用した棚田中心の農畜漁業の発展、自給自足に近い自然主義的稲作を中心に多様な生物相から少しずつ食料を地産地消する生活がみられ、近年の農業生産力の発展は高い人口の伸びをもたらしている。しかし、中国経済の高度経済成長は内陸部の山間僻地にある棚田農村でも、青壮年層の出稼ぎの急増と観光客の増加として影響を強めている。出稼ぎの増加は、棚田の粗放的管理や耕作放棄による棚田の崩壊を引き起こし、観光客の増加に対応した農家楽の振興は、農民間の貧富の格差拡大や観光公害等の新しい農村問題を引き起こしている。本稿では、元陽県新街鎮土戈寨村での農家調査に基づいて、主要な現金収入源である出稼ぎと農家楽を分析する。とくに個人営と集落営の2タイプの農家楽を分析して、棚田農業保全のための出稼ぎの抑制と貧富の格差是正とのためには、集落営の農家楽が効果的であることを明らかにする。本稿は、住友財団の環境研究助成「中国雲南省元陽県の棚田における持続的農業と循環型社会の構築に関する学際的研究」の成果の一部である。
著者
山口 三十四 霍 靈光
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.339-347, 2004-12-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
5
被引用文献数
1 2

An econometric study of the technical efficiency of agriculture in the Soviet Union before its collapse has not been done so far. In this paper, an attempt is made to measure the technical efficiency of agriculture for 15 republic countries of the Soviet Union from 1960 to 1990. We calculated four measurements of technical efficiency, ROIN, PTE, SE and MIX, and determined whether they converged or not. The measured total technical efficiency ROIN showed that these values were all very low and continued to decrease until 1990, just before the collapse of the Soviet Union. We also checked the degree of convergence of these efficiencies, but found that most of them did not converge but instead diverged. The fall of the Soviet Union would be explained by many factors. Our study was able to show that the large scale agriculture conducted in Russia like kolkhoz and sovkhoz was very inefficient, and that the efficiency went from bad to worse over time. Therefore, they could not control the agriculture of other countries even if they had them adopt the same agricultural policy as that applied in the Soviet Union. In this paper, we showed that agricultural inefficiencies of 15 republic countries were one of the reasons why the Soviet Union collapsed, by using the above econometric measurements.
著者
山藤 篤 胡 柏
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.47-53, 2008-06

本報告は、農産物のインターネットを駆使した販売(以下ではネット販売とする)について、柑橘を事例にとりあげる。柑橘の消費者向けネット販売の実態を、出荷組織のネット販売開始の目的と経緯についての比較分析し、今後の課題を明らかにしたい。事例研究の対象としたのは、愛媛県の農協系統の県レベルの出荷団体である「県農えひめ」(現「全農えひめ」)と、愛媛県下の温州ミカン銘柄産地である八幡浜市及び西宇和郡を事業エリアとするJA西宇和農業協同組合、及びこの農協管内で最優秀産地のひとつとされる真穴(まあな)柑橘共同選果部会である。
著者
小山 良太
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.421-430, 2013-03-25
参考文献数
14

2011年の3.11から2年が経過しようとしている。福島県は津波・地震に加え原子力災害とその延長上にある「風評」問題に晒され続けている。事態は収束するどころかある面では拡大していると言っていいかもしれない。福島県農業における原子力災害の影響について,全国的な報道は減少しているし,本当の現状はあまり伝わっていないと感じている。先日も東京で行われたある会議で,「放射能に汚染されているのに農業を続ける福島の農家は身勝手だ」との発言を受け,怒りどころかただ落胆した。いわゆる風評被害である。風評被害という言葉を文字通り解釈すると本当は安全なのに噂を信じて買わない消費者が被災地の農家に被害を与えているという意味になる。果たしてそうだろうか。消費者も含め放射能汚染対策の不備に翻弄されるものすべてが被害者である。原発事故の影響で放射性物質が拡散した地域は福島県に限らない。しかし2年経った今でも,各農地の放射性物質含有量は測られていない。政府による詳細な放射能汚染マップが未だに作成されていないのである。検査体制も出荷前・流通段階でサンプル検査(福島の米のみ全袋検査)をするという体制であるが,店舗で売られている農産物そのものの放射性物質含有量はわからない状況である。事故後,筆者はチェルノブイリ原発事故で汚染されたべラルーシの農業調査を2回実施した。ベラルーシでは農地の汚染マップをもとに汚染度の高低に合わせてサンプル数を変える。または栽培する農産物を変える(新産地形成)などの対策をとることで検査体制の精度を上げていた。これにより基準値を超える農産物は流通しなくなり,生産段階でもゼロベクレルにちかい営農が可能になっている。このような対策を施して初めて信頼関係が再構築され,それが安全性の確認,安心感に繋がるのである。すなわち風評被害の解消には,放射能汚染の損害状況の確認(農地の汚染マップ)と安全検査体制の体系化(汚染度に合わせた対策)が必要であり,これには農家やJA,自治体の自助努力だけでは太万打ちできない。政府の唯一の役割と言っていい放射能汚染問題に関する法令の整備が未だになされていないのである。そこで本稿では,放射能汚染地域における農産物の生産・流通段階の安全検査に関して,ベラルーシ共和国と日本の対応を比較検討した上で,農地の汚染マップ(作付可否認証制度)と安全検査体制に関する4段階検査モデル((1)全農地汚染マップ,(2)農地・品目移行率,(3)出荷前本検査,(4)消費地検査)を提示する。このような体系立てた現状分析がなされない限り実践的な復興計画(除染計画を含む)の策定は不可能であり,汚染地域における混乱の最大の原因はこの点にあるといえる。
著者
望月 政志 大石 太郎 八木 信行
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.391-396, 2013-09-25
参考文献数
15

2011年3月11日の東日本大地震による原発事故以来,原発依存からの脱却と再生可能エネルギーを用いたエネルギー代替の可能性,レジリアントなエネルギーの在り方が注目されている。そうした中で,世界第6位の排他的経済水域を有する我が国においては海洋再生エネルギーへの期待も大きく,中でも洋上風力発電は,大きなポテンシャルを有することが指摘されている。最近では,同じ海面を利用する漁業と洋上風力発電の共存共栄についても検討されてはいるものの,現時点では洋上風力発電所建設に伴う漁業への影響は不明である。他方,漁業の盛んであった被災地では,被災した漁業の復興を目指すのか,あるいは洋上風力発電を通じて再生可能エネルギーを提供していくべきかについて,補助金等を通じた政策的意思決定をどのように進めていくのか明らかにすることが求められている。そうした状況において国内における洋上風力発電の経済波及効果に関する分析は政策的判断をする上で重要と思われるが,既存研究ではほとんど行われていない。また,先駆的研究である松本・本藤では産業連関表を用いた風力発電の経済波及効果の分析を行っているが,洋上風力と陸上風力を区別しておらず,雇用効果のみの分析に留まっている。また,被災地での洋上風力発電に関する経済波及効果については,石川他が洋上風力発電による生産額からみた東北地域(岩手,宮城,福島)での経済波及効果の分析を行っているが,洋上風力発電所建設による直接投資によって生み出される経済波及効果に関する分析は行われていない。そこで本研究では,今後の震災復興における洋上風力発電や漁業振興への政策的意思決定に資する情報提供を行うことを目的として,以下の分析を行う。第一に,洋上風力発電所建設および建設に向けての計画や建設後のメンテナンス等を含むコストを洋上風力発電所設置への投資とみなし,その投資から生み出される経済波及効果を全国レベルおよび地域レベルで試算する。全国レベルでは,「平成17年(2005年)産業連関表」(総務省)を用いた全国での経済波及効果を試算し,国内にて洋上風力発電所を設置した場合の一般的な経済波及効果についてみる。地域レベルでは,海面漁業における被災漁船の被害額が全国で最も大きかった宮城県を事例に取り上げ,宮城県で洋上風力発電所設置に投資した場合の経済波及効果について「平成17年宮城県産業連関表」(宮城県)を用いて試算する。第二に,震災復興に向けて被災漁船の修復・建造のための設備投資を行った場合の経済波及効果と同等の投資を洋上風力発電に対して行った場合の経済波及効果を金額ベースで試算し,両者の比較を行った。第三に,洋上風力発電所が生み出す経済価値(年間発電金額)を試算した。また,宮城県の被災漁船の修復・建造によって生み出される経済価値(海面漁業生産額)についても試算し,洋上風力発電からと被災漁船の修復・建造から生み出される経済価値についても比較した。なお,洋上風力発電の基礎設置形式には,設置海域の水深の違い等により,風車を海底に固定させる着床式と風車自体を海に浮かべる浮体式の設置形式があるが,現時点では着床式が主流でありデータが充実していることから,本稿では着床式の洋上風力発電を想定し試算した。
著者
珍田 章生 川崎 訓昭 長谷 祐 小田 滋晃
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.41-46, 2012-06-25
参考文献数
2

ワインは極めて農産物的特徴を有する加工品であるにもかかわらず,砂糖やデンプン等の工業的農産物加工食品と同様に製造原価で評価されるべきであると考えられている。ワイン原料用ブドウならびにワインの会計的評価方法の異同とその理由について考察する。考察により,ワイン加工会計とブドウ栽培会計が異なる会計方針を採用するケースが現実に存在し,対象とする財を取り巻く会計的な環境がより類似していないと同じ会計方針は取り得ないことが明らかとなった。
著者
北原 淳
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.146-151, 1996-12-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
12
著者
原田 智子
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.223-228, 2014
被引用文献数
1

スリランカでは2009年5月に25年以上続いた内戦が終結した。紛争中に戦闘地域となった北部州では復興開発および帰還民の再定住支援が進められているが,貧困世帯が多く,世帯間格差が発生している(WFP,2011)。紛争に関わる諸問題は,当事国だけでなく国際的な重要課題の一つであり,紛争要因や平和構築に関わる研究の蓄積は多い。しかしこれまでの議論は,主として紛争要因やマクロ経済への紛争の影響に焦点が当てられ,紛争後社会における世帯の生計に関する研究は少ない。コロンビアでの内戦後の世帯生計に焦点をあてた研究では,紛争により被害をうけた世帯が喪失した資産を外部からの支援無しに再生することは困難であることが明らかにされている(Ibañez,A.M.,et,al.,2009)。しかし,紛争後社会における世帯の生計再建過程や世帯生計の特徴は十分に把握されておらず,生計再建の制約や紛争影響地における効果的な生計再建支援策は十分に明らかにされていない。こうした中,紛争後社会における世帯生計の特性を明らかにすることは,効果的な生計再建支援策を検討する際の準備となる不可欠な課題の一つである。そこで本研究では第一段階として,紛争後のスリランカ北部農村におけるタミル人世帯に焦点を当て,世帯生計の類型化を試み,各類型の特徴を明らかにする。マナー県は,スリランカの北部州に位置し,県内の一部が紛争中長期間にわたりタミル人反政府組織「タミル・イーラム解放の虎(Liberation Tiger of Tamil Eelam)」(以下「LTTE」とする)に支配されていた。紛争中,旧LTTE支配地域では政府軍とLTTEにより激しい戦闘が繰り広げられ,多数の住民が死亡し,基礎的インフラストラクチャー,公共施設,住宅などが壊滅的に破壊された。本研究では,紛争中に甚大な被害を受けた旧LTTE支配地域の2郡(マンタイウエスト郡とマドゥ郡)からそれぞれ3つの村を選定し,悉皆調査(調査世帯総数212世帯)を実施した。事例対象村の選定にあたっては,1)タミル人のみが居住している村,2)大多数の住民の主たる生業が農業である村,の2点を選定基準とした。生計の再建状況は村の地理的および社会経済的な条件により異なると考えられる。そこで,村間の生計再建状況の差異も含めて現状を明らかにするため,村の地理的・社会経済的な状況が偏らないように村を選定した。村間の顕著な差異としては,村の形成時期,県庁および郡事務所からの距離,灌漑施設の違い,村からの避難時期および再定住時期があげられる。世帯属性に関して,村間で顕著な違いはみられない。本研究は,Sustainable Livelihoods Approach (以下,SL Approachとする。)の分析枠組みを援用し,「生計は,1)資産(自然資本,物的資本,人的資本,金融資本,社会関係資本),2)活動,3)制度や社会関係の媒介による資産と活動へのアクセス,から構成される」とする(EIlis,2000)。
著者
山尾 政博
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.245-254, 2015 (Released:2015-10-17)
参考文献数
10
被引用文献数
2 1

The purpose of this study is to identify the distinctiveness of the fisheries foreign trade in East Asia (Japan, China, Korea, Taiwan, and Southeast Asian countries). First, the dynamic change observed in the fisheries trade is explained with a focus on international division of labor in the fisheries and processing industries, and on an ever-increasing demand for fisheries products, driven by economic growth. Second, those appropriate systems and procedures in fisheries and processing businesses that would be required for achieving international competitiveness are discussed. The expansion of good aquaculture practice (GAP) is a controversial issue in global aquaculture development because of a perceived negative impact on small-scale farmers. However, in Thailand, the government has encouraged shrimp farmers to adopt GAP procedures in collaboration with the shrimp processing companies since the mid-1990s. Supported by extension services and research institutions, the farmers have invested considerable effort to improve their GAP-based aquaculture. Export-oriented processing companies have also accepted several certifications, including HACCP (Hazard Analysis and Critical Control Point), GMP (Good Manufacturing Practice), and ISO. In East Asian countries like Thailand, fisheries and processing industries have systematized a part of the “farm to table” concept for food safety. Such a strategic approach substantially contributes in further development of the industries.
著者
藤本 千恵 浦出 俊和 上甫木 昭春
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.191-196, 2015-12-25 (Released:2015-12-29)
参考文献数
9
被引用文献数
1

The Kinoeki Project is a community activity in which small forest owners sell logging residues they have collected. This study clarifies the actual conditions and the problems of the Kinoeki Project, and considers the sustainability and significance of the project. According to our questionnaire survey, registered forest owners comprise approximately 10% or less of all forest owners in most of the study area. Of 18 organizations, six chose “administration without relying on subsidies” as a problem of the project. In all areas, the Kinoeki Project has a deficit balance, after deducting subsidies from income. This means that the project is financially unstable. According to our break-even analysis, it is necessary to sell collected logging residues as wood fuel at a high price in order to increase the number of collected logs and to reduce the purchase price.
著者
厳 善平
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.389-396, 2012-03-25 (Released:2014-03-14)
参考文献数
13

There are three purposes to this paper. First, I survey the process and mechanism of the rapid economic growth over the last three decades in China. Second, the nature of growth and structural change in Chinese agriculture over this period are clarified using official data. And third, I analyze the trends and main features of Chinese trade in agricultural products, especially between China and Japan. The main conclusion is that Japan should recognize China as an increasingly important factor in the realization of Japanese food security, as economic interdependence is becoming stronger and stronger between the two countries.
著者
小宮山 碧 伊藤 順一
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.72-83, 2017-06-25 (Released:2017-06-30)
参考文献数
44
被引用文献数
6

The Japanese government introduced the Farmland, Water and Environmental Conservation Improvement Scheme (CIS) in 2007, with the aim of promoting collective stewardship of common pool resources (CPRs) and enhancing agricultural multi-functionality. In order for rural communities to participate in this scheme, they have to meet requirements and sign a contract with the government outlining the scope of collective action for maintaining CPRs. In this paper, we measure the treatment effect of the CIS using propensity score matching methods. Some framed field experiments in the previous literature show that extrinsic motivations such as payments or punishments for participants may not enhance collective stewardship because exter­nal intervention crowds out or undermines partici­pants’ intrinsic motivation, based on social norms and reciprocity, to cooperate. Our empirical study conducted in Shiga Prefecture, however, reveals that there is a causal effect of CIS participation for increasing collective action, suggesting that the CIS is instrumental in conserving farmland, agricultural canal, pond, and irrigation facilities. Another important finding is that pre-existing social capital fostered by community members is positively correlated with their participation in the CIS.
著者
陳 栄松
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.169-178, 1971-12-25 (Released:2011-03-18)
参考文献数
12
著者
澁谷 美紀
出版者
地域農林経済学会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.508-519, 2009-03-25 (Released:2011-09-05)
参考文献数
12
被引用文献数
1

The aim of this paper is to ascertain qualities of life and culture capital that is the foundation of community affluence, based on case analysis of folkloric performing arts and traditional local cuisine. The analysis shows that 1) residents maintain life and culture capital by carefully observing the essential elements for handing down of tradition using their own judgment criteria, 2) there exists multiple collective memories per life and culture capital in a community to produce “time affluence”, and 3) various collective memories function as a motivation for carrying on the tradition and are developing life and culture capital.
著者
マオンガ ベストン・ビリー マハラジャン ケシャブ・ラル
出版者
富民協会
雑誌
農林業問題研究 (ISSN:03888525)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.270-281, 2003-12-25
参考文献数
25
被引用文献数
1

マラウィの農業は大農と小農に分けられる。前者は輸出用作物生産に特化し、後者は自給農業で大多数の国民の食糧を供給する。小農は依然として一期作を中心とした生産性の低い粗放的農業を行っている。ゆえに、近年小農において食糧確保が問題となっている。上記の研究課題を念頭にサンガチ農業区の実態調査を踏まえた事例分析を行ったところ、同地区においては1ha未満の農家は自らの食糧を確保できていないことが判明した。彼らの農業生産を取り巻く環境をそのまま放置しておけばこの現状は悪化する一方だと思われる。以上のことを踏まえ、本研究では小農の食糧生産事情を改善しその自給度を増大させるため、二毛作農業の体系とその可能性について検討した。その際、現地の農業環境、従来の農業、作物・作付けとの連続性ならびに農民の社会経済的状況、肥料・種子等の投入材の購買力、食糧のニーズ等の関係について検討した。その結果、農民的生産要素、農地、家族労働、伝統的知識を最大に活用しうる在来品種のトウモロコシとキャッサヴァの二毛作を軸にした農業が無理なく低コストで小農の食糧の自給度を高めることができることが明らかになった。このような農業を普及させるのがマラウィ農業の今後の課題となる。