著者
松本 充司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.78, no.2, pp.161-166, 1995-02-25
被引用文献数
3

近年,各種情報システムのディジタル化,これに伴うネットワークの進化,端末装置のダウンサイジングにより,パーソナル移動通信環境においてもユーザが利用できる端末の小型軽量化,高機能化が行われている.特に,移動環境では相手が話中や不在の場合にも有効な携帯情報端末が注目されている.ここでは,パーソナル通信の担い手である携帯情報端末に焦点を当て,その端末の位置付け,動向および構成技術並びに既存ネットワークへの展開方法について述べた.
著者
小林 真輔 越塚 登 坂村 健
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.7, pp.595-603, 2008-07-01
被引用文献数
6

ユビキタスネットワークを実現するためのキーデバイスの一つにアクティブRFIDがある.本研究では,アクティブRFIDの基盤技術確立を目指し研究開発を行ってきた.ハードウェア,通信プロトコル,ミドルウェア,並びに,アクティブRFIDを管理するサーバ側のソフトウェアまでのトータルシステムを提案し実現している.アクティブRFIDの課題である,低消費電力,高多重通信を実現するためのブレークスルーとしてUWB(Ultra Wide Band)無線通信LSIを開発しそのLSIを搭載した世界最小1cm角のアクティブRFIDを実現した.また,アクティブ型,パッシブ型を含むRFIDや,バーコードなどの個別の識別子をそれぞれのものに割り当てて管理し情報提供するための上位のディレクトリサービスの開発を行った.更に,本研究の実証実験の例として,青果物の物流現場におけるアクティブRFIDタグの活用,高精度測位を実現したUWBアクティブタグを用いた倉庫管理システムについて述べ,場所情報を提供するためのタグの例として,実際の商業施設におけるシステムについて述べる.
著者
川人 光男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.123-130, 2008-02-01
被引用文献数
9

最近20年間に脳科学は著しく進展し,脳活動を非侵襲的に計測する新手法の開発,分子生物学の実験手法の導入,計算理論の発展などの進歩により,基礎科学として新しい様相を呈するにとどまらず,コミュニケーション技術,経済活動,先端医療などに大きく貢献する可能性が示された.一般の人々の普段の生活に,脳科学が大きな影響を与える応用科学としての側面が顕著になったといえる.本稿では,筆者らが提案している脳と情報ネットワークを直接つなぐ新しいインタフェース:ブレイン・ネットワークインタフェースについて解説する.
著者
岩野 賢二 宮崎 仁誠
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.90, no.8, pp.622-627, 2007-08-01
被引用文献数
3

社会的背景として,少子高齢化社会が進行する中で,世界各国で医療費の増大を抑制することが急務となっている.当社ではその課題に対して,治療から予防へのパラダイムシフトを行う情報通信技術の検討を進めている.具体的な取組みとして,在宅ヘルスケア支援システムを開発し,米国を中心に事業化を行っている.また医療サービス,医療センサ,IT,電気の各分野を代表する企業とともにContinua Health Allianceの設立を行っている.ここでは家庭における遠隔医療業界の動向を中心に紹介する.
著者
小塚 和人
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.97-104, 2005-02-01

医療現場における電子カルテ化は, 導入稼動医療機関の数が年々増えてきている.しかし, その増加の割合は緩やかなものであり, いまだその導入による利点と欠点を見定めようとする医療機関も多い.現時点ではメリットも多いが, 確かに課題は多く存在し, それはシステムの成熟を待つことのみで解決される問題ではなく, 利用者自身がシステムとしての特性を理解して実践として使いこなせるように変化することも求められる.長い時間の経過で形成されてきた現場特有のルールもあり, 電子カルテ化は単にパソコンに向かうだけではない医療者の意識変化も求められる.
著者
Estabrook Polly Barbieri Andrea J. Edwards Jr. Charles D. MANNING Robert M. DANOS Monika J. ILOTT Peter A. MAKOVSKY Andre 前田 惟裕
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.6, pp.397-406, 2005-06-01
被引用文献数
1

NASAが開発した二つの探査機Spirit及びOpportunityが2004年1月4日, 1月25日に火星に着陸し, 水の存在などにかかわる貴重な科学データを取得した.データ中継には既に火星を周回しているMars Odyssey(2001年4月7日打上げ), Mars Global Surveyor(1996年11月7日打上げ)が活躍した.また, ESAのMars Express(2003年6月2日打上げ)との間で運用の互換性を実証した.地球からの近距離での通信, 深宇宙での通信でのアンテナの切換, 深宇宙通信, データ中継に必要なUHF, Xバンドを用いた通信システムの概要が示された.巡航, 大気突入, 下降, 着陸, 表面活動の複雑なシーケンスの各段階での通信方法が紹介された.
著者
東明 佐久良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.101-107, 2004-02-01
被引用文献数
3

位置情報サービス(LBS)は,日本においては,1990年代から始まったが,昨今,携帯電話の普及とともに利用分野が急速に拡大している.しかしながら,日本におけるLBSに関する標準化は,各社各様にされており,統一的な標準化は,なされていないのが現状である.本稿では,LBSの定義,並びにLBSの国内,国外の標準化の状況について述べるとともに,ISO/TC211 WG8で検討しているLBSの標準化の現状,Web環境下におけるトラッキング・ナビゲーションのUMLによる標準データモデルについて紹介するものである.
著者
明野 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.88-93, 2004-02-01

ISO/TC211では,地理情報の標準化が進められている.主として初期に作成が始まった規格のうち,地理情報の整備・利用に関するものを日本の国情へ適合したものが地理情報標準である.地理情報標準では,空間データの設計方法,メタデータ,品質の規定・評価方法,空間参照の方法,空間データ調達のための製品仕様の作成方法などを定めている.この標準に従って,日本全国の数値地図の提供,地理情報クリアリングハウスのサービスの開始など,その利用が進みつつある.
著者
黒住 恭司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.478-497, 1993-05-25
被引用文献数
1

第五世代コンピュータとは,ロジックプログラミング技術に基づく並列処理と推論処理を基本メカニズムとする知識情報処理指向のコンピュータである.第五世代コンピュータプロジェクトは,この第五世代コンピュータの技術体系を確立することを目的として,1982年度から実施されて来て,1992年度末で終了する.本報告は,プロジェクトの発足経緯・目的・実施体制,プロジェクト期間における研究開発の推移と成果の概要,プロジェクトの運営や成果に対する評価等を紹介するものである.