著者
大久保 毅 川村 光
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.500-504, 2012-07-05 (Released:2018-03-02)
参考文献数
27

相互作用に競合が存在するフラストレート磁性体では,しばしば,新奇な磁気構造が実現する.我々は,フラストレート系の典型例である三角格子上の古典ハイゼンベルグ反強磁性体の磁場中秩序化を理論的に解析し,次近接以降の相互作用が強い状況では,複数の波数秩序が共存する多重Q秩序状態が有限温度・有限磁場で安定化されることを明らかにした.特に,中程度の磁場で出現するtriple-q状態では,立体的な構造を持ったハイゼンベルグ・スピン系がスピン空間で織りなすトポロジカル励起である"スカーミオン"が三角格子を形成した"スカーミオン格子"が実現している.
著者
佐野 幸恵
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.73, no.7, pp.512-515, 2018-07-05 (Released:2019-03-12)
参考文献数
10

男女共同参画推進委員会だより物理学会における無意識のバイアス問題(大規模アンケート調査から)
著者
Hoshino Sadao Fujii Yasuhiko Harada Jimpei Axe J. D.
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
Journal of the Physical Society of Japan (ISSN:00319015)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.965-973, 1976
被引用文献数
54

Phonon dispersion relations of CuBr having zincblende-type structure were measured by the neutron inelastic scattering technique with a triple-axis spectrometer. The dispersion curves measured at 77 K were well described by the shell model with 14 parameters which has been successfully applied to explain the data for GaAs, GaP and InSb. The elastic constants were obtained both from sound velocities estimated from the initial slopes of acoustic phonon dispersion curves and from the shell-model-fit. The optical phonon energies at the zone center are in good agreement with the Raman scattering data. The temperature dependence of phonon scattering was also measured. It was found that the phonon energies as well as the shape of phonon peaks varied considerably with temperature, suggesting that the effect of anharmonicity is remarkable in CuBr even at room temperature.
著者
高橋 浩
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.33, 2018

<p>最近,2016年に大ヒットしたアニメ『君の名は。』がテレビ放映され,録画で鑑賞した.話は,東京の男子高校生と飛騨の山奥の女子高校生の2人の身に「入れ替わり」が起こり,そこへ,約千年ぶりに接近する彗星による危機が絡む.内容に</p>
著者
植松 英穂 竹田 辰興 西尾 成子
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.395-402, 2001-06-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
6

日本において,制御核融合の研究が開始されて約50年経った.当時,天体,原子核,素粒子,宇宙線,放電,溶接などの分野の研究者たちによって核融合を志向する研究が始まった.そのとき,まず研究体制が議論され,さしあたって基礎研究を進めることで合意が得られた.その後,実験装置の大型化が進められるようになり,特に,この十数年で国際協力としての研究開発が盛んになった.本稿では,研究開発の巨費化がはじまる前の時代に焦点を当て,日本の制御核融合研究の跡をたどる.
著者
土浦 宏紀 小形 正男 田仲 由喜夫 柏谷 聡
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.254-257, 2003-04-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
18

銅酸化物超伝導体中に不純物原子をドープすると,そのまわりに準粒子の束縛状態が形成される.走査型トンネル顕微鏡技術の進歩と相俟って,この生活状態の理解がここ数年で飛躍的に進んだ.本稿では,もっとも理解の進んでいるZn不純物近傍の束縛状態について,実験結果とその理論的解釈を紹介する.
著者
伊藤 憲二
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.71, no.8, pp.558-562, 2016-08-05 (Released:2016-11-16)
参考文献数
59

変わりゆく物理学研究の諸相―日本物理学会設立70 年の機会に日本における物理学研究の転換点をふりかえる―(歴史の小径)量子力学が導いた新しい風
著者
亀山 寛
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会講演概要集 71.2 (ISSN:21890803)
巻号頁・発行日
pp.3203, 2016 (Released:2017-12-05)

本研究の目的は青色発光ダイオードでノーベル賞を受賞した赤崎勇の松下技研時代までの研究の足跡と青色発光LED研究の到達点を明らかにする、ことにある。赤崎勇大学卒業後、川西機械製作所、名古屋大工学部電子科、松下電器東京研究所(松下技研)に就職した。松下技研時代に光る半導体をテーマとし、成果が簡単に得られなくとも、研究仲間のテーマ放棄や上司の反対に関わらず、GaN結晶による青色発光LED研究を続行した。
著者
酒見 龍裕 野田 常雄 江藤 徹二郎 中村 文彦 巨海 玄道
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
大学の物理教育 (ISSN:1340993X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.24-28, 2018-03-15 (Released:2018-04-15)
参考文献数
7

1.はじめに現在多くの大学で,新入生の基礎学力の養成のため多彩な試みがなされている.中でもいわゆる全入大学では,十分な学力をもたない学生が入学してくるため,その対策にはどこも頭を痛めてい
著者
花村 榮一
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.9, pp.688-696, 2005

1900年プランクは, 古典物理学では説明できない溶鉱炉中の光エネルギーの波長分布の謎を, 光量子仮説を導入して解決した.これが量子力学の誕生である.1905年この光の粒子性(光子)を用いて, アインシュタインは光電効果を説明した.光が波動と粒子の二面性を持つという非日常性は, ハイゼンベルグの不確定性原理で理解できた.しかし, 青色の1光子が赤色の2光子に分割されるパラメトリック過程で発生する2光子の量子もつれ合い(強い相関)は, 2つの光子を遠く離しても存在し続ける.このもう一つの非日常性を1935年アインシュタインらは指摘した.これも, 量子力学特有の非局所性として理解され, 最近は量子コンピューターと量子通信に使われようとしている.レーザー光の発明は光学と工学に革命をもたらし, 金属加工に用いられる一方で, 人類は10<SUP>-9</SUP>Kのオーダーの超低温まで原子系を冷却できるようになった.その結果, 原子系はボーズ・アインシュタイン凝縮やフェルミ凝縮を示して, 波動として振舞う.この百年の歩みはアインシュタインに負うところが大きかったが, 最近は日本からの寄与も大きくなりつつある.これらを概観する.