著者
長尾 寛子 長尾 伸一 隠岐 さや香
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は主に①遠近法に基づく近代絵画に美学的基礎を与えたシャフツベリ伯、ハリス、レッシングなどの絵画論を分析しつつ、②近代西洋絵画の代表作における複合的な世界の表現の技法的分析③ルネサンスから19世紀にいたる複数世界論および幾何学・数学の思想史的・科学史的解明、④「近代的視覚」の思想史的再考を通じ、外から観察される世界とその中で生きる世界、瞬間と過去と未来、夢と現実が同一の画面に統合された西洋近代の視覚体験を再構成して、「モダニティ」の観念によって一面化されてきた近代西洋の多彩で豊かな知的枠組みを明らかにする。
著者
太田 伸幸
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2007

対人関係の4つの型(協同,競争,個人,ライバル)に分類し,この基準に基づいた尺度を作成した.次に,実際にライバルが存在する者を対象とした面接調査を実施し,ライバル認知の成立には社会的比較の対象になることと,双方向のライバル関係の成立には一定以上の親密性が必要であることを示した.そして,ライバルの概念に関して,日本の学生およびアメリカの学生を対象にしたWeb調査を実施した.因子分析を用いた検討の結果,日本人とアメリカ人とでは,競争に対する価値観が異なることが示唆された.
著者
大橋 裕子 丹羽 さゆり 水谷 聖子 小塩 泰代 岡部 千恵子 加藤 章子 水谷 勇
出版者
中部大学
雑誌
中部大学生命健康科学研究所紀要 (ISSN:18803040)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.43-49, 2005-03

性教育の実践活動の傾向を明らかにし、今後の性教育のあり方について示唆を得るため、性教育の実践に関する論文を対象に文献検討を行なった。指定と関係機関の連携に関しては、文部科学省のエイズ教育(性教育)推進地域の指定による実践で、学校と他機関や家庭などとの連携が積極的に図られていた。しかし指定期間後の状況は明らかでなく、今後、把握が必要である。対象や教育内容と連携では、対象の年齢が上がるにつれ、また医学的知識を含む内容ほど、連携した実践の割合が高かった。現在、性教育の体系化はされておらず、学校のみに眠らないマルチレベルでの展開や生涯学習なども視野に含め、性教育の体系化が求められる。
著者
小澤 正直
出版者
中部大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2017-06-30

量子力学の観測命題の論理である量子論理の上に数学を構築することは、経験と論理と数学を繋ぐ興味深いプログラムである。竹内外史は量子集合論を構築し、そこで定義される実数と量子物理量の同等性を示して、このプログラムに先鞭を着けた。本研究では、量子集合論とトポス量子論の関係を明らかにする問題と竹内の量子集合論で有界量化に対するド・モルガンの法則が成立しない問題の2つの懸案を研究し、解決に導いた。この成果により、量子論理、直観論理、パラコンシステント論理に基づく集合論の間に新しい統合が生まれた
著者
ヤーッコラ伊勢井 敏子 広瀬 啓吉 堀田 典生 板井 陽俊 越智 景子
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

言語差は発話時の呼吸の制御や腹筋・胸筋と切り離せないことや下腹部の筋肉は呼吸筋とは異なる動きをすることが明らかになった。発話時の呼吸回数に差はほぼないが,呼気量の制御に言語差が見られた。さらに,男女差は言語によるが腹筋・胸筋の使い方に出る。ポーズ制御に言語差が大きく出る。文法的単位や韻律単位になり,文・節・句以外に複合語や単語レベルにも及ぶ。また,母語と学習外国語の差は,母語で使う呼吸方法や腹筋・胸筋の使い方の影響が出る。加えて,喉頭制御は腹筋・胸筋の動きとは必ずしも連動しないことや,肺活量に基づく年齢(肺年齢)と実年齢では大きな不一致があり喫煙との相関はほぼないということも確認できた。
著者
伊東 泰治
出版者
中部大学
雑誌
国際研究 (ISSN:09100156)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.73-102, 1995-01-31
著者
伊藤 公孝 居田 克巳 杉田 暁 神谷 健作 佐々木 真 伊藤 早苗
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2016-04-01

昨年度までに、バリア構造のモデルを開拓し、乱流輸送の抑制の検証法を構想した。そして、電場形成・遷移および乱流抑制の実験検証を進めた。また、電場曲率効果について、当初定式化した機構だけではなく、独立な機構の重要な働きも見出した。計画は極めて順調に進展し、予想以上の広がりが実現している。非線形構造である振動型の帯状流によって、乱流塊が捕捉され輸送障壁内に侵入する現象も解析し、輸送障壁内部での揺動の起源の一つとして定式化した。さらに何十年も未解明だった問題(装置容器の材料や給気法が主プラズマの閉じ込めに影響する実験事実)にも研究を拡張した。かねてより代表者らは閉じ込め装置の壁材がH-モードの閉じ込め改善度に影響する上で中性粒子の役割を指摘してきた。その考えを拡張し、粒子補給によって生み出される乱流揺動を解析した。その結果、粒子補給量がプラズマ閉じ込めに影響すること、この機構が生成されたH-モードをより安定状態ならしめることなどを見出した。別の未解明問題としては、H-モード遷移の閾値より低い入力状態でプラズマ中央部での崩壊現象が起きると、それに付随してH-モード遷移が起きるという実験観測が30数年知られて居る。従来は、崩壊現象による熱パルスが「不足していた」パワーを補うことが原因だろうと考えられていたが、大型装置での実験の詳細分析の結果、乱流塊と急峻な径電場の伝播が遷移を引き起こして居ることを実証した。こうした改善閉じ込め現象などに関する成果は、何十年来知られていた未解明問題に取り組む新たな糸口となると期待される。さらには、乱流がプラズマ中のプラズマ断面の一部分に乱流が局在すること(H-モードに重要な働きを持つ可能性を代表者らが理論的に指摘している)のレビューを出版し、今後の研究者への指針を与えた。
著者
高橋 博之
出版者
中部大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

X線で非常に明るく輝く超高光度X線源はコンパクトな天体を起源とし、ガス降着によって重力エネルギーを解放することで明るく輝いていると考えられる。特筆すべきはその光度で、太陽質量程度の天体におけるエディントン光度を超えて明るく輝くいている。このコンパクトな天体の正体は太陽質量程度の恒星質量ブラックホールか、もしくは太陽質量の1000倍程度の質量を持つ中間質量ブラックホールであると考えられてきた。しかし近年になって明るく輝く超高光度X線源の一部は中性子星を起源に持つことが明らかになってきた。ブラックホールと異なり中性子星は強い磁場を持つために中性子星の磁場に沿ってガス降着が起こり、磁軸付近に堆積したガスが光る。さらに磁軸と回転軸が非平行なために周期的なX線光度変動を示す。観測によって中性子星を起源に持つことが明らかになった超高光度X線源はこのような特性を持つが、磁場が弱い場合や見込み角の違いにより、X線パルスが観測されていない超高光度X線源のリストの中にも中性子星を起源とするものが埋もれていると考えられる。従ってX線パルス以外の方法で超高光度X線源がブラックホールを起源とするか中性子星を起源とするかを判別する手法を構築することは急務である。そこで本研究では光度だけでなくX線スペクトルによる中心天体の同定方法を構築すべく、これまでにない新しい数値計算コード(振動数依存型一般相対論的輻射磁気流体コード)を構築した。この方法は一般相対性理論の枠組みで流体や電磁場を扱うのみならず、光も同時に扱う。そしてこの光は振動数の情報を持つため、光度だけでなくX線スペクトル、さらにそれらの時間変動についても情報を得ることができる。このコードは超高光度X線源のみならず、一般の高エネルギー天体現象に適用できる汎用的なコードである。
著者
玉田 敦子
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究課題「18世紀フランスにおけるミソジニーとナショナリズム」は、フランス啓蒙のジェンダー的瑕疵を「近代」社会の構想が内在的に抱える矛盾、すなわち「マイノリティのマジョリティへの従属」の一形態と捉え、その核心として包括的に検討することを目指してきた。今年度は、以下の国際研究集会、研究会において研究報告をおこなった(題目等詳細は別記)。(1)ソルボンヌ大学(仏)のセリーヌ・スペクトール教授、リール第3大学(仏)のガブリエル・ラディカ准教授らとSkypeやメールにて打ち合わせを重ね、2019年7月に英国エジンバラにて開催される国際18世紀学会に「啓蒙期フランスにおける女性の地位とアイデンティティ」をテーマとしたセッションをアプライ、受諾された。(2)モンプリエ大学(仏)のクレール・フォヴェルグ氏がパリのCollege International de Philosophie において主宰するセミネールで「啓蒙期における表象の複数性」について招待講演をおこなった。(3)2014年より、奈良女子大学高岡尚子教授を中心として、同大学中川千帆准教授、駒澤大学倉田容子准教授とともに「ジェンダーと文学」をテーマに開催している研究会を本年度は中部大学にて開催した。また、文化的ナショナリズムの生成の起源を探究する試みとして、シチリアの僭主による文化戦略について考察する論文「レトリック発祥の地の輝きー紀元前5世紀の南シチリアにおける僭主政とオリンピック」を『中部大学人文学部研究論集』に執筆、刊行した。さらに今年度は女性史の観点から近現代フランスにおける分娩について考察し、『助産雑誌』に2本の共著論文を執筆した。
著者
前田 富士男
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

画家パウル・クレー(1879-1940)は、その制作論の基礎に形態学的な「生成(Werden)」を掲げた。本研究はまず、その背景に世紀転換期の実験発生学の研究、とくに生物学者ハンス・ドリーシュの新生気論の活動を指摘した。つぎに、19世紀半ばから発展したドイツの生理心理学のエルンスト・ヴェーバーらの研究による体性感覚の「ハプティク(内触覚Haptik)」の様態を検証し、クレーの多種多様な作品も、こうした内触覚的な様態の反映にほかならないことを解明した。
著者
冨田 彩
出版者
中部大学
雑誌
CUWC gazette (ISSN:13411861)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.141-153, 1996-03-01
著者
藤井 知昭 嘉原 優子 寺田 吉孝 鈴木 道子 高橋 昭弘 樋口 昭 TOーNGOC Than AMPHAY Kinda 呉 学源 高 立士 福岡 正太 THANH ToーNgo KINDAVONG Am 塚田 誠之
出版者
中部大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1995

ヴェトナム1)従来調査を継続してきた都市的芸能に関してさらに資料の蓄積を行った。中でも、比較的資料の少なかったハット・トゥオン、カイ・ルオンについては、資料の充実を図ることができた。とりわけハット・トゥオンについては、現在上演可能なレパートリーのほぼ全体をつかみ、またハット・チェオとの相違点や特徴などをおさえることが出来た。2)文化情報省管轄の演劇研究院(Vien San Khau)の院長・スタッフ及び当学院所属の芸術家との研究的交流を行い、今後の調査研究の一層の展開にとって条件作りとなった。ラオス1)中央部・南部の歌謡「ラム」について、さらに多くの事例の蓄積ができた。中央部を中心に伝承されている伝統的な歌謡形式「ラム・クー・ラム・コーン」については、現地研究者との協力による歌詞の訳詞作業も進展し、また形式概念・演唱形式についてもほぼ整理できる段階になった。2)南部諸地方の「ラム」についても、事例をかなり集めることができた。各地域の代表的・典型的な歌については、網羅されつつあるが、さらに綿密な事例の収集が望まれる。3)少数民族の歌謡・芸能については、特に南部地域に関して、現地研究者との交流により新たな情報を得ることができたが現地調査は未実施であり、今後の現地調査が期待される。4)文化情報省直属のInsitute of Research on Cultureの所長及び、研究員との研究的交流が進展し、今後の共同研究のため基盤を一層強めることができた。