著者
ヤーッコラ伊勢井 敏子 広瀬 啓吉 中 貴俊
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は,フォルマント数値を用いて空間スペースにおける母音位置の三次元可視化(3軸上にF1~F3,F1~F2+F4を使う)を実現するものである.研究者が言語内および言語間の母音距離を表示できること,さらに,外国語学習者がユーザーフレンドリーなツールとして母音学習に役立てるために開発することを目的とする.全言語の母音表示を可能とするものである.本年度の研究成果として,研究者が未知の母音音素(各言語においてフォルマント母音図で位置が決まらない母音音素)について定量的にフォルマントの計測をし,位置を決め,更にその位置から伝統的な母音図を応用予測して適切な母音を決定できるようにするため,IPA母音すべてを任意に選択できる機能を追加した.また,学習者が英語モデル母音音素を何度でも聞こえるよう,母音をクリックするだけで音声が聞こえるように改善した.また,モデル音素を静的に置き,母音フォルマントを基本に学習者の音声が動的に動くシステム作りのベースを開始した.実験として日本語学習者の英語母音習得(特に短母音)の程度を英語母語話者と比較した.3次元フォルマント母音図とフォルマントの単純グラフを比較表示すると,前者の方が後者より圧倒的に視覚的効果があるだけでなく,母音間の距離感がより明瞭に分かることを実証した.本研究は今後音声認識技術を取り込めば全言語対応の母音学習ツールとしてより効果が見込め,これまでの研究成果発表の経験から,研究者にも学習者にも需要が高まるであろうことが十分予見できる.なお,本研究のベースとなった3次元可視化システムの応用性について,英語の筆記体を取り上げた.筆記体は現状の英語教育では看過されている.実態調査を行ったが,多くの大学生が読めないし書けないけれども,読みたいし書きたいという要望が多かった.更に,習得により将来何らかの利益があると考える学生が多かった.アルファベット筆記体を英語学習者に習得させることには意義がある事を実態調査が示した.即ち,アルファベット筆記体を3次元空間スペースで認知学習させる重要性も高まったと見てよいだろう.
著者
石井 英子 青石 恵子 伊藤 守弘 大橋 裕子 渋谷 菜穂子 田島 織絵 城 憲秀 西尾 和子 丹羽 さゆり 林 公子 深谷 久子 堀井 直子 山田 知子
出版者
中部大学
雑誌
中部大学生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.4, pp.1-9, 2008-03

目的 内蔵脂肪生活習慣Checkの有効的活用に向け、企業関係者や中部大学教職員の概況把握である。方法 本調査でのチェック項目(数、内容)と身体・生理学的データとの関連を分析した。個人データは匿名性を記し、すべて統計的処理を行い、統計ソフトはSPSS12.0 J Windowsを用い、有意水準を5%とした。調査期間は平成19年9月17日。結果 受診者172人のうち、男性64.5%、女性35.5%。メタボリックシンドロームの目安となる体重と筋肉スコアによる体型判定では、男性は肥満型68.5%、女性の肥満型80.3%、ウエスト周囲径の内臓脂肪型肥満者は男性44人(39.6%)、女性36人(4.9%)で男性に有意な内臓肥満者が多かった。内蔵脂肪症候群生活習慣Checkの予備群の出現割合の男女比較では、「おやつは毎日食べる」、「階段よりエレベーター・エスカレーターを使う」で女性の割合が多かった。肥満状況を、生活習慣Checkにあてはまる数が5つ以上、または、それ未満の者とで比較したところ、男性でのみ、チェック数が多い者の肥満傾向が高くなった。このことから、男性、とくに中年男性の生活習慣指導が必要であることが示唆された。
著者
メーワルト U
出版者
中部大学
雑誌
国際研究 (ISSN:09100156)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.1-22, 1998-03-31
著者
松井 藤五郎
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,強化学習において利益率の複利効果を最大化するために複利型強化学習という新しい強化学習の枠組みを開発した.複利型強化学習を国債銘柄選択,国債取引,株式取引,n本腕バンディット,ブラックジャックなどに応用し,複利型強化学習がファイナンスやギャンブルのドメインに有効であることを確認した.また,複利型強化学習で導入された投資比率パラメーターをオンライン勾配法によって最適化する手法を開発した.
著者
塩澤 正
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は国際英語論の立場から、日本の教育現場で英語を教える場合の態度、留意点、基準などを国政英語論とその関連連領域から考察し、具体的に教授法や教材までを提供することである。この研究を通していくつかの論文や口頭発表と1冊の専門書(『現代社会と英語-英語の多様性をみつめて』)(供編著)を発表することができた。また、さらに1冊の教材『Global Activator』、と専門書『国際英語論が英語教育を救う』(仮)を執筆中であり、2014年中には出版される予定である。
著者
中村 圭二 菅井 秀郎
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

電子密度のモニタが可能で,プラズマへの擾乱を最小限に抑制可能な平板型周波数シフトプローブに着目し,プローブ周囲に形成されるシースによる影響を調べた。またシース効果を抑制して測定精度を向上させるとともに、電子温度の算出方法などについて検討した。スリット幅が異なる2種類のプローブについてシミュレーションと実験を行ったところ,シースを考慮せずに算出した電子密度は,真の電子密度に比べて低めに見積もられ,シース幅が厚くなるにつれてその傾向が顕著となった。しかしスリット幅を広くすると,シース効果が緩和されて測定精度が向上した。さらにスリット幅が異なる2つのプローブを用いることで電子温度の算出も可能となることがわかった。
著者
大門 正幸
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究で得られた重要な知見は以下の通りである。なお、(A)-(E)は特に北部方言で書かれた『リンディスファーン行間注解』に関するもの、(F)は北部方言以外の方言で書かれた注解に関するもの、(G)と(H)はそれぞれ古英語散文と中英語散文に関するもの、(1)は古英語・中英語全般に関わるものである。(A)ラテン語1語が2語以上の古英語で訳されている場合、行間注解の語順は純粋な古英語の語順を反映していると考えるべき証拠がある。(B)助動詞と本動詞を含む構文の場合、行間注解の語順はラテン語の動詞の形態的構造とは関係がない。(C)助動詞と本動詞を含む構文の場合、否定辞が先行すると「助動詞一本動詞」語順が生じるが、これは古英語の否定辞の接辞としての性質を反映したものである。(D)助動詞と本動詞を含む構文、特に本研究で分詞構文(ParticipleConstructions)と呼ぶ構文の場合、主語の有無が語順に大きな影響を与える。すなわち、主語が空の場合、「本動詞一助動詞」という語順が優勢となる。この操作は北欧語に見られる文体的倒置であると考えられる。(E)ただし主語がある場合にも「本動詞一助動詞」語順は可能であるので、基底語順としてOV/VO両方の語順が可能であったことを認めざるをえない。(F)文体的倒置によって引き起こされたと考えられる現象は北部方言以外の行間注解には見られない。(G)古英語散文においては、文体的倒置によって引き起こされたと考えられる現象が、本研究で法動詞構文(ModalConstructions)と呼ぶ構文においても見られる。(H)文体的倒置によると考えられる現象に関する、古英語における北部方言とそれ以外の方言との相違は、中英語にも見られる。(I)北部方言とそれ以外の方言の相違はバイキングの侵略による北欧語の影響によるものであると考えられる。p/
著者
桃井 治郎
出版者
中部大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、欧州・地中海パートナーシップを事例に、地域統合組織(EU)と第三国各国(アルジェリアやチュニジア)という非対称なアクター間の地域協力関係について分析した。同事例では、(政治力の大きな)EUによる一方的なEU化が推進されているわけではなく、むしろ同パートナーシップの枠組みのもとで対話が促進されており、非対称地域協力は第三国の側にとっても有意義な国際レジームとなっていると評価することができる。
著者
堀井 直子 前川 厚子
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、使用が簡便な肺がん患者用生活調整尺度(短縮版)の開発を目的として行った。堀井ら(2010)による肺がん患者用生活調整尺度(22項目版)について、新たに263名(平均年齢69.8±7.58)を対象に調査を行った。探索的因子分析の因子負荷量を基準に、短縮版に用いる10項目を選択した。短縮版の下位尺度はいずれも内的一貫性を示した(α=0.657~0.805)。また、22項目版と短縮版の間の相関係数(r=0.858~0.922)から基準関連妥当性も支持された。以上より、短縮版は22項目版と同様の構成概念を測定できることが示唆された。
著者
速水 敏彦 小平 英志 青木 直子
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

家事の動機づけを測定する項目を収集し質問紙を構成し、成人女性に実施して因子分析を行った。その結果、興味関心・効力感、義務感、生活習慣、生活必要感、代替者不在感の5つの因子が抽出された。また、各家事の動機づけが現実の家事行動とどのように関係するのか、さらに専業主婦と就業者では動機づけに違いがあるのかについても検討した。さらに家事の動機づけの高低を規定するパーソナリティや価値観、家族の人間関係との関連についても調べた。
著者
河内 信幸 福島 崇宏
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

ジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)は、「アクション・ペインティング」の旗手として知られ、アメリカ抽象表現主義を代表する芸術家といわれている。しかし、ポロックはインディアンの文化やメキシコ壁画運動にも共鳴し、当初は「アクション・ペインティング」とは程遠い作風の芸術家であった。本研究では、ポロックが関わった雇用促進局(Works Progress Administration:WPA)の連邦芸術計画(Federal Art Project:FAP)の意義を明らかにし、ポロックが「抽象」と「具象」を動的に融合させ、独自のアメリカ・モダニズムを追い求めたことを検証した。
著者
常川 光一
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

あらゆる無線通信端末にアクセス可能な「統合された室内無線アクセスシステム」を提案した。主要なアイデアは「ディジタル信号を直接複数のアンテナに給電し、空間合成/フィルタ効果を用いて所望信号を所定の端末近傍に形成する」ことにある。まず、基本技術であるアンテナ配置/構成法、キャリブレーション手法について検討した。次に、システム構成法を検討し実用化に向けた設計指針を明らかにした。また、デモ機として「ユビキタスシーリングライト」を試作した。
著者
財部 香枝
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

レメルソン発明および革新研究センターは、1995年、アメリカ合衆国ワシントンD. C.のスミソニアン協会、国立アメリカ歴史博物館内に創設された。同センターは、博物館の比類ない資源を活用し、シンポジウム、教育的アウトリーチ・プログラム、展示、研究機会の提供、ドキュメンテーションなどの多様な取組みをとおして、発明および革新に関する新たなパースペクティブを来館者に与えようとする。本研究は、レメルソン・センターにおけるサイエンス・コミュニケーションの実態を探究する。センターは、音楽、視覚芸術、環境など、複数のパースペクティブから発明の歴史を調査・解釈することにより、「さもなければその主題[発明]に注意を払わない広い観衆を惹きつけてきている」という。センターの発明や革新に関する学際的なアプローチは、科学技術の理解に有益な方法を示しており、わが国の公衆にも適用しうるだろう。研究成果は、学会誌、学会にて公表した。
著者
樋口 敬二 茅 陽一 川那部 浩哉 半田 暢彦 松野 太郎 中根 千枝
出版者
中部大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1994

地球環境科学の基本的な考え方、各学問分野において推進すべき研究課題、そして推進方策について6WG(研究基盤、気候システム、物質循環、生態システム、人間活動、総合技術)とそれを総括する総括WGを設けて検討を行った。7月から2月にかけて、計35回のWG会合を開催し、以下の結果を得た。(1)地球環境科学の定義としては、「人類の生存基盤である地球環境の理解を深め、人間活動の影響によって損なわれた地球環境の維持・回復に関連する諸問題の解決に資する総合的・学際的科学であり、そのために大気、海洋、陸域、生態系に関わる地球環境変動のメカニズムを解明するととともに、人間活動と地球環境の相互関係を踏まえて、影響の予測及び対応策に関する研究を行い、環境調和的な人間活動の在り方を考究するものである」と定義するのが適当と考えられる。(2)主要な研究課題としては、現象の総合化、対応策の総合化などに基づいたものが重要であり、各研究課題はa)人間活動や社会システムの変化による地球環境の変化を解明する視点、b)人為的な地球環境変化による自然や人間社会への影響を解明する視点、c)人間活動と自然現象との相互作用から地球環境保全の方策を探る視点の3視点を基にしたものに分類できる。たとえばa)に該当する一般的課題としては、人間活動の拡大や社会システムの変化による地球環境負荷の増大に関する研究、人為的環境負荷の増大による地球環境の変化に関する研究、地球環境の環境変化を引き起こす社会システム及び自然システムの解明に関する研究が考えられる。(3)推進方策として最も重要なのは、既存の研究ネットワークをもとにプロジェクト型の研究を推進する中核的研究機関の設立である。また、同時にプロジェクトの実施体制の改善、人材の流動化、国際共同研究の一層の推進と主としてアジア・太平洋地域でにおける持続的な研究とデータの蓄積を図ることが最も重要であるという方向が示された。