- 著者
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後藤 元
- 出版者
- 一般社団法人 日本内科学会
- 雑誌
- 日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
- 巻号頁・発行日
- vol.83, no.10, pp.1834-1840, 1994-10-10 (Released:2008-06-12)
- 参考文献数
- 16
呼吸器疾患はAIDSの最も重要な合併症であり, HIV感染者の65%において, AIDS初発症状は,呼吸器症状であり, AIDSの80%において,経過中なんらかの呼吸器疾患が出現する.これらは日和見感染症および腫瘍性病変から成るが,その頻度,重症度からカリニ肺炎が最も大きな問題となっている.カリニ肺炎に関する研究は,最近10年間に大きく進展し,基礎,臨床のいずれの分野においても,その内容はほぼ一変した観がある.本稿ではこうした状況を,カリニの分類学上の位置づけ,病態生理,伝播経路,診断,治療,および予防の各面から解説した.