著者
布川 博士 鈴木 秀顕 佐藤 究 小笠原 直人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.355, pp.79-84, 2013-12-14

電子メディアの一つである電子メールは長い歴史があり普及度も非常に高い.電子メールは社会の情報化のなかで必要欠くべからものとなっている.そのため,大学においても情報リテラシーの一つとして電子メールに関する教育を必修の授業として行っていることが多い.電子メールに関する教育を設計し実施するためには受講生のこれまでの経緯と現状を把握することが必要である.本稿ではその把握を目的に実施したアンケート調査の結果とその考察について報告する.
著者
宮崎 武 荒木 俊輔 上原 聡 野上 保之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.470, pp.97-102, 2015-03-02

素体上のロジスティック写像は,一般的に実数上で定義されるロジスティック写像を素体上で定義し,入力値と写像値を素体の元として計算機上で演算しやすい繰り返し写像である.この写像より得られる擬似乱数系列は,低い演算精度でも十分な乱数性を有していることを示したが,その系列については,まだ十分な解析がなされていない.本稿では,素体上のロジスティック写像における自己相関値により,演算精度に近い周期を持つループの存在を示し,そのループの種類を分類する.また,素体を構成する素数がメルセンヌ素数である場合は,それらのループが同じ種類になることを実験的に示す.
著者
中野 允裕 石黒 勝彦 木村 昭悟 山田 武士 上田 修功
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.286, pp.197-204, 2013-11-12

本稿では,関係データ解析への応用を目的として,無限サイズを持つ行列の長方形分割を行う確率過程について議論する.関係データ解析法の一つとして、与えられたデータを行列として表現し、その行列を少数の長方形クラスタに分割する手法が広く利用されている。長方形分割を表す確率的生成モデルとして従来Chinese restaurant processの積やMondrian processなどが用いられてきたが,これらは限られたクラスの長方形分割しか表現することが出来なかった.より一般に任意の長方形分割を生成しうる確率モデルとしてGilbert tessellationが知られているが,これは統計的な振る舞いの解析が困難であることが知られている.そこで本稿では,有限確率モデルの無限拡張によって長方形分割のための確率過程を構成する方法を提案する.はじめに,確率過程構成の常套手段であるKomogorovの拡張定理を用いた方法を示し,その問題点を明らかにした後,より洗練された構成法として有限のベイズ階層モデルに関する射影系をOrbanzの拡張定理によって無限拡張する方法を提案する.
著者
高木 浩光 山口 利恵 渡辺 創
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:00221260)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.171-184, 2013
被引用文献数
14

日本政府は、「社会保障と税の番号制度」の創設を進めており、法整備に続いて、番号連携機能を備えた「情報連携基盤」の構築を計画している。本稿執筆時点で「情報連携基盤」の技術設計は案が公表されているものの未決定の段階であり、設計案に対しては「符号の存在意義が不明確」といった指摘もある。本稿では、「情報連携基盤」の番号連携機能の技術方式について再検討し、従来方式より合理的な設計の別案を提案し、プライバシー保護と情報セキュリティ技術の観点から従来方式と比較検討する。
著者
坂本 裕紀 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.89, pp.19-24, 2014-06-19

本研究では、一部の家庭に太陽光発電設備および家庭用蓄電池設備が導入されたことを想定し,地域内の近隣家庭同士の電力売買市場を想定した,家庭用蓄電池の充放電計画手法を提案する.導入促進には,家庭にとって設備導入が有益であることを示す必要があり,そのため自律的に動作する設備による電力が経済的に利用可能な機能が必要である.本機能は家庭に設置される制御端末「スマートメーター」に実装され,スマートメーターは家庭の電力消費量,ソーラー発電量,電力価格の推移を記録することで価格差を考慮した充放電計画を作成する.市場を通じた電力取引価格について,売買価格差を導入した場合を想定し,また電力需要量の状況に応じて蓄電池の利用量を制限することで,電力需要量の乱高下を抑制するために"ノルム"を導入する.本手法をシミュレーションによる実験で評価した.その結果,提案手法によって電力需要の平坦化が可能となり,その達成度は環境により異なることがわかった.また環境に依存せず,家庭の利得の向上が可能であることがわかった.
著者
坂本 裕紀 菅原 俊治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.113, pp.7-11, 2013-07-04

本研究では、各家庭の利得向上を目的として、家庭に設置される制御端末「スマートメーター」による地域内の近隣家庭同士の電力売買市場を想定した,家庭の利得向上を目的とする家庭用蓄電池の充放電計画手法を提案する。充放電は,市場の電力需要に比例して決定される電力価格に対して安価なときに充電,高価なときに放電するよう計画される.当手法をマルチエージェントシミュレーションによる実験で評価した.その結果,地域の環境によって電力需要の平坦化をもたらす最適な学習パラメーターが存在することを示す.また,家庭用蓄電池やソーラーパネルを導入することで,各家庭の利得は導入していない家庭と比較して,向上することが分かった.
著者
鈴木 陽一 橋本 明記 松崎 敬文 田中 祥次 木村 武史 土田 健一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.193, pp.7-12, 2013-08-29

スーパーハイビジョンなどの大容量伝送の実現に向けて,周波数利用効率,所要C/N改善を目指した伝送方式の検討を進めている,強力な訂正能力を有するLDPC符号と,集合分割法を用いた符号化変調を組み合わせた性能評価は,特に衛星伝送路の特性を考慮した環境化では十分な検討がなされていない.本稿では,集合分割法と,LDPC符号とBCH符号による連接符号を, 8PSKに適用して符号化変調を構成し,同方式に適した伝送フレーム構成を提案する.提案方式では,最もユークリッド距離が広がる最下位ビットには, BCHパリティのみを付加し,上位2ビットについては,それぞれBCH符号と白色雑音下において最も伝送性能が良くなる符号化率のLDPC符号の連接符号を付加する.本稿では,上位2ビットに適用するLDPC符号の符号化率をパラメータとし,白色雑音下における伝送性能を計算機シミュレーションにより評価し,伝送性能が最も良くなる符号率の組み合わせを導出するとともに、12GHz帯衛星伝送路を模擬した伝送路モデルにおける伝送性能について計算機シミュレーションを行い,従来方式(ARIB STD-B44)に対する本方式の性能改善効果を報告する.
著者
小柳 諒輔 小島 昇 夏目 季代久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.69, pp.21-25, 2013-05-27

私たちの日常の行動は主観的な嗜好性よって左右されている。最近、嗜好性に関連する脳波研究が行われ初めて来た。研究のほとんどは、どちらの顔が好きか、等視覚的な嗜好性の研究である。その研究では、前頭部θ波と、後頭部γ波が嗜好性に関与していると報告された。一方で、音楽は私たちにリラックス効果があり、ストレスを軽減してくれる。音楽療法は記憶障害患者、障害者に使用される。その効果は、好きな音楽を聴いた時、最大となる。従って、個々人の音楽嗜好性調べる事は脳波を用いる音楽療法にとって重要である。5名の健常男性(23.5±0.5歳(平均±標準偏差))に実験に参加して貰った。彼らは、30-35秒音楽を聴き、10秒間好き嫌いを判断した。その間、脳波測定を行った。音楽は、5-8ジャンルの20曲を聞いて貰った。脳波は高速フーリエ変換した後、4-8Hzのθ波、8-12Hzのα波,12-30Hzのβ波,30-50Hzのγ波の各周波数パワー値を計算した。さらに、パワー値をフィーチャーに1次元の交差判定を線形判別分析(LDA)を用いて行った。その結果、嗜好判断時、前頭部θ波パワー値は、好き判断時、嫌い判断時に比べて有意に高かった。一方、音楽聴取時及び嗜好判断時、後頭γ波のパワーは好き判断時より嫌い判断時の方が有意に高かった。交差判定の結果から、後頭γ波、前頭α波、γ波をフィーチャーにした場合、判別正解率が高かった。以上のことより、後頭γ波が嗜好判断に関わる脳波かもしれない。