著者
植田 真司 築地 由貴 近藤 邦男 山室 真澄
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.197-206, 2005
被引用文献数
3

青森県下北半島の太平洋側中央部に位置する汽水湖尾駮沼におけるベントスの出現特性を2001年から2003年に至る期間,8地点において調査した。ベントスの個体密度は淡水河川の河口部と沼の沿岸部が湖心部と比較して多く出現した。出現が確認されたベントスの分類群は53種であり,大部分は軟体動物,環形動物および節足動物の分類群で構成されていた。優占種はヤマトスピオ,スピオ科のPolydorasp.,カワグチツボ,ホトトギスガイ,タカホコシラトリガイ,イソコツブムシであった。本研究の結果から,尾駮沼におけるベントスの歴史的変遷をみると,過去50年間において種構成の変化は小さかったが,近年環形動物のイトゴカイ,軟体動物のムラサキイガイやオオノガイなどの増加が示唆された。
著者
程木 義邦 渡辺 泰徳
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.27-37, 1998-03-01 (Released:2009-06-12)
参考文献数
23
被引用文献数
3 10

5つの湖沼の22定点において水中の太陽紫外線の消散過程とその要因を調べた。測定を行った全ての水域において,太陽放射は水深とともにほぼ対数的に減衰し,UVB(280-315nm),UVA(320-400nm),光合成有効波長(400-700nm)の順で強く減衰された。太陽放射の減衰の程度は水域により大幅に異なり,UVBの水面での放射量に対して1%となる水深(Z1%)は,富栄養水域で0.3から1m,貧から中栄養で2m以上であった。また,UVBとUVAのZ1%はそれぞれ透明度の0.5倍,0.9倍であった。UVBとUVAの消散係数(m -1)は,湖水中のクロロフィルおよび懸濁態有機炭素濃度と強い正の相関を示し,溶存有機炭素濃度と弱い相関を示した。これ迄の報告では,水中紫外線の消散要因として溶存有機物による吸収が強調されていたが,植物プランクトン量が多くDOC濃度が低い水域では,植物プランクトンが水中紫外線の主な消散要因となることが推測された。
著者
青柳 育夫 手塚 マサ子 中村 和夫
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.185-198, 1998
被引用文献数
4

茨城県下の鬼怒川下流域において,アカツキシロカゲロウEphoron eophilum ISHIWATAに関する野外調査を実施した。同所にはオオシロカゲロウE. shigae(TAKAHASHI)も生息する。両種の卵を実験室内において孵化させ,若齢幼虫の形態比較を行った。<BR>1)アカツキシロカゲロウは年1化性で,越冬した卵は4月から7月にわたって孵化し,成体は7月から10月にかけて羽化・産卵した。短期間に同調的な孵化および羽化がおこるオオシロカゲロウと比較すると孵化および羽化とも長期間に及んだ。2)アカツキシロカゲロウの羽化・産卵は日の出前後におこり,日没直後に行われるオオシロカゲロウの羽化・産卵とは明確に分離していた。3)アカツキシロカゲロウの卵はオオシロカゲロウより体積で約4倍大きく,1齢から5齢幼虫は同一齢のオオシロカゲロウより大型で,特に大顎牙が1齢の時期からよく発達していた。4)大卵少産型のアカツキシロカゲロウは幼虫が粘土質の河床に生息しており,小卵多産型のオオシロカゲロウの幼虫は砂礫質や砂泥質の河床に生息、している。アカツキシロカゲロウの1齢幼虫の大顎牙は固い粘土質の河床での生息に適応した形態と考えられる。
著者
花里 孝幸 荒河 尚 佐久間 昌孝 張 光玄 沖野外 輝夫
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.151-167, 2001
被引用文献数
16

これまでなされた研究成果を基に,諏訪湖の動物プランクトンの群集構造と生態系における役割についてまとめた。諏訪湖の動物プランクトン群集では,春にはワムシ類が優占し,夏から秋にかけては優占種が小型枝角類に変わった。優占種とそれらの季節変化は1960年代から1990年代に至るまで大きな変化はなかったようにみられる。諏訪湖では2種のBosmina,B.longirostrisとB,fatalisの遷移に季節的に明瞭な交互性が見られる。すなわち,B,longirostrisが春と秋に優占し,B.fatalisが夏に優占する。B.fatalisの夏の優占度と夏の平均水温やクロロフィル量との間に正の相関が見られたことから,その優占にはアオコの発生が何らかの関わりを持っていることが示唆された。湖沼生態系のしくみを理解するため,大型の隔離水界を諏訪湖に設置して実験的な解析が行われた。それにより,諏訪湖における動物プランクトンに係わる食う一食われる関係や競争関係などの生物間相互作用が明らかにされた。また,沖帯だけでなく沿岸域の水草帯の動物プランクトン群集も調査され,水草帯が複雑な環境を作ること,それが動物プランクトン群集組成に影響を与えることが示された。これらの結果から,諏訪湖の動物プランクトン群集には高い魚の捕食圧がかかっていること,夏の食物連鎖では腐植食物連鎖が卓越していることが指摘された。
著者
荒河 尚 吉田 雅彦 平林 公男 吉澤 一家
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.69-78, 1998

河口湖における動物プランクトン群集の経年的および季節的変動を,1993年4月より1995年12月にかけて調査した。期間中輪虫類が16分類群,枝角類が4分類群,カイアシ類が5分類群確認され,なかでもKellicottia longispina,Synchaeta stylata,Bosmina longirostris,Daphnia galeataなどが多くみられた。また,カイアシ類はそのほとんどがCyclopoidaに分類された。さらに過去の報文との比較において,枝角類Bosmina fatalis,Bosminopsis deitersiが近年見られなくなっていることが明らかになり,近年本湖の動物プランクトン群集構造が大きく変わってきていることが示された。
著者
西田 睦
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.211-216, 2016 (Released:2017-05-30)
参考文献数
31
著者
宮地 傳三郎
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.71-86_1, 1935

今回採集した薹灣の4湖沼の生物相は驚くべき貧弱さであつたが,これは薹灣の陸水全般の特性ではないかと想像せられる。鯉魚池に近いろう溪の採集をしたが,その動物相も貧弱である。尚この調査は本年中に上野。奥川兩氏によつて繼續せられるからその上で一暦明かになると思ふ。<BR>臺灣の湖は18~19℃で循環するらしく,4月には既に厚い無酸素暦を形域してをる。島山頭貯水池は本邦に稀なアルカリ性の湖で無酸素層でpHの逆轉をみなかつた。
著者
田中 晋 大高 明史 西野 麻知子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.167-179, 2004-12-20 (Released:2009-12-11)
参考文献数
44
被引用文献数
2 6

2001年8,月から2002年8,月にかけて,琵琶湖沿岸帯4カ所と周辺の20内湖からミジンコ類を採集して得た34サンプルを検鏡した結果,7科23属39種のミジンコ類を検出した。採集場所がいずれも水草帯であったため,採集された種の半数以上はマルミジンコ科に分類される種であった。多くの地点で採集され,個体数も多かった種はCamptocercus rectirostris, Ilyocryptus spinifer, Scapholeberis kingi, Simocephalus miztus, Simocephalus serrulatus, Bosmina longirostris, Chydorus sphaericusなどで,これらの種が琵琶湖沿岸帯と周辺内湖を代表する種であると言える。内湖のミジンコ相に共通した特徴はみられず,また琵琶湖沿岸帯と内湖の間にもミジンコ相の明らかな相違はみられなかった。しかし,内湖に出現した種数の合計は32種で,琵琶湖沿岸帯に出現した24種よりも多く,総体としての内湖におけるミジンコ相の豊かさを表しているといえる。ここで得た記録と過去の記録を合わせ,琵琶湖および内湖のミジンコ相について考察した。
著者
荒河 尚 吉田 雅彦 平林 公男 吉澤 一家
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.69-78, 1998-03-01 (Released:2009-06-12)
参考文献数
12

河口湖における動物プランクトン群集の経年的および季節的変動を,1993年4月より1995年12月にかけて調査した。期間中輪虫類が16分類群,枝角類が4分類群,カイアシ類が5分類群確認され,なかでもKellicottia longispina,Synchaeta stylata,Bosmina longirostris,Daphnia galeataなどが多くみられた。また,カイアシ類はそのほとんどがCyclopoidaに分類された。さらに過去の報文との比較において,枝角類Bosmina fatalis,Bosminopsis deitersiが近年見られなくなっていることが明らかになり,近年本湖の動物プランクトン群集構造が大きく変わってきていることが示された。
著者
谷口 真人
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.261-267, 1995
被引用文献数
10

琵琶湖野洲川河口あやめ浜沖において,周辺地下水から琵琶湖へ漏出する地下水量の連続測定を,自記地下水漏出量計を用いて行った。観測期間は1994年3月から1994年10月までであり,合計17,747個の地下水漏出量データと,湖水位及び湖底・周辺地下水の水理水頭のデータを得た。降水量の減少に伴う湖底地下水の動水勾配の低下により,1994年4月から1994年8月にかけて,地下水漏出量の大幅な減少が確認された。また,地下水漏出量と湖底地下水の動水勾配の長期測定により,観測地点の湖底付近の地下水帯水層の透水係数が9.0×10<SUP>-4</SUP>cm・sec<SUP>-1</SUP>程度であることが推定された。今回得られた地下水漏出量および1990年・1991年に得られた漏出量とそれぞれの時期の雨量との関係から,琵琶湖への地下水漏出量は,流域への入力である降水量に大きく依存していることが明らかになった。
著者
木場 一夫
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3-4, pp.473-480, 1939-03-31 (Released:2009-06-12)
参考文献数
13
著者
村上 敬吾 笹沼 治雄 小山 次朗 小林 紀男 平山 光衛
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.295-306, 1987-10-30 (Released:2009-11-13)
参考文献数
27

This study deals with mechanism of water quality formation in rivers and lake waters in the drainage basin of Lake Chuzenji. Water samples were collected at 15 stations in 9 lakes, 14 in 7 rivers and 16 in springs or wells from April 1983 to November 1984 (Figs. 1 and 2). Chemical analyses of the main inorganic constituents dissolved in the water samples collected revealed that surface and underground waters in this region are generally low in dissolved chemical constituents, except for the hot springs on the northern shore of Yunoko (U-3), two springs along Yukawa (U-12, U-13) and Jigokugawa (U-11) (Fig. 4). Most waters belong to Ca·HCO3 type. The water quality of Yunoko is controlled by the qualities of the spring and hot spring waters on the shore of the lake. Jigokugawa (Hell River) has higher concentrations not only in main constituents but also in minor PO4-P and NO3-N than other waters in this region except for the hot spring water. The high concentrations of the main constituents seem to originate from dissolution of volcanic rocks. Table 6 shows that the water quality calculated theoretically from chemical loads which are brought into Lake Chuzenji through rivers and precipitation shows a good agreement with the measured water quality of the lake water except soluble silica. Soluble silica becomes insoluble due to the biological activity of diatom.
著者
牧 陽之助
出版者
The Japanese Society of Limnology
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.227-231, 1995
被引用文献数
1

1991年の7月,松尾五色沼の湖色が,「あお」から「あか」に変わった。この変化は,春には「あお」く,夏に「しろ」くなって,秋から冬には「あか」くなるという,通常の規則的な湖色変化とは異なるものであった。この現象を説明するために,1990年から1994年の5年間の湖色変化と,水温・溶存酸素濃度・降水量・風向・風速との関連を検討した。その結果,1991年の6月と7月には日雨量が50mmを超える強い風を伴った降雨が繰り返し起きた事がわかった。<BR>この時期には,停滞していた表層水の溶存酸素は1mgO2・l以下であったが,2mg O<SUB>2</SUB>・1<SUP>-1</SUP>以上の富酸素水の「くさび」が数回観測された。・以上の知見から,1991年の夏には,強い風を伴った多量の降雨が頻発し,一時的に表層水の溶存酸素量が増加し,その結果,硫化水素の酸化反応に加えて,鉄(II)イオンの酸化がすすみ,湖色が「あか」くなったと推察した。
著者
上野 益三 田中 操
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3-4, pp.293-306, 1960-11-30 (Released:2009-11-13)
参考文献数
20
被引用文献数
4

The small daphnid inhabiting the two alpine lakes, Mikuri-ga-iké and Midoriga-iké, which lie at an elevation of 2405m. and 2430m. respectively on Mt. Tatéyama, is identical with Daphnia ambigua SCOURFIELD, by the characteristics of the post-abdominal claws and the male antennules as well as in having a short shellspine. When the writers visited those lakes on October 6th, 1960, both the populations of that species yielded a great number of the males and the females carrying ephippial eggs. In Mikuri-ga-iké, the deeper one of the two lakes and having 14.5m. in greatest depth, most individuals were seen at the layer 4m. deep, where the temperature of water was 10.3°C. Dinobryon was found in the digestive truct of Daphnia in both the lakes, although it was uncertain whether Daphnia was able to use this alga as food or not. It is noticeable that both the populations of Daphnia were markedly red-coloured, probably due to the increase of haemoglobin. Red colour was remarkable in the population of Lake Midori-ga-iké, a. shallow body of humose water east of Lake Mikuri-ga-iké. Some limnological characteristics of these two alpine lakes are discussed in showing the nature of the habitats of Daphnia ambigua.
著者
河合 幸一郎 井上 栄壮 今林 博道
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.367-381, 1998-12-01 (Released:2009-06-12)
参考文献数
17
被引用文献数
2 4

雄成虫の形態に基き,3亜属に属する日本産Polypedilum属7未記載種を新たに記載した。これらのうち,P.akisplendens, P. albiventris, P. crassistyla, P. fuscovittatum, P. paranigrum の5種はPolypedilum亜属に属し, P. pseudomasudai及びP. bingoparadox-umは,それぞれ Tripodula 亜属及び Uresipedilum 亜属に属している。
著者
石田 昭夫
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.125-129, 1994-04-28 (Released:2009-06-12)
参考文献数
7
被引用文献数
3

多摩川の源流を含む上流域のカイアシ類相を調べた。採集されたカイアシ類はケンミジンコ7種,ソコミジンコ10種であった。ケンミジンコMacrocyclops monticolaが東京から初めて記録された。Eucyclops serrulatusが標高450―1,460mの急峻な山合いの水体から多数採集された。Eucyclops speratusは標高290mの川から採集された。ソコミジンコのCanthocamptus prominulusは雌の尾叉の正常型,phyllophora型,雄のそれと同形のものの3型,雄の正常型と内側面に微棘群のあるものの2型のいずれもが出現し,それぞれの型の出現割合は支流によって顕著に異なっていた。
著者
関根 一希 末吉 正尚 東城 幸治
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.74, no.2, pp.73-84, 2013-05-10 (Released:2014-05-15)
参考文献数
26
被引用文献数
3

オオシロカゲロウは国内広域の河川中・下流域に棲息し,幼生は河床の砂礫に潜って生活する。羽化は初秋 (1週間から数週間程度) の日没後にみられるが,極めて同調性の高い羽化であり,交尾飛翔・群飛が認められ,大発生に至ることもある水生昆虫である。1970年代から本種における大発生は日本各地の河川において報告されてきたが,本種の棲息状況に関しては,羽化個体において評価されるに留まっており,河川内の詳しい分布は十分には把握されていないのが現状である。理由としては,1) 短い亜成虫・成虫期間 (長くても2時間程度),2) 短い羽化時期,3) 短い幼生期間 (約半年を休眠卵で過ごす),4) 典型的なハビタットは比較的大きな河川の中下流で,かつ河床の砂礫に潜る生活型であることがあげられる。このような状況から,本研究では,本種の大発生が1928年と最も古い記録 (志賀直哉の小説「豊年蟲」としての記録) として残され,現在も規模の大きな発生が続いていて,個体群規模も大きな長野県・千曲川を調査地として,幼生ステージにおける分布調査を実施した。その結果,羽化量調査による先行研究と同様,最も多くの羽化個体が認められた平和橋粟佐橋調査区において,体サイズの大きい幼生が高い個体密度で棲息することが確認された。一方,平和橋粟佐橋調査区より上流や下流側では,個体密度や体サイズなど現存量の低下が認められた。羽化量調査により分布が認められないとされていた犀川合流地点よりも下流側においても,幼生の棲息が認められた。しかし,幼生の体サイズは小さく,比較的貧栄養的な犀川の合流により千曲川の汚濁度が低下し,幼生の餌であるデトリタス量が低下したことに原因があるのかもしれない。
著者
岩田 勝哉
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.19-32, 1977-01-30 (Released:2009-10-21)
参考文献数
26
被引用文献数
4 7

By using unialgal culture of the two species of green algae (Closterium moniliferum : 300μ in length and Selenastrum sp. 10μ) which were labeled with 14C, the assimilation efficiency in terms of carbon of three cyprinids, Kawachibuna (Carassius auratus cuvieri), Nigorobuna (C. auratus grandoculis) and Silver carp (Hypophthalmichthys molitrix) was studied at the various life stages. In addition, radioactivities of different fractions (oligo-and poly-saccharides, organic acids, lipides, protein and residue) of the both species of 14C-algae and of the fecal algae egested by Kawachibuna and Silver carp were measured.In Kawachibuna and Nigorobuna, the assimilation efficiency for Closterium increased with their growth until they attained to 20 mm in total length (B. L. 14-15 mm), and reached the maximum level of more than 20 mm length (57-63%) at the successive stage. In Silver carp of 20 mm total length, the assimilation efficiency for Closterium was lower than for Kawachibuna and Nigorobuna of the same length. In Silver carp of more than 33 mm total length (B. L. 26-27 mm), 54-64% of carbon was assimilated.Kawachibuna and Silver carp are already known to change their food items from zooplankton to phytoplankton when they grow up more than 15 and 24 mm in body length respectively. The body length at which the maximum values of assimilation efficiency were obtained coincides approximately with the body length at which the change in diet occurs. It is suggested that the increase in the assimilation efficiency for Closterium with the growth of the fishes is not directly correlated with the increase in the length of their intestines but with a functional differentiation of their digestive systems.The three cyprinids assimilated 12-16% of carbon of Selenastrum and the rate was fairly stable throughout their lives, in contrast with those for Closterium. No difference was found in photosynthetic activity between fecal algae of Selenastrum egested by young Kawachibuna and fresh ones, while the activity of fecal algae of Closterium was approximately one-fifth of the fresh ones. The difference in assimilation efficiency may be related partly to the physiology of digestion of the cyprinids and partly to differences in chemical nature and cell structure of the two species of algae.