著者
黒沢 健至
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.818-822, 2005-10-01

犯罪にかかわる映像が, 被疑者の所有する特定のカメラ個体で撮影されたものであるか否かを判断できる新しい画像鑑定方法について解説する.筆者らが提案する手法は, 撮像素子において発生する固定パターン雑音(FPN)の個体固有性を利用して, 映像中から抽出されるFPNとカメラのFPNを比較することで識別を行う.本稿では識別原理を述べるとともに, 撮影環境等が与える影響, ディジタルスチルカメラやCMOS撮像素子への適用, 識別精度などについて解説する.
著者
森江 隆 石川 聖二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.459-463, 2011-06-01
被引用文献数
2

車載用及びロボット視覚用の知的画像認識で必要となるHOG,SIFTなどの基本アルゴリズムを紹介するとともに,筆者らが開発した画像認識手法を紹介する.現在の画像処理はより並列的・階層的になり,脳での視覚処理モデルに近づいているともいえるが,人の高い知覚機能に近づくには更なるブレークスルーが必要である.そのために,脳型画像処理技術とそれを実現する集積回路及びナノ構造の利用を含めた脳型デバイス開発の必要性を述べる.
著者
石田 誠 澤田 和明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.6, pp.483-488, 2011-06-01

集積回路技術とセンサ技術を融合して高感度・高機能化を目指した新しい原理のセンサについて,豊橋技術科学大学エレクトロニクス先端融合研究所(EIIRIS)では開発を進めている.センサ・MEMSデバイスとICを一つのシリコンチップ上に融合することにより,これまでにないセンシングの特徴を生み出し,不可能であった計測を可能として,新たな応用分野を開拓することができる.このようなチップはスマートマイクロチップと称しているが,特にバイオ関連技術と集積回路技術を融合したインテリジェントバイオチップについて現状と将来を解説する.
著者
森島 繁生 八木 康史 中村 哲 伊勢 史郎 向川 康博 槇原 靖 間下 以大 近藤 一晃 榎本 成悟 川本 真一 四倉 達夫 池田 雄介 前島 謙宣 久保 尋之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.3, pp.250-268, 2011-03-01

映像コンテンツの全く新しい実現形態として,観客自身が映画等の登場人物となり,時には友人や家族と一緒にこの作品を鑑賞することによって,自身がストーリーへ深く没入し,かつてない感動を覚えたり,時にはヒロイズムに浸ることを実現可能とする技術「ダイブイントゥザムービー」について本稿で解説する.この実現には,観客に全く負担をかけることなく本人そっくりの個性を有する登場人物を自動生成する技術と,自ら映像中のストーリーに参加しているという感覚を満足するためのキャラクタ合成のクオリティ,映像シーンの環境に没入していると錯覚させる高品質な映像・音響再現技術及びその収録技術が,観客の感動の強さを決定する重要な要素となる.2005年の愛・地球博にて実証実験を行った「フユーチャーキャスト」に端を発するこの技術は,ハードウェアの進歩と2007年にスタートした文部科学省の支援による科学技術振興調整費プロジェクトの実施によって,格段の進歩を遂げた.その結果,様々なバリエーションの観客の個性を全自動・短時間でストレスなくモデル化することが可能となり,また作品の中でリアルタイム合成されるキャラクタの顔と全身,声に各入の個性を忠実に反映することが可能となった.また,同時に役者が感じた音場・視点で1人称的にコンテンツへの没入感を体感することを可能にするシステムを同時に実現した.
著者
青山 友紀
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.7, pp.704-712, 1999-07-25
被引用文献数
26

フォトニックネットワークをここでは転送機能を光領域で実現するネットワークと考え, その機能のレベルに応じてフェーズ0からフェーズ5まで分類する. フェーズ0はポイントツーポイント光伝送機能, フェーズ1は光多重化機能, フェーズ2は光XC/ADM機能, フェーズ3はルータとWDMの直結, フェーズ4は光・電子ハイブリッド処理型ルータ, フェーズ5は光時分割処理による転送機能の実現, と分類してその展望を述べる.
著者
安田 明生
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.12, pp.1207-1215, 1999-12-25
被引用文献数
28

GPSは米国防省により開発された人工衛星による測位システムであるが,民間利用者にも開放され,手軽で信頼性の高い測位システムとして,近年カーナビの主要な要素として急速に普及してきている.このシステムの概要と,種々の測位誤差を削減するためのディファレンシャルシステムとその現状について解説する.更に搬送波位相を測距に用い,数cmの精度の測位が実時間で可能なリアルタイムキネマティックGPS及び測地学や気象学への応用について述べる.最後にGPSの将来展望とGPSにかかわる諸問題について概説する.
著者
佐々木 秋穂 山本 浩治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.82, no.2, pp.116-122, 1999-02-25
被引用文献数
5

西暦2000年ごろに商用化を目指す次世代移動通信システムであるIMT-2000の標準化はITU(国際電気通信連合)を中心として行われてきた。西暦2000年が近づくにつれ, 各地域・国での技術開発が本格化してきている。また, 技術進歩が早くなり, 各地域・国での標準化へ向けた活動がITU標準へ与える影響の度合いが強くなってきている。したがって, 本稿では, 無線伝送方式, ネットワーク構成を中心に, ITUに加え, 日本, 欧州, 北米, 韓国, 等の主要地域で行われているIMT-2000の標準化へ向けた活動について概説する。
著者
宮崎 修一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.195-199, 2005-03-01
被引用文献数
1

安定結婚問題は二部グラフにおけるマッチング問題の一種である.複数の男女がおり, 各人は異性を自分の好みで順序付けした希望リストを持っている.その希望リストに基づいて「安定性」を満たすマッチング(結婚)を求めるのが, 安定結婚問題である.この問題は, アメリカの研修医配属への応用が有名であるが, 近年日本の研修医配属でも利用され始めた.本稿では, 安定結婚問題の基本的性質や応用例を紹介する.
著者
安浦 寛人 築添 明 平川 和之 伊東 望 中野 信哉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.86, no.11, pp.857-863, 2003-11-01
参考文献数
2
被引用文献数
2

福岡県においては,産業界,大学,行政の連携による「シリコンシーベルト福岡」プロジェクトを進め,システムLSIの研究開発力の向上や設計産業の育成と合わせて,技術者育成事業の一つとして「福岡システムLSIカレッジ」を設立した.本稿では「福岡システムLSIカレッジ」の設立理念を述べた後,それに沿ったカリキュラムや教材・講習環境を示す.そして,1年半のLSIカレッジ運営の評価を行い,今後の展望についてまとめる.
著者
森 武俊 野口 博史 佐藤 知正
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.5, pp.430-435, 2006-05-01
参考文献数
10
被引用文献数
8

部屋型システムの形態で生活データを計測・蓄積し,人間支援を行う試みが多数始まっている.パーベイシブネットワークを用いたセンシングに基づくこのような研究・開発は,人の生活に安全・安心感をもたらし,更には便利で過ごしやすい環境を実現することを目指して行われている.毎日の生活を記録しておくことで,その人や家族の活動や健康状態などの日々の変化,生活のパターンも分かるようになり,異変の検知や予測,また予防につながることも期待できる.センサネットワークと住まいにおける生活のかかわりについて考察する.
著者
佐藤 正樹 中條 渉
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.9, pp.806-810, 2006-09-01
参考文献数
5
被引用文献数
1

本稿では,静止通信衛星を利用して,被災地のヘリコプター撮影映像等を,災害対策本部に直接伝送する新しいシステムを紹介する.衛星を用いた広域中継により,災害の影響を受けずに撮影映像等を遠隔地まで伝達できる特長があり,災害初動時の情報収集に有効と考えられる.MPEG-4規格での動画データ伝送機能や,被撮影地(被災地)位置を三次元地図を用いて高精度に特定する機能などを示す.

1 0 0 0 脳と色覚

著者
栗木 一郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.876-883, 2007-10-01

色の情報は,網膜における3種類の分光感度の異なる光受容細胞(すい体)によって初めて光から神経信号に変換される.しかし,色の見え方を作っているのは脳であり,色の見え方のメカニズムを探るには脳研究を欠かすことはできない.照明光が変化しても色の見えが極端に変化しない,色恒常性という視覚系の基本機能は脳損傷によって損なわれることを脳損傷者における検査によって明らかにした.脳内の色情報処理過程を調べるため,脳内を流れる色情報の概要を心理物理学的に調べる方法を開発した.本稿では,これらの実験について概説する.
著者
藤田 茂夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.833-843, 1993-08-25
被引用文献数
3

次世代の半導体レーザダイオードとして,現在,し烈な研究開発競争がくりひろげられている.ZnSe系II-VI族半導体による,量子井戸構造青色半導体レーザの研究現況と,将来展望について解説する.光情報処理関連分野への応用上のインパクトが大きい青色半導体レーザは,現在では室温パルス発振が実現している.実用上の必要条件である室温連続発振に向けての研究が,精力的に行われているが,なお技術上,物性上,特性上解決・解明すべき課題も多い.しかしながら,これらの課題を乗り越え,青色半導体レーザが実現される時期も,そう遠くない物と思われる.
著者
守倉 正博 梅比良 正弘 阿部 宗男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.105-111, 2001-02-01
被引用文献数
11

無線アクセスは, 比較的低コストで迅速にアクセスネットワークを展開できることから, インターネットアクセス等の広帯域サービスの早期展開手段, あるいは地域通信市場への新規参入者にとっての経済的なアクセスネットワーク構築手段として注目されている.本文では, 高速・広帯域化が進む無線アクセスの動向について述べるとともに, マイクロ波帯から準ミリ波・ミリ波帯を用いた各種無線アクセスシステムの例を紹介し, 無線アクセス技術を展望する.
著者
村田 真樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.86, no.12, pp.959-963, 2003-12-01
被引用文献数
13

質問応答システムとは「日本の面積はどのくらいですか」と問くと「37万8千平方キロメートル」と解そのものを的確に答えるシステムのことで,コンテスト形式の評価型ワークショップが開かれるなど,近年多くの研究者の庄目を浴びている 本橋では,まず,質問応答システムの重要性について論じ,次に質問応答システムの一般的構成と種々の手法について解説し,最後に今後の展望を述べる 質問応答システムは,将来の知的処理・知識処理の根幹システムになると思われ,今後の発展が大いに期待される
著者
太田 昌孝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.349-354, 1998-04-25
被引用文献数
1

インターネットは爆発的に普及してきたが, その発展を支えたインターネット技術のエボリューションについて解説する.インターネット技術の開発はIETFによって行われ, 結果はRFC等として公開される.インターネット技術の中で最重要なインターネットワーキング層のIPは, より多くのネットワークをサポートできるよう, トランスポート層のTCPはネットワークの混雑に対処できるよう, データリンク層は様々なデータリンク層に対処できるように, それぞれ発展してきた.