著者
岡安 大仁
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.2005-2009, 1996-12-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
4

Saunders Cが1967年にロンドン郊外に近代ホスピスを創設したことによって,ホスピス運動は,火の如く世界に広がりつつある.ここでは,ホスピスの具体例から解説するとともに,近代ホスピスの由来と働きの目標を述べ,さらに5つのタイプについても簡述した.さらにホスピスの教育が,今後の医学,看護教育に果たす役割りについてもふれ,また,ホスピスの研究が単に症状緩和にとどまらないことを強調した.
著者
太田 保世
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.1-3, 1999-01-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1
著者
山下 静也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.2, pp.306-315, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10
被引用文献数
1

欧米に比し冠動脈疾患の発症頻度が低い我が国でも,HMG-CoA還元酵素阻害薬(スタチン)投与の有効性のエビデンスが出てきている.特に,MEGAスタデイーでは食事療法単独よりも食事療法に加えてプラバスタチンを投与し,LDLコレステロール(LDL-C)を低下させた方が冠動脈イベントの発症を抑制させることが多数例で証明された.有名なJ-LIT研究でも約5万人規模の高コレステロール血症患者にシンバスタチンを投与し,投与中のLDL-Cレベルが高いと冠動脈イベントリスクが増加した.多価不飽和脂肪酸EPAをスタチンに追加投与したJELISではスタチン単独群に比し,LDL-C値とは無関係に冠動脈イベント抑制が認められた.このように欧米と同様に我が国でも脂質異常症治療の独自のエビデンスが得られてきており,脂質異常症治療の重要性が証明された.
著者
古市 賢吾 和田 隆志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.5, pp.1088-1093, 2014-05-10 (Released:2015-05-10)
参考文献数
11
被引用文献数
1

薬剤性急性腎障害は日常臨床のなかで常に発症する可能性のある病態である.軽微な急性腎障害であっても長期腎予後に影響がある事が明らかになり,急性腎障害を起こし得る薬剤の使用には十分な注意が必要である.また,それら薬剤の使用の際には,急性腎障害発症の有無に注意して経過を確認する必要がある.さらに,主要な薬剤の障害機序や急性腎障害が発症しやすい状況を理解し,発症を未然に防ぐことが重要である.
著者
野村 文夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.12, pp.3096-3102, 2013-12-10 (Released:2014-12-10)
参考文献数
12
被引用文献数
1

質量分析技術の臨床検査応用は急速に進んでいる.ステロイドホルモン,ビタミンD代謝物などの定量測定においてLC-MS/MSはイムノアッセイに比して特異性に優れ,高感度である.また,多項目の同時測定も可能であり,今後臨床化学領域において重要な地位を占めると予想される.一方,細菌検査室におけるMALDI-TOF MSによる細菌・真菌の迅速同定はすでにルーチン検査として行われている.
著者
田村 恵理 谷口 義典 西山 充 矢田部 智昭 井上 紘輔 荒川 悠 森 正和 池添 隆之 寺田 典生 藤本 新平
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.6, pp.1041-1050, 2016-06-10 (Released:2017-06-10)
参考文献数
10

65歳,女性.高血圧,肥満症で加療中であったが,全身倦怠感,尿閉のため当院受診した.両側水腎症を認め,腎後性腎不全に対し経皮的腎瘻造設術を施行したが,腎障害改善なく,原因不明の遷延性乳酸アシドーシス,無症候性低血糖も認められた.持続的血液濾過透析を施行下に腹部造影CT検査を施行し,腹壁皮下結節および腹直筋の不整肥厚などを確認した.皮下結節およびリンパ節の生検にて形質芽球性リンパ腫と診断した.化学療法を開始し,乳酸アシドーシスや低血糖は速やかに改善した.悪性腫瘍,特に血液系腫瘍ではWarburg効果がみられることがあり,原因不明の乳酸アシドーシスでは,原因として悪性腫瘍の可能性を念頭に精査する必要がある.
著者
浅川 明弘 乾 明夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.11-16, 2013 (Released:2014-01-10)
参考文献数
10
被引用文献数
2

機能性消化管障害は,遺伝・環境を含んだ生育歴を背景に,心理社会的ストレスが心身相関,特に脳腸相関における神経内分泌系の異常などをもたらし,閾値を越えた時に,消化管運動機能異常,内臓知覚過敏などが顕在化して発症する.診療においては,胃腸症状に焦点をあてた対症療法のみならず,原因となる要因,病態の上流に位置する心理社会的背景などを把握した根治治療,全人医療,個別化医療が要求されている.
著者
満田 年宏
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.11, pp.2748-2753, 2014

医療関連感染対策は日々改善されている.しかし,毎年新たな感染症(新興感染症:emerging infectious diseases)や再興感染症(re-emerging infectious diseases)も発生し,人類の脅威となっている.本稿では,多剤耐性菌関係以外の領域での新興感染症を含めた医療関連感染対策の最新事情について解説した.

1 0 0 0 OA 3.職業性喘息

著者
田中 裕士 田中 宣之
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.12, pp.3096-3102, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
15

職業性喘息の診断は疑って問診することから始まる.欧米では成人発症喘息の5~15%と言われているが本邦でのまとまった報告はない.職場での原因物質が高分子量の蛋白である場合はIgE依存性反応であるが,低分子量である化学物質である場合では必ずしもIgE依存性ではない.またこれらの感作期間のあるものとは別に,reactive airway dysfunction syndromeやirritant-induced asthmaがある.本稿ではきのこ栽培工場就労者にみられた検討をモデルとして,主に診断の複雑さについて述べる.
著者
長野 宏一朗
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.105, no.10, pp.2048-2054, 2016-10-10 (Released:2017-10-10)
参考文献数
7

・2025年,日本は超高齢社会を迎え,医療から介護への転換,病院完結型から地域完結型への転換が図られる.「地域包括ケアシステム」,「地域医療構想(ビジョン)」では機能分化と同時に医療連携の推進が重要である.ソーシャルワーカーは重要な役割を担うことから,人材の確保と教育,研修システムの構築が必要である.・退院支援は超高齢社会において重要性が高まり,施設間移動時における退院医療の意図的な取り組みが望まれる.・病院内の支援業務である退院支援・紹介受診・外来逆紹介・外来療養支援は相互に関連し,病院運営に欠かせない重要な役割を有している.・医療情報の共有にICTは有益なツールとなる.医療と介護の情報共有には必要な情報に差があることから障壁となっており,その対策が必要である.・国際医療連携では,言葉の壁や医療費,感染対策への対応が重要である.
著者
宮田 靖志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.2, pp.466-474, 2014-02-10 (Released:2015-02-10)
参考文献数
22
被引用文献数
1
著者
押味 和夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.958-961, 1994

末梢血中の顆粒リンパ球が2000/μl以上に増えている疾患を顆粒リンパ球増多症(GLPD)と呼ぶ.ただしウイルス感染による一過性の増加を除く, GLPDは, T細胞が増えるT-GLPDと, NK細胞が増えるNK-GLPDに分けられる. T-GLPDが多い. T-GLPDでは赤芽球癆による強い貧血が合併することがあるが,シクロホスファミドが著効を示す. NK-GLPDには,急性に経過し腫瘍死する予後不良の亜型もある.
著者
丸山 貴也
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3570-3577, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
21

高齢者にとって肺炎は,生命を脅かす重篤な疾患であり,肺炎球菌は最も頻度が高く,重症化しやすい原因微生物である.2009年のインフルエンザA(H1N1)の流行の際,肺炎球菌との混合感染による重症化が明らかとなった事や,近年,日本人を対象としたインフルエンザワクチンと肺炎球菌ワクチンの併用による予防効果,経済効果が報告された事から,両ワクチンの重要性が広く認知されるようになってきている.しかしながら,肺炎球菌ワクチンの公費助成については,国は主導しておらず,各自治体が独自に行っているのが現状である.今後は国民が公平にサービスを受けられる様,国が主導してワクチンの接種費用を助成し,両ワクチンの接種率向上に努める必要がある.
著者
白日 高歩
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.6, pp.1255-1261, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
16

COPDの外科療法として,機能改善に最も優れているのは両肺移植であるが,我が国ではドナー提供者が限られる事から実施状況は極めて少ない.一方,20世紀後半に世界的に盛んであったLVRS(Lung Volume Reduction,気管支鏡的肺容量減量治療)は今後の治療手段として期待される.
著者
渡邊 卓
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.3168-3174, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
15

検体検査においては,検査室での分析・測定の過程と同様,検体を採取し,これを検査室に搬入するまでの過程にも検査結果に影響を及ぼす可能性のあるさまざまな要因(preanalyticalな要因)が存在する.検体検査を適正に行いかつ評価するため,臨床医はpreanalyticalな要因について正しい認識を持つ必要がある.

1 0 0 0 OA 活性酸素

著者
青柳 一正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.936-940, 1991-06-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
16

各種の疾患において活性酸素が組織障害の直接的な原因物質であることが判明してきた.原子や分子が不対電子を有するとフリーラジカルと呼ばれ,一般に高い反応性を持つ.酸素がその分子の場合,活性酸素と呼ぶ.高い反応性を持つ活性酸素は生体に重要な物質の合成反応に用いられるが,制御されない物質の酸化は物質の変性を起こし,さらなる傷害を起こす.腎疾患を例にとると尿毒症の発症に伴い生成が著しく増加するメチルグアニジンは活性酸素とクレアチニンの反応生成物である.また,ネフローゼを起こすピューロマイシンアミノヌクレオシドは細胞における活性酸素の産生を増加させ,その産生増加はアラキドン酸代謝やPAFと関連していることが示唆された.外因物質による生体内の活性酸素の増加は,発癌や老化との関連があり,また,細胞における活性酸素の産生調節は疾病の治療薬の開発にとって重要である.
著者
峰 隆直 福武 尚重 小亀 孝夫 鈴木 洋 小正 尚裕 大柳 光正 安冨 栄生 岩崎 忠昭 西山 利正 荒木 恒治
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.293-295, 1995-02-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
2 1

症例. 59歳.男性.発熱にて発症.入院時白血球数23400/μl (peak 33800/μl),好酸球26% (max 78%),肝機能異常を認めた.血清学的沈降反応にてイヌ回虫抗原に沈降線を認め,イヌ回虫幼虫移行症と考えチアベンダゾール投与を行ったところ,白血球数,肝エコー所見,肝機能の改善を認めた.本症は牛レバーの生食により感染し,チアベンダゾールが有効であったイヌ回虫幼虫移行症の興味深い1例と考えられた.
著者
岡 慎一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.11, pp.2809-2813, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
10

新薬の開発により今後の治療法に新しい流れを生み出そうとしている.そんな中で,もっとも期待されているのが,新規プロテアーゼ阻害薬であるダルナビルとインテグラーゼ阻害薬であるラルテグラビルであろう.現在の併用療法は,必ず2種類の核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)が含まれている.しかし,治療の長期化に伴い,NRTIの慢性毒性が問題となっている.これら新薬を用いた,NRTIを含まない新しい併用療法への期待が高まる.
著者
内田 立身
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.6, pp.1194-1200, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
11

鉄の需要が供給を上回る状態が続くと,貧血のない鉄欠乏に陥り,さらに進行すると,鉄欠乏性貧血となる.鉄欠乏の進行により組織鉄欠乏を来し,舌乳頭萎縮や食道の襞形成,匙状爪などを呈するに至る.また異食症など特異な症状も見られる.鉄欠乏や鉄過剰にいたる経過をもっとも鋭敏にとらえる指標は,血清フェリチンである.日本人女性では約半数が何らかの鉄欠乏状態にあり,鉄欠乏性貧血は女性の10%程度の頻度でみられる.鉄欠乏克服の戦略として,鉄摂取への食事指導,鉄補助食品の使用,鉄添加食品の導入があげられる.