著者
鹿内 菜穂 八村 広三郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.283, pp.85-89, 2013-11-09

鑑賞者の有無でダンス学習者の感情と身体動作にどのような違いがあるかを検証した.感情の評価には日本語版PANASを使用し,身体動作の解析にはモーションキャプチャを用いて動作データを取得した後,動作特徴量を体の開きとして周波数解析を行った.鑑賞者がいる時の方がポジティブな感情もネガティブな感情も高くなること,鑑賞者の有無で体の開きとその周波数に違いがあること,また身体動作においてダンスの経験歴が影響を及ぼしていることを示した.
著者
河原田 智義 國宗 永佳 新村 正明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.482, pp.47-52, 2014-03-08

大学で課されるレポート課題において,他者のレポートに類似したレポートが提出される場合がある.学習者同士が教え合うことで両者のレポートが類似してしまうことや,解法の種類に幅がなく偶然類似してしまうことは十分に考えられるが,単に他者のレポートをコピーしているだけの学習者が存在するのも事実であり,そのような学習者には教育的効果が望みにくい.この問題を解決するため,類似レポートの検出手法が研究されている.しかし,剽窃レポートの検出だけでなく,剽窃行為そのものを抑止出来なければ,問題の解決にはならない.よって剽窃行為の抑止を目的とし,剽窃レポートの検出と剽窃行為の抑止を同時に行うオンラインレポートシステムの開発を行った.そして開発したシステムを実際の講義に導入し,システム利用者へのアンケート結果から有用性の検証を行った.
著者
田中 勝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.306, pp.279-286, 2014-11-17

平行移動を指数関数からτ-拡張型指数関数へ拡張することでτ-情報幾何学の定式化を与える.この拡張された平行移動をτ-アファイン構造とよび,τ-アファイン構造をもつアファイン空間をτ-アファイン空間とよぶ.τ=sのτ-アファイン空間の元に対してτの値を1-sに置き換える操作をHolder共役とよび,縮約をτ=sで得られた量とそのHolder共役量を用いて定義する.互いにHolder共役なスコア関数の縮約はFisher計量を与え,平行移動の下で不変な量になっている.これが大域的ゲージ変換としてτ-アファイン構造を捉えることを可能としている.τ-対数尤度のくり込みを考え,エントロピーを定義する.このくり込みを用いて期待値を新たに定義する.くり込まれたτ-対数尤度との縮約を正規化したものが,エスコート分布の役割を担うことが示される.新たな期待値によりエントロピーを評価することで共形エントロピーを定義する.ところが,τ-対数関数には二種類の恒等式が存在し,それに応じた非加法性をエントロピーはもつことになる.τ-アファイン構造に基づいたτ-情報幾何学では,指数型分布族と非指数型分布族とを区別なく取り扱うことができ,従来の情報幾何学とは大きく異なる.
著者
岡崎 泰久 野口 千樹 吉川 厚
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.82, pp.39-44, 2014-06-14

本研究では,板書のように書いていく過程が提示された場合と,最終結果だけが提示された場合が,学習者にどのような違いを生むのかを,学習者自身による主観評価と,アイトラッカーを用いた視線分析により,分析した.その結果,学習者の主観評価と視線の動きに関係があることがわかった.書く過程が提示されることを有用だと評価する人とそうでない人で,視線の動きに違いがあり,そうした実験結果に基づいて,書く過程を提示することが,理解に与える影響について考察した.
著者
平 明徳 三宅 裕士 亀田 卓 末松 憲治 高木 直 坪内 和夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.194, pp.51-56, 2013-08-29

日本の天頂付近に8時間程度留まることが可能な準天頂衛星(QZS)を活用し,高精度な位置情報とポケベル程度の簡単なデータ/メッセージを双方向通信できる準天頂衛星システム(QZSS)の開発が進められている.本稿では,長拡散符号を用いたスペクトラム拡散(SS)を用いて,高い拡散利得の確保と数100万に及ぶ多数のユーザ収容を目指すSS-CDMA方式におけるタイミングジッタの影響について検討を行った.限られた送信電力で,端末とQZS間で直接通信を行うためにSSは非常に有効であるが,多重ユーザ数が大きくなることからユーザ間の符号直交を確保することが重要となる.本稿では全端末がQZSSの測位信号により時間・周波数領域で同期する送信タイミング制御方式を提案し,各ユーザに巡回シフトした直交M系列を割当てた場合の伝送特性について,計算機シミュレーションによる評価を行った.その結果,1チップシフトの符号をユーザに割り当てるフルロードに近い条件(1024拡散,1000ユーザ多重)において,タイミングジッタ量を1/8チップ以下に抑えれば,特性劣化を0.5dB以下とできることを明らかにした.
著者
金川 元信 福水 健次
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.286, pp.147-154, 2013-11-12

近年のカーネル法の発展のひとつとして,確率分布を再生核ヒルベルト空間(RKHS)上の点として表現することによりノンパラメトリックな統計的推論を実現する「カーネル平均埋め込み」と呼ばれる方法論が盛んに研究されており,状態空間モデル,確率伝搬法,強化学習を含む幅広い対象に対して応用されている.この枠組みでは確率分布そのものを推定する代わりに,RKHS上での確率表現を直接的に推定することによりノンパラメトリックな統計的推論を実現する.しかしながら,推定されたRKHS上での確率表現から対応する確率分布の分布統計量を計算する方法は現在までにほとんど研究されていない.本稿では確率密度関数,信頼区間,モーメントといった分布統計量をRKHS上の確率表現から推定する方法論を示し,それらの推定量の収束性を証明する.