著者
岡田 大樹 梅野 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.145, pp.59-64, 2014-07-21

与えられた2値乱数系列が真の乱数系列であるかどうかを仮説検定する,複数の検定法により構成される検定ツールがあるが,その著名な検定ツールに米国商務省標準技術局が公開しているNIST Special Publication 800-22がある.その検定ツールを構成する検定法の一つに,離散フーリエ変換検定法がある.離散フーリエ変換をより一般化した変換について考察し,それをもとにして作る新たな離散変換(カオスユニタリ変換)を離散フーリエ変換と置き換えるという変更を離散フーリエ変換検定法に加えることで,チェビシェフ写像などを生成法の基にするカオスな擬似乱数系列等を検定可能とする,擬似乱数系列の持つカオス的特徴(=非乱数性)を棄却検定する検定法を構成した.
著者
開田 翔一 松村 健太 加藤 祐次 清水 孝一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.514, pp.29-33, 2015-03-16

手指や手のひらの血管像による個人認証はすでに一般的に行われているが,手首血管の光透視像による個人認証を実現した例は知られていない.手首は,近年出現している腕時計タイプのウェアラブル機器の装着が容易であり,これに認証機能を付加できれば有用と考えられる.そこで我々の開発してきた光透視像技術を応用し,腕時計型デバイスで手首血管透視像による個人認証を行うことを考えた.成人手首部で得られた血管透視像に対して,ウェアラブルデバイスでも実装可能な簡易なアルゴリズムで画像処理を施し,画像相関による個人認証を行った.その結果,腕時計型デバイスでも,有効な個人認証が行える可能性を実証した.
著者
渡邉 卓弥 森 達哉 酒井 哲也
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.502, pp.119-124, 2014-03-27

オーナーの関知しないところでカメラを秘密裏に濫用し,盗撮・盗聴や情報漏洩を試みる可能性があるAndroidアプリを自動的に検出する方法を提案する.主要なアイディアはアプリケーションパッケージファイルを逆アセンブルしたコードの解析とアプリの詳細を自然言語で記述したdescriptionのテキスト解析を組み合わせることである.サードパーティマーケットで収集した10,885のアプリケーションを対象に提案手法を適用したところ,カメラを秘密裏に濫用する可能性が高い43個の検体を自動的に検出した.手動による動的解析の結果, 43検体中少なくとも28検体はユーザに開示された正当な方法でカメラを利用していること,および2検体は内容と動作が不自然であり,かつユーザがカメラを利用する画面が認められないことからコードの詳細な静的解析が必要な検体であることがわかった.また43検体中18検体がマルウェアと判定されており,提案手法で抽出した記述と動作に齟齬があるアプリケーションは高い確率でマルウェアであることが示された.
著者
生藤 大典 中山 雅人 西浦 敬信 山下 洋一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.112, pp.13-18, 2014-06-27

我々は,これまでに高い臨場感を容易に与えることのできる3次元音場再生技術として,パラメトリックスピーカの超指向性を利用する静止音像構築手法を提案してきた.この手法はパラメトリックスピーカからの再生音を部屋の壁や床,天井に反射させることで,あらゆる方向からの音の到来を表現できる.しかしながら,パラメトリックスピーカの放射方向を連続的に制御できないため,移動音像の表現が困難であった.そこで本稿では,パラメトリックスピーカによる移動音像の実現に向けて,曲面状に超音波素子を配置した曲面型パラメトリックスピーカによる移動音像構築手法を提案する.人は音像の方向を知覚する際,両耳間の音圧差を手掛かりとし,その音圧差が連続的に変化するとき音像の移動を知覚する.そこで提案手法では,信号が入力される超音波素子を隣接順に切り替えることで,パラメトリックスピーカ本体を動かすことなく放射方向を制御し,受聴者周辺の音圧分布の制御を行う.評価実験の結果,提案手法により連続的に移動する音像を構築可能であることを確認した.
著者
清弘 晃史 山口 晃平 高 赫 中村 啓之 峯 恒憲
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.89, pp.37-42, 2014-06-19

近年では,デバイスの履歴を用い,マーケティングにおいて重要なキーとなる顧客の購買行動の傾向をつかむ事ができるようになった.これまでの研究ではPOS(Points Of Sales)データを用いてCRM(Customer Relationship Management)への応用を目的として購買行動の解析がなされてきた.また,交通系ICカードや携帯電話などのセンサーデバイスも普及し,GPSデータによる歩行者の回遊行動の解析もなされてきた.しかしながら,交通系ICカードの履歴を用いた乗降行動と購買行動を関連づけた解析の研究はほとんど行われていない.本研究では交通系ICカードの利用履歴から乗車前の購買行動と降車後の購買行動に焦点をあてて解析した結果について報告する.
著者
泉川 晴紀 花野 博司 石川 雄一 岡田 宏 小野 智弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.401, pp.59-64, 2015-01-22

筆者らは,スマートフォン上におけるクーポン配信と,プッシュメディアとしての移動体デジタルサイネージを組み合わせたO2O(Online-to-offline)サービスを検討している.具体的には,ユーザに対し,バス・電車等に設置した移動体デジタルサイネージによりクーポンの存在を告知してスマートフォン上のクーポン取得へと誘導し,広告配信元店舗へ送客するサービスである.この際,コンバージョンとなる,どの程度のユーザが期待した行動,つまり購買行動を行ったかを把握することがサービスの効果を定量的に評価する上で必要となる.そこで,本稿では,ユーザの購買行動の実施を,セルラ情報を用いて推定する手法を報告する.本手法は,クーポンの利用-スマートフォン画面上でのクーポンの表示やクーポンの電子的なモギリなど-の場所毎の割合が,誤利用を考慮しても対象店舗の場所で多くなるという仮説に基づき,クーポン利用時に収集した,場所毎に特徴を有するセルラ情報(基地局識別子や電波強度等)をクラスタリングし,クラスタサイズが大きいクラスタに分類されたセルラ情報を有するクーポン利用をコンバージョンと推定するものである.なお,本手法では,事前に対象店舗でのセルラ情報を収集する必要がない.初期評価の結果,誤利用場所が店舗より500m以上離れていれば,正しくコンバージョンを推定できることが分かった.
著者
斎藤 翔太 伊川 洋平 鈴木 秀幸 村上 明子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.81, pp.7-12, 2014-06-14

近年普及しているTwitterにおいて,ユーザーによって投稿されている即時的な情報により,実世界の出来事を即時に知ることができるようになり,特に災害対応などで注目されている.しかし,現在,災害対応においては,人手で検索し災害の情報を得ていることも多い.また,出来事の自動検出手法は数多く考案されているが,その災害のなすコンテキストの情報がわからないことが多い.本研究では,災害の情報を,その災害のなすコンテキストを示す情報とともに,早期に発見する方法を提案する.注目に値する災害は,複数の語によって表される話題になり,それらに言及するツイートは表現が異なるという仮説を立てた.この仮説に基づき,語の共起のなすグラフのコミュニティとして話題を検出し,その話題に言及しているツイート同士の表現の違いを指標化した独立ソース度という指標を考案し,それをもとに検出することを提案する. Twitterのデータを用いて2014年1月17日に発生した火災を対象に実験し,妥当な火災がメディアの報道より前に検出できたことを示した.
著者
本田 巧 伊藤 靖朗 中野 浩嗣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告 = IEICE technical report : 信学技報 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.302, pp.81-86, 2014-11-13

本稿では,コラッツ予想の網羅的検証のGPU実装を提案する.我々はNVIDIA Geforce GTX TITAN上を用いて実装及びその性能評価を行った.実験結果より,提案するGPU実装は1秒間に5.01×10^<11>個の64bitの自然数を検証可能であることを確認した.同様の処理をおこなうCPU実装は1秒間に1.80×10^9個の64bitの自然数の検証が可能であることより,提案するGPU実装はCPU実装と比較して278倍の高速化を実現した.