著者
松村 行雄 松村 麻実 大田 健
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1340-1344, 1994
被引用文献数
1

東京の下町, 荒川区に位置し, アレルギー性疾患が全患者の6割を占める当診療所の患者病歴の分析から, 東京都心におけるアレルギー性疾患の特徴を, 特に成人の喘息を中心に検討した. 1991年10月の外来で, 歩いて通院可能な近所に居住する15歳以上の成人喘息患者のうち, 当地で発症した者が84名であった. アトピー型57名68%, 混合型13名15%, 感染型14名17%で, 通常の統計よりもアトピー型が多い. このうち40歳以上で発症した25名中でも8名がアトピー型, 5名が混合型で, 抗ハウスダスト IgE抗体陽性者が11名あった. 喘息の専門診療所というクチコミや他医からの紹介などで, 地域の中でも比較的難治性の喘息が集まっていると思われるにもかかわらず, アトピー型が多いということは, 都心部の喘息の特徴を現している可能性があり, スギ花粉症が杉林の多い山村よりもむしろ都会に多いということと考え合わせる時, 重要な研究課題を示唆しているように思われる.
著者
鈴木 慎太郎 中村 陽一 川野 豊 西岡 清
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.7, pp.832-836, 2006
被引用文献数
3

症例は22歳の男性.アナフィラキシーショックで当院に搬送され,直前の食事内容と既往歴より青魚による食物アレルギーが当初最も疑われた.以後,抗原除去を指示して外来経過観察していたが,翌月,翌々月にもアナフィラキシーで来院したため,より詳細な問診を実施したところ被疑抗原として納豆が考えられた.精査入院し,抗原負荷テストを施行し,納豆50gを摂取後9時間後に膨疹など皮膚症状や胸痛を主としたアナフィラキシーが再現され,納豆による食物アレルギーと診断した.ここ数年,納豆によるアナフィラキシーの報告が散見され,摂取後半日経過してから症状を呈する「遅発性」アレルギーと称される特徴的なパターンを示すことが多いとされる.日本の伝統食品でもある納豆は近年海外でも健康食品として注目されており,納豆アレルギーの存在が周知されることが望ましい.
著者
木村 努 石川 伸広 新海 健吉
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.248-255, 1991
被引用文献数
5

低分子化合物に対する抗体産生能をH-2ハプロタイプの異なるマウスで比較検討することは, 薬剤アレルギーの基礎的解析上, 意義のあるものと考えられる. こような検討は従来, 高分子物質で行われており, 低分子化合物についてはほとんどなされていないため, 今回 TNBS を免疫抗原としてとりあげて実験を行った. 免疫動物としてA/J (H-2^a), C57BL/6 (H-2^b), DBA/2 (H-2^d), C3H/He (H-2^k) の各系統マウスを用い, TNBS (30 & 300μg/body) を FCA 併用 (ip or sc) で免疫し, IgG および IgE 抗体産生能を2-ME 処理血清試料での HA と無処理血清試料でのラット PCA 反応によりそれぞれ調べた. その結果, DAB/2は IgE 産生に高応答を示し, 一方 C3H/He は IgG 産生に高応答を示した. 次に, A/Jは IgG と IgE の両者で高い応答性を認めた. C57BL/6は IgG, IgE ともに低〜中応答性であった. A/Jの H-2ハプロタイプ (H-2a) はK領域から E_α 亜領域までがH-2^k由来の, また S 領域と D 領域がH-2^d由来の遺伝子をもっていることから, 上記のような現象が認められたものと推察された.
著者
小野 俊孝 小幡 俊彦 小田島 安平 赤沢 晃 近藤 知巳 飯倉 洋治 石原 融 吉沢 晋 菅原 文子
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.976-983, 1987
被引用文献数
3

最近, ポータブルの空気清浄器が普及しつつあるが一般家庭での浮遊塵除去能, 喘息児に対する臨床的効果についての検討は少ない.今回, 空気清浄器(EH351W松下電工(株))を用いて, 症状の持続する喘息児12例(中等症3例, 重症9例)を対象としてその効果を検討した.particle counter (KC-01 RION Co.Ltd)にて測定したふとん敷きによる浮遊粒子の変化では, 良好な集塵効果が認められ, 室内浮遊真菌についても明らかな低下がみられた.臨床的効果については, 喘鳴, 咳嗽, 日常生活障害及び睡眠障害の有意な(p<0.05-0.01)低下と, 発作の抑制が認められた.総合効果判定では, 有効以上6例(50%), やや有効以上9例(75%)で, 悪化例はなかった.以上より, 空気清浄器(EH351W)は, 室内浮遊塵, 浮遊真菌を除去する効果があり, 臨床的にも環境整備の有力な手段になると考えられた.
著者
金子 栄 各務 竹康 松尾 裕彰 直良 浩司 森田 栄伸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.1250-1257, 2014

【背景・目的】アトピー性皮膚炎は慢性・反復性経過をとる疾患であるために,継続した治療が必要である.併せて患者の生活に配慮した指導が重要である.これまでの医師及び患者に対しての調査からは「外用薬の塗り方の指導」が重要であることが判明した.今回,「外用薬の塗り方の指導」について重要な役割を担う薬剤師に指導についてのアンケート調査を行った.【方法】島根県および広島県の病院および調剤薬局にアンケートを配布し,勤務する薬剤師全員にアンケートを依頼した.アンケートは指定した項目ごとに指導しているものを選択する形式とし,自由記述欄も設けた.【結果】集まった548通(回収率13.8%)を解析した.皮膚科の処方箋を扱わない薬剤師も多く, 1日で取り扱う処方箋枚数の中央値は1枚であった.ステロイド外用薬で最も多く指導している項目は,「塗布部位」(86%)でついで「回数とタイミング」(68%)であった.「副作用が出ないように少量塗布を指導」も45%の人が選択していた.タクロリムス軟膏については副作用の「ヒリヒリ感の説明」が最も多く(52%),ステロイド外用薬と保湿剤にくらべ,「パンフレットにて指導」(27.3%)が多くみられた.「実際に塗って塗り方を指導」は,どの外用薬でも少なかった.自由記述欄での医師への要望は用法用量の確実な記載と外用量指示が多く,失敗談の欄では自身の指導不足や副作用を説明することにより患者が外用しなかったことが挙げられていた.【結語】今回のアンケート調査により,薬剤師は外用薬の用法用量の指導を最も重視していることが明らかとなった.クロス集計からは,アトピー性皮膚炎診療ガイドラインを知っている薬剤師が有意に様々な指導を行っていることが判明し,まずは薬剤師へのガイドラインの普及が重要と考えられた.
著者
高橋 清 宗田 良 岸本 卓巳 松岡 孝 前田 昌則 荒木 雅史 谷本 安 河田 典子 木村 郁郎 駒越 春樹 谷崎 勝朗
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.686-692, 1992
被引用文献数
1

自律神経系の機能異常に基づく各種アレルギー性肺疾患病態における肺肥満細胞の役割を解明する目的で, 酵素処理法, percoll遠心法, 付着細胞除去法によって得られた高純度ヒト肺肥満細胞のアセチルコリンに対する反応性を, ヒスタミン遊離率を指標として検討した. その結果, 肥満細胞からのヒスタミン遊離はアセチルコリンの濃度に依存し, 10^<-5>で有意に亢進していた (p<0.05). また, アセチルコリンは抗ヒトIgE家兎血清によるヒスタミン遊離を相対的に増加させた. なお, かかるヒスタミン遊離はアトロピンでは部分的にしか抑制されなかった. 一方, ヒト末梢血好塩基球はかかるアセチルコリンに対する反応性が認められなかった. 以上の結果より, ヒト肺肥満細胞はIgE受容体のみならず, アセチルコリン受容体を介する反応により自律神経系の標的細胞として各種アレルギー性肺疾患の発症機構の一端を担っていることが示唆された.
著者
阪口 雅弘 井上 栄 宮沢 博 岡部 俊成 安枝 浩 赤坂 徹 武藤 敦彦 田中 生男 Wu Chii-Huei Chapman Martin D. Schou Carsten
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.1309-1315, 1994
被引用文献数
10

クロゴキブリアレルゲンに対する感作状況を調べるため, 喘息児171名のゴキブリに対する IgE抗体陽性率と家庭内のゴキブリ主要アレルゲン量を測定した. 喘息児171名のクロゴキブリおよびチャバネゴキブリとダニに対する IgE抗体をCAP法で調べたところ, 喘息児の特異IgE陽性率はクロゴキブリ16%, チャバネゴキブリ9.9%とダニ85%に比べ, 低かった. ゴキブリアレルゲンは10軒中8軒にみられた. 居間, 台所, 寝具のゴミ中のゴキブリアレルゲンは台所で最も高かったが, いずれの場所でもダニアレルゲンに比べ, 低かった.
著者
杉本 日出雄 白井 康仁 小幡 俊彦
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.254-261, 1987
被引用文献数
3

気管支喘息児の施設入院療法の効果を身体面の因子から検討した.対象は, 国立療養所東埼玉病院に入院した入院時重症度が全例重症の気管支喘息児87名である.身体面の因子として, 身長, 体重, 呼吸機能, 運動負荷後の呼吸機能の最大低下率, acetylcholine閾値, 50m走, 持久走のタイムを測定し, 入院時, 1年後, 退院時の値の比較を行った. その結果, 1.身長, 体重はそれぞれ増加したが, Zスコアーで比較すると, それぞれの時期の間に有意な差は認められなかった.2.呼吸機能は予測値に対する割合でみると, FVCは入院時から正常な値を示したが, FEV_<1.0>, PEFRは低値を示し, 1年後, 退院時においても有意な改善は認められなかった.3.運転負荷後の呼吸機能の最大低下率は1年後からの有意な改善が認められた.4.acetylcholineの閾値は1年後から有意な改善が認められた.5.50m走, 持久走は1年後から有意な向上が認められた.以上より, 施設入院療法により身体面の因子に対しても改善がはかれることがわかった.
著者
北尾 友幸
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.34, no.10, pp.911-921, 1985
被引用文献数
1

indirect enzyme-linked immunosorbent assay により, ダニ(Dermatophagoides farinae, 以下DF)による鼻アレルギー患者の DF 特異的血清 IgG および IgG4抗体を測定し以下の結果を得た.1.DF 鼻アレルギー症例の39.5%に IgG 抗体価陽性例が, 31.6%に IgG4抗体が検出された.2.性差・年齢による両抗体の大きな変動はなかった.3.IgG, IgG4抗体ともにIgE RAST score 1 未満症例の約30%に陽性例, 検出例がみられた.4.IgG4抗体は喘息合併症例で有意に高率に検出された.5.DF による減感作治療症例の検討により, 両抗体は減感作治療により上昇することがわかった.6.減感作治療による上昇は, IgG4抗体において著明であることが考えられた.7.減感作による両抗体の上昇と臨床効果の間には相関がみられなかった.したがって, DF 鼻アレルギー患者では, DF特異的血清 IgG および IgG4抗体を, いわゆる遮断抗体とは考え難いとした.
著者
長谷川 昌弘 藤沢 隆夫 駒田 幹彦 内田 幸憲 灰原 クリスティーナ
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.173-180, 1991
被引用文献数
12

小児気管支喘息患者において, 好酸球中に含まれる顆粒蛋白の一つである eosinophil cationic protein (ECP) の血中濃度を測定し臨床的パラメータ-との関連, 日内変動の有無について検討した. 対象は重症気管支喘息患児89名, 非アレルギー正常小児及び成人16名で, 6, 12, 17, 21, 翌朝6時に血清 ECP, 好酸球数(Eo), 肺機能を測定し, 臨床症状と合わせて検討した. ECP は radioimmunoassay にて測定した. 血清 ECP, Eo ともに非アレルギー群と比較して喘息群で高く特に採血時に喘息発作が認められたとき有意に高値を示した. 発作前後の変動では血清 ECP は発作後24時間まで高値であり, 7日以内に発作前値に戻った. 一方, 一定の日内変動リズムは認められなかったが, 喘息群 (非発作群) では有意に変動幅が大きく, 不安定であった. ECP と採血前2ないし8週間の発作点数の合計, 肺機能とは相関はなかった. 以上より血清 ECP は喘息特にその活動期に高値となり, 好酸球の活性化の状態を反映している可能性が考えられた. 今後, 気管支喘息の臨床評価の一手段として有用であると思われた.
著者
丸尾 はるみ 橋本 景子 下田 恵子 島貫 金男 中山 徹 山口 博明 椎貝 典子 内村 公昭 三ツ林 隆志 赤坂 徹 前田 和一 岡田 文寿 鈴木 五男
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.7, pp.621-630, 1990
被引用文献数
7

1988年, 小児気管支喘息の長期予後と予後に影響する因子を明らかにするため, 1,592名(男1,038, 女554)を対象としてアンケート調査を行った.調査時の年齢は平均20歳(観察期間は平均12年)であり, 長期予後は緩解が75.6%, 軽快が18.2%, 不変が4.0%, 悪化が0.9%, 死亡が1.3%であった.発症年齢は平均2.7歳であり, 20年前の報告と比べて約1歳低年齢化していた.治癒年齢は男子が平均13.0歳, 女子が12.3歳であった.発症年齢が2歳以下, 発症から初診までの期間が10年以上, 初診時の重症例, 入院歴のある者, 食物アレルギーの有る者の緩解率は不良であった.食物アレルギーが有る者は喘息発症年齢が約1歳低く, 初診時の重症例, 乳児期湿疹のある例, 喘息以外のアレルギー疾患を2つ以上合併している例が多かった.このような乳児喘息例を難治性喘息のハイリスク児としてとらえ、綿密な指導と経過観察が必要であると考えられた.
著者
中村 晋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.361-364,414-41, 1971
被引用文献数
1

Pancreatin は散剤として, また合剤として錠剤中にも含まれ, 広く調剤に使用されるごくありふれた消化剤であるが, 著者は最近これによって惹起されたと考えられる職業性アレルギー症に1例を経験し, アレルギー学的検索を試みたのでその成績を報告した.症例は46才の男子, 某病院の薬局長, 1949年以来薬剤師として勤務しているが, 1955年より薬局調剤室で Pancreatin の調剤をすると鼻汁, くしゃみ, 呼吸困錠をきたし, 過去3回喘息発作をみたと訴えて最近われわれのAllergy Centreを訪れた.患者は休暇や出張で仕事から離れると調子が良いといい, 1960年 Festal 難を内服した時に著明な腹痛("腹が煮え返るような")をきたしたという.著明な末梢血好酸球増加はみられなかったが鼻汁中好酸球増加を認めた.Routine に行なう吸入性抗原液による皮内反応はすべて陰性であった.そこで無菌化した Pancreatin 溶液による scratch-patch test, 点鼻試験, 吸入誘発試験, PK反応を試みたところ陽性を呈した.そして pancreatin 液による皮内反応では著明な陽性反応があらわれ, 喘息発作, 結膜充血および蕁麻疹の如き全身症状を続発した.以上の病歴ならびにアレルギー学的検索成績から本症例は pancreatin により惹起された職業性アレルギー症と考えられた.著者は薬剤師や製薬会社の社員の間にも種々の職業性アレルギーが存在する可能性を指摘し, この問題を検討する必要性を強調した.
著者
西端 慎一 井上 栄 雑賀 寿和 佐橋 紀男 鈴木 修二 村山 貢司 横山 敏孝 斎藤 洋三
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.597-604, 1999
被引用文献数
14

東京都の3地区(あきる野市,調布市,大田区)の住民を対象に,アンケート調査と検診(スギ特異的IgE検査)によるスギ花粉症有病率調査を行い次の結果を得た.1)東京都における平成8年度のスギ花粉症有病率は,あきる野市で25.7%,調布市で21.1%,大田区で17.7%であった.2)年齢別有病率では30〜44歳がもっとも高く,あきる野市では40%を越えた.3)平成8年度の東京都全体のスギ花粉症推計有病率は19.4%で,昭和60年度の約2倍であった.4)最近約10年間での有病率の増加は,地区別では花粉数の多いあきる野市で高く,年齢別では14歳以下の低年齢層で高い傾向がみられた.
著者
中原 聰 芦田 恒雄 衛藤 幸男 吉川 恒男 井手 武 田端 司郎
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.104-109, 1990
被引用文献数
6

オオバヤシャブシによる本邦最初の花粉症が, 昭和62年4月, われわれの診療所で発見された.患者は54歳の主婦で, 15年来現住所の表六甲山麓に住み, 3年前から春季に花粉症症状に悩まされるようになった.六甲山系には古くより土砂崩れ防止の目的で, オオバヤシャブシが多数植林されており, 患者の住宅地一帯はオオバヤシャブシ林に囲まれて, 濃厚な花粉飛散の環境下にあった.したがって, 同地域住民のオオバヤシャブシ花粉症の多発が推測されたので, 翌63年春に花粉症疫学調査を実施した.その結果, 同地域とくに1丁目の住民には, オオバヤシャブシ花粉症の高い有病率が認められた.
著者
手塚 純一郎 本村 知華子 池井 純子 井手 康二 漢人 直之 後藤 真希子 田場 直彦 林 大輔 村上 洋子 森安 善生 スビヤント ケイジ 柴田 瑠美子 岡田 賢司 小田嶋 博 西間 三馨
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.1034-1042, 2008
被引用文献数
2 1

【目的】2006年9月よりブデソニド吸入用懸濁液(パルミコート吸入液^[○!R])の販売が開始され,乳幼児でpMDI+スペーサーによる治療以外にも吸入ステロイドの選択肢が増えた.しかし,メッシュ式ネブライザーを用いた検討の報告はない.今回,ブデソニド吸入用懸濁液のメッシュ式ネブライザーでの有効性・安全性について検討した.【対象および方法】6ヵ月以上5歳未満の気管支喘息と診断された児30名を対象に,2週間の観察期間後,Pari TurboBoy^[○!R]+LC Plus nebulizer^[○!R],Pari eMotion^[○!R],Omron MicroAir NE-22U^[○!R]の3機種に10名ずつ無作為に割り付け,ブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを1日1回朝に投与した.有効性および安全性の評価を,投与前,4週後,12週後に喘息日誌と血漿コルチゾール値・身長を用いて行った.【結果】対象3群のうち,投与前の血漿コルチゾール値は,Omron MicroAir NE-22U^[○!R]で有意に高かった.投与後の血漿コルチゾール値はOmron MicroAir NE-22U^[○!R]で4週の時点で有意に低下したが基準値を超えての低下は認めなかった.他のネブライザーでは有意な変化は認めなかった.また,投与前後の有症状日数は投与後に有意に低下していたが,ネブライザー間での有意な差を認めなかった.【結論】メッシュ式ネブライザーを用いてブデソニド吸入用懸濁液0.25mgを投与することは,有効かつ安全であることが示唆された.
著者
山本 哲夫 朝倉 光司 形浦 昭克
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1701-1706, 1993
被引用文献数
22 13

北海道のシラカバ花粉症とリンゴ果肉過敏症の関連について検討して以下の結果を得た. 1. シラカバ花粉症(症状とCAP陽性<スコア1以上>)83例のうち, 17例(20%)が問診上リンゴ果肉過敏症が合併しており, 他のアレルギーや他の花粉症に比して高率であった. 2. シラカバCAP陽性例は陰性例に比べリンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 3. シラカバ花粉症の中ではCAPによりシラカバの感作の程度が強い方が, リンゴ果肉過敏症の割合が多かった. 4. 北海道において問診にてリンゴ果肉過敏症が見られた場合, 花粉症の診断の参考になると思われた. 5. 日本においても, シラカバ花粉症のみられる地域ではリンゴ果肉過敏症は稀ではないと思われ, 注意が必要と思われた.