著者
Xia Shudong Wang Hongxia Zhang Xiaoliang Zhu Jianhua Tang Xiaoli
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
Internal Medicine (ISSN:09182918)
巻号頁・発行日
vol.47, no.7, pp.577-583, 2008
被引用文献数
8

<b>Objective</b> Isolated left ventricular noncompaction (ILVNC) is a rare congenital cardiomyopathy characterized by numerous excessive trabeculations and deep intertrabecular recesses. To date, the clinical features and genetic causes of ILVNC remain unclear. Here, we report the clinical presentation and genetic analysis of a five generation Chinese family with ILVNC.<br> <b>Methods</b> For this study, 21 living family members were recruited. Each individual underwent a detailed clinical examination for ILVNC. Peripheral blood samples were collected for direct gene sequencing to determine any mutations in the known disease-causing genes of ILVNC, which include the genes TAZ, DTNA, LDB3, LMNA and FKBP12.<br> <b>Results</b> Classic echocardiographic presentation of ILVNC was identified in the proband who had his first onset of heart failure at age 52. His 28-year-old son and 26-year-old daughter showed similar heart anomalies as their father. Although they had no symptoms to date, depressed ventricular systolic function was noted in both of them. Pedigree analysis suggested an autosomal domain mode of inheritance. DNA sequencing found no mutation in the known disease-causing genes of ILVNC. Interestingly, two other members of the family, the proband's wife (also his first cousin) and her sister had classic echocardiographic presentation of hypertrophic cardiomyopathy (HCM).<br> <b>Conclusion</b> A single Chinese family with ILVNC associated with HCM is reported; no mutations in TAZ, DTNA, LDB3, LMNA and FKBP12 was found.<br>
著者
里吉 営二郎
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.91, no.8, pp.2325-2328, 2002-08-10
参考文献数
31
被引用文献数
1
著者
重藤 寛史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.6, pp.1108-1114, 2018-06-10 (Released:2019-06-10)
参考文献数
7

2016年,AMPA(α-amino-3-hydroxy-5-methylisoxazole-4-propionic acid)型グルタミン酸受容体拮抗作用をもつペランパネル(perampanel),ナトリウム・チャネルの緩徐な阻害作用をもつラコサミド(lacosamide)が本邦で発売開始となった.それ以前にも,本邦では2006年以降,ガバペンチン(gabapentin),トピラマート(topiramate),ラモトリギン(lamotrigine),レベチラセタム(levetiracetam)の4つの抗てんかん薬が発売となっている.ラモトリギン,レベチラセタムは催奇形性が少なく,ラモトリギンは部分発作,強直間代発作に対して,レベチラセタムは部分発作に対して単剤使用できるため,この2剤は第一選択薬として使用される頻度が高くなっている.ラコサミドはカルバマゼピンと同等の発作抑制作用を持ち,薬疹及び相互作用が少なく,単剤投与可能のため,今後,部分発作の第一選択薬として選択される機会が増えてくると思われる.ガバペンチン,トピラマート,ペランパネルは難治性てんかんの併用薬としての有効性が期待される.
著者
佐藤 賢一 下瀬川 徹
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.1, pp.7-16, 2012 (Released:2013-04-11)
参考文献数
29
被引用文献数
3 3

膵癌はK-ras遺伝子の変異にp16やp53などの癌抑制遺伝子の欠失や変異が加わり,前癌病変のPanINを経て多段階的に発生する.膵癌の浸潤・転移機構には癌と間質の相互作用や上皮-間葉形質転換(EMT)といった現象が重要な役割を演じている.また,他の癌で示されているように,膵癌においてもEMTが誘導されている細胞が癌幹細胞の性質を獲得し,悪性形質をさらに増している可能性がある.
著者
間嶋 紗織 太田 崇之 尾本 篤志 福田 亙
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.3, pp.708-709, 2013 (Released:2014-03-10)
参考文献数
3

ヒトパルボウイルスB19(以下B19)の成人感染例では,皮疹,関節痛,補体低下,自己抗体の出現,蛋白尿,糸球体腎炎など,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:以下SLE)様症状を呈する場合がある.症例は64歳女性.発熱,皮疹を主訴に来院し,臨床所見はSLE診断基準を満たすも,発症形式などからB19感染を疑い経過をみたところ,安静,食事療法で自然に軽快し,またB19IgM抗体陽性の結果を得たため,B19感染症と診断した.
著者
苅尾 七臣
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.101, no.5, pp.1446-1457, 2012 (Released:2013-05-10)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2
著者
荒田 尚子
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.4, pp.924-931, 2014-04-10 (Released:2015-04-10)
参考文献数
12

Basedow病や慢性甲状腺炎などの甲状腺疾患は妊娠可能年齢の女性に多くみられることから,甲状腺疾患の診療を行う上で妊娠中の管理にも精通しておく必要がある.Basedow病では,チアマゾールの催奇形性とPTUの重篤な副作用リスクの両者を考慮して良好な甲状腺機能のコントロールを目指す必要があり,時に甲状腺専門医,産科医および新生児科(小児科)医との連携が必要となる.慢性甲状腺炎ではレボサイロキシン量の細やかな調節が重要である.
著者
貫井 陽子 高崎 智彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.96, no.11, pp.2435-2441, 2007-11-10
参考文献数
6

ウエストナイル熱は1999年米国ニューヨーク市での流行を契機に全米へ感染が拡大し,世界的に注目を集めている.本邦でも2005年に米国旅行後の患者で感染が確認されている.感染は蚊に吸血されることにより成立するが,これまでに輸血,臓器移植,母乳を介した感染の報告もある.診断は,病原体検出及び血清学的診断により行う.現時点でヒトに対し有効な特異的治療法や認可されたワクチンはない. <br>
著者
平林 久吾 今井 壽正
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.85, no.5, pp.720-724, 1996-05-10
参考文献数
5

脳幹脳炎は大きく3種類に分類される.すなわちBickerstaff型脳幹脳炎(parainfectiousbrainstem encephalitisを含む),感染性脳幹脳炎(結核性,単純ヘルペス性,日本脳炎など),原因不明の脳幹脳炎(神経Behcet病,飯塚型脳幹脳炎)である.最近の神経科学の進歩に伴ない, Bickerstaff型脳幹脳炎の病因の一部に抗GQlb抗体の関与が明らかとなってきた.感染性脳炎の原因菌やウイルスの同定にELISA法やPCR法が導入され,早期診断,早期治療に役立っている.脳幹脳炎はいまだに原因不明(Bickerstaff型脳幹脳炎の一部も含む)のものが主体をなしており,さらなる原因の究明が待たれる.
著者
大久保 智恵 藤崎 智明 横田 英介 川崎 啓祐 大城 由美
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.98, no.10, pp.2598-2600, 2009 (Released:2012-08-02)
参考文献数
5
被引用文献数
3

Whipple病は放線菌近縁のグラム陽性桿菌Tropheryma whipplei(T. whipplei)感染により多彩な臨床症状を生じる全身感染症である.1907年の1例目の報告以来,世界各地から1,000例程度の報告があるが,中年以降の白人例が多く,本邦からの報告はまれである.当科に原因不明の遷延性下痢・低蛋白血症のため入院し,十二指腸生検の病理所見からWhipple病と診断し,抗菌化学療法で劇的な改善を認めた1例を経験した.Whipple病は抗菌薬がない時代は致死的疾患であったが,現在は抗菌療法で治療可能である.しかし,現在でも診断,治療が遅れると予後不良となるため,本邦においても留意すべきと考え報告する.
著者
小林 正夫 川口 浩史
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.103, no.7, pp.1639-1644, 2014-07-10 (Released:2015-07-10)
参考文献数
13
被引用文献数
3

自己免疫性好中球減少症は主として好中球抗原に対する自己抗体が産生され,好中球の破壊亢進による好中球減少症である.好中球抗原はHNA-1,HNA-2など数種類が同定されているが,Fcγ receptor IIIb(FcγRIIIb,CD16b)上に存在するHNA1系に対する抗体が原因となることが多い.成人領域では他の自己免疫性疾患に合併してFcγRIIIbに対する抗体が認められることが多い.抗体の同定はFACSを用いた間接免疫蛍光法での半定量を利用している.
著者
松本 哲哉
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.12, pp.3516-3521, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
10

肺炎の起炎菌の診断は従来から培養が標準的な方法であったが,より迅速に結果を得る方法として尿中抗原検出が利用されている.現在,肺炎球菌とレジオネラの尿中抗原検出が実用化されており,いずれも重症肺炎の原因となり得ることから,早期の鑑別が重要である.市販のキットは採取しやすい尿を検体とし,操作も簡便で,外来やベッドサイドでの検査が可能であるが,その特徴を把握して適確に診断に使用することが望まれる.
著者
三沢 大介 大島 慶太 渡邊 真 浅井 幹一 井野 晶夫 上田 真努香
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.94, no.7, pp.1393-1395, 2005-07-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

2年3カ月間に経験した横紋筋融解症11例について検討した. 7例が冬期に発症し, 65歳以上の高齢者が7例を占めた.症状は意識障害,食欲低下など非定型的なものが多く,筋痛,筋力低下を訴える例は少なかった.原因および誘因は長時間の体動不能による筋圧迫5例, A型インフルエンザ1例,感染性腸炎1例,熱中症1例,悪性症候群1例,テオフィリン製剤の多量内服1例などが推測された.合併症として腎不全,血管障害,肺炎が多く見られた.当内科入院患者における横紋筋融解症(以下RM)の臨床的特徴について検討した.
著者
宮崎 美津代 増田 健二郎 佐藤 幸一 藤野 修 長田 淳一 岡 耕一 川井 尚臣 三ツ井 貴夫
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.84, no.4, pp.624-626, 1995-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

症例は55歳,男性.中腰で天井の内装を1日中続けた後,腰部から大腿部に強い筋痛が出現した.尿は暗褐色に着色し,血清CK活性値が46000IU/l,血清Mb値が32000ng/mlと高値を示したため,着色尿は横紋筋融解によるミオグロビン尿と考えられた.腎障害はなく,発症後1週間で改善した.本例の筋障害は長時間の同一肢位保持による筋の等尺性負荷によると考えられ,静的な運動負荷でも横紋筋融解をきたす強い筋障害をおこすことがある.
著者
吉井 由美 松村 弥生 朴 将源 上辻 由里 安田 考志 川瀬 義夫 松本 雅則 藤村 吉博 魚嶋 伸彦
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.102, no.1, pp.147-149, 2013-01-10
参考文献数
5
被引用文献数
1

症例は36歳,女性.リツキシマブ投与にて寛解に至った標準療法抵抗性血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の1例を経験した.血漿交換開始後に抗ADAMTS13抗体およびLDの再上昇を認めた時点で難治性と判断し,リツキシマブを投与した.その結果,第30病日に血漿交換を離脱でき,約18カ月にわたり寛解を維持している.標準療法抵抗性TTPにおいて血漿交換開始後の抗ADAMTS13抗体価およびLDの上昇が難治性の判断に有用であると考えられた.<br>