著者
藤森 俊二 高橋 陽子 江原 彰仁 小林 剛 瀬尾 継彦 三井 啓吾 米澤 真興 田中 周 辰口 篤志 坂本 長逸
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.1, pp.50-57, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
15
被引用文献数
3

原因不明消化管出血(OGIB)は,原因検索追求の程度・再発性の有無により多種の消化管病変を含む.本邦では上下部消化管内視鏡を施行して原因が不明な消化管出血をここに含むことができるが,出血源が上下部内視鏡で検索が困難な小腸に存在するとは限らない.小腸内視鏡の進歩により50%近いOGIBの出血源を発見・診断・治療可能になった.同時に非ステロイド性抗炎症薬服用OGIB患者の出血源が高率に小腸潰瘍性病変であることが明らかとなり対策が求められている.
著者
針谷 正祥
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.10, pp.2851-2859, 2012 (Released:2013-10-10)
参考文献数
6

RA新分類基準はRAの疾患概念を「持続的関節炎または骨びらんを伴う関節炎に進展する可能性が高い末梢性多関節炎」と定義し,早期関節炎からRAを感度・特異度高く分類することが出来る.1カ所以上の腫脹関節を伴い,他疾患を除外した後に,罹患関節数と部位,血清学的反応,急性期反応物質,関節炎持続期間からなるスコアリングシステムを適用する.RA新分類基準を診断に用いる場合には,鑑別診断に特に注意する.
著者
小林 剛 佐藤 賢 山崎 勇一 大山 達也 堀口 昇男 柿崎 暁 草野 元康 山田 正信 横濱 章彦 岡本 宏明
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.11, pp.2215-2220, 2016-11-10 (Released:2017-11-10)
参考文献数
19
被引用文献数
2

52歳,女性.多発性骨髄腫に対して自家末梢血幹細胞移植後,複数回輸血を行った.定期受診の際に肝機能障害が認められ,精査目的で入院.HEV(hepatitis E virus)-IgA抗体陽性からE型急性肝炎と診断し,肝庇護療法にて軽快,退院とした.喫食歴からは感染源は特定できず,輸血による感染を疑った.輸血に使用したロットの保存血清からHEV-RNAが検出され,患者検体とHEVの塩基配列が一致したため,輸血によるE型肝炎と診断した.
著者
安部 秀斉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.5, pp.1048-1054, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10

糖尿病患者がネフローゼ症候群を呈するようになると,すでに腎機能低下が進行していることが多く,通常は,末期腎不全へ急速に進行する.したがって,microangiopathyとしての腎症だけでなく,併存するmacroangiopathyの管理が欠かせず,病態を十分に把握したのち,適切な治療が必要である.近年,集約的な治療によりネフローゼ症候群であっても,その進展を抑制する可能性が見出されつつある.
著者
山本 悌司
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.92, no.8, pp.1467-1471, 2003-08-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

薬物性パーキンソニズムはdopamine受容体阻害作用を有する薬物を使用した場合,高齢者,長期・大量服用者に出現しやすい.臨床症状はパーキンソン病と厳密に区別はできないので,それら責任薬物服用を証明することが重要である.左右対称性の運動障害,静止時振戦を欠く場合,口,舌部のジスキネジアを伴うなどの時は本症を疑う必要がある.服用中止ですみやかに症状が消失するが,数カ月を要する場合もあり,まれに永続的になる.抗コリン薬,アマンタジン, Lドーパ製剤の投与で臨床症候は改善する.中枢神経作動薬としての認識がない薬剤,たとえば胃腸運動機能調整薬長期服用者に本疾患が多いことを記憶する必要がある.
著者
佐藤 武
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.10, pp.2240-2245, 2004-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
17

内科疾患にうつ病を合併すると,内科疾患の転帰(予後)に大きな影響を与える.その臨床特徴は,アルコール症の家族歴のない患者で比較的急性に生じるうつ病,いわゆる反応性うつ病に類似し,薬物治療への反応もよく予後も良好であるといわれている.回復のプロセスは,内科疾患に罹患し,機能障害を有する患者の場合,まずショックから否認,否認から抑うつ反応,抑うつ反応から自立に対する反応,自立に対する反応から適応というプロセスをとる.このようなプロセスは癌告知から受容のプロセスも同様であるが,どの時点を評価するかによって,当然うつ病の合併率は異なる.これまでの報告では,癌患者の30~40%にはうつ病あるいは適応障害があると診断される. 6以上の抑うつ症状を有する患者は5以下の患者と比較して生存率が有意に低下していると報告されている.内科疾患とうつ病に関する最新情報として,高齢者のうつ病,サイトカインおよび内分泌機能などとの関連を紹介した.
著者
小林 弘祐
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.1590-1598, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
16

ALI/ARDSの予後は改善してきており,その主因は肺保護的換気モードの周知による.現在,死因は呼吸不全ではなく,多臓器不全がほとんどである.ICU重症患者の予後予測法で普及しているのは,米国ではAPACHE IVであるが,本邦ではSOFAとAPACHE IIである.現在,ヨーロッパを中心にSAPS 3を用いた研究が進行中である.生物学的マーカーは複合した方が予後予測精度はよく,単独ではIL-8とSP-Dが比較的有用である.重症度スコアリングはベンチマークを通して医療の質向上に役立つ.

1 0 0 0 OA 急性腹症

著者
瓜田 純久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.2, pp.495-503, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
3
著者
南学 正臣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.1, pp.136-141, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

慢性腎臓病(CKD)患者では,eGFRが60ml/minをきるとエリスロポエチン産生不足による腎性貧血が起こりうる.腎性貧血は組織での低酸素状態の原因となり,Cardio-renal anemia syndromeを引き起こし,血管病変を中心とした全身の臓器障害を進行させ,またそれがCKDの進展を加速することから,その治療の重要性が注目されている.造血刺激薬erythropoiesis stimulating agents(ESA)による治療は多面的な臓器保護効果も期待できるが,様々な臨床研究の結果,現時点では透析前のCKD患者と腹膜透析患者ではHb 11~13g/dL,血液透析患者ではHb 10~12g/dLを目標にESAで治療することがよいとされている.注意すべきはESA治療抵抗性患者の存在で,そのような患者は根底に慢性炎症や酸化ストレスがある可能性があり,いたずらにESAを増量するのではなく,ESA治療抵抗性の原因を検索しそれに対処することが重要である.
著者
田坂 定智
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.1529-1535, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

ALI/ARDSは,肺内に集積した好中球から放出される活性酸素や蛋白分解酵素などにより血管内皮の透過性が亢進することで生じる非心原性肺水腫である.ALI/ARDSの病態形成にはサイトカインや脂質メディエーター,凝固因子など数多くの分子が関与している.ALI/ARDSではシャント形成や拡散障害のため重篤な低酸素血症が生じるほか,肺コンプライアンスの低下,肺血管抵抗の上昇などの生理学的変化がみられる.

1 0 0 0 OA 4.感染症

著者
藤田 次郎 比嘉 太
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.4, pp.856-861, 2013 (Released:2014-04-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

糖尿病と感染症の合併という観点から,まず糖尿病発症の危険因子としての感染症の可能性が示唆されている.また一般的に糖尿病には様々な感染症が合併し,また血糖のコントロールが悪い症例においては,感染症が重症化しやすいことも事実である.糖尿病患者における易感染性,また糖尿病に特有とされる稀な感染症について紹介する.特に糖尿病患者における肺炎,糖尿病と肺結核との合併要因を示すとともに,糖尿病患者を介した肺結核の院内感染事例からの教訓について触れた.
著者
村川 洋子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.10, pp.2645-2652, 2013-10-10 (Released:2014-10-10)
参考文献数
9

妊娠可能年齢の女性が多く罹患する関節リウマチ・膠原病では,妊娠は重要な問題である.今日の治療の進歩とコホート研究によって,治療薬の妊娠への安全性も示されている.妊娠・授乳期はなるべく薬を使わないことが望ましいが,疾患の悪化は母体ばかりでなく児にも影響する為,必要最小限の安全性の確立した薬物にて疾患をコントロールすることが重要である.本稿では関節リウマチ・膠原病の治療薬と妊娠について概説する.
著者
藤村 吉博 松本 雅則 八木 秀男
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.5, pp.1296-1307, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
34
被引用文献数
2

溶血性尿毒症症候群(HUS)と血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)は共通病態として,溶血性貧血,血小板減少,血小板血栓による腎機能障害を示す.両者は共に先天性と後天性要因で生じ,屡々臨床的鑑別が困難である.TTP診断指標として近年ADAMTS13活性著減が重視されている.HUSは病原大腸菌O157感染に関連した後天性が多い.先天性HUSには補体調節因子やトロンボモジュリンの遺伝子異常を示すものがある.
著者
赤水 尚史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.104, no.9, pp.1844-1847, 2015-09-10 (Released:2016-09-10)
参考文献数
10
被引用文献数
1
著者
杉山 幸比古
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.9, pp.2524-2528, 2011 (Released:2013-04-10)
参考文献数
9