著者
建部 一夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.16-26, 2012-02-29 (Released:2014-11-11)
参考文献数
15

患者さんに接し, その症例から多くのことを学びとる臨床実習は, 医師になる者にとって大変重要な学習方法です. 教室の講義で理解しにくい疾患の説明も, 実際の患者さんを前にして学習するとよく理解できます. 臨床実習は以前から行われていますが, 実習時間数や内容, スタイルなどが最近話題になってきました. また, 日本では医師不足のため医学部生の定員数が増加されています. 人数が多くなっても育てる医師の質の低下は避けなくてはなりません. グローバル化が進み, 他国からあるいは他国への医師の移動も多くなってきた現代社会において, その医師の質の保証も必要になってきました. このような流れに対し, 臨床実習のスタイルとして診療参加型実習が推奨されています. 医学生に知識だけ教えてそれを確認するだけではなく, 臨床現場で何ができるかを示し, それを確認できる教育環境が必要です. 医学部教育を通して知識だけでなく, 技能や倫理面, 人格的にも社会に保障のできる医師を送り出すべく, 臨床実習を改善し計画していく必要があります.
著者
八木 義弘
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.325-329, 1970-01-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
2
著者
阿部 輝夫
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.55-61, 2006-03-31 (Released:2014-11-12)
参考文献数
7

この10年間に, 日本の性同一性障害を取り巻く環境は大きく変化した. 1997年に日本精神神経学会が性同一性障害 (GID) の診断と治療のためのガイドラインを策定し, 1998年には日本最初の公に認められた性別適合手術が行われた. そして, 2003年に新たな法律が制定され, 性別適合手術 (SRS) が終了しており, 一定の条件が整っていれば戸籍の性別変更が可能となった. この結果, それまで自己判断でホルモン療法や外科的手術を受けていた人達も, 性別を変更する目的で, そのために必要な精神科医2名からの診断書を得るため受診するようになった. この当事者達のニードの激しい増加を受けて, 各地の大学病院などでも対応の準備が始まっているが, その数はまだまだ十分な状況とは言えない. ここでは, 約1500例のGIDの自験例を基に, まずGIDに関する基本的概念を述べる. つまり, primary GIDとsecondary GIDの違い, 同性愛とGIDの概念の相違, および今後の問題などについて. そして, 実地医家がGIDの診断と治療を進めて行くうえでの留意点について述べたいと思う. ・Diamondら曰く, 「GIDは自分で診断でき, 治療法を選択できる唯一の疾患である」と. ・GIDと同性愛は, 概念が異なる. ・MTFが男性を好きになるのはあたりまえの〈指向〉であり, 〈嗜好〉でもなければ〈志向〉でもない. ・『ガイドライン』への不一致例も, それまでの治療を再評価し, 再構築することができる. ・特例法の成立により, 条件が整えば戸籍の性別が変更できる.
著者
岡田 功
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.7, no.Supplement2, pp.937-981, 1961-09-10 (Released:2014-11-22)
参考文献数
36

The effect of psychotropic drugs on depressive states have been studied by many authors. However, there are few which compared these drugs on the basis of same evaluation scale. Three hundred and forty four ambulant depressive patients were treated with 18 psychotropic drugs (from chlorpromazine to amitriptyline) and the effect of these drugs were compared. The results obtained were as follows. 1. Thymoleptica was found to be the most effective drug for “Axensyndrom” of depressive states. 2. Thymoleptica group was the most important drug in the pharmacotherapy of depressive states. But in some cases thymoleptica should be combined with other drugs such as neuroplegica, tranquilizer and psychotonica. Combination with Neuroplegica is particularly effective. 3. In general, psychotropic drugs are effective in the endogenous depressive states. 4. There was no consistent relationship between side effects and therapeutic effects. Psychopharmacological studies would offer important findings that disclose the essential problem of depressive states.
著者
杉山 和義
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.321-325, 2009

乳癌は日本人女性が最も多く罹患し, 30歳から60歳までの死亡原因の第1位をも占めている. しかも, 依然として増加傾向にあり, その生涯有病率は20人に1人との試算もある, 一方, 芸能人ら著名人が乳癌の手術を自ら告白するなどして話題性にも事欠かない. 現在, 女性の最も関心がある疾患の1つとなった.さて, 乳癌の外科手術療法は1890年ごろにHalstedが, 乳癌根治術として乳房・大小胸筋・腋窩リンパ節群を一括して切除する方法を報告し, 以来世界的に標準術式として認識されてきた. 1950年ごろから手術の縮小化が見られ, 胸筋を温存する胸筋温存乳房切除術が始まり, 本邦においては1980年後半に全国集計でその数が逆転した. 1970年には乳腺部分切除 (乳房温存療法) が導入され, さらなる縮小手術と同時併用される放射線治療との集学的治療として普及した. この縮小化の流れは術式の変遷として表れ, 日本乳癌学会の調査でも2003年に乳房温存療法が胸筋温存乳房切除術を逆転し, 最も多い術式となった. また, 手術の前に化学療法を行い癌の縮小化を図り, 乳房温存手術を行う方法もある. 一方, リンパ節の切除の範囲も縮小化がなされ, センチネルリンパ節を同定, 陰性であれば腋窩リンパ節の郭清を省略する術式も可能となった.乳癌の外科手術としては, 『縮小化』として推移してきた歴史がある. これらは乳癌に対する化学療法の進歩や放射線治療の関与など乳癌を集学的に治療すれば, 手術を縮小しても生存率に差はない. 順天堂大学病院は, 乳腺センターやがん治療センターを有しており, 心理面も含めて総合的な治療を心がけている.
著者
李澤 康雄 會田 秀子 雪下 岳彦 湯本 優 李 慶湖 杉田 塩 小林 弘幸
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.243-250, 2011-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
18

目的: 点滴注射の際に溶解液として高頻度に用いられる生理食塩液のうち, 両頭針付き生理食塩液の有用性について, 2ポート型ハーフキット生理食塩液と1ポート型ハーフキット生理食塩液の2種類の生理食塩液を対象に, 利便性アンケート調査および無菌操作試験を用いて比較検討した. 方法: 利便性アンケート調査では, 日常業務として点滴注射の調製作業を行っている看護師50名 (経験年数1-20年, 平均経験年数4年9ヵ月) を対象として質問用紙調査を実施した. 解析にはWilcoxonの符号付順位和検定を行った. 無菌性試験では看護師20名 (経験年数1-12, 平均経験年数3年6ヵ月) 実際に点滴調製作業を実施し, その際に作成された点滴溶解液や作業環境の培養検査を実施した. 結果: 利便性アンケート調査では14の調査項目のうち, 「溶解作業時の薬剤の確認のしやすさ」, 「無菌操作に対する注意度」, 「細菌汚染の可能性」, 「緊急使用時の迅速な対応」, 「業務時間短縮の実感」, 「バイアル (抗菌薬) と溶解液の組み合わせによる誤投薬発生の危険度」, 「投薬時の薬剤の確認容易度」, 「廃棄時の手指等のケガ発生の可能性」, 「分別廃棄の手間」, 「総合評価」の10項目において, 2ポート型ハーフキット生理食塩液が1ポート型ハーフキット生理食塩液より有意 (p<0.01) に高い評価を得た. 無菌操作試験の結果では, 作業者の手指からは培養検査により細菌が検出されたが, 溶解作業で作成した溶解液を培養検査した結果では, 細菌は検出されなかった. 考察: 両頭針付き生理食塩液は総じて有用と判断され, なかでも2ポート型ハーフキット生理食塩液は1ポート型ハーフキット生理食塩液よりも利便性の面で総合評価が高く, より有用であると考えられた.
著者
北澤 茂
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.26-33, 2004-03-31

手を伸ばして物をつかむという到達運動は運動全体での力の変化が小さく滑らかなるようにほぼ最適化されている.小脳が障害されると,運動の滑らかさは失われるので運動の最適化に小脳が重要な役割を果たしていることは確かであるが,具体的なメカニズムは手つかずの問題として残されてきた.最近の理論的研究で,運動制御信号に内在するノイズの影響を考慮に入れると,運動終点の誤差分散を小さくすることによって運動の滑らかさが得られることが示された.一方,運動学習の教師と言われてきた小脳の登上線維信号が確かに運動終点の誤差を表現していることも定量的に示された.それらの成果を踏まえてわれわれは,登上線維が伝える終点誤差の情報が,ランダムウォークに似た過程によって終点の誤差分散を減少させ滑らかな制御を実現するという仮説を提案し,ランダムウォーク仮説と名づけた.「滑らかさの原理」を取り入れた「人工小脳」を作ってランダムウォーク仮説を検証するとともに,臨床応用の方向を探りたい.
著者
鎌田 輝男
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.S7-S15, 1999

Diese Abhandlung ist die Fortsetzung des Aufsatzes mit dem gleichen Titel, der in "Juntendo University Journal of Liberal Arts and Seiences" Nr. 1 publiziert wurde. In diesem Aufsatz, der das Gedicht von Friederike Brun, "Ich denke dein" behandelte, erörterte der Verfasser ausführlich die Frage, wer das <du> ist und versuchte zu klären, daß das Du, das bisher für einen Geliebten gehalten ist, ein früh verlorenes Kind ist. Das lyrische Ich hat im allgemeinen oft in den Versen keine Inhaltsangaben. Das hat für den Leser einen Vorteil, sich leicht ins lyrische Ich einzfühlen. Das Gleiche gilt für das lyrische Du. Das Pronomen beinhaltet ein Familienmitglied, eine Freundin/einen Freund, eine Geliebte/einen Geliebten, ein Kind, ein Tier, eine Pflanze oder Gott. Man kann ein lyrisches Gedicht lesen, indem man das Du für eine Geliebte/einen Geliebten hält, obwohl es, solange der Dichter nichts davon sagt, offen bleibt, wen das Du bedeutet. Diese Abhandlung behandelt eine typische Lyrik von Goethe, "Nähe des Geliebten", dessen Grundform er von dem obengenannten Gedicht von Brun übernahm, und stellt Betrachtungen an über das Du, d. h. den Geliebten. Das Du in "Nähe des Geliebten" ist bisher auch als ein geliebter Mann angesehen. In dieser Abhandlung untersucht der Verfasser die Möglichkeit, daß du Gott seiest, indem er auf den gedanklichen Hintergrund von Goethe und seinen dichterischen Kunstgriff Rücksicht nimmt, und versucht eine andere Lesart des Gedichts "Nähe des Geliebten" anzubieten.
著者
中村 充 藤本 由紀子 伊藤 伸
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.6, pp.512-517, 2012-12-31 (Released:2014-11-11)
参考文献数
16

目的: 一般的に健常者が聴力障害を引き起こす要因としては, 加齢, 騒音, 衝撃, 疾病などがあげられる. しかし, 剣道などのスポーツ活動によっても聴覚障害が引き起こされる報告がされている. そこで今回, 習慣的な剣道の実践が聴力に及ぼす影響について, 大学生を対象とした実態調査と追跡調査から検討を行った. 対象および方法: 男子大学生237名 (一般学生120名, 剣道実践学生117名) を対象とし, 純音聴力検査を行った. また剣道実践学生13名を対象に, 純音聴力検査と耳音響放射検査を用いて2年間にわたり追跡調査を行った. 結果: 聴力障害が出現したのは, 一般学生は120名のうち4名, 剣道実践学生は117名のうち32名であった. 障害がみられた周波数は, 一般学生の4耳はすべてが8kHzで出現していたが, 剣道実践学生は0.5kHzから8kHzまで広範囲にわたり, 2周波数域あるいは3周波数域以上にわたる障害もみられた. 剣道実践学生の追跡調査では, 0.5kHz, 1kHz, 2kHzで有意にレベルの低下がみられた. またDPOAEのDPレベルでは3kHz, 4kHz, 5kHz, 6kHzで有意に低下がみられた. 結論: 純音聴力検査では, 長期の剣道実践による騒音と衝撃が周波数域1kHzから4kHzを中心として聴力に影響を及ぼしていると考えられた. しかし空間的余裕や環境整備により, 騒音の影響を軽減できる可能性が示唆された. また耳音響放射検査は, 聴力変化の早期評価の指標となりうることが推察された.
著者
矢島 五三郎
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.S13, no.581, pp.581_51-581_56, 1938-12-25 (Released:2015-06-12)
著者
清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.12-23, 2003-05-30 (Released:2014-11-12)
参考文献数
11

エイコサペンタエン酸 (EPA) やドコサヘキサエン酸 (DHA) などのn-3系多価不飽和脂肪酸 (n-3系PUFAs) を多量に含有する魚脂が, 最近様々な分野で注目されている. その作用は, 細胞膜の構成成分としての作用やプロスタグランディン (PGs) およびロイコトリエン (LTs) などのエイコサノイドを介しての作用のほか, まだ解明されていないものもある. 小児科領域では, 新生児・乳児の視機能および脳の発達に対する作用, 抗炎症および抗アレルギー作用・脂質低作用などが実際に臨床応用されている. 当教室での臨床および動物実験においても, 炎症性腸疾患やアレルギー性疾患に対するn-3系PUFAs投与の有効性が確認されている.
著者
鎌田 彩子 大日方 薫 鈴木 光幸 春名 英典 木下 恵司 清水 俊明
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.256-260, 2012-06-30 (Released:2014-11-11)
参考文献数
20

症例 (13歳4ヵ月女児) は1歳頃より偏食傾向と体重減少がみられ, 1歳11ヵ月時に大球性正色素性貧血, 骨髄での巨赤芽球性変化, 血清ビタミンB12の低下を認めビタミンB12欠乏性巨赤芽球性貧血と診断された. ビタミンB12投与後貧血は改善し, 摂食状態や身体発育も正常化した. しかし補充を中止するとビタミンB12値は漸減した. 低ビタミンB12血症の原因として摂取不足のみならず, 吸収障害の関与も考えられた.
著者
高森 建二
出版者
順天堂大学
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.193-199, 2007-06
被引用文献数
1

痒みには抗ヒスタミン薬が奏効する痒みと抗ヒスタミン薬に抵抗する痒みがある.前者の痒みはヒスタミンが痒み発現に主要な役割を演じている末梢性の痒みの場合である.一方,後者の痒みは,いわゆる難治性の痒みと言われる痒みで,痒み発現に蛋白分解酵素(トリプターゼなど)や炎症性サイトカイン(TNFα,IL-1など),好酸球由来因子(活性酸素ECP,MBP)などヒスタミン以外のケミカルメディエイターが痒み発現に関与している場合,あるいは求心怪C線経が機械的,化学的あるいは温度刺激のような外部からの刺激により活性化される場合,あるいはオピオイドペプチド/オピオイドレセプター系の関与する中枢性痒みメカニズムによる場合などである.抗ヒスタミン薬の奏効しないいわゆる難治性痒みを呈する疾患には腎不全に伴う血液透析患者や胆汁うっ滞が原因で生じる黄疸や肝硬変などの肝疾患やアトピー性皮膚炎などの痒みがある.本講演では腎透析に伴う痒みとアトピー性皮膚炎に認められる痒みの発現メカニズムと対策について考察した.腎透析に伴う痒みの原因としてヒスタミン,セロトニン,ECP,副甲状腺ホルモン,補体の活性化,皮膚の乾燥など多くの因子が推定されているが,これらの血中濃度や症状と痒みの強さが相関しないこと,抗ヒスタミン薬が奏効しないこと,それぞれの因子に対して対処しても痒みが抑制されないこと,などからこれらの因子は否定的である.われわれは本症の痒み発現にオピオイド系(μ-オピオイド系とκ-オピオイド系)が関係していることを示し,κ-オピオイド系を優位にすることにより痒みが抑制されることを示した.アトピー性皮膚炎の痒み発症には多くの因子が関与している.肥満細胞由来因子(ヒスタミン,トリプターゼ,TNFαなど),表皮内神経線経,サブスタンスP,好酸球由来因子(活性酸素,ECP,MBP),リンパ球由来サイトカイン(IL-2ケラチノサイト由来炎症性サイトカイン,オピオイドペプチド/オピオイドレセプターなどである.従ってアトピー性皮膚炎の痒みを一元的に捉えるのではなく,多元的に捉え対処する必要がある.本講演では痒み閾値の低下の原因と考えられる表皮内神経線経とオピオイド系の痒み発現への関与と対策について考察した.
著者
岡田 隆夫 アレン ブルース 檀原 高
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.349-356, 2001

目的: 医学部を卒業しても医師国家試験に不合格となる, 特に成績の不良な学生をできるだけ早い段階で特定する方法を模索した.対象と方法: 平成7年度から12年度までの6年間の6年生の卒業試験成績, および彼等の各学年での席次を調査した. また, 彼等の所属クラブも参考にした.結果: 卒業試験における得点と席次との関係から卒業延期または医師国家試験に不合格となる確率が極めて高い (60-80%) 学生を特定することができた. 彼等の各学年における成績を遡及的に調べた結果, 彼等には臨床医学の知識よりも基礎医学の知識が不足している傾向が強く, BSLにおける自学自習のためには基礎医学の知識が重要であることが示唆された. 基礎医学と臨床医学の成績を総合して将来落ちこぼれる可能性の高い学生をピックアップする基準を設定した.結論: 上記基準を用いることにより約80%の落ちこぼれ学生を4年生終了時点で捉えることができる可能性が示唆された.
著者
西村 豐作
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.23, no.83, pp.540_1-540_1, 1890
著者
柘植 俊直 ウィグノ プロドジョスドジャジ モハマド ヨギアントロ 来栖 厚 大澤 勲 小林 則善 清水 芳男 スハードジョノ ダルメイザー ジノヴァ ナインゴラン アイーダ リージャ プラナワ チャンドラ モハニ ジョーコ サントソ ウィドド リザニアンシャ 堀越 哲 富野 康日己
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.100-106, 2010

背景 : 慢性腎臓病 (CKD) は, IgA 腎症やループス腎炎などの慢性糸球体腎炎, 糖尿病腎症や腎硬化症など, 全ての慢性腎臓病を含んだ疾患概念である.CKD は末期腎不全 (ESKD) の準備状態であると同時に, 心血管疾患 (CVD) の重大なリスク因子であることが明らかとなっている.アンジオテンシン変換酵素 (ACE) 阻害薬やアンジオテンシンII受容体拮抗薬 (ARB) は, 降圧薬として広く用いられているが, 両薬剤の腎保護効果にも注目が集まっている.今回, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学は, 高血圧を伴うCKD 患者におけるACE阻害薬イミダプリルの尿蛋白減少効果を検討する共同研究を行った.方法 : 23名の高血圧を伴うCKD 患者にカルシウム拮抗薬 (CCB) とイミダプリルを投与し, 腎機能と尿蛋白量の変化を治療前後で比較した.CCB を投与している患者にイミダプリルを追加投与 (5mg/日) し, 血圧が目標値 (130/85mmHg未満) に達しなかった場合には, さらにイミダプリルを10mg/まで増量し, 投与後12 ヵ月で評価した.結果 : CCB にイミダプリルを加えることによって, 6 ヵ月後・12 ヵ月後の収縮期血圧および拡張期血圧は有意に低下した.尿中アルブミン排泄量は, 投与開始時には顕性蛋白尿レベル (0.3g/g・Cr以上) であったが, 6 ヵ月後・12 ヵ月後は共に微量アルブミン尿レベル (0.299g/g・Cr 以下) にまで有意に減少した.結語 : イミダプリルとCCB の併用によるCKD 患者の腎保護効果を, 順天堂大学とインドネシア大学, アイルランガ大学の共同研究により検討した.イミダプリルを軸とした治療により, CKD患者の血圧は有意に低下し, 尿中アルブミン排泄量は有意に減少した.以上より, イミダプリルは高血圧を伴うCKD 患者において, 腎保護的に作用することが確認された.
著者
大塚 親哉
出版者
順天堂医学会
雑誌
順天堂医学 (ISSN:00226769)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.182-190, 1996

終戦後間もない1947年から2年間, 第一次ベビーブームといわれた. 第二次ベビーブームは1971年からの3年間で, それ以降の出生数は減少の一途をたどり, 1995年の出生数は最盛期の4割強である119万人になってしまった. 小児科はその影響を受けることになる.1959年からの大学院を含めれば37年間, 1963年, 助手として勤務開始以来33年間, ベビーブームから少子時代への変遷の中に身を置き, 教育・診療・研究の日々を過ごした. 診療実績・研究成果, 思い出はさまざまであるが, 勤務開始以来の33年間を, 1) 紛争のdecade 2) 粛々のdecade 3) 浦安のdecadeの3つに分け, 私の感想と共に回顧したいと思う.