- 著者
-
河内 清彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, no.4, pp.437-447, 2004-12-30 (Released:2013-02-19)
- 参考文献数
- 34
- 被引用文献数
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本研究では障害者に関する健常学生の抵抗感を軽減させるための手がかりを得るため, 健常学生の自己効力感及び障害者観に及ぼす障害条件, 対人場面, 個人的要因 (障害者への関心度, 性別, 援助経験) の影響を検討した。4障害 (視覚, 聴覚, 運動, 健康) 条件に対応した4下位尺度 (関係, 主張, 教育, 当惑) により658名の大学生に質問紙調査を実施した。因子分析の結果では, 特定の対人場面を表す下位尺度に関し, 4障害条件が共通の因子負荷量を示す「当惑関係」「自己主張」「統合教育」という3因子が抽出された。このことから, 健常学生の意識に及ぼす影響は, 障害条件よりも尺度内容に依存していることが明らかとなった。これら3因子と個人的要因との関連では,「当惑関係」因子は3要因と,「自己主張」因子は性別と関連が認められたが,「統合教育」因子はどの要因とも関連が認められなかった。一方, 下位尺度別障害条件と個人的要因との比較では, 視覚と聴覚の障害条件よりは, 運動と健康の障害条件の方が抵抗感が弱く, 性別の影響は下位尺度により異なっていたが, 関心度と援助経験は障害者と交流しようという積極的な意識を助長することが明らかとなった。