著者
岩本 隆司 市原 正智 上山 知己 中山 晋介 大内 靖夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

マイクロRNAと呼ばれる小さなRNAはヒトの疾患に関連していることが解ってきているがその詳細は不明である。本研究では腸管に腫瘍を多発する家族性腸管腺腫症モデルマウスにマイクロRNAを過剰発現させることにより腸管腫瘍の発症が抑制されること、またその抑制にはマイクロRNA間の原癌遺伝子を介した相互作用、および一連の癌抑制性マイクロRNAの生合成に必須の分子の抑制が絡んでおり、それらの間には複雑なフィードバック機構が働くことを示した。さらにこれらのマイクロRNAを心臓に発現させると拡張型心筋症様の症状がおこる事実を見出し、その分子機構の一部を明らかにした。
著者
石田 博幸
出版者
中部大学
雑誌
現代教育学部紀要 (ISSN:18833802)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.37-43, 2009-03

児童が教室に入ってくる前にも、各種概念について、白紙なのではなく、各自の概念を持っている。概念の獲得過程は、生活や自然の中から現象や事物が認識され、まわりからその名前や呼び方を知らされて、容易に獲得するものと、例えば、"従兄"や"凶器"のように、事物のみの把握では、獲得されず、社会的な説明が加わって初めて概念が獲得されるものがある。この前者を自然的獲得概念、後者を、社会的獲得概念と呼ぶことにする。実は、自然科学概念の中にも、はっきり区別しがたいが、この2種類があり、その概念を伝える方法も異なってくる。その違いは、各国で、その国の自然環境、社会環境、歴史的環境、宗教的環境によってことなる。したがって、特に、国際社会での理科(科学)教育に携わったり、外国から来た児童を扱かったりする者は、この違いを意識しながら、教育に当たるべきであることを提唱する。
著者
柴田 祥一 高丸 尚教 大嶋 晃敏 小島 浩司 土屋 晴文 渡邉 恭子
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は,太陽フレア時にイオンがいかにして高エネルギーにまで加速されるかを調べるため,そのイオンが太陽大気中で作る中性子のエネルギー分布や生成量の時間変化を観測することを目的とする.中性子を測るのは,太陽地球間の磁場の影響を受けずに直進してくるので,イオンの加速時の情報を保持しているからである.本科研費では,加速器実験で使用された粒子飛跡検出装置(SciBar)を,上記の目的のための観測装置として改良後,メキシコのシェラネグラ山頂(4600 m)に設置するため,小型試作装置で予備観測を行った.そして,観測結果を計算機シミュレーションと比較・検討し観測システム(SciCRT)を構築・稼働させた.
著者
町田 千代子 小島 晶子 町田 泰則
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

植物の重要な器官の一つである葉の発生分化の制御機構を解明することは、植物の形づくりとその多様化の仕組みを理解する上で極めて重要である。葉は、扁平であり、葉身の中央にある太い中肋を中心として左右相称である。本研究は、このような特徴をもつ葉状器官の左右相称的発生分化の分子機構を解明することを目的とした。そのために、シロイヌナズナの葉の左右相称的形成に異常を示すasymmetric leaves1(as1)とasymmetric leaves2(as2)変異体の分子遺伝学的解析を行った。すでに、我々は、AS1、AS2は、葉の分化過程において、幹細胞の維持に関わると考えられているホメオボックス遺伝子KNAT1,KNAT2,KNAT6の発現を葉で抑制することを明かにし、完全な中肋の分化に必須であり、左右の協調的細胞分裂をコントロールする機能をもつ可能性を示唆した(Semiarti et al.,2001)。さらに、AS2遺伝子をクローニングした結果、AS2遺伝子は、cysteineに富む特徴的な配列(C-motifと命名)とLeucine zipper様配列をもつ新奇なタンパク質をコードし、これらの配列を含む約100アミノ酸の領域は植物で広く保存されていた(AS2ドメインと命名)。また、AS2ドメインをもつ新奇なタンパク質ファミリーをAS2ファミリーと命名した(Iwakawa et al.,2002)。一方、AS1はMybドメインをもつ転写因子をコードしていることが報告されている。さらに、我々は、遺伝学的解析結果からAS1、AS2が同じ経路で機能していること、また、in vitroではAS1、AS2タンパク質が会合しているという結果を得た。このように、AS1、AS2が葉状器官の発生の初期過程で共同して機能し、葉の細胞を分化状態に保つことが、左右相称的で扁平な葉の形成において重要であると考えられる。
著者
平田 豊 HIGHSTEIN Stephen M. BLAZQUEZ Pablo M. BAKER Robert
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

小脳を中核として実現される運動学習に関わる脳内情報処理機構を、電気生理学的手法を用いた動物実験により探り、得られた結果をもとに計算機上に数理モデルを構築し、その妥当性を確認した。また、このモデルによる実機モータ制御を試み、小脳モデルが実機モータの適応制御に有効であることを実証した。
著者
梅崎 太造
出版者
中部大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1997

平成9年度は、既に開発していた「声の誘導、大きさ、長さ、高さ」「5母音」「オンラインヘルプマニュアル」等の基本的発話訓練ソフトウェアに加え、以下に示すソフトウェアを開発した。ゲーム性を重視し、より操作が簡単にできるよう努めている。児童に訓練していることをなるべく意識させないで、楽しみながら遊べるように配慮してある。UFOキャッチャー・・・声の連続断続訓練に用いる。一定の大きさで声を出し続けるとクレーンが動く。1度目の発声で右方向に動き、2度目の発声で下方向に動く。ロケット・・・無声音の訓練に用いる。ゲームがスタートするとカラスが左から現れる。正確に発声できたら弾が発射される。もぐらたたき・・・母音訓練に用いる。モグラが穴の外に出ている間に、穴に付けられた母音名を発声する。正しく発声できたらモグラをトンカチで叩いたことになる。音声迷路・・・日常生活で良く使う単語の訓練に用いる。ランダムに作成される縦横Nマス(N=2〜30の間で指定)の迷路を音声で操作しながら出口を探索する。これらの発話訓練ソフトウエアは5つの聾学校において実際に評価していただいている。平成10年度は、子音の中でも特に区別が困難な有声破裂音/b,d,g/に対して、後続母音非依存及び依存型認識モデルの比較検討を行った。認識方法としては、DPマッチング、TDNN、HMMの3手法を用いた。後続母音に依存しない実験では、TDNNによる認識結果が最も高く74.3%であった。一方、後続母音を考慮した実験ではDPマッチングで最高88.3[%]が得られたほか、全体的に認識率が向上した。3手法を統合した場合、後続母音に依存しない認識モデルに比べ、後続母音依存型モデルによる認識率が平均10%向上しており、後続母音を考慮した認識法が有効であることを示した。
著者
山田 邦夫
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

昨年度から引き続きイチゴにおける花芽分化時に特異的に発現する遺伝子のクローニングを進め、シロイヌナズナを始めとする各植物のFT塩基配列と類似性の高い塩基配列が得られ,これをFaFTと名付けた.またバラのTFL1塩基配列と類似性の高い塩基配列が得られ,これをFaTEL1と名付けた.イチゴを短日夜冷処理区(花芽誘導区)とコントロール区(花芽非誘導区)で栽培し花芽分化の様子を顕微鏡下で確認したところ,短日夜冷処理区では処理後35日に花芽の分化が見られ、コントロール区では35日後では花芽分化は確認されなかった.葉において,短日夜冷処理区では全てのステージでFaFTの発現が確認出来なかったのに対し,コントロール区では全てのステージでFaFTの発現が確認された.また,明条件になって1時間から8時間目まで1時間毎に発現を解析したところ,コントロール区ではどの時間も発現が確認された.さらに短日夜冷処理区では2および8時間目においてFaFTの発現は確認されなかった.FaTFL1は葉・葉柄・クラウンにおいて特に目立った変化は見られなかった.一方クラウンにおけるFaFTは、花芽分化が確認できた短日夜冷処理区の35日目で明らかな発現上昇が見られた。これは、短日夜冷条件下では、クラウンにおいてFaFTの発現が上昇し、花芽分化を引き起こしていることを示唆する結果であった。つまりこのFaFTは花芽分化の指標となりうることが明らかとなったが、発現部位がクラウンであったため、今後は葉において指標となる遺伝子候補を探索する必要がある。
著者
岡本 肇
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、市民版マスタープラン(以下「市民版MP」)を従来の提案手法としての活用だけでなく、市民自身のマスタープランとしての市民版MPの作成・活用方法を探求する研究である。研究成果として、既に市民版MPが作成されている13事例に対する調査による市民版MP作成後の活用の評価や、現在作成中の市民版MPの作成プロセスへの観察調査の分析によって、市民版MPが様々なまちづくりの場面で市民自身のマスタープランとして活用できうることを実証した。
著者
西口 利文
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は,小中学校の教員志望者が,問題場面でのコミュニケーションのレパートリーを学ぶための教育プログラムの開発を目的として実施した.この教育プログラムは,小中学生が教師に求める言葉かけに関する調査研究の成果を授業の中で報告しながら,受講者によるグループでの話し合いを中心にすすめるものであった.当該プログラムの効果を検討したところ,受講者のコミュニケーションのレパートリーを広げるのに資することを確認した.
著者
野中 泰二郎 高畠 秀雄 谷村 真治 平澤 征夫 三村 耕司
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

1995年兵庫県南部地震ではそれ以前の地震では経験しなかったような構造物被害が発生した。其のうち特に特徴的な脆性的あるいは衝撃的破断が発生した芦屋浜高層住宅と神戸市の橋脚に焦点を当てて、得られた研究結果を以下に要約する。記録地震波と実構造に近い三次元連続体モデルの有限要素による動的数値解析を遂行したもので、耐震設計上考慮すべき事項を列挙する。1.激しい直下地震の場合などでは初期の過渡応答過程がその後の動的挙動に支配的な影響を及ぼすこと、またそれは、構造物の大きさや形、支持・境界条件と初期地震動のプロファイルによって著しく異なる事がわかった。これらの現象は構造物中を伝わる応力波の影響を考慮することで理解される。2.構造物に発生した顕著な被害箇所は急激なエネルギーの変化と密接に関係している。3.特に、高層骨組の極厚断面主柱の破断が特定の階(4階と8階)の段落した部分での溶接部に多発した原因はこれで理解できる。4.高層骨組みブレースと柱の接合部が一体となって破断した原因は、剛接ブレースに作用している軸方向力と剪断力から生じる鉛直成分の力によって、ブレースが上向きに引っ張られて破断し、次に、柱の破断を誘発した。この問題は、連続体を有限要素にする際、フレーム解析よりは高次のシェル要素を用いた解析結果から、破断過程を解明できた。5.骨組構造において、塑性ヒンジが初期に集中して発生する階では構造物の損傷を受けやすく、塑性ヒンジが発生していない階では被害は顕著でない。塑性ヒンジが集中的に作用する事を避ける必要がある。
著者
平田 豊
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

運動学習の中核を担う小脳内情報処理機構を魚類を用いた神経生理学実験により明らかにした.また,その知見を数理モデルとして集約し,計算機内に実装して,ロボットアーム等に用いられる実機モータの制御に応用することに成功した.