著者
荒川 泰彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.826-833, 2002-11-01
参考文献数
22
被引用文献数
3

最近のナノテクノロジーの進展により,我々は10〜20nmのオーダの量子ドット構造を手中に収めつつある.特に,フォトニックデバイスについては,量子ドットレーザや量子細線レーザに対して大きな期待が寄せられている.それは,ナノ構造の活用が,電子の低次元化に伴うレーザ特性の向上のみならず,多様な材料系におけるひずみ効果等を通じた発振波長選択の自由度の拡大や,非発光転移の影響を避けて量子効率の増大を可能にするなど,多岐にわたっているからである.本稿では,量子ドットレーザを中心にしてナノ構造フォトニクス素子の展開及び期待される性能,最近の研究動向について展望する.
著者
小泉 英明 牧 敦 山本 剛 山本 由香里 川口 英夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.207-214, 2004-03-01
参考文献数
12
被引用文献数
6

デカルトは「考える,故に我あり」といった,「考える」のは私たちの脳である.その生きた脳の解剖学的形態と,精神活動を含む高次脳機能を可視化する方法論を述べる.安全に脳機能を調べることができる無侵襲高次脳機能イメージング法の出現によって,脳神経科学の分野でもパラダイムシフトが起きている.高次脳機能を計測する方法論の原点について述べ,更に,最近になって広範な応用が注目されている近赤外光トポグラフィーを中心に紹介する.
著者
湊 真一
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.75, no.11, pp.1146-1149, 1992-11
著者
長谷川 政美
出版者
電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.694-700, 1992-07-25
参考文献数
7
著者
増田 靖
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.9, pp.773-777, 2011-09-01

本稿では,イールドマネジメントの基礎と最近の研究の動向を紹介する.イールドマネジメントの目的は,企業収益の向上にある.まずは,簡単な例を用いてイールドマネジメントの考え方を説明する.次に,イールドマネジメントの動的計画法への定式化の一例を示し,更に,顧客の商品選択行動モデル化の重要性と,オーバブッキングの問題を議論する.最後に,イールドマネジメント問題の近年の新しい展開について述べる.
著者
入鹿山 剛堂
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.84, no.11, pp.819-827, 2001-11-01
被引用文献数
10

年々小型化されている携帯電話やPDA向けに, 様々な文字入力方法が考案され商品化されている.ケータイでは, テンキーを50音表に割り当てているが, 標準キーボードを小さくしたもの, 次に来る文字を予測するもの, 更には, 子音だけで入力する方法などがある.PDAでは, 少ないキー数で, すべての文字の入力を可能にしたものや, ペンで入力する方式などもある.将来的には音声入力や視線入力なども考えられるだろう.ただし, デファクトスタンダード化した, 現在の携帯電話の入力方式は, ある意味で携帯性に優れた理想的な入力方法であるのかもしれない.
著者
安田 浩 小暮 拓世
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.91, no.3, pp.225-236, 2008-03-01
被引用文献数
1

コンテンツ流通に必須とされる技術にDRM(Digital Rights Management)がある.コンテンツクリエータの創作意欲,プロバイダの事業意欲,コンテンツ消費者の消費意欲,等を共に満足するコンテンツ流通環境の確立には,DRM技術は不可欠である.一方,コンテンツの不正コピー事例は後を絶たず,プロバイダ事業者はその都度対策を迫られDRM技術を強化してきた.本稿は,比較的初期にDRMを立ち上げたDVDを例に,実用DRM技術を解説し,次いで,急速に普及した携帯電話の標準DRMであるOMA DRMについて言及し,更に蓄積メディアのDRMをSDカードを例にCPRM技術内容を記述した.最近のDRM標準化活動の状況については,国際標準化活動の例としてMPEG-21を中心にIPMP技術を解説し,デファクト標準化活動の例では業界主導DRMとしてコーラルを取り上げ,そのポイントどなる技術を解説した.DRMは,いまだ発展途上の技術であり,またその特殊性(秘匿性)から,公開情報が少ない.本稿ではできるだけ重点技術内容を取り上げ,公開情報の範囲で平易に解説し,最後にDRMの現状課題と将来展望について触れる.
著者
山下 将嗣 中島 佐知子 大谷 知行 川瀬 晃道
出版者
社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.89, no.6, pp.481-487, 2006-06-01 (Released:2011-06-27)

我々はテラヘルツ波の物質に対する透過特性を利用したテラヘルツ分光イメージングシステム,及びフェムト秒レーザ走査による物質からのテラヘルツ波放射を用いたレーザテラヘルツエミッション顕微鏡の開発を進めている.本稿では,これらのイメージングシステムの応用例として,薬物のテラヘルツ帯分光情報を用いた郵便物内の違法薬物識別技術,及びレーザテラヘルツエミッション顕微鏡によるLSI内部の故障箇所絞り込み技術への応用について紹介する.
著者
野田 進
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.85, no.11, pp.839-846, 2002-11-01
被引用文献数
3

新しい光ナノ構造として注目されているフォトニック結晶の開発とそれによる光制御の現状について紹介する.まず,光通信波長域で動作可能な三次元結晶が既に実現できており,光チップ実現に向け,その内部に様々な欠陥や発光体を導入する段階まできていることを示す.続いて,二次元結晶においても,スラブ構造を採用することにより,三次元的な光閉込めが可能となり,線状欠陥及び点欠陥の導入により,面出力型の超小型光アッド・ドロップデバイス等が実現可能なことを示す.最後に,フォトニック結晶のバンド端における光の定在波状態を半導体レーザの二次元共振器として用いることで,どのような大面積であっても,単一縦・横・偏光モードを持つ新しい面発光レーザの実現も可能であることを示す.
著者
伊藤 徳政
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.92, no.9, pp.732-736, 2009-09-01

地球環境変動観測ミッションGCOM(Global Change Observation Mission)は,宇宙から地球の環境変動を長期間にわたって,グローバルに観測することを目的としたプロジェクトである.GCOMは水循環変動観測衛星GCOM-W及び気候変動観測衛星GCOM-Cという二つの衛星を複数世代打ち上げて運用することで,太陽活動周期をカバーする10〜15年規模の長期継続観測を目指している.GCOM第1期の衛星GCOM-W1及びGCOM-C1は,それぞれ,高性能マイクロ波放射計2(AMSR2:Advanced Microwave Scanning Radiometer 2),多波長光学放射計(SGLI:Second-generation Global Imager)を搭載し,両者の併用により水循環変動・気候変動の解明に必要な幅広い地球物理量データを取得する.
著者
西野 有
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.87, no.11, pp.934-938, 2004-11-01

MEMS (Micro ElectroMechanical Systemの略)技術による高性能,高機能な高周波デバイスは,数年内の実用化を目指し,様々な障壁を乗り越えようとしている.今後は,可動部分の長寿命化や,可変機能回路の新構成などメリットが目に見える研究だけでなく,集積技術や実装技術など,実用化のための技術にも注目が集まる.特に,集積技術は回路の小型化を通じて低価格化へつながる重要な技術である.本稿では集積化の必要性と,解決のために必要な技術の例を紹介する.
著者
廣田 啓一 曽根原 登
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.88, no.10, pp.823-828, 2005-10-01
被引用文献数
8

近年, 個人によるコンテンツの不正利用として, 音楽や映画などのネット上での交換, 雑誌やコミック, アイドルの写真集などのインターネット上への無断公開など, 著作権を侵害する行為がカジュアル化し, 大きな問題となっている.本稿では, コンテンツ流通における不正利用防止技術の現状, 技術的な課題, 将来展望について解説する.
著者
名野 隆夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.10, pp.1042-1049, 1998-10-25

MOSデバイスのディープサブミクロン化が急速に進行する近年, 回路シミュレーション用デバイスモデルの精度への要求が高まっている.本稿では, 過去に世界公開されたデバイスモデルと特にBSIM3に焦点を当てた特徴を解説する.BSIM3はデバイスモデルとして高精度であるのみでなく, そのパラメータを用いてデバイスの物理現象の再現把握, デバイス構造の物理値を変更した場合の物理現象変化の予測が可能であり, これらに対して事例をもって解説する.更に三洋電機では全社的にBSIM3を活用しており, その取組み事例を紹介する.
著者
清原 聖子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.94, no.5, pp.354-358, 2011-05-01

2009年,政権交代によって原口総務大臣が就任すると「日本版FCC」の設立がアジェンダ化された.そこで,本稿の目的は,これからの日本の情報通信政策の展開においてアメリカの連邦通信委員会(FCC:Federal Communications Commission)のような独立規制機関が必要なのかどうか検討する際の材料を提示することにある.本稿ではFCCとはどのような組織なのかその特徴を説明し,独立規制機関の政治的中立性の問題について考察し,通信・放送の規制機関を様々なアクター(政治的主体)が監視することができる体制の確保が重要である点を指摘している.