著者
カムルジャマン エムディ 小倉 暢之
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.73, no.627, pp.947-954, 2008-05-30
被引用文献数
2 7

バングラデシュの首都ダッカは、1970年代以降類例を殆ど見ない急激な人口増加に伴い、住宅供給が著しく不足している。そこで、本研究では、首都人口の約半分を占める下級及び中級の中所得層のための住宅問題に焦点をあて、統計資料と現地調査を基に、住宅の取得可能性とその選択肢について考察した。その結果、住宅コスト構成要素の中でも地価の占める割合が著しく、これが彼らの住宅取得を困難にしている現状が明らかになった。そして、こうした状況の中で、住宅規模、積層形態、設備及び仕上げの多様な標準の組み合わせにより、中所得層に適したコストダウンの可能性についての分析も行い、地価の高低に対応した6種の住宅モードにおいて同所得層に適した住宅タイプの選択肢を導いた。すなわち、地価が中間価格帯以下にある立地では、住宅床面積の上限を凡そ37m^2から44m^2として、設備の共有又は占有、仕上げレベルの選択等の組み合わせにより、多くの対象層に健全で多様な都市住居取得の可能性がある事を明らかにした。
著者
亀井 幸次郎
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会論文報告集 (ISSN:03871185)
巻号頁・発行日
no.62, pp.115-121, 1959-07-20

火災の場より無数にたちのぼり、風下に飛散していく各種形状の点火物をここでは"火の子"と称える。そしてここでいう"飛火"とは、火の子が可燃性の各種の媒体物への付着などによつて生ずる一次または、二次、三次的の着火並びに着炎現象であるとする。ただし、飛火を人為的にただちに消し止めたものは、この研究では省略した。従つてここで以下使用する"飛火"という用語は鈴木博士が「火災学」において論及している飛火論のなかの飛火とは、その持つ意味を多少異にする。(鈴木博士の飛火は、たぶん私のいう"火の子"を意味しているようである。)大火の現場調査において収集した"飛火資料"を飛火の発生時刻、位置、距離〔火元よりの距離と,第一次または第二次的着火点…飛火…より第三次あるいは第四次的の着火点までの距離(推定し得る限り現状考察によつて求めたもの)とに区別する〕及びその時の平均風速(これは地元消防署または火災現場より最も近い気象台または測候所による観測値)との関係を作表し、これにもとづいて、風速と後者による飛火の関係を、図表にプロットして、両者の関係を観察することにした。まず観察の方法として、上記によつて図表化したグラフのなかで風速15m/sec以上のものをAグループとし、風速15m/sec以下のものをBグループとして、その特性を考察することにした。このような仕訳方法を採用した理由は、おおむね次のような予想からである。すなわちAグループの場合には、その時の台風による風速が火災の場に発生する特有の気流より、火の子の飛散状況と飛火現象に支配的な影響を、またBグループの場合には、火災の場に発生する局所気流(乱れ、風の息、逆転、上空への噴出気流、突風及び火事場嵐などという局所的なもの)が、支配的影響力を与えると予想されるからである。
著者
森 林太郎 市東 謙吉
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
建築雑誌 (ISSN:00038555)
巻号頁・発行日
vol.7, no.76, pp.115-122, 1893-04-28
被引用文献数
1