著者
南風原 朝和 芝 祐順
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.259-265, 1987-09-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
9

Three probabilistic indices were proposed for interpreting major types of statistical results obtained in behavioral research: the probability of concordance as an index of correlation, and two versions of the probability of dominance being indices of mean difference in the case of randomized and paired data, respectively. Charts for finding confidence intervals for their population values were provided. The relationships of these indices with certain nonparametric statistics were also noted.
著者
平山 祐一郎
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.399-406, 1993-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
5
被引用文献数
2

The word-association instructional strategy for writing compositions, commonly used in elementary and junior high schools, is based on the use of word associations. Even though there are reasons to believe that this strategy can improve written compositions, the evidence available is not as yet conclusive. One of the supposed merits of this strategy is the increase in length of the compositions. To further investigate the above findings, two groups of fifth graders, one experimental (N=30) and one control (N=35), were asked to write two compositions. Both groups did not differ in the first compositions, but did in the second compositions; only the experimental group was found to follow this strategy. Confirming the supposed effect of this strategy on composition length, the compositions of the experimental group were longer than those of the control group. However, the effect of this strategy on composition length in the second composition was limited only to those experimental subjects whose first composition was relatively short.
著者
倉盛 美穂子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.121-130, 1999-06-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
18
被引用文献数
5 3

本研究は, 異なるレベルのペアが共同で課題に取り組む場合, 被験児の話し合いへの取り組みによって, 成績の伸びや話し合い中の内容に違いがみられるのかについて検討を行った。その際に, 下位のレベルの被験児の話し合いへの取り組み (主張性・認知的共感性) が, 成績の伸びや話し合い中の内容に及ぼす影響を検討した。本研究では, 共同で話し合う課題として道徳判断課題を使用した。また, 道徳レベルが下位の被験児を, 主張性, 認知的共感性の高低によって4つのグループに分けた後に, 上位レベルの被験児とのペアリングを行った。被験児は3回の話し合いセッションに参加した後, 再び道徳レベルを測定された。この話し合いセッション後の被験児の道徳レベルの変化と, 話し合いセッション中の発話内容について分析を行った。その結果, 下位レベルの被験児の発話は, 主張性が高いと課題に記述された内容をそのまま述べる発話が多く, 認知的共感性が高いと記述内容だけでなく記述内容を発展した内容の発話が多かった。また, 下位レベルの被験児の主張性と認知的共感性は, 上位レベルの被験児の発話数にも影響していた。このような主張性・認知的共感性の違いが発話に及ぼした影響は, 下位レベルの被験児の課題成績の伸びに反映されることが明らかになった。
著者
石津 憲一郎 安保 英勇
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.1, pp.23-31, 2008-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
29
被引用文献数
27 14

臨床場面では過剰適応は非適応的とされているが, 実証的な過剰適応研究は数が少ない。本研究では過剰適応の概念を理論的に整理し, その構造を検討することを第1の目的とした。続いて, 従来言われてきたように過剰適応が個人にとって非適応的に作用するのかを実証的に検討することを第2の目的とした。中学生を対象にした調査の結果, 過剰適応は個人の性格特性からなる内的側面と, 他者志向的で適応方略とみなせる外的側面から構成されることが示された。また, 過剰適応と学校適応感, ストレス反応との関連を検討した結果, 過剰適応の内的側面は学校適応感およびストレス反応にネガティブな影響を与えていたが, 適応方略として捉えられる外的側面は学校適応感を支える一方で, ストレス反応にも正の影響を与えることが示された。本研究の結果, 従来言われてきたこととは異なり, 必ずしも過剰適応的であることが非適応的とはみなすことができないことが示された。しかし, 他者志向的な適応方略で支えられる適応感の影にはストレスの存在が想定され, そのストレスが将来の不適応を予測する可能性について考察を行った。
著者
濱口 佳和 藤原 健志
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.59-75, 2016 (Released:2016-04-11)
参考文献数
55
被引用文献数
4 6

本研究は, 高校生用の自記式能動的・反応的攻撃性尺度の作成, 能動的・反応的攻撃性と身体的攻撃・関係性攻撃との関連, 能動的・反応的攻撃性類型の心理・行動的特徴を明らかにすることを目的として行われた。高校1~3年生2,010名に対して, 中学生対象に開発された自記式能動的・反応的攻撃性尺度を実施し, 探索的因子分析を実施したところ, 中学生同様の6因子が得られた。検証的因子分析の結果, 仲間支配欲求, 攻撃有能感, 攻撃肯定評価, 欲求固執からなる能動的攻撃性と報復意図と怒りからなる反応的攻撃性の斜交2因子モデルが高い適合度を示した。6下位尺度については, 攻撃肯定評価でやや低いものの, 全体として高い信頼性が得られ, 情動的共感尺度や他の攻撃性尺度等との相関により併存的妥当性が実証された。重回帰分析の結果, 性別と能動的・反応的攻撃性によって, 身体的攻撃の約40%, 関係性攻撃の約30%が説明されることが明らかにされた。クラスター分析の結果, 能動的攻撃性・反応的攻撃性共に高い群, 反応的攻撃性のみが高い群の2種類の攻撃性の高い群が発見され, Crapanzanoの重篤モデルを支持する結果が得られた。
著者
河内 清彦
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.437-447, 2004-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
34
被引用文献数
2 2

本研究では障害者に関する健常学生の抵抗感を軽減させるための手がかりを得るため, 健常学生の自己効力感及び障害者観に及ぼす障害条件, 対人場面, 個人的要因 (障害者への関心度, 性別, 援助経験) の影響を検討した。4障害 (視覚, 聴覚, 運動, 健康) 条件に対応した4下位尺度 (関係, 主張, 教育, 当惑) により658名の大学生に質問紙調査を実施した。因子分析の結果では, 特定の対人場面を表す下位尺度に関し, 4障害条件が共通の因子負荷量を示す「当惑関係」「自己主張」「統合教育」という3因子が抽出された。このことから, 健常学生の意識に及ぼす影響は, 障害条件よりも尺度内容に依存していることが明らかとなった。これら3因子と個人的要因との関連では,「当惑関係」因子は3要因と,「自己主張」因子は性別と関連が認められたが,「統合教育」因子はどの要因とも関連が認められなかった。一方, 下位尺度別障害条件と個人的要因との比較では, 視覚と聴覚の障害条件よりは, 運動と健康の障害条件の方が抵抗感が弱く, 性別の影響は下位尺度により異なっていたが, 関心度と援助経験は障害者と交流しようという積極的な意識を助長することが明らかとなった。