- 著者
-
加藤 徳明
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.2, pp.178-185, 2021-06-30 (Released:2022-06-30)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
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1
運転に必要な高次脳機能は, 「注意機能 (情報処理速度, 反応時間含む) 」, 「視空間認知機能」, 「言語機能」, 「遂行機能」, 「記憶機能」などに大きく分類できる。その程度の把握のために, Trail Making Test (TMT) , Symbol Digit Modalities Test (SDMT) , Wechsler Adult Intelligence Scale (WAIS) の符号問題, Rey-Osterrieth の複雑図形 (ROCF) , 反応時間検査, Stroke Drivers Screening Assessment (SDSA) が重要と言えるだろう。日本高次脳機能障害学会では「脳卒中, 脳外傷等により高次脳機能障害が疑われる場合の自動車運転に関する神経心理学的検査法の適応と判断」を作成した。失語症の有無でフローチャートを分けており, (1) 認知症, (2) 半側空間無視, (3) 注意と処理速度, (4) 構成能力, (5) 遂行機能, (6) 失行 (失語症がある場合), の順に評価を行う。特に (3) の評価では TMT-J を重視している。検査のみを実施しその成績の数字だけから判断することは望ましくない。病歴, 画像所見, 日常生活や社会生活の情報などから対象者の全体像を把握して総合的に判断する必要がある。