著者
伊藤 伸泰
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.478-487, 2012-07-05 (Released:2018-03-02)
参考文献数
61

物理学が無限大の代名詞として扱ってきたアボガドロ数に,計算機の発達により手が届きはじめている.1秒間に1京演算以上を実行するという10PFLOPS以上の性能を持つ計算機によってである.こうした「アボガドロ級」計算機を活用すれば,ナノスケールからマクロスケールまでをこれまで以上にしっかりとつなぐことができると期待される.比較的簡単な分子模型を多数集めた系の計算機シミュレーションによる研究の結果,熱平衡状態および線形非平衡現象の実現と解析は軌道にのり,さらに1,000^3個程度の系を念頭に非線形非平衡現象へと進んでいる.非線形非平衡状態を解明し飼い慣らした次に期待されているのは,生物のような自律的に機能するシステムをナノスケールの計算で得られた知見に基づいて解明し自在に作り出す技術を確立することである.そのためにはアボガドロ級の計算機で実現する10,000^3個程度の系のシミュレーションが強力な手段となる.この可能性を検討する「アボガドロ数への挑戦」が,現在,進行中である.
著者
井上 寛康 戸堂 康之 藤原 義久 伊藤 伸泰
出版者
兵庫県立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2021-04-01

災害などのショックでは連鎖的な破綻など複雑な現象により被害が深刻化するが、従来研究のモデルではこのような過程を検証できない。複雑な現象の原因は企業をとりまくネットワークにあり、実際のネットワークデータなしで現実の現象を把握するのは困難である。そこで、大規模で網羅的なサプライチェーンデータを元に企業の生産活動をモデル化し、富岳コンピュータを用いたシミュレーションにより、災害や感染症対策が経営・経済に与える影響の精細かつ柔軟な推計を行う。本研究では160万を超える企業のサプライチェーンと600万を超える事業所のデータと富岳コンピュータを用いる。
著者
伊藤 伸介
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.58, no.11, pp.836-843, 2016-02-01 (Released:2016-02-01)
参考文献数
12

本稿では,政府統計に関するデータシェアリングに焦点を当て,わが国における政府統計のデータシェアリングの現状と今後の方向性について述べた。政府統計データにおいては,統計表の公表だけでなく,匿名化ミクロデータの提供,個票データの提供,オーダーメード集計,オンデマンド型の提供サービス,オープンデータ化といったように,データの秘匿性と利用者のニーズに合わせた形で,さまざまな形態による提供が行われてきた。他方,政府統計に関するデータシェアリングをさらに展開するうえでは,異種の統計調査のデータリンケージ,ビッグデータとしての政府統計の利用可能性,メタデータの整備といった課題についてさらなる検討が必要だと考える。
著者
伊藤 伸介 石田 賢示 藤原 翔 三輪 哲
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.32, no.2, pp.321-336, 2017 (Released:2018-03-27)
参考文献数
37
被引用文献数
1

本稿では,公的統計の個票データ(調査票情報)の申請と活用の方法について解説した.統計法改正により,現在では,公益性のある学術研究ならば,公的統計の個票データにもアクセスできるようになっている.利用申請が承認されたのちには,テキスト形式の個票データ,データのレイアウト表と符号表が収録されたCDRが届くことになる.個票データを自由に扱うことで,様々な変数の加工・作成やそれら変数間関連の分析をおこなうことができる.公的統計の個票データの分析で基礎的な変数の関連パターンを精確に明らかにできるため,そこから導かれた発展的な問題に対しては個別具体的な社会調査でアプローチする研究プロセスが考えられる.そのように,公的統計の個票データと社会調査データを組み合わせることで,優れた計量社会学的研究が蓄積していく可能性が拓かれる.
著者
伊藤 伸幸 ITO Nobuyuki
出版者
名古屋大学文学部
雑誌
名古屋大学文学部研究論集 (ISSN:04694716)
巻号頁・発行日
no.63, pp.47-71, 2017

En Mesoamérica, es común encontrar ejemplos de varias combinaciones de animales representados en el arte prehispánico. Se considera más acertado interpretar la presencia de una criatura sagrada dentro de su contexto cultural, como en la Costa Sur de Mesoamérica, a la cual región cultural pertenecen las Cabezas de Jaguar Estilizado, debido a que hay varios complejos de una amplia gama de este tipo de fauna, representada en forma de una criatura sagrada. El concepto ideológico de la Cabeza de Jaguar Estilizado se ha identificado en el área Occidental de El Salvador. La mayoría de estas esculturas comparte las mismas características, como los ojos huecos, y un objeto saliente en las fauces. Por esta razón, es de esperarse que el Occidente de El Salvador pudo formar una región homogénea en la cual la sociedad compartía una misma ideología del cosmos plasmada por medio del concepto de la Cabeza de Jaguar Estilizado. Por otra parte, en la zona arqueológica de Chalchuapa se mantenía para ese entonces una tecnología de alta calidad y un sistema de escritura estructurado, que también destacaba políticamente en el Occidente de El Salvador, por la presencia del denominado "Altar Tetrápodo" o trono. A través de esta visión de las esculturas que representaron el poder y la ideología, Chalchuapa pudo haber sido la capital del territorio Occidental de El Salvador.
著者
和田 成一 倉林 秀光 小林 泰彦 舟山 知夫 夏堀 雅宏 山本 和夫 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.471-477, 2003-04-25
被引用文献数
2 18

三種類の細胞, CHO-K1, HMV-IIおよびL5178Yを用いてγ線照射によるDNA損傷と細胞死との関係を調べた.細胞の生存率はクローン形成法によって求められた.放射線照射によるDNA鎖切断とその再結合はアルカリ及び中性コメット法で測定された.三種類の細胞の中ではL5178Yが最も放射線感受性で,CHO-K1とHMV-IIは放射線抵抗性であった.これらの細胞の放射線感受性(2Gy照射時の生存率)と,アルカリ条件下での単位線量あたりの初期DNA損傷生成率の間には負の関係が認められた.一般に細胞の放射線感受性に関連すると考えられているDNA二本鎖切断の単位線量あたりの残存量(照射4時間後)と放射線感受性との間にも負の関係が認められた.今回用いた分析条件では,DNA初期損傷の評価にはアルカリ条件が,残存損傷の評価には中性条件が適することが分かった.今回用いたコメット法は,放射線によるDNA損傷を検出する他の方法よりも簡便で迅速であるので,放射線感受性を予測する方法として有用であると思われる.
著者
伊藤 伸泰 尾関 之康 野々村 禎彦
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.336-347, 1999-05-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
47

非平衡状態から熱平衡状態への緩和の様子から系の熱力学的性質を解析する方法が提唱され, さまざまな問題へと応用が広がっている. 簡便かつ効率的で信頼性も高い「非平衡緩和法」と呼ばれるこの方法の特徴と実例とを計算物理の視点から紹介する.
著者
伊藤 伸江
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.12-21, 2000-12-10

伏見院は、持明院統の治天の君として、二度政を執っているが、京極為兼を撰者に加えた勅撰集編纂の試み(永仁勅撰の儀)がついえた苦い経験を持っている。為兼配流、自らの退位、後継の後伏見天皇の退位と続く政治的な挫折と、勅撰集編纂計画の頓挫を経験する第一次院政期において、伏見院はどう詠歌を試みたか。『歌合』(正安元年〜嘉元二年)を題材に、後鳥羽院を意識し継承しようとする伏見院の帝王たらんとする心情を論じた。
著者
伊藤 伸泰 尾関 之康 野々村 禎彦
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.336-347, 1999-05-05
被引用文献数
1

非平衡状態から熱平衡状態への緩和の様子から系の熱力学的性質を解析する方法が提唱され, さまざまな問題へと応用が広がっている. 簡便かつ効率的で信頼性も高い「非平衡緩和法」と呼ばれるこの方法の特徴と実例とを計算物理の視点から紹介する.
著者
柿崎 竹彦 横山 裕貴子 夏堀 雅宏 唐沢 梓 久保 聡 山田 直明 伊藤 伸彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.361-365, 2006-04-25

犬における血漿中プロベネシドの測定と共にその血漿蛋白結合特性および薬物動態学的パラメータを求めた.血漿中プロベネシド濃度はHPLCによって良好な直線性および添加回収率が示され,血漿試料の定量限界はS/N比3として約50ng/mlまで塩酸とメタノールによる簡便な試料処理によって測定された.プロベネシドは犬血漿蛋白と高親和性低結合容量および低親和性高結合容量の2相性の結合特性を示し,この結果より犬血漿中ではその後in vivoで観察された濃度範囲(<80μg/ml)で80〜88%のプロベネシドが血漿蛋白との結合型で存在することが示された.プロベネシド(20mg/kg)静脈内投与後の血漿中消失プロフィールより,2コンパートメントモデルがもっともよく適用され,その血漿クリアランスは0.34±0.04ml/min/kg,定常状態の分布容積は0.46±0.07l/kg,消失相の半減期は18±6hr,平均滞留時間(MRT)は23±6hrであった.プロベネシドは酸性薬物に対する腎尿細管での強力な能動分泌阻害薬であることと,その血漿蛋白結合率が高いために,血漿蛋白結合および薬物動態に関する著者らの知見は,本薬物による犬や他の動物種における薬物相互作用の基礎的情報を提供すると考えられる.